幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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プロローグに繋がるまでかなり長いです。

時系列順では第零話~第一話~本編~プロローグ~ラストになります。

この様な流れになりますが長い目で見て頂けたらと思います。

今回の主人公の鬱展開は転生時にチート能力を手に入れる為に請け負った代償です。




魔星ノ詩篇
第零話 『語手《カタリテ》』


今回の話に入る前に私の事とそれまでに起きた事件についてかなり長い説明をさせて頂きたい。

 

私の前世での名前は忘れてしまったのでそこは割合させて貰います。

 

私は俗に言う隠れと呼ばれる部類に入っており、個人的にも物語を書くのが好きだった。

 

普通に生活し仕事し何事もなく平穏に生きてました。

 

そして…

 

それは突然だったのです。

 

大きな衝撃と痛みが全身を駆け巡り。

 

残ったのは青い空と赤い、紅い、朱い景色だった。

 

耳に残るのは叫びと悲鳴と独特のサイレン音。

 

誰かが呼びかける声がうっすらと残るが、徐々に消えて行った。

 

 

 

『そう、この時に前世での私は偶然起きた自動車の衝突事故で死んだのだ。』

 

 

 

それも、神様とやらの手違いと不可抗力らしく。

 

最初は怒りに震えたよ。

 

だが、チート能力を付けて好きな世界に転生させてくれると言うのだからそれでお相子とした。

 

一番したいと思った事があった。

 

新しい人生を生きるのだ。

 

だから、あの世界の人達を救いたいと願った。

 

その為の転生とチート能力を授かった。

 

世界の理さえ変えかねない力を手に入れて私は転生した。

 

 

 

******

 

 

 

『この子の名前は蓮美(ハスミ)にしよう。』

 

 

清潔そうな白い部屋で産声を上げた女の子の赤子に父親と思われる男性にそう告げられた。

 

その横で母親らしき女性が笑みを浮かべていた。

 

こうして私こと九浄蓮美(クジョウ・ハスミ)の人生が幕を開けたのだ。

 

 

「ハスミ、これからよろしくね。」

 

 

私は了承と伝える為に両親に向かって笑った。

 

それから五年間の幸せな家族生活を送った。

 

何故五年間なのか?

 

それは五年後に産みの母親が他界したからである。

 

前回の私と同じく自動車事故だった。

 

しかもひき逃げと言う最悪の結果だ。

 

父親は幼い私を育てる為にしばらくしてから後妻を迎えた。

 

これが良い意味での母親であればの話であるが…

 

あえて言おう、毒でした。

 

翌年に異母弟が産まれるとその育児に付きっ切りで私の事は後回しだった。

 

ネグレクトの一歩手前だった。

 

父親の前では良い母親顔をするが私の事は徹底的に無視を決め込んだ。

 

食事も洗濯も必要な物も全部母方の祖父母と父から貰ったお小遣いでやりくりした。

 

ここでは前世での生活の知恵の知識が役だった。

 

当初の目的を果たす前に死ぬ訳にはいかなかった事。

 

この毒に塗れた義母が私の産みの母親を引き殺した張本人だったからだ。

 

片思いだった父を手に入れる為に私の母を引き殺し、政治屋だった一族の力でその罪を逃れた様だが、私は許すつもりはない。

 

今回は色々と知識を手に入れる事が出来たので近所に住むお姉さんに助けを借り…

 

内緒で購入した盗聴器等を自宅に仕掛けるとボロボロと黒い物が出てきてくれた。

 

 

 

その結果、家庭崩壊となった。

 

 

父は母を殺した女と添い遂げた事に苦悩し自殺。

 

義母は母殺害の罪を含めた余罪とその隠蔽に協力した一族諸共塀の向こう。

 

異母弟は幼いながらも実の母が犯した罪を知り、自ら施設行きを選んだ。

 

祖父母は母殺害の真相発覚後に心労でこの世を去った。

 

私は生前に父の伝手で出会ったカーウァイ・ラウ大佐に養子縁組をして貰い、引き取られしばらくは平穏な生活を送れたが…

 

その大佐も任務中のMIAで行方不明になり死亡した事になった。

 

知っていながら助けられなかった事が悔やまれる。

 

行き場を無くした私を引き取ってくれたのはエアロゲイター襲撃の際に妻子を失った。

 

彼の部下だったテンペスト・ホーカー少佐に引き取られたのだ。

 

最初は大佐の養女だったからが理由だった様だが、暫く暮らす内に本当の親子の様になっていった。

 

そして私は彼の事を『お義父さん』と呼べるまでに信頼関係を築いていった。

 

 

 

******

 

 

そして私はこの日、戦う力を手に入れた。

 

友人と共に幕張で行われるバーニングPTの大会の決勝戦に訪れていた。

 

そうOGのリュウセイとテンザンの一騎打ちのシーンだ。

 

だが、優勝したのはリュウセイでテンザンではなかった。

 

しかもリュウセイは実戦のPTに付属出来る最小限の武装とあり得ない程のテクニックで相手を打ち負かした。

 

これは正直驚いた。

 

流石の私もこのリュウセイは逆行でもしているのでは?

 

と思ったが、イングラム・プリスケンの事もあったので…

 

こっちの手の打ちを明かす訳にはいかなかった。

 

なので、あえて聞かない事にした。

 

その優勝の余韻に浸りながらリュウセイらと共に帰宅する途中だった。

 

バグスが現れた、そうエアロゲイターの襲撃にあったのだ。

 

リュウセイはそのまま出現した量産型ゲシュペンストMk-IIへ。

 

クスハは墜落した輸送機に積載されたグルンガスト弐式へ。

 

行動を共にしていたリョウトとリオは軍に納入される予定だったヒュッケバインMk-IIへ。

 

私も破壊されたイズルギ社の輸送車両にあった試作ガーリオンへそれぞれが乗り込んだ。

 

リュウセイとリョウトが殿を務め、私とリオが操縦に難があるクスハのフォローに入った。

 

機体に搭載されたT-LINKシステムの御蔭でそれぞれの操縦に何の支障は無かったが…

 

まさか、このガーリオンにまで搭載されている事に驚く私が居た。

 

そこからは無双でした。

 

武装も最低限ですが、ほぼフルボッコ状態と言って良いだろう。

 

襲撃から少し経った後に到着したATXチームも唖然だった模様。

 

活躍の場を取ってしまいすみません。

 

それにしても零式と量産型ゲシュペンストが3機って事はまだアルトとかのロールアウトが済んでいないのだろう。

 

ただ、ゼンガー少佐が原作のDC行きにならない事を祈りたい。

 

今回はDCが出てくる事がない様に連邦政府内にも少々手を打っておいたがどうなるだろう。

 

戦いが終わった後、軍用機の無断使用でリュウセイらと共に伊豆基地に拘留され軍属になる事を強いられた。

 

同基地に所属していたお義父さんからはかなり叱られたが無事である事に安堵し泣かれた。

 

本当にごめんなさい。

 

その後、イングラム少佐から説明を受けた私達は軍に属すると言う事で無断使用の一件の相殺してもらう事になった。

 

リュウセイはイングラム少佐指揮下のSRXチームへ。

 

リョウトはパイロット兼整備兵へ。

 

クスハはパイロット兼看護兵へ。

 

リオはパイロット兼オペレーターへ。

 

私もパイロットとして配属される形となった。

 

そして一度、リュウセイ、リョウト、リオと別れる事となった。

 

私とクスハはATXチームに配属される事となった、実戦で戦いに慣れろと言う意味合いの説明を受けた結果だ。

 

OG主軸とは言えここまで話の展開が早いとは、しかも母艦はハガネだそうで遊撃隊として各地を回る事となった。

 

数日後、私達は身辺の事後処理を終えた後にハガネに乗艦した。

 

 

 

αにしてOG…

 

OGにして衝撃…

 

私の戦いは始まったばかりである…

 

 

=続=




<今回の登場人物>

九浄蓮美(ハスミ・クジョウ)
この話の主人公で都内の学園に通学する高校1年生、年齢は16歳、同学園に通学するクスハ達とは幼馴染。
高検並びに大検は取っているものの学生生活を謳歌したい為に通学している。
物語開始前に転校して来た為、前の高校の制服を着用しているが学園が私服認可しているのもあり、そのまま指定制服を私服として着用している。(紺のブレザーと細めのリボンで水色のブラウスになっている。)(容姿は風鳴翼似で胸のサイズが大きめ、髪の色は黒に紺を混ぜた様な配色になっている)
性格は至って真面目だが敵と判断した者には容赦がない。
睡蓮が好きでそれをモチーフにしたケース(携帯端末用)を所持している。
この世界ではライトノベルの執筆をしながら学生生活を送る一般人であるが、実は別次元(プレイヤー側の現実世界)から転生したチート能力者。
チート能力はα基準の『サイコドライバー』、常にアカシックレコードと繋がっている状態である事とその情報から特殊な能力を再現化する力を持つ。
念動力の能力としては他の能力も高いが常時発現状態の予知、ヒーリング能力、戦闘能力がずば抜けて高い。
アカシックレコードと常時リンク状態である為に様々な表と裏事情(今後起こるであろう事件の予測と都合の悪い事まで)を知り尽くしていると言ってもいい状況である。
上記の能力が原因で周りからの迫害を逃れる為に母親の形見であるアンティークなペンダントで念能力を封印している。
身に付けている間は念の力を使う事は出来ないが外せば使える様になる。
無意識に発動している能力は『縁繋ぎ』、世界を結ぶエニシからこの世界の彼らと繋がっていた仲間達(原作上の事情によって元の世界に戻った面々や元々関わらなかったが物語とリンク状態の仲間)がこちら側に必然的に引き寄せられてしまっている。
この世界では実の父親と義母との間に産まれた10歳になる異母弟が居るが、父親の死亡と義母との一件で縁切り状態である。
現在は軍の関係者だった父と祖父の伝手でカーウァイ・ラウ大佐に身元引受人として養子縁組をして貰い生活する事となったがバグス初襲来時にMIAなってしまう。
その為、家族を失ったカーウァイの元部下であるテンペスト・ホーカー少佐に引き取られ彼の養女として再度引き取られる形となった。
原作では「ホープ事件」で死亡した彼の妻子はこの世界ではエアロゲイターの襲撃で死亡している事になっているので連邦政府への復讐心は無くなっている。
苗字を変えていないのは母方の性(父親は婿養子)を失いたくない為である。
幕張でエアロゲイターの襲撃に合い、リュウセイやクスハ達と共に避難していたが…
破壊されたイズルギ社の輸送車両に積載されたT-LINKシステム搭載の試作ガーリオンに乗り込み戦う。
本人曰く『操縦方法はお義父さん仕込みだけど……後は吹っ切れるだけ!」と語っている。
上記の発言はカーウァイに引き取られた時に当人のお遊びで当時の戦技教導隊のデータでシミュレーションを日々やらされていた為である。
今回の戦闘後にアカシックレコードの意思から『この世界にようこそ異邦人(エトランゼ)』と歓迎された。

※リュウセイ・ダテ
17歳、後のSRXチームの一人。
原作とは違い、自信過剰な面は見られず少し落ち着いた様子である。
同じ様にエアロゲイターの襲撃に遭いOG同様に量産型ゲシュペンストMk-II・タイプTTに搭乗し戦う。
原作では優勝を逃す筈だったバーニングPTの大会で優勝候補だったテンザンを打ち負かしている。

※クスハ・ミズハ
後のATXチームの一人。
リュウセイのお隣さんである事は変わらず、襲撃事件前からリュウセイに付き合ってバーニングPTの練習をしていた…
幕張でエアロゲイターの襲撃に遭うものの自身も輸送中に墜落したグルンガスト弐式に搭乗しハスミとリュウセイらと共に撃退した事によって軍属になった。
クスハ汁の脅威は相変わらずである。
OG基準なのかブリットとはまだ恋人同士ではないらしい。

※リョウト・ヒカワ
リュウセイ達の友人。
エアロゲイター襲撃時にマオ・インダストリー社が主催したプログラミング大会で優勝した事でスカウトされており、その件で支社に顔を出していた。
軍のトライアル機として搬入予定だった通常カラーのヒュッケバインMk-IIに搭乗し、リュウセイ達と共闘し撃退したものの無断使用の一件で軍属になる事となってしまう。

※リオ・メイロン
後のリョウトの恋人。
エアロゲイター襲撃時に支社に顔を出していたリョウトと同じく軍のトライアル機として搬入予定だった赤いヒュッケバインMk-IIに搭乗し、リュウセイ達と共闘し撃退したものの無断使用の一件で軍属になる事となってしまう。

※キョウスケ・ナンブ
※エクセレン・ブロウニング
※ゼンガー・ゾンボルト
※ブルックリン・ラックフィールド
幕張に現れたエアロゲイター迎撃の為に出撃していた。
ハスミを含めリュウセイ達民間人の戦闘スペックに驚いていた。
人員不足の為、ハスミらに協力を仰いだが後の祭りだった。
なお、ハスミの事はカーウァイの一件でゼンガーが知っていた。

※イングラム・プリスケン
バーニングPTの大会を利用してリュウセイ達を監視していた。
エアロゲイター襲撃の際はそれを利用し彼らにPT並びに特機に搭乗せざる負えない状況を作った。
なお、ハスミのガーリオン搭乗の件に関しては全くの偶然だった模様。

※テンペスト・ホーカー
この世界でのハスミの養父。
現在はギリアム・イェーガーと共にある事件の真相を追って連邦軍情報部に所属している。
ハスミのAM無断搭乗に一件に少なからず怒っていたが生き延びた事に安堵もしていた。
元々の養子縁組をする筈だったカーウァイにお遊び半分で教えられたPTの操縦が今回の延命に繋がったとギリアムに話している。

※ギリアム・イェーガー
連邦軍情報部所属の壁際のいぶし銀。
偶然とはいえ息を吐く様にPTを動かしたハスミとリュウセイの操縦センスに驚いている。
イングラムの件もあり何か秘密があるのではと怪しまれている。

※九浄家
ハスミの実家、母方の実家であるが祖父母と母が死亡し婿養子の父親の一件で没落状態。
先祖は明治時代より旧陸軍士官として所属し多くの功績を上げており、少なからず名のある軍人家系の一族だったが直系である母の死後に婿養子の父親が迎えた義母によって繁栄から没落の道へと一転した。
後に義母一族の犯した母親殺害の一件で婿養子の父親はお家断絶の末自殺。
義母は実の息子からの拒絶に寄る精神崩壊でそっち系病院行きの末に死亡、殺害に関わった義母一族は刑務所へ、異母弟は施設送りとなった。
現九浄家当主はハスミとなったが、別居中であった事と軍属になる事となったので信頼出来る知り合いに実家を預けている。
旧西暦より続く旧家の為、古びた倉や地下壕に改装された元座敷牢跡等が残っている。
ハスミによると古い手記なども多く残っており、当時の世に跋扈していた魑魅魍魎などと戦ったと言う痕跡も残されている。


九浄優弥(ユウヤ・クジョウ)
10歳になるハスミの異母弟。
異母姉の様な能力を全く持っていない普通の一般人。
幼いながらも実母が犯した罪を理解している。
異母姉であるハスミから遠ざかる為に自ら施設行きを選んだ。
現在は施設から都内の小学校に通学していた。
が、急性白血病を発症しドナーが見つからないまま死去した。
主人公もドナー検査をしたが彼と血縁関係が無いらしく赤の他人と判明している。



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