赤ではなく紅を宿した者   作:星ノ瀬 竜牙

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私「ちょっと面白い小説あるか見てみるか」

ランキング拝見。

第二位「赤ではなく紅を宿した者」

私「……ファッ!?」


いえ…本当に…はい…自分は凄くプレッシャーに弱いんですよはハイ…
息抜きに書いてたつもりなのに息抜きで書けなくなりましたよ…

皆さんエミヤ好きですね……プレッシャーで胃が痛い……

70人以上の方に評価を頂きました。ありがとうございます!

推奨BGM【エミヤ (HF ver)】


第2話 目覚め

一誠side

 

いつものように自宅に帰る。

 

最近は香織がオカルト研究部の部活動で夜遅いので

夕飯を作り置きしておくのが普通だ

 

「さて……作るのは……あれにしとくか」

 

そう言いながら冷蔵庫を開ける

そこで気付く

 

「あ……ソース切らしてたの忘れてた……」

 

仕方ない、買いに行くか……まだ時間はあるし 

 

「にゃあ?」

 

頭を掻いてそう考えていると、クロが声を掛けてくる

 

「あー……今からソース買いに行くから留守番お願いできるか?」

 

「にゃおん♪」

 

クロは俺の頼み事を任された。と言うかのように鳴いた

 

 

 

 

 

 

買い物も終わり帰宅しようとする。

 

その途中だった…

 

 

「人?……なんでこんな廃ビルの中に……?」

 

 

フラフラと廃ビルに入っていく1人の男性の姿が見えた。

 

酔っているにしても廃ビルに入っていくのはおかしい……

 

それに....廃ビルには不良とかといった良くない奴が多い。

さすがにそこに入っていくのはまずいだろう...

 

 

……少し着いて行ってみるか

 

 

 

何もない暗い場所だ……

 

少しキナ臭くなってきたな。

 

ちなみにだがソースの入ったレジ袋はちゃんとビル前に隠している

 

流石にレジ袋の音でバレるのもな…

 

そんな風に考えていた時だった

 

 

「ぐげげげ!!上手く誘導できたみてぇだな!!」

 

「ッ!?」

 

「そこに居るのはわかってんだぜ!!出てきやがれ!!」

 

 

しまった……(アレ)は此処に居る誰かの罠か……!

 

 

......!近くにバールがあった...仕方ない...少し不安だけどこれでやるしかないか......!

 

 

俺はゆっくりと物陰から出る。

 

そしてそこには信じられない光景があった

 

「なっ―――!?」

 

無惨にも喰い千切られた、無数の人の身体(・・・・・・・)

そしてこの世の生き物とは思えない異形の怪物が立っていた

 

異形の姿は下半身が虫のような足、

 

そして上半身は人間の姿にカマキリの鎌のような手腕。

 

 

「うっ―――!?」

 

あまりにも醜い死体と異形の姿に

思わず吐きそうになり、バールを落とす。

 

 

 

「ぐげげげげげ!此処に来た奴等は皆そんな風に吐いてたぜ!!」

 

 

つまり……それはコイツが此処に居る人達を殺した。という事だ。

 

中にはまだ幼い子供の死体もあった……

 

プツン――――

 

と、俺の中で何かが切れるような音がした

 

 

「1つ聞く……此処に居た人達を殺したのはお前か――」

 

自分でも驚くほど低い声が出た。

 

 

「ぐげげげげげげげ!!!そうだと言ったら?」

 

 

そうだと言ったら……?そんなの決まってる……

俺はバールを握り...

 

「お前を殺すッ―――!!」

 

「ぐ、ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!人間如きが俺様を殺すだぁ!?

 

ぎゃぎゃぎゃぎゃ!!馬鹿も休み休み言え!!」

 

 

奴はそう笑い俺に襲い掛かってくる

 

「ッ――!」

 

奴の鎌が頬を掠む

速いッ――でも…木場に比べたらッ!!

 

「ほう…『騎士』である俺様の攻撃を避けるとはな…

オメェ、『神器』使いか?」

 

 

「何の話だッ――!」

 

俺は分からず、思わず奴にそう問う

 

「なんだ…ちげぇのか。

 

なら前世か先祖が英雄だったりするだけか……その程度ならどォってことねぇな」

 

奴は先程よりも歪んだ笑みを浮かべてそう言う。

 

 

どうする――今の状況じゃ俺はアイツに勝てない――

 

速さなら木場の方が上だった……でも奴はおそらく常人の体力じゃない。

きっと……今のまま持久戦に持ち込めば俺が死ぬ――ッ

 

「んだよ、来ねぇのか?なら……俺様に大人しく斬られてな!!」

 

 

「しまッ――!」

 

 

まずい――完全に油断したッ!!

 

バールを使う?いや無理だ。おそらく奴の一撃にバールが耐えきれない!

 

くそっ今から動いても避けられないッ!?……俺は……オレはッ――

 

まだ…死ぬ訳にはいかないんだッ――!!

 

 

その時だった

 

『フン、オレであるならば少しは抗ってみせろ。戯け』

 

「え――?」

 

聞き覚えのない(聞き覚えのある)声が聞こえた

 

 

「ッ!!」

 

「何!?」

 

避けれた……?

 

だけどまずい...さっきの回避でバールを向こうに...

 

その時だった。

 

……俺の頭の中に色々な情報が入ってくる

 

知らない筈なのに――何故か俺はこの知識全てを知っているように感じた

 

そして一つの言葉(呪文)が頭を()ぎる

 

「――――――同調(トレース)開始(オン)

 

そしてその言葉を口にする。

 

「グッ……!?」

 

唱えてすぐに感じたのは異物感だった。

自分の中にあるナニカを無理矢理に起こしたような感覚だ。

 

先程とは違う意味で吐きそうになる。

 

いきなりの本番。そう言えるだろう……

 

でもやるしかないッ――やらなきゃ俺が死ぬ――ッ!!

 

ッ―――――――――――――――!!

 

痛い痛いイタイいたい痛いイタイいたいイタイ――ッ

 

全身に刃物が無数に突き刺さるような感覚だ………!!

 

 

「――――――――――――――――――――――――――――――

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!」

 

意識が遠のいていく

 

駄目だ…ここで意識を失えば――!

 

 

どうなるかなど、自分が一番理解している

 

意識が遠のいていくのは自分の本能が危険信号を出しているからなのだろう

 

自分の理性とは反対に自分の本能は意識を遠のかせていく、

 

 

暗くなっていく、

 

                   突き進む。

 

怖いのは理解している、

 

             それでもなお突き進む。

 

どうしてこうなったのか。

 

            一筋の光の下へ突き進む。

 

どうして戦うのか。

 

         この闇を払って、あの光の下へ。

 

 

「――――――――――――――――――あ」

 

その時だった――俺の前にあの男が立っている幻を見たのは。

 

 

立っていた。平然と、この暗闇の中。光の下へ行こうとしていた

 

その紅い外套をはためかせて

 

 

「――――――――――――――――ああ」

 

身体に力を入れた、

歯を噛みしめて

 

右手はさも当然のように握り拳になっていた。

 

 

あの男は俺など眼中にないように

 

僅かに振り向いたその貌は挑発気味な笑みを浮かべていた。

 

 

あぁ――そうだった。

 

―――この男はそういう奴だった。

 

俺の記憶の中に居たコイツは少なくともこんな奴だった――

 

 

ふざけんな――!!

 

人が死にかけてるってのにお前は――ッ

 

自然と腹が立った。いや、むしろこれで腹が立たない奴は居るのだろうか。

 

 

そして悔しかった。この苦痛すらも耐えて、あの無限の剣に辿り着いた

 

自分にはそれもできないのかと……ただただ悔しかった。

 

 

それなのに――俺には辿り着けないと――

 

そう思っている筈なのにアイツは、アイツの背中は――

 

 

 

"―――――――ついて来れるか"

 

 

 

アイツは待っていた。

 

俺の到達を。

 

(さげす)むように、信じるように

 

 

「――――――――ついて来れるか、じゃない(じゃねぇ)…ッ!」

 

視界が広がっていく。

 

光が溢れていく

 

遠のいていた意識が戻ってくる

 

身体は動くようになった。

 

手足は剣で切り裂くように、闇を払い

 

 

 

お前(てめぇ)の方こそ、ついて来やがれ――――ッ!!」

 

 

渾身の力を籠めて、その紅い背中を追い越した

 

 

奴の姿がハッキリと見えた。

 

奴との距離は30mもない。

 

奴はおそらくこの距離を3秒も経たずに詰めれる

 

故に――

 

奴との戦いは3秒以内で決される

 

 

 

なら――俺の出せる選択は一つ

 

あの一撃を、あの素早い一撃を防げて…

 

そして尚且つ――奴を屠れるモノを作り出せ(投影しろ)!!

 

 

探せ、探せ探せ探せ探せッ!

 

余計な情報はカットしろ!

 

今は奴を屠れる剣を模索しろッ!

 

 

あの素早い一撃を防ぎ――そして奴を屠れる剣は――!!

 

 

見つけた。一本の岩のような巨剣を――

 

これしかない――ッ

 

 

 

俺は呼吸を止め、左腕を挙げる

 

俺が持つ魔力を全て左腕に叩き込む

 

 

起動したばかりの回路を使って投影をすればどうなるかなど

 

分かっている。でも今は

 

そんな事どうでもいいッ――!

 

 

「――――――――――投影(トレース)開始(オン)

 

 

あの巨剣を思い浮かべる。

あの巨体の英霊と共に――

 

左手を広げ、まだ架空の柄を握り締める。

 

桁外れの巨重。

 

本来の俺であれば持ち上げるだけで精一杯で、扱えない。

 

けど――アイツの記憶が情報が戦闘経験が、アイツの全て見れる今なら――ッ

 

俺はこの巨剣をあの英雄の怪力ごと確実に複製できる――!!

 

 

「――――――――ぁ」

 

ナニカが壊れた音がした

 

だが頭は壊れていない。

 

思考は冷静そのものだ――

 

おそらく骨のどこかをやったのだろう

 

 

「―――――――――行くぞ」

 

心配など必要ない

 

壊れたならこの腕で補うまで

 

 

 

「何なんだよテメェ…!?

 

何者なんだよお前は―――!?」

 

 

奴は有り得ないモノを見たかのように俺を見て

襲い掛かってくる

 

――――、1秒。

 

あの速さ、鋭さ

 

ただの投影魔術(トレース)では

 

こちらの剣が壊される。今、自分が出せる限界を超えた

投影でなければ奴の連撃には敵わない

 

ならば――

 

「――――――――――投影(トリガー)装填(オフ)

 

脳裏にある回路を

 

体内に眠る全ての魔術回路をフルに使う。

 

そしてこの連撃で奴を叩き伏せる―――

 

―――――、2秒。

 

目の前に奴が迫る。振り上げられる奴の腕から生えている大鎌。

 

その一撃一撃は確実に

俺の手足と急所を狙っていた

 

五連撃――

 

ならば俺も迎え撃つ。

 

まだ――撃てる......残った一撃があるならば――充分だ――!!

 

全工程投影完了(セット)―――――是、射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)

 

「死ねェェェェェェェ!!」

 

振り下ろされる音速を、神速を以って凌駕する―――!

 

奴の五連撃を同じく五連撃で受け止める

 

「なんだと!?」

 

奴は驚愕する。

 

まだだ――まだ…俺の攻撃は終わってない――!!

 

「しまった!?」

 

奴は俺の次の攻撃に気付いたのか慌てて回避に移ろうとする。

 

だけど――もう遅いッ!

 

「ガアアアアアア!?」

 

一撃――その一撃で奴の左腕を切り裂く

 

「お、俺の腕があああああ!?

 

おのれぇぇ!人間如きがああああああ!!!!」

 

奴は激昂し俺に向かってくる

 

愚策とも取れるその判断。

俺は突撃してくる奴を迎え撃つ

 

 

「は―――あ――――……!!!」

 

踏み込む。

左手にはその巨剣

 

こちらが速い

 

腕を失って突撃してくる奴よりも俺のトドメが速いッ!

 

巨剣を持ち上げ、次はもう一つの腕を切り裂こうとする

 

「アアアアアアアア!!」

 

 

だが負けた。

後先も何もなく。

 

与えられた反則級の特権を臆面もなしに全開投入して、なお負けた。

 

奴の一撃が迫る

旋風を伴い振り下ろされる。

 

「―――――――――!」

 

体をひねる。

全能力を回避に費やす

気付いたのは早かった。

 

いける――

 

奴の一撃はギリギリのところでこめかみを掠めただけだ。

 

なら止めれる――

 

次の一撃で迫ってくる右腕を切り裂いた――

 

「ギャアアアアアア!?

 

チキショウチキショウチキショウ!!

 

殺してやる!お前は俺様が必ずッ!」

 

 

そう言い奴は逃げようとする。

 

 

逃がさない――

 

今コイツを逃がせば――もっと沢山の人が死んでしまう――!!

 

 

 

 

「ギヤアアアアアアア!?」

 

 

――八撃目

 

奴の足を切り裂く

 

 

「お前を殺さないと――もっと大勢の人が死ぬ」

 

「やめてくれ!悪かった、俺が謝る!!だから殺さないでくれぇぇぇぇ!!」

 

「謝るなら―――お前が殺したそこの人達に…しろッ」

 

 

泣きながら謝る奴に俺は躊躇う事はなかった。

コイツはたくさんの人を殺した――

 

俺がコイツを殺す理由は充分だ…

 

「やめろ…やめてくれええええ!!」

 

 

――九撃目

 

左腕で巨剣を振り下ろす

 

そして――

 

奴の首を切り落とした

 

 

 

「はぁ……はぁ……グッ!?」

 

 

巨剣は砕け、消えた

 

ははは……左腕が痛いなボロボロだ

 

制服も左腕の部分が駄目になったか…予備は一着あったと思うが…

 

トボトボと俺は出口に向かって歩いて行く

 

くそ……意識が朦朧とする――

 

 

ッ―――――

 

クソッ…

 

……駄目だ―――意識が―――

 

 

 

 

バタン――とコンクリートの地面の上に倒れこんだ。

 

 

 

 

 

 

香織side

 

 

「はぐれ悪魔ガウル。貴方を消滅しに来たわ」

 

今、私達はリアス部長とはぐれ悪魔の討伐に来ている。

新入りである私に駒の説明をしてくれる為らしい。

 

やはり兄さんが眷属ではないからなのか、バイサーではなかった

 

駒も一応知ってはいるが流石にそれを言うのはまずいと思い黙っている。

 

 

「……部長、気配がしません」

 

小猫ちゃんがそう言う

 

「どういう事?小猫?この時間帯はガウル自身が

人を喰らう時間と聞いたのだけれど…」

 

「あらあら?大公が間違えるとは到底思いませんわ」

 

どういう事……じゃあ既に討伐されてるって事……?

 

「既に討伐されているかも知れない訳……?

 

もう少し調べてみましょう」

 

「「「「はい!」」」」

 

「ごめんなさいね、香織。今日は駒の特性を教えるついでに

と思ったのだけれど……厄介な事に巻き込まれたかもしれないわ」

 

そうリアス部長が申し訳なさそうに謝る

 

「い、いえ気にしなくて良いですよ!!

想定外の事態なんて有り得ない事じゃないですし!!」

 

私は慌てて大丈夫だ。と言う

 

 

「部長!」

 

木場さんが慌てた様子で走ってくる

 

「どうしたの?由奈」

 

ちなみにだが私は木場さんが女性というのを私は知っている。

 

というより今日教えられた。

 

兄さんにこの前の手合わせで看破されたらしい。なので明かした。との事だ

 

兄さん……そういうどうでも良さそうな事に観察力が働き過ぎな気がするんだけど

 

いや……どうでも良い訳でもないが

 

 

 

「それが……いえ、言うよりは見て貰った方が早いかもしれません!」

 

「……わかったわ朱乃!小猫!香織も行くわよ!

由奈。案内して」

 

「わかりましたわ」

 

「了解です」

 

「はい!!」

 

木場さんの表情は焦っているようにも見えた……どういう事……?

 

 

 

 

 

木場さんに案内され連れて来られた場所は

とても酷かった

 

 

「これは―――ッ」

 

リアス部長は息を呑む。

いや、私も息を呑んでしまう

 

余りにも酷い……身体の一部が取れた死体が沢山あったのだ

 

「……部長……これ……」

 

理解してしまう。

間違いない……これは――

 

『あぁ、その通りだ。これはそのガウルというはぐれ蝙蝠がやったのだろうな

酷い事をするものだ……香織、理解はしているだろうが、現実から目を背けるな。

 

これを当たり前にする悪魔も居ると俺は言っただろう?

 

はぐれ悪魔というのは大半がそういう輩さ』

 

 

分かっている……でも酷すぎる……まだ幼い子供も死体の中にあったんだ……

 

『相変わらず、お前は甘いな香織。

 

その甘さ、別に悪いとは言わないが……割り切らなければ――お前が死ぬぞ』

 

溜息を吐き、ドライグがそう言う

 

「間違いないわね……ガウルも酷い事をするものだわ……

いえ……領地など関係なしに許せないわね……こんな酷い事をッ」

 

リアス部長は激昂していた。

ここまで残酷な光景は殆ど見たことがないのだろう。

 

 

そんな中、私はふと、手帳が落ちているのを見つけた。

 

 

いや――あれは駒王学園の生徒手帳……?

 

 

私は生徒手帳を拾おうと落ちている場所まで近づく

 

「香織さん?どうかしましたか?」

 

小猫ちゃんが不思議そうに聞いてくる。

 

「あ、うん……あそこに生徒手帳が――」

 

「!本当ですね。部長!あそこに生徒手帳が」

 

小猫ちゃんがリアス部長に報告する。

 

私はその間に生徒手帳を拾う

 

 

 

「――――え?」

 

 

それを見て私は――

 

頭が真っ白になった。

 

 

その生徒手帳にはハッキリと「兵藤一誠」と名前が書かれていたのだ

 

嘘だ――

 

嘘だウソダうそだ嘘だうそだウソダウソダうそだ嘘だ嘘だ嘘だ―――!

 

「あ……あ……」

 

 

「香織?どうしたの?」

 

私は生徒手帳が落ちていた場所から血痕が続いて行っているのに気付いた

 

リアス部長が私の様子に気付いたのか心配して聞いてくる

 

 

今はそんなのどうでも良い――

 

兄さん――兄さん―――お願い―――生きててッ!!

 

 

「香織!?皆!香織を追うわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

私は走った。走って走って走った――転びもした。

 

けど今そんな些細な事を気にしてなんていられない――

 

 

兄さんッ!

 

 

「――――――あ」

 

 

見つけた。いや見つけてしまった――

 

制服の左部分がボロボロで

腕の部分から血が出て、倒れている兄さんを

 

 

「いや――嘘だ――――――いや

 

イヤアアアアアアアアアアア!?」

 

 

私は駆け寄った。

 

兄さんを仰向けにして身体を揺さぶる

 

「起きて――!

 

兄さん起きてよ……!

 

嫌だ―――――死なないで

 

起きて起きて起きてぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

私はもうどうにかしていた

 

ただただ兄さんの身体を揺さぶった

 

その時――

 

『落ち着け、香織!!お前の兄はまだ息をしている!!

意識がある!!!!』

 

ドライグにそう言われる

 

「え……?」

 

私は手を止め――

兄さんの顔を見る

 

「う…ううん……か……織……か?

 

な……んでこ…こに……」

 

 

「あ―――あぁ……」

 

溢れてくる涙を止めれなかった

 

生きていた―――良かった―――

 

兄さんの前ではもう泣かないと決めたのに―――

 

涙を止める事は出来なかった

 

 

「は……ははっ……泣かせ……ちまった…か?

 

お兄ちゃん……失……格……だな……」

 

「馬鹿兄さん……本当に……本当に心配したんだから……!」

 

 

兄さんは笑っていた

私も釣られて笑う

 

「なぁ……香織……」

 

「何?」

 

 

「ちょっとだけ――

 

寝て……良い…か……?

 

全身が……痛く……て仕方ない……んだ……」

 

「うん……兄さんが無事で良かった―――」

 

「これを……無事って……言う…の……

 

お前……位だよ……」

 

 

そう言って兄さんは目を閉じる

 

すると気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる

 

 

良かった――

 

『にしても……香織。お前の兄は何者なんだ?

 

はぐれ悪魔を倒すなんて並の人間じゃないぞ――

 

神器を使っていや……目覚めているならば俺が気付く

 

だが、コイツからは一切そんな気配がない』

 

 

不意にドライグの声が聞こえた。

 

 

え――ちょっと待って……?それどういう事?

 

 

『なんだ?気付いていなかったのか?

 

お前が走ってきた途中にはぐれ悪魔――ガウルだったか?

 

ソイツであろう死体があったんだぞ?』

 

 

え?じゃあそれって――

 

 

『間違いなく――お前の兄がやった事だろうな

 

だから俺は今言ったのだ。何者なんだ。と』

 

 

 

 

「兄さんが……はぐれ悪魔を……」

 

 

寝息を立てる兄さんを見ながら

 

私は考える

 

 

もし――

 

もしあの仮説が正しかったら……兄さんは――

 

投影魔術が使えるって事……?

 

 

「香織!!」

 

 

そんな風に考えているとリアス部長の声が聞こえる

 

 

「あ、部長……」

 

「どうしたのよ?走って……それに途中にはガウルの死体も――

 

あら……その子は」

 

 

リアス部長はふと私が抱えている兄さんに気付いたのか

 

兄さんを見る

 

 

「どうしてここに貴女のお兄さんが?」

 

「わかりません――でも……多分ガウル…を殺したのは兄さんだと思います……」

 

 

「!?……そう。わかったわ……朱乃!」

 

「あらあら、どうしたのですかリアス?」

 

「彼の治療をお願いできる?」

 

 

「あら?この子は……了解しましたわ、余り専門ではないですが――

ある程度でしたら……香織さん、失礼しますわ」

 

そう言い朱乃先輩は兄さんを治療してくれる

 

「すいません……」

 

「フフフ、良いのですよ?

困ったときはお互い様ですわ」

 

「はい……ありがとうございます……!」

 

朱乃さんはドSとして原作を知る人達からは知られているが

私は……とても優しい人だと思う。

 

 

「にしても……彼はいったい……香織は知っていたの?

 

って……知る筈が無いわよね。あの手合わせの時だって知っていなかったもの」

 

「はい…」

 

「まぁ今日は一回解散にしましょう。

私も一誠君を運ぶのを手伝うから家まで案内してくれる?」

 

 

そうリアス部長は微笑んで言う。

 

「はい、わかりました」

 

 

「朱乃は由奈と小猫に今日は解散と伝えておいて。

 

それとはぐれ悪魔の事を大公に報告しておいて、

 

あくまで(・・・・)私達が討伐した事にするのよ

 

普通の人間である彼が。となれば色々と香織達が大変な事になるもの」

 

 

そう朱乃先輩にリアス部長は言う

 

「わかりましたわ、リアス」

 

 

「その……何から何まですいません……」

 

「良いのよ。貴女は私の眷属だもの。

それに――彼に聞きたい事もあるわ」

 

 

そうだ――

 

リアス部長は情愛の深い悪魔として知られているが

 

こういう事は放っておかない質だ――

 

 

兄さんがもし……悪魔に敵対するのであれば

おそらく躊躇しないだろう……

 

もし、兄さんが悪魔に敵対すると言えば……

 

私は……どうすれば良いのだろう

 

 

私は心に少し不安を抱えて、リアス部長と兄さんを自宅に運んで行った。

 

 

 

続く




ふぃー……

HFルートのあれをパロった今回です。



唐突に始まった紹介コーナー(コハ時空だよ!)


「ジャジャーン!と参上!使用人K(姉)です!」

「いやなんでいきなり始まってんの!?あ、主Aです」

「いやー作者さんがここで色々設定とか紹介しろって言ってきましてー」

あのバカ(作者)何言ってんの!?私達月姫だよね!?
FateともD×Dも関係ないよね!?」

「作者さん曰く『一応EXTRAで吸血鬼Aさん出てますし使用人姉妹の
お二人もカレイドで目を伏せて登場していましたし…
カニファンでは普通にコラボってますから。問題ないですよね☆ミ』

との事です!」


「ウゼェ!?そして本当に馬鹿野郎だ!!?」


「と、まぁ作者さんからの伝言はここまでにして、

ではまず最初の紹介!!」

【投影魔術について】

「定番ですね!」

「定番だね」

「えーっとですね……確か此処に説明が

お、ありましたありました

ヨッコイショと」

グラデーション・エア。
自己のイメージからそれに沿ったオリジナルの鏡像を魔力によって複製する魔術。


イメージが自分の中で完璧でなければ投影はできない。
ゆえに投影で生み出したものは自己のイメージどおりの強度をもち(幻想としてはこの時点で完璧)、
術者の知識が本物に近いほど現実においても完璧になる。
だがイメージに綻びができると存在強度を失い、霧散する。


遠坂凛曰く、きわめて効率の悪い魔術。
これは投影でレプリカを作るよりも、ちゃんとした材料でレプリカを作ったほうが手軽で実用に耐えるから。


すでに失われたものを儀式などのために一時的(数分間だけ)にカタチだけ複製する魔術があり、
それを外見のみならず中身まで本物に近づけるのが投影。
魔力は外部に出ると気化し、投影した『すでに無いモノ』を世界が修正するため長時間の具現化は基本的に不可能。


また、投影で全てを自分で作るよりも、すでにあるモノを強化した方がよほど消費魔力と効果の効率がよい。
例えば、十の魔力を使った場合は投影したモノの力が三か四、既にあるモノを強化した場合は二十にも三十にもなる。



現代では儀式において道具が揃えられなかったときに代用品として、
すぐに消える複製を用意するためにしか使われない。投影は虚影といわれるほど意味がない。



魔術では強化→変化→投影という難易度だが、衛宮士郎はすでにあるモノに魔力を通す強化より、
すべてを自分で用意する投影のほうが簡単だと言っているが、そんなことは断じてない。


しかも士郎が投影したモノは致命的な破損または自ら消そうとしない限り、
半永久的に存在し続けるという、凛が殺意を抱く程のデタラメさを持っている。


↓からネタバレを含むので注意



















イリヤスフィール・フォン・アインツベルン曰く、士郎の投影は投影に似ているが、元来の投影とは異なるから。
これは士郎の唯一と言ってもいい魔術、無限の剣製に関係する。




衛宮士郎は創造理念を鑑定し、基本骨子を想定し、構成材質を複製し、製作技術を模倣し、憑依経験(成長にいたる経験)に共感し、
蓄積年月を再現するが、普通の術者は創造理念から再現することはなく、設計図から入って材質、性質、歴史を再現する。



普通の投影使いならばすでにあるモノを『投影』によって『補強』することが可能だが、
衛宮士郎と英霊エミヤは固有結界として投影するために一から十まで本人のイメージで作らねばならず、『補強』はできない。


しかし、『補強』出来ない反面、剣製内にあるモノを投影(みたいなの)という過程で引っ張り出される為、
士郎らイメージによって、魔力量よりも多いモノを出す事が出来る。


士郎の投影の精度は魔術師による鑑定を以ってしてもそう簡単に偽物だと見抜かれる事はない。
構成をチェックするタイプではまず見破れないし、霊媒系の術者なら違和感に気付く可能性はあるが、
そもそもそちらに鑑定をまわされるのは曰く付きの品に限られる。
(byアニヲタwiki)

「との事です!」

「これ全部アニヲタwikiからのコピペじゃねぇか!?」

「いやー作者さん曰く――『説明?……面倒。死ぬ。私を殺す気か』

らしいです」

「最初に本音が出てるんだけど!?」

「えーっと次はと」

【是、射殺す百頭】

「ほーこれを出しますか」

「意外だね。もっとあのバカは別のを出して来るかと思ってた」

「えーっとここに確か……発見です!」

「嫌な予感がするんだけど、またコピペとかじゃ――」



射殺す百頭(ナインライブズ)
Fate/stay nightにてバーサーカーの所持する宝具。


ランク:C~A+
種別:不明
レンジ:不明
最大補足:不明
原典:12の功業の一つ、9頭の水蛇ヒュドラ退治の際に、ヒュドラの無数の頭に矢を射かけた逸話から


バーサーカー(ヘラクレス)の所持する万能攻撃宝具。
強力な武具を複数保有するヘラクレスだが、その中でも彼が最も信頼する宝具。
それは武具の類ではなく、彼の技術・逸話が宝具として昇華し体得した類のもの。
(設定資料に射殺す百頭を「模して」流派として作ったとあるので武具としても存在するが作中にまったく出てこないためここでは語らない)
原形は上記のヒュドラ殺しだが、あらゆる武器や武術を極めた末に形成されたヘラクレス独自の流派が、宝具となった。
状況に応じて様々な型に変化し、また様々な武器で放つ事が可能な攻撃方法。
剣や弓、果ては防具である盾ですら放つ事ができる。
彼は主にドラゴン型のホーミングレーザーを9発同時に放つ「対幻想種用」を用いるという。
しかし、狂戦士クラスで召喚された為にその卓越した武技を失ったので、この宝具も使えない状態となってしまっている。
そのため、本編では彼本人が用いる「本物」の「射殺す百頭」が登場する事はなかった。


百頭って、ヒュドラじゃなくてその兄弟のラードーンの方じゃね?という指摘もあるが、説によってはヒュドラも首の数が不定で最大100まであるので、矛盾している訳でもなかったりする。
(首を1本やっつけると2本生えてきてどんどん増えるとか書かれてたりする)


桜ルート(Heaven's Feel)にて、移植されたアーチャーの腕を解放することで、アーチャーには劣るもののそれに近い投影魔術を行えるようになった衛宮士郎が、コピーしてこの宝具の生みの親である黒化したバーサーカーに対して放った。
ヘラクレス召喚の際の触媒となり、バーサーカーとして特定の宝具を持たない彼が代用武器として振るうアインツベルンが錬成した斧剣から、
ヘラクレスの武技であるこの宝具を憑依経験や技量共感を経てまとめて『投影』。
『是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)』 として発動させた。
尚、少なくとも投影からこの宝具を発動する際には、三秒かかる。


士郎がバーサーカーに使用した射殺す百頭は「対人用」のものであり、剣を用いて放つ9連続の斬撃。
人体にある9つの急所を一息で狙い撃ち、炸裂させる。
全身ボロボロ、眼も見えてないというハンデはあったものの圧倒的な戦闘力を誇るバーサーカーに打ち放ち、その全身を8割欠損させたとされるダメージを与えた。


余談だが、この宝具はあくまで流派なので、クラスに応じた宝具を同時に所有する可能性が高い。
(アーチャークラスならヒュドラの毒矢、セイバークラスならマルミアドワーズ等)
SNのヘラクレスのステータスにおける解説によれば、この流派の元となった武器としての弓自体も、ヘラクレス固有の宝具として存在する。




「 ――――投影、開始(トレース、オン) 」




「 ――――投影、装填(トリガー、オフ) 」



「 全工程投影完了――――是、射殺す百頭(セット,ナインライブズブレイドワークス) 」


この技は士郎の技として扱われる場合も多く、アンリミやタイころで士郎の超必殺技として登場する。


ちなみに、アンリミでこれを使用した場合、士郎がバーサーカーの斧剣を保持した左腕を高く掲げるポーズを取るが、
これはPS2版「レアルタ・ヌア」の追加CGが基になっており、PC版ではこのポーズは見られなかった。
よく追加してくれたものだ……


また、「unlimited codes」「GO」といったゲームではバーサーカーが本来は使えない筈のオリジナルの射殺す百頭を扱う。まあ所謂格ゲー補正であろう。
内容はその名の通り相手を100回連続で斬る技。



番外編『Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ』では、斬新な使い方を見せた。



そして、実はMelty Blood(無印)のOPにも文字だけは登場している。(対象については、恐らくネロ・カオスの使い魔に対してのモノで、宝具とは関連がない。)
(byアニヲタwiki)

「やっぱりコピペかよ!?あのバカ本当にめんどくさがりだな!?」

「おっと、最後に紹介したいキャラが居るそうですよ!」

「紹介したいキャラ……あ(察し)」

【はぐれ悪魔ガウル】

「やっぱりか」

「やっぱりですねー」

「えーっと説明は――」


所謂噛ませ。

エミヤな一誠を覚醒させる為の踏み台

名前は適当に頭に浮かんだのを付けた。

男。

下半身は蜘蛛。両腕はカマキリ
上半身は人間のキメラと化している

ゴジラFINAL WARSを見直している時に思い付いた。

クモンガとカマキラスがモチーフ。
口調は完全に適当

以上。


「雑ッ!?最後の最後にして雑!?

あのバカどれだけ説明下手くそなの!?」

「これも作者さんから伝言があって……

『本編と貴女達二人の会話に集中力を使い過ぎて
説明が面d…ゲフンゲフン思い付かなかったので
最低限必要な情報だけ説明しておきます』

と供述しておりました」


「もうアイツ本当に駄目じゃねぇか!?
本音聞こえちゃったよ!?」


「おっと、ここまでのようです。ではでは!皆様!またお会いしましょう!!」

「ちょ!?これだけ!?月姫リメイクの宣伝とかは!?」

〔(そんなもん)ないです。(by作者)〕


「作者ァ!!」


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