IS 〈インフィニット・ストラトス〉 -造られた双子-   作:ark.knight

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第63話

 

どうもラウラ・ボーデヴィッヒだ

今日で黒兄貴はここを離れてしまうのだがもっといて欲しいぞ。だがそれも無理なのはわかっている。ぐぬぬ・・・

 

黒は朝練をしに訓練場に向かうが一切声も人の気配もなかった

 

「今日は定休日なのでしょうか?たまにはこういう日もあるでしょうね。仕方ない喫煙室で時間を潰しましょう」

 

黒は訓練場を離れ喫煙室に向かうとクロエが宿舎の方からやってくる

 

「おはようございますクロエ」

 

「黒様おはようございます」

 

黒はベンチに座ると隣にクロエが座ってくる

 

「今日からフランス入りですが準備は大丈夫ですか?」

 

「はい大丈夫です」

 

「クロエ」

 

「なんですか黒様?」

 

「どんなことがあっても私を信じていてください」

 

「急にどうしたのですか?」

 

「いや昨日なぜか悲しくなってしまいましてね不安になったんですよ」

 

黒はタバコを吸い始める

 

「大丈夫ですよ黒様。私クロエ・クロニクルは黒様を愛してます。信じるのは当然です」

 

「ありがとうございます」

 

(後は2人ですね。学園に戻ったら話しましょう)

 

「黒様でも不安になることがあるんですね」

 

「ありますよ、2学期も何事もなく平穏に暮らしていけるかとか会長が職務怠慢しないかとかいろいろあります」

 

「私もそうならないように祈ってます」

 

「黒兄貴!!クロエ!!」

 

宿舎の方からラウラが走ってくる

 

「どうしたんですか?」

 

「目を覚ましたら2人がいなくてビックリしたんだぞ」

 

「すみませんね私は朝練しようと訓練場に行きました」

 

「私はたまたま早く目を覚ましたら黒様が出ていくのが見えたので」

 

「そ、そうか朝食を食べにいかないか?」

 

「そうですね行きましょうか」

 

黒はタバコを消し灰皿に捨て立ち上がる

 

「では行くぞ!!」

 

ラウラは黒の手を取り引っ張っていく

 

「まるで子供ですね」

 

「私は年齢的にまだ子供だぞ?」

 

「多分そういうことではないと思いますよ」

 

「そうなのか?」

 

3人は宿舎の方に歩いていく

 

 

 

3人が食堂の前まで来るが中がとても騒がしいのがわかった

 

「中が賑やかですね」

 

「とにかく入るぞ」

 

3人が食堂に入るとシュヴァルツェア・ハーゼの隊員と荒熊部隊がいた

 

「「「「「兄貴お疲れさまでした!!」」」」」

 

「・・・」

 

黒は驚愕したようでその場に固まってしまう

 

「おう黒、固まってんじゃねぇよ!!」

 

「そうっすよ黒、さっさとこっちにきんさいな」

 

「・・・あ、はい」

 

「どういうことでしょう?」

 

黒とクロエは隊員に囲まれるように席に着く

 

「んん、今日で黒兄貴がここから離れるがその送別会だと思ってくれ」

 

「分かりました」

 

「それで時間がないのでさっさと始める。ノア・アクセル伍長にアザレア・トルフト伍長は前に」

 

「「はい」」

 

ノアとアザレアは黒とクロエの前に来ると何か小包を渡してくる

 

「これはプレゼントでしょうか?」

 

「そう・・・兄貴には・・・お世話になった・・・だから隊のみんなで」

 

「そうですか」

 

「クロエさんは調理を手伝ってたそうじゃない。だからあんたにもね」

 

「ありがたく頂戴します」

 

2人は小包を受け取るとタージが黒の前に来る

 

「よう黒」

 

「どうもタージ隊長」

 

「2日間だけだが世話になったな、これはうちからだ」

 

タージは紙袋を渡してくる

 

「これは?」

 

「黒に合った武器っすよ」

 

「私に合った武器ですか?」

 

「そうそう使う場面なんてないと思うけどよ。餞別だ」

 

「ありがとうございます確認してもいいでしょうか?」

 

「おうよ」

 

黒は紙袋の中にあった新聞紙に包まれた物を取り出し開くと柄の末端が円状になっているナイフが6本ぐらいあった

 

「ナイフですか、投擲に使わせていただきます」

 

「それなんだが柄の末端を見てみ円状になってるだろ?そこにはワイヤーが入っててそこに指をひっかけて投げるナイフだ、要は即時回収可能なスぺツナヅナイフだ」

 

「便利ですねぇ」

 

「俺らが渡したのは秘密な?」

 

「分かってますよ」

 

「さて黒兄貴とクロエ、私達が渡したものも見てもらおうか」

 

「わかりました」

 

黒とクロエは小包を開封していくとクロエは向日葵のネックレス黒はドックタグが入っていた

 

「・・・本気で軍に入れる気ですか?」

 

「「ああ!!」」

 

珍しくラウラとタージが息を合わせ黒にそう告げる

 

「黒兄貴は私たちの部隊に入れる!!異論は認めないぞ!!」

 

「何言ってんだ!!こんな女だらけの場所に入れる気か!!」

 

「現にIS学園に入ってるのだから問題は無いだろ!!」

 

「黒には荒熊を任せなきゃなんねぇんだよ!!」

 

「私の意見は・・・」

 

「「黒(黒兄貴)は黙っていろ!!」」

 

「・・・はい」

 

黒は席を離れ隅の方で朝食を食べ始めるとクロエは隊長2人に話しかける

 

「・・・争うのはいいですが主賓が気を損ねては意味がないのではないですか?」

 

「「あ・・・」」

 

「・・・もういいです。プレゼントは嬉しかったですが最後の最後にこれですか」

 

「す、すまない黒兄貴!!」

 

「すまねぇ!!」

 

隊長2人は隅で静かに朝食を食べている黒の目の前に行き謝り始めた

 

「元はと言えばこのウサギが!!」

 

「貴様も同じだろう!!」

 

「・・・お2人さん、表で説教でもしてあげましょうか?」

 

黒は2人に対してとてもいい笑顔を向けるが目は見開いていて瞳には光がなかった

 

「「すみませんでした!!」」

 

「朝から元気ですね。後で『くんれん』でもしてあげましょうか?本気で」

 

「そんなことしたら死んでしまう!!」

 

「あれが本気じゃなかったのか?」

 

「能ある鷹は爪を隠すと言いますし」

 

「・・・すまなかった」

 

「はぁ、皆さんお見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした」

 

黒は隊員たちを見ると中には恐怖のあまり気絶している者もいたが大半は震えていた

 

「・・・こちらもやりすぎいてしまいましたか」

 

「黒様どうですか?」

 

クロエは向日葵のネックレスをつけて黒の隣に座ってくる

 

「似合ってますよ」

 

「ありがとうございます!!」

 

「さて朝食を食べましょう」

 

「はい!!」

 

この後2人は無事朝食を食べていった

 

 

 

黒とクロエはクラリッサの運転するジープに乗って駅に向かっていた。見送りの際はシュヴァルツェア・ハーゼの隊員と荒熊の隊員に見送られながら基地を去った

 

「クラリッサさん今朝はすみませんでした」

 

「あれは仕方ありませんよ。隊長も悪かったので」

 

「久しぶりに黒様が怒ったので驚きましたよ」

 

「すみません」

 

「兄貴は怒らせない方がいいのが分かりました」

 

「あまり怒りたくないのですがね」

 

「誰だったそうですよ」

 

「さてこの後はフランス、そして中国ですか」

 

「ようやく折り返しですね」

 

「お疲れ様です。それとチケットは取っておきました」

 

ジープが駅の前で停止するとクラリッサがチケットを渡してくる

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ、これは我が隊からの贈り物です。隊長に良くしてくれているのでそのお返しにと」

 

「ではいただきますね」

 

黒はチケットを受け取ると間にメモが挟まれていた

 

「では私はこれで。機会があったら来てください」

 

「分かりました」

 

2人が降りるとすぐさま発進していく

 

「さて行きましょうか」

 

「はい」

 

2人は駅に入っていきフランス行きの特急列車に乗るのであった

 

 

 

列車が揺れる中クロエは寝てしまい黒は外を眺めていた

 

「クラリッサさんのメモを見ていませんでしたね」

 

黒はポケットからメモを取り出しメモを見る

 

兄貴へ

 

今回はとても充実したものをありがとうございました。またドイツに来るときはよろしくお願いします。本題ですがここ最近我が国でも女性権利団体の過激化が始まってますのでお気をつけてください。

 

クラリッサ・ハルフォーフより

 

「・・・覚悟は決めてあります。後はあの方たち次第です」

 

黒はメモをしまいフランスに着くまで外を眺めることにした

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

次回からフランス編です

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