ガールズ&パンツァー 短編集   作:司馬英司

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戦車道の危機です!

日本戦車道連盟 理事長室 9月3日 11:54

 

 

「日本戦車道プロリーグの設置が絶望的とは、一体どのような経緯なのですか?」

 

西住しほは、来賓用の豪奢なソファの腰掛けるなり単刀直入に言った。社交上の礼節や義理といったものをかなぐり捨てた、やや性急すぎる物言いだった。

 

すると、同席者の文科省役人と日本戦車道理事長は互いに顔を見合わせた。両者とも額に冷や汗を浮かべ、まるで悪戯をして母親に叱られる子供のように慎重に言葉を捻り出す。西住しほの全身から放たれる溌剌たる怒気が、彼らをしどろもどろにしていた。

 

「あー……そうです。今日は、その解決案の打診のために遠路はるばるお越しいただいたといっても過言ではありません。何分急な話であるのに、家元にご足労頂いて大変申し訳ない」

 

『解決案の打診』

 

妙に調子外れた様子で、眼鏡を掛けた壮年の男性が肯定したのに、しほは苛立ちを隠せない。自分が一報を受けて熊本から半日で飛んできたのも問題ではなく、『解決案の打診』などのために駆けつけたわけでもない。

 

「…………私は、こそばゆい社辞などではなく、私が此処に赴くことになった事の『経緯』を尋ねたのですが?」

 

しほは役人におもいきり眉根を寄せ、隣に座る恰幅の良い和服姿の中年男性を横目で見やった。しほとしては睨んだつもりはなかったのだが、当人は『理事長、これは一体どういうことですか』と言外に問い質されていると思ったのだろう。ほどなく、日本戦車道連盟理事長は、ハンカチで額の汗を拭き取りながら重々しく口を開いた。

 

「あー……そのう、プロリーグ設置委員会会長に打診なされている西住流家元殿に打ち明けるには酷なことですが、何分私も急に伝えられた青天の霹靂だったもので……よもや日本戦車道連盟存続の危機にまで発展するとは――」

 

「日本戦車道連盟存続の――危機と仰いましたか!?」

 

その時、しほは思考するよりも速くソファから立ち上がった。火砲が放たれたような勢いに理事長は言葉を中断させ、役人はびくりと痙攣して眼鏡をずり落ちさせる。まるで、雷鳴に怒鳴られたような感触だった。

 

「…………………………こほん」

 

瞬間、世界が静止してきっかり十秒。再び刻が時間を紡ぎ始める。

 

「要点を、話して下さいますか」

 

鋼鉄の淑女はそう言って、溜め息一つを吐き出してソファに身を沈めた。理事長の言葉が聞き間違えか何らかの齟齬ではないことを、息を呑むような場の静寂から確信したのだ。たちまち、二人分の安堵の溜飲が場を満たす。

 

――まったく、今年は興奮醒めやらぬ波乱の一年ね……。

 

彼女は心の中でそう独りごち、今は遠い我が子の一人を心の片隅に思い出した。多分、もう二度とまともに会話することもないだろう、という予感と共に。

 

西住流家元と高校戦車道連盟の肩書きこそ手に入れたが、何か尊いものとの糸は切れてしまった。寂寞とした風が、彼女の鉄の心をつうと撫でる。

 

『人は前に進むには、何かを後ろに置いていくしかない』

 

それこそ西住流の総意と通ずる言葉だし、しほには異論の欠片も見当たらない。勝利こそが至上であり、人は勝つことでしか前に進めない――それが、彼女の生涯を通じての錆びることのない信条だ。

 

だが、時々心の隙間に寒々とした風が吹き抜けるのは、決して気のせいではなかった。

 

しほは怜悧な瞳に冷静さの光を取り戻し、場に二の句が継がれるのを待った、

 

すると、「まず、この話は界隈に波を立てるので他言無用でお願いします」と念を押したのは理事長だ。彼も彼とて眉間に深い皴を刻み、コホンと咳払いをして続ける。事態は、余程深刻な段階にあるようだ。

 

「……プロリーグ設置と連盟運営の是非が懸念されているのは、実は財政的な問題なのです。要は、資金の枯渇による運営難が絶対のものとなってしまったのですよ」

 

「資金の………?」

 

唸るように説明した理事長を見据え、しほが二重に疑問符を残した。

 

一つは、仮にも高校戦車道の長を務めるしほに、連盟の懐事情が預かり知らない訳が無いこと。

もう一つは、日本戦車道の危機の原因とやらがあまりに予想外の方向だったことだ。

 

「金銭的な問題ならば、潤沢とはいかなくとも二年後まで見通してやりくりされています。今後、試合中での破壊行為による弁償費用を鑑みても、まだ懐にプロリーグ運営の余裕はあったはず。現に、私が関わる中で『赤』の数字を目にした覚えは――」「いや、待っていただきたい」

 

冷静を努めて理路整然と語るしほを、役人が制した。

 

「資金が枯渇しかかっているとは些か語弊がありますな。正しくは、日本戦車道連盟の財源が二年後まで保ち、なおかつ世界大会を運営するまでの余裕がまるで無いというのが、模範解答でしょう」

 

会話に割り込んだ役人を、しほは冷厳な瞳でしたたかに一喝した。

 

「貴方には聞いていません」「うっ……」

 

制しようとした機先を奪われたと悟り、怯みを見せた役人に、しほは内心意地悪くほくそ笑んだ。元より、この姑息な男に主導権を握らせるつもりは微塵もないし、戦車道連盟において一切の益が無い。むしろ、隙あらば大洗女子学園の廃校に努める可能性すらあるのだ。厳しく応じるのが当然と言えた。

 

「……ところがですな、家元殿。今度ばかりは我々の力だけではどうにもならんのです。先ほどの家元殿の言葉に補足するなら、プロリーグ設置までの資金は国が七割の融通を約束している――いや、していたと言うべきですかな」

 

「『していた』……とは?」

 

その問いかけは愚問だったが、尋ねざるを得なかった。だが、必中たる戦車砲の如く、彼女が導き出した最悪の予想は残酷にも的中することになる。

 

「早い話が、国が戦車道連盟への援助を打ち切ったのですよ。今後一切、一銭の小銭すら出さないとね。……そう、この私が、国と戦車道連盟のパイプ役なのです」

 

「…………は?」

 

役人の言葉に、西住しほは柄にもなく目を丸くして瞠目した。二重三重に続いた不幸の知らせは、遂に死刑宣告にまで膨れあがったのだ。

 

しかし、彼女の鋼鉄の感情を打ち破ったのは、プロリーグ設置如何の問題ではなく、ようやく日本戦車道が空前絶後の大波に乗った最中、このごに及んで国が資金援助を打ち切ったことに対して、だ。

 

元々、日本の戦車道は海外のそれと比べて、認知度は国内で天と地ほどもある。つい昨今まで斜陽の道を歩んで来た日本戦車道連盟を今まで支えてきたのは、国からの支援金あってのことだった。

 

――それが、今になって生命線を打ち砕かれた。

 

オリンピックに比肩する一大行事を、何故反故にする? そこに、万人が納得する道理が介在しているとは到底思えない。 愚策の中の愚策――愚にもつかないとは、まさにこのことではないか。

 

西住しほは、膝に乗せた両手に硬く力を込めて痛感する。

 

日本戦車道は、いまだ波乱の波を超えてはいなかったのだと。

 

 

 

「……国は、戦車道を快く思っていないと?」

 

様々な感情を圧縮した声音で役人に尋ねた。その質問は、戦車道を嗜む一個人として単刀直入であらねばならなかった。

 

すると役人は眼鏡をたくし上げ、いつもに増して飄々とした姿勢をとった。

 

「えぇ、当然です」

「当然とは、何が?」

「何って、国が戦車道を嫌う理由ですよ。貴女ほどの御方なら、胸に手を当てて考えればよく分かるのては?」

「答えをはぐらかさないで下さい」

「……自覚なさっていないのですか? 本当に? だとしたら、戦車道界隈の意識が低すぎると言わざるを得ない」

「では、パイプ役の貴方がどうぞ国の言葉を代弁してみて下さい。私が、西住流の名にかけて全身全霊受け止めてみせます」

「む、儂もそこんところをはっきり知りたいですな」

「んん……」

 

熱弁から誠意への変化球を投げられ、役人はしてやられたと頭をかきむしった。

 

天上を穿つ巨山のようにどっしりと構えた西住しほのを前に、役人はしばし逡巡する。誠意に毒を以て返せば、返ってくるは汚名のみと抜け目ない彼はよく知っている。

 

脳内で返す言葉を取捨選択していたのか、やがて俯いた彼が二の句を継いだのは十秒後のことだ。

 

 

 

「……わしすぎなんですよ、貴女たちは」

 

 

 

その声は、か細かった。

 

「……はい?」

しほが聞き返すと、役人は不意に立ち上がり怒髪天を衝いて叫んだ。

 

「だ! か! らッ! 壊しすぎなんですよ、貴女たちはッ!!! モノとか、家とか、色んな公共物とかッ! バカスカバカスカ遠慮なしに誰が後始末するのかも知らずッ! そんなんだからお役所から嫌われるんですー!」

 

「「…………………………はぁ」」

 

火がついたような役人の決死の告白を前に、二種類の『はぁ』が吐き出された。片方は諦観めいた、もう片方は何が問題かよく解らないといった体のものであった。

 

「もし、貴方が戦車戦での二次破壊を非難されているのなら、とんだお門違いも良いところです。実戦、実弾、実戦車が戦車道のモットー―それを否定すらば、礼節に則った乙女の嗜みからただの子供のおままごとに成り下がってしまいます。むしろ、我々が健全に試合を果たすために戦車道連盟という後ろ盾が在るのではないですか?」

 

西住流家元の能弁は聞こうによっては些か身勝手にも聞こえる。だが、芯が通った理屈と真摯な姿勢が相乗する鋼の道理だ。それだけで大多数の余人など、ティーガー戦車に真正面から対峙した子猫のように縮こまって納得してしまうに違いない。

 

だが、あえてひとつ弱点を挙げるとするなら、それはあくまで『戦車道側』としての理屈過ぎたということだ。

 

「それはそっちの理屈でしょう。思考の差異というものは、得てしてそういった独り善がりな主張から産まれるものだ。戦車道連盟は貴女の私物ではない。貴女や、国や、数多くの戦車道履行者から成った一個の集合体です! その歯車の一つとして、私も事後処理に大きく関わっている……後始末という名のね!」

 

そう声高々に言うと、役人は回遊魚のように部屋を隅から隅へとうろうろと闊歩し始めた。二つの視線が中肉中背の背中を追う。

 

「物損! 試合区域全住民の安否確認! 山のような被害報告書! ドンパチするのは女子供! 毎度毎度破壊のオンパレード! 上から見下ろす立場の者たちにとっては徒労と不信感が募るばかり! これだけ不穏要素が山積すれば、戦車道に関心のない第三者に不信感を抱かれるのは必然でしょう! 違いますか!?」

 

「…………」

 

「そうです、まだ物損ならばいい! お金の力で直せないものはない! ですが……国は無関係な第三者の人的被害が起こることをひじょーーーっに! 恐れています! 正直私も、人っ子一人いない野外試合ならいざ知らず、大洗などで試合が行われるたびにひやひやしっぱなしです!」

 

西住しほは、瞼を閉じて大きく溜め息をついた。役人の熱が冷めるまで、幾ばくかかかりそうだ。

 

 

そして、役人の語りから掻い摘んだ国側の主張をまとめるならこうだ。

 

戦車道は危ない。とても危ない。

 

何故なら、少女が戦車に乗り、実弾を撃ち、なおかつそれを見世物に市街地で派手にドンパチを繰り広げるからである。

 

そんなトチ狂った競技で未だ死人が出ていないのは、まさに奇跡だ。しかし、これからも出ないという保証はない。まったく、どうしたものか。

 

お上はそう考えた。そして、考えに考え、とても余計な結論を導き出した。

 

――そうだ、国側が戦車道と縁を切れば、自然と危険行為が無くなるのでは?

 

戦車道連盟への援助を打ち切り、運営困難に陥らせる。それが意味するところは、戦車道の世間からの隔離だ。

 

戦車道連盟の後ろ盾が消え、背後のロジスティクスが解消されればおのずと戦車戦の回数も減る。砲弾、戦車、試合運営、物損弁償――これらの供給と営みあってこその戦車道だ。

 

ただし、例外は成り立たないが例外は認めることとする。それは、これだ。

 

――第三者に迷惑のかからぬ僻地で自己責任で野良試合をし、費用と運営は全て学校側が負担すること。

 

要は、こっちは責任負いたくないから切り捨てるけど、やるのは自由だから国が預り知らないところで勝手にやってね!

 

……ってことである。

 

しほは、この理不尽に双眸を燃やした。

 

――なんと軟弱なことですか……!

 

感じたのは、強い憤りだ。少なくとも彼女が現役の頃では荒唐無稽だと一笑に付されただろう話が、現実に実行されている。時代の力か、人々の意志の変遷か――あるいは、生者必衰。戦車道そのものが衰退したとでもいうのか。

 

心根から発した嘆きが、胸の中に響いた。

 

 

「――そこで国は戦車道連盟を黙殺しようと決定した。戦前からの順風満帆な関係を、矛にしようとした。そもそも、戦車道世界大会すら石ころのように軽く見ていたのではないですか」

 

忍耐も限界のしほが口を挟むと、役人はふと立ち止まりこちらを見やる。

 

「ようやく、お分かりいただけましたか!そうです、家元殿が仰る通りです……ですが、まだ支援金打ち切りが決議されたわけではない! 私どももこのまま戦車道の終焉を見届けるのは少しだけ不本意でもあります。国と連盟の相互理解を深めるために今こそ解決策を――」

 

『図るため』とは、続かなかった。

 

 

 

「渇ーーーーーッ!!!」

 

 

 

「ひっ!?」

 

天と地が揺れんばかりに大音声が建物中へ轟いた。

 

役人は目を剥き、理事長は唇の端を上げて不敵な笑みを浮かべる。

 

西住しほの攻勢が、始まったのだ。

 

「……成程、貴方がた達の都合は解りました。先ほど都合を鑑みず自論を押し付けた私も狭量だったとお詫びしましょう」

「えっ……」

 

深く頭を下げたしほの姿に役人は慌てた。しかし、次に頭を上げたしほの双眼に、彼は謝罪と正反対の色を想起する。

 

「ですか、その根性が気に入らない」

 

彼女は堂々と言い放った。

 

「物事の理解とは、伝聞で量れるものではない。目で見て、耳で直に聞いて、実際の空気の感触を味わう。そうしてこそ、ようやく事の真意が視えるのではないですか? それも何事かの未来を決定づけるというのならば尚更です」

 

腕を組んだ理事長がうんうんと頷いた。

 

「第一に先程から聞けば、自分の理屈を押し通しているのは貴方がただと感じます。性急に決めつけた判断がどれだけの人間を苦しめ傷つけることになるのか……どうして偉い人たちがこんなに簡単なことに気づかないのでしょうね。一体、国が戦車道の何事を知っているのか不思議でならない」

 

憂いたようにしほは呟いた。彼女の言霊は、役人に反論の隙を与えない。

 

「……いいでしょう。ならば、この際白黒つけるのも良い機会です」

 

しほはすっくと立ち上がった。

 

「破壊が全ての野蛮な競技と看做すか、私たちの試合を無為な破壊と取るか、その方たちも及びして存続の是非を問うてもらうことにしましょう。無論、主導するのは私達戦車道連盟です」

 

「……はい?」

 

勝手に話が展開することに疑問を挟む余地もなく、役人は狐に摘まれたような顔をした。そして先に言葉を発したのは、戦車道連盟理事長だ。

 

「それは……大規模な交流試合を開いて観衆に戦車道の精神を理解していただくということで?」

 

しほは、首を頷いて肯定した。

 

「……そうですね、ただの交流試合というのもつまらない。戦車道の精神を遜色なく感じられるように、些か趣向を凝らしましょうか。まず、規模は最低でも全国大会レベルに……場所は大洗がベストね。全国大会のリベンジの機会にもなるわ。それから強豪校を混じえて争わせましょう……いえ、それじゃつまらないわね。観客が歓声を上げるようなサプライズを用意しましょう」

 

「あのー……もしもし?」

 

長い髪を翻しながら呟き歩くしほ。彼女には最早誰の声も聴こえない。

 

そんな様子を傍から眺め、理事長は恰幅の良い身体をソファに埋もれさせて過去を想起する。

 

思うは、西住流師範代時代の西住しほの姿だった。

 

氷の冷徹さと、鉄のような厳格さ――勝利のためならば如何なる犠牲も躊躇いはしない。たとえそれが身内であっても、敗者は無用と容赦無く切り捨てる。目先の感情など、無意味とばかりに。

 

それは、長く険しい修羅の道だ。勝利の果てに終わりはない。勝者とは、掌から零れ落ちる栄光の砂を死ぬまで掴み続けねばならない悲しくも哀れな至上主義者なのだから。

 

その彼女が、この短期間に如何なる変節を果たしたというのだろう?

 

 

以前の西住しほからは浮かびすらしなかっただろう数々の発想を耳に、児玉七郎は感慨深く思いに耽た。変化は必ずしも美徳とは限らないが、今の彼には理由もなく嬉しかった。

 

 

 

「……あのぅ、一つよろしいでしょうか?」

 

役人がおずおずと尋ねた。しほは、彼の存在をふと思い出したように足を止め、滝のような黒髪を翻して若々しい顔を向ける。

 

「先ほどお呼びして戦車道の精神を感じてもらうと仰いましたが、それは偉い人と民衆――どちらを言っているのですか」

 

額に汗をにじませた役人の問いに、しほは口元を綻ばせてこう得意げに言ったのだった。

 

「両方です。……そのためのパイプ役でしょう?」

 

役人は口を情けなくぱっくりと開いて顔を青ざめさせた。ずり落ちた眼鏡から焦点の合わない瞳が露わになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

以上が、事の顛末だ。

 

その後、ほどなくして西住しほの考えは纏まり、各戦車道履行校へと一枚の公文書が送り出された。

 

その公書を一文に要約するならば、次の通りだった。

 

『第63回戦車道全国大会にてベスト4以内に入りし諸学校と以下の特別指定校は、隊長権限の人物を指定された学校に転入させた上で、来たる九月二十五日の交流試合に臨むこと』

 

大洗の西住みほは、黒森峰に。

黒森峰の西住まほは、アンツィオに。

アンツィオのアンチョビは、聖グロリアーナに。

聖グロリアーナのダージリンは、プラウダに。

プラウダのカチューシャは、大洗に。

 

以上のベスト4高+アルファの振り分けに、ある者は戦々恐々の思いで緊張し、ある者は突然の珍試合を訝しみ、またある者は一日千秋の思いで交流試合を期待した。

 

いずれにせよ、来るべき時は目と鼻の先に迫っている。

 

特別交流試合まで、残り二週間。

 

――今、戦車道に新たな激動の風が吹き荒れようとしていた。

 

 


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