IS 〈インフィニット・ストラトス〉 -造られた双子-   作:ark.knight

44 / 107
第44話

 

黒達は夜明けに旅館に戻ると千冬と山田先生、医務員が玄関の前に立っていた

 

「医務員、銀の福音の操縦者を」

 

千冬の号令と共に操縦者は担架に乗せ運ばれていった

 

「さて、貴様ら何をしたのかわかっているのか?」

 

「べっつに何したっていいんじゃないっすか?」

 

「おどけないでください!!」

 

「山田先生落ち着いてください」

 

「落ち着いていられませんよ!!だいたい黒君はそんな怪我でどうして行ったんですか!!」

 

山田先生は黒の傷跡を指差す

 

「これはセシリア嬢に抱き着かれた際に傷が開いたものです」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「そうですわ・・・」

 

「それにしてもこれで安心できますよ」

 

「双葉兄、すまなかった」

 

千冬は深く頭を下げる

 

「・・・正直許せたものではありません。私と一夏が重傷を負ってしまったのはあなたのせいなんですから」

 

「ああ、そうだな」

 

「黒、俺が撃墜されたの知ってたのか?」

 

「ええ」

 

「俺らそのこと黒には言ってないよな?」

 

「ちょっと待て織斑、それは本当なのか?」

 

「織斑先生、一夏の言ってることは本当ですよ」

 

「ならなぜ双葉兄は知ってるのだ?」

 

「・・・しおらしくなった織斑先生は可愛かったですよ。一夏も見たことはないでしょうね」

 

「そんなことがあったのか!?」

 

「貴様あの時起きていたのか!!」

 

「起きようとしたら呟いていたので起きづらかったのですよ」

 

「貴様ぁ!!」

 

「その後は山田先生が織斑先生に喝を入れるためにビンタもしてましたね」

 

「み、見てたんですか!?」

 

「黒って腹黒なのね」

 

「黒だけに?」

 

「・・・一夏、ここではそれは無しだぞ」

 

「でも、かっこよかったですよ山田先生」

 

「あうう~///」

 

「双葉兄、私は貴様にどう償えばいいか分からない」

 

「自分で考えてくださいよ、面倒くさいですね」

 

「黒、そんな言い方ねえだろ!!」

 

「・・・そういえば忘れてましたね、一夏と箒さん」

 

「なんだ黒」

 

「あなたたちが暴走したせいでこちらがどれだけ大変だったか忘れてませんよね?」

 

「「・・・」」

 

一夏と箒は黒から目をそらした

 

「織斑先生、2つお願いしてもいいでしょうか」

 

「なんだ」

 

「まず1つ目は、いつか私のお願いを聞くこと。無論肉体的交渉はしませんので」

 

「いいだろう」

 

「2つ目、ここにいる突撃馬鹿にどぎつい説教をしてください。この2つで今回のことを水に流しましょう」

 

「それでいいのか?」

 

「こちらがいいと言ってるのでいいのですよ」

 

「く、黒本当にすまなかった!!」

 

「こ、この通りだ!!許せ!!」

 

一夏と箒は黒に土下座をする

 

「なんて綺麗な土下座なんでしょう。感動的ですね」

 

「な、なら!!」

 

2人は顔を上げる

 

「だが無意味だ。織斑先生、後はよろしくお願いします」

 

「わかった。貴様ら行くぞ!!それと今回の事件は誰にも言うなよ。誰かに漏らしたことが発覚したら裁判と監視がプレゼントされるだろうな」

 

千冬は一夏と箒の首根っこを掴み引きずっていく

 

「やめろー!!死にたくなーい!!」

 

「はなせー!!」

 

「ドナドナド~ナ~ド~ナ~、悲しみを乗せて~」

 

「出荷するよー」

 

「出荷って、白と簪は息ピッタリだね」

 

「「2徹の仲なんで」」

 

「馬鹿じゃないの、なんであたしも呼ばないのよ!!」

 

「そっちなんですの!?」

 

「なら今度は・・・鈴も誘う」

 

「そん時は俺も誘ってな」

 

「うん」

 

「私は疲れたので戻って寝ます」

 

「黒君は一旦精密検査を受けてください」

 

「嫌です、寝ます」

 

「ダメです!!」

 

黒が旅館に入ろうとすると山田先生が黒の腕を引っ張る

 

「鐚があるんで精密検査なんていらないです!!」

 

「しーりーまーせーんー!!」

 

「・・・山田先生って、あんな人だったっけ?」

 

「今回の事で吹っ切れたんじゃないの?」

 

「黒さん!!私たちを心配させないでくださいまし」

 

「・・・昨日、サンオイル、艶やかな声・・・」

 

「うぐっ・・・それはすみませんでしたわ」

 

「はぁ・・・寝ながらの検査で良ければ受けますよ」

 

「分かりました」

 

山田先生は黒の腕を離す

 

「さぁ黒君、行きますよ」

 

「私の愛しい睡眠時間が・・・」

 

黒は山田先生の後をついていく

 

「兄貴、だいぶ精神状態がおかしくなってんな」

 

「いろいろなことがあったからね」

 

「俺も寝るかな」

 

「白兄貴の方に行ってもいいか?」

 

「やめとけ、ラウラは自分の部屋で寝てろ」

 

「うう・・・」

 

「夕方になったら遊ぶか?」

 

「いいのか!?」

 

「ああ、それまでは休憩だ」

 

「わかったぞ!!」

 

ラウラは旅館の中に入っていく

 

「白はいいお兄ちゃんだね」

 

「うっせシャル」

 

「わたくしも戻りますわ。眠たくなってきましたわ」

 

「僕もかな、それじゃあまた後で」

 

シャルロットとセシリアも旅館に入っていく

 

「簪はいかないのか?」

 

「少し・・・白と話してたい」

 

「さいで、んじゃ海辺にでも行くか」

 

「うん」

 

白と簪は海辺に向かった

 

「ねぇ白」

 

「なんだ簪」

 

「今日はありがとうね」

 

「礼を言われるだけのことはしてねえよ」

 

「白からしたら・・・そうなんだと思う」

 

「みんなからしたら違うってか?」

 

「うん・・・みんな感謝してると思う」

 

「そうかい」

 

「白はどうして・・・そこまでできるの?」

 

「あの時は俺以外にできる奴がいなかったからやっただけだ」

 

「ラウラなら・・・できるんじゃない?」

 

「できねぇよ、ラウラは兄貴の敵討ちで一杯一杯だったからな」

 

「それは・・・白も同じ?」

 

「同じかもしれんが俺の目的は<銀の福音>の撃破だったからラウラとは若干違う」

 

「そう」

 

「簪もよくやったよ」

 

「そんなことない・・・私も一杯一杯だった」

 

「お前は謙虚だなー憧れちゃうなー」

 

「ジュースは9本でいい」

 

「さてここの階段に座ろうか」

 

「うん」

 

白と簪は海辺の手前にある階段に座る

 

「今日は疲れたな」

 

「うん・・・こんなことになるなんて・・・思いもしなかった」

 

「俺はなんとなくだが知ってた」

 

「知ってたの?」

 

「知ってたとは言い切れんが予感はしてた」

 

「予感?」

 

「ああ、ここ最近は無人機襲撃やらVTSあったろ」

 

「あったね・・・もしかしてそれが原因なの?」

 

「予感の元ではあった確信じゃないがな」

 

「正直今回は・・・黒が撃墜されて・・・お終いだと思った」

 

「多分だけどよ、あいつらが兄貴を守ってくれたんだと思う」

 

「あいつら?」

 

「兄貴曰く、兄貴の兄弟が兄貴に霊として憑いてるらしいぜ」

 

「ちょっと・・・怖い話はやめて」

 

「悪いな、でも霊っつても守護霊みたいだがな」

 

「守護霊・・・黒に?」

 

「ああ、多分霊感のある人間に教えられたんだろうけどな」

 

「いい話だね・・・白はどうなの?」

 

「俺はわからん」

 

「憑いてるといいね」

 

「おおー怖い怖い」

 

「白は多分・・・なんだかんだで優しいね」

 

「はずいからやめーや」

 

「ふふ・・・ふぁぁぁ」

 

簪はあくびをする

 

「簪、今日はもう寝ろ。お疲れみたいだし」

 

「うん・・・そうする」

 

簪は立ち上がり旅館の方に歩き出す

 

「さて1本吸うか」

 

白はタバコを取り出し火をつける

 

「・・・ふぅ・・・そこらへんにいるんだろ束」

 

「なんでわかるのさ~」

 

遠くの物陰から束が出てくる

 

「んで、このタイミングで来るとはどうしたんだ?」

 

「謝りに来たんだよ」

 

「俺にすんな、束は一番に謝らなきゃいけない奴がいるよな?」

 

「分かってるよ」

 

「なら行ってこいよ」

 

「でも・・・」

 

「でもじゃねえよ!!」

 

「ひう!?・・・どこにいるかわかんないんだもん」

 

「・・・はぁ・・・兄貴は今精密検査受けてたはずだな」

 

「そうなの?」

 

「寝ながら受けてんだと」

 

「そう・・・行ってくる!!」

 

「行ってこい」

 

束はどこかに走り去っていった

 

「さて俺も寝るか」

 

白はタバコを消し旅館へと向かった

 

 

 

時間は飛び昼食時、白は十分な睡眠を取り腹が減ったため大宴会場に向かっていった

 

「っべわ、まじっべわー、腹減りすぎて死ぬわー」

 

「白様」

 

大宴会場に向かう途中でクロエと会う

 

「おっす」

 

「黒様はどこにいるか知っていますか?」

 

「兄貴は寝てるか吸いに行ってるんじゃね?」

 

「そうですか、朝食の時にいなかったもので・・・」

 

「さいで、俺は腹減ったからいくぜ」

 

「私も行きます」

 

「腹減りすぎて死にそ」

 

「大丈夫ですか?」

 

「だいじょばない」

 

「無理はしないでくださいね?束様が悲しみますので」

 

「分かってるさ」

 

「話は変わりますけど今日で臨海学校も終わりですね」

 

「そういやそうやな」

 

「明日は街の方に行かれるのですか?」

 

「兄貴はやることがあるからいくらしいぜ」

 

「そうなんですか?」

 

「みたいだぜ」

 

2人は大宴会場に到着すると質問攻めにあっているいつものメンバーがいた

 

「兄貴もう来てたのか」

 

「ええ、また面白いものが見れましたけどね」

 

「束か?」

 

「姉さんがどうしたのだ?」

 

「目が覚めると手を握りしめ謝りながら泣きじゃくる束さん」

 

「なんだよそれ!?」

 

「俺が兄貴の方に差し向けた」

 

「兄弟そろって腹黒なんだね」

 

「シャル・・・怒るぞ」

 

「白が怒ったー」

 

「いい加減食べましょうよ」

 

「そうですわね」

 

「クロエも一緒に食おうぜ」

 

「はい」

 

白とクロエが座り昼食を取る

 

「うめー」

 

「黒兄貴、明日時間空いてるか?」

 

「すみません、仕事ではないですが街の方に行かなくてはいけないので」

 

「そうか、ではついていっていいか?」

 

「だめです」

 

「ラウラわがままはダメだよ」

 

「そうだな」

 

「シャルロットとラウラ、いい姉妹だな」

 

「あはは、そうかもね一夏」

 

「?」

 

ラウラは首をかしげると同時に大宴会場の扉が開く

 

「貴様らまだ食べているのか、さっさと食べて帰る準備しろ!!」

 

「まじっすか!?」

 

「ああそうだ」

 

「検査が終わって今食べ始めたのですが」

 

「知らん、さっさと食え」

 

「うーい」

 

「ゆっくり食事もできないとは・・・」

 

「とりあえず食えるだけ食うぞ!!」

 

みんなが一斉に急いで食事を取り始める

 

「は、早いですわね」

 

「さて俺も食うか」

 

「私も急いで食べますか」

 

 

 

昼食を取り部屋に戻りゆっくりしていた

 

「うげ~食いすぎた」

 

「一気に食べるからそうなるのですよ」

 

「せやな」

 

部屋の引き戸が開かれると千冬と山田先生がいた

 

「双葉兄、失礼するぞ」

 

「黒君、少しいいですか?」

 

「ダメです」

 

「そんな~!!」

 

「山田先生をからかうな」

 

「誰かさんが食事を急かすから今動きたくないのですが」

 

「それはすまなかったな。それで話なんだが貴様のISが二次移行しただろう」

 

「しましたね」

 

「それで各国から貴様のISについて詳細データを寄越せとの抗議電話やらメールが寄せられている」

 

「・・・面倒ですね」

 

「それでその対応についてなんですが夏休みに入るまでにデータ収集するようにしたいのですが」

 

「嫌ですよ、私のISは特殊でデータを得たところで私以外に操縦できないのですし元はラファールなんですよ?」

 

「それで納得するのであればこうはならない」

 

「やるしかないのですか」

 

「そうだな」

 

「全力は出さなくていいですよね」

 

「そこは貴様の器量だな」

 

「では適当にやりますか」

 

「なら貴様は授業に出ずに第1アリーナに来い」

 

「いいですよ」

 

「兄貴がんば」

 

「モニターで見てたが分身するとはな」

 

「新しく追加されたスタイルですよ、ですよね『D』」

 

『ああそうだな旦那』

 

Dの声がし山田先生が怯える

 

「な、な、なんですか今のは声は!?」

 

『そう怯えなさんなって眼鏡のお嬢さん』

 

「どこにいる!!」

 

『旦那、説明してないのか?』

 

「するだけ無駄でしょう」

 

「貴様は何者だ!!」

 

『俺はシュヴァルツのISコア人格、名前はDだ』

 

「コアの人格ですか!?」

 

『そうだぜ、黒の旦那のブレスレットからそっちを見てるぜ』

 

「双葉兄、貴様は怪奇な現象に遭いやすいのだな」

 

「否定はしませんよ」

 

『それで二次移行した<トイフェル・シュヴァルツ>を調べるんだってな』

 

「そうだな」

 

『面倒なこったな』

 

「知らんよ。ではこれで失礼する」

 

千冬と山田先生は部屋を出ていく

 

「・・・キェェヤァァァシャベッタァァァァァァ!!」

 

『うるせえな、もしかしたらあんたのヴァイスも喋るかもな?』

 

「そんなオカルトありえませんぞ」

 

「わかりませんよ?」

 

「さいで」

 

『旦那そろそろ出発した方がいいんじゃないか?』

 

「そうですね」

 

黒は立ち上がり荷物を持つ

 

「そいじゃ行きますか」

 

白は既に立ち上っており部屋を出ていく

 

「それでは行きますか」

 

『おうよ』

 

黒も部屋を出ていく

 

 

 

黒は荷物をバスの荷物置き場に乗せ既に乗車していた

 

「ふぅ・・・」

 

『なんだ旦那、賢者タイムか?』

 

「疲れたんですよ」

 

『そりゃお疲れさん』

 

「寝かせてください」

 

「黒様に白様、もう乗っていましたか」

 

クロエが乗車してきて黒の隣に座る

 

「すみませんが私は寝ますので学園に着いたら教えてください」

 

「かしこまりました」

 

「双葉兄弟はいるか?」

 

バスのなかに千冬が乗ってくる

 

「・・・眠いので寝かせてください」

 

「福音の操縦者が目を覚ましたのだ。それで貴様らに会いたいそうだ」

 

「さいで、ほれ兄貴行くぞ」

 

「はいはい」

 

黒と白はバスから出ていくと福音の操縦者がいた

 

「あなたたちが双子の男性IS操縦者かしら?」

 

「そうですよ、私が双葉黒です」

 

「どもども双葉白っす」

 

「そう、私はナターシャ・ファイルスよ。今日はお礼をしに来たのよ」

 

「そうですか」

 

ナターシャが黒に近づくと頬にキスをする

 

「ありがとうね、黒い魔人さん」

 

「・・・」

 

「俺にはやめてくれよ?」

 

「ダメかしら?」

 

「嫉妬する奴がいるんでな」

 

「あら残念」

 

「・・・ナターシャさん、そこに正座してください。あなたには説教した方がよさそうですね」

 

「それは断るわ」

 

ナターシャは早々に立ち去った

 

「次にあったらどうしてやろうか考えておきますか」

 

「それはいいが兄貴、後ろ」

 

「なんですか?」

 

黒は後ろを振り向くとクロエがとてもいい顔で立っていた

 

「黒様」

 

「・・・とりあえずバスに乗ってからにしましょう」

 

「そうですね、では行きましょう」

 

クロエは黒の腕を掴み引っ張ってバスの中にいく

 

「兄貴も大変やな」

 

白もバスに乗る

 

 

 

黒がクロエに『おはなし』を聞いている内に1組の全員がバスに乗車してきてセシリアとラウラにも『おはなし』されていた

 

「織斑、貴様に客人だ」

 

「は、はい」

 

一夏がバスを降りる

 

「黒様、もうやめてくださいね?」

 

「はい・・・」

 

「それにしてもそのようなことをする人はどのような方なんでしょうか?」

 

「セシリア、今外で一夏と話してるぜ」

 

「なんですって!?」

 

「本当か白兄貴!?」

 

セシリアとラウラが外を見るとナターシャが一夏の頬にキスしていた

 

「・・・」

 

「修羅場になるね、白」

 

「そうですな~シャル」

 

白とシャルはにやつきながら一夏を見ていた

 

「破廉恥ですわ!!」

 

「私も黒兄貴にあんなことされたことはないぞ!!」

 

「・・・ラウラさんここで公言することではないですわよ」

 

この後黒、クロエ、セシリア、ラウラに質問攻めされるのであった。バスに戻ってきた一夏は箒に『おはなし』されながら学園に向かっていったのである

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

次回で第5章終了です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。