魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

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※注意※
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
いつも(以下略)。

今回のお話は、前半は第三者視点、途中から月島さん(モドキ)視点となっています。



月島さん(モドキ)は力を溜めている…。
ついでに、作者も次話に向けて力を溜めています。
どういうことかというのは……次話をお待ちください。


チャドの霊圧が消えても存在が消えないのは、月島さんのおかげ。


横浜騒乱編-10:地下通路

 

 

『全国高校生魔法学論文コンペティション』が行われていた横浜国際会議場の正面出入口付近でグレネードが爆発。それを皮切りに『大亜連』の兵士が横浜国際会議場へと乗り込んできた。

当然、発表が行われていたホールにも兵士が侵攻。魔法科高校の生徒を中心としたホールにいる人間を制圧しようとした。

 

 

……が、司波達也が兵士の一人を無力化したことをきっかけに、ホールに侵攻してきた兵士たちは逆に制圧されることとなった。

 

その後、『お兄様と愉快な仲間たち』は正面口に移動。そこで戦闘を行っていた『大亜連』の兵士たちを撃退した。

 

そして、横浜国際会議場内にあるVIP会議室で、現在の横浜海岸エリアの情報を得た一行(いっこう)は桜木町駅付近にある『地下シェルター』への避難を決め、避難の前に『大亜連』の目的かもしれないコンペに使用されたデモ機のデータを処分することになったのだが……

 

 

 

「何をしているんですか?」

 

「データが盗まれないよう、消去しています」

 

デモ機が置かれているステージ裏にたどり着いた『お兄様と愉快な仲間たち』を待っていたのは、七草真由美と渡辺摩利といった前会長・委員長の二人。現風紀委員長の千代田花音。そしてコンペメンバーの市原鈴音、五十里啓と、それらの護衛なのか桐原武明と壬生紗耶香……という計7名が一足先にいたのだ。

なお、達也の問いに答えたのは、五十里啓と共にデモ機を操作している市原鈴音だ。

 

「七草先輩たちは?」

 

「私たちだけ逃げ出すわけにはいかないでしょう?」

 

そう微笑んで返す七草真由美。

 

 

…と、『お兄様と愉快な仲間たち』が入ってきた扉とは別方向の扉が開き、そちらから警備隊の総隊長を務めている十文字克人が入ってきた。

 

「司波、七草」

 

「十文字先輩」

 

 

「お前たちは先に避難したのではなかったのか」

 

「データの消去をしているの」

 

「そんな大人数でか?」

 

今現在、消去の作業をしているのが二人だけという事を考えても、的を射た事を言う十文字克人。

そんな彼は軽く首を振った後、そこにいる全員に向かって言った。

 

 

「他の生徒たちは(みな)、中条あずさに連れられて地下通路へと向かった。お前たちも早く避難しろ」

 

「地下通路…?」

 

「どうかしたの、達也君?」

 

十文字の言葉に反応した達也を不思議に思った七草が問いかけ、それに対して達也は言葉を返す。

 

懸念(けねん)でしかありませんが、地下通路は直通ではありませんから、他のグループと鉢合わせる可能性があります。つまり……」

 

「遭遇戦になる……か」

 

達也の言葉に割り込む形で言ったのは、他でもない十文字だった。その表情は至って落ち着いており、焦りは全く無いようだった。

 

「…そうなった際に、地下では正面衝突を()いられる可能性があります……が、その様子だと…」

 

「ああ、すでに手は打ってある」

 

そう言いながら頷く十文字は、そのまま言葉を続けた。

 

「『地下シェルター』への地下通路はここの最寄りの入り口の他にもいくつかあり、途中でそれらと合流する形になっている。故に、司波が危惧するような事態も有り得るだろう。…だが、裏を返せば地下通路と言う限られた広さの閉鎖空間というのは少数が多数を迎撃するには適した状況だ」

 

「…つまり、迎撃(そう)できるだけの戦力が地下通路側にはある…と?」

 

「護衛として服部や沢木をはじめとした警備隊のメンバーをつけてある。……それに……受け売りだが、なるべくなら生徒たちや一般人には血生臭い戦場は見せたくはない…という気持ちもあってな」

 

「受け売り?誰のですか?」

 

()()()。地下通路の危険性を指摘しながらも利点を述べ、地下通路での護衛を一手に(にな)おうとした、な」

 

「まあ、当然それは無理があるだろうから、服部と沢木を共に行かせたんだがな」と付け加えて言う十文字に、達也は納得したように頷いた。

 

「なるほど…。確かに彼がいれば、よほどのことでもなければ問題無いでしょう」

 

 

…ただし、話を聞いていた内の何人かは「えぇ……本当に大丈夫なのか…?」と心配そうな顔をしていた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「……さて、と。どうしたものかな?」

 

「月島っ!?どうするか考えないで、()()()()()したっていうのかよ!?」

 

そう僕にツッコミを入れたのは、制服の上から防弾チョッキを着用した…つまりは警備隊に所属している…森崎君だ。

原作のほうでは何をしていたか知らないので何とも言えないが、どうやら僕のいる世界(ここ)では森崎君は警備隊の一員になっていたようで、今は服部先輩や沢木先輩、他の警備隊と共に避難者の護衛をしている。

 

 

今現在の状況なのだが……、地下通路を進んでいる途中、安全確認もかねて先行しようとした僕に服部先輩と沢木先輩、森崎君、そして十三束くんがついて来ることになり、他の警備隊を避難者の護衛に残して、僕らは先行した。

 

通路の合流地点付近まで進んだあたり……。そこで、僕が前もって飛ばしていた『盾舜六花』の椿鬼からの報告でその合流地点の先にある二つの出入り口からドンドン進んできている事を知り、それをあたかも何かの魔法で察知したようにふるまいながら4人に伝えた。

そして、十三束くんに後方から離れて付いてきている皆へと伝えることを頼み、次の連絡があるまで少し待つように言った。

 

 

 

…で、通路を進んでくる敵を撃退すべく、合流地点から少し敵が来る入り口へと進んだ地点で行動を開始したんだが……そこからさっきの森崎君のツッコミに繋がるわけだ。

 

 

「いや?何も考えていないわけじゃないさ。…ほら、もう通路の合流地点は抑えたし、みんなをシェルターのほうへ誘導する前段階までは来たよ?」

 

「その通りのようだが…」

 

「いや……よくわからないが、これは大丈夫なのか?」

 

 

沢木先輩と服部先輩がそう言って目をやるのは、目の前の…敵が来る方向の通路の床から天井までを埋め尽くしている『闇』。そう、何を隠そうその『闇』は僕が手に持つ刀型のCADによって発生したものである。

 

「これは攻撃ではなく、こちらへ向かってくる敵に対しての()()()()()です。何を心配されているかはよくわかりませんが、この闇の少し先に障壁も作ってますので、「何の問題も無い」と答えますよ」

 

「…なら、とりあえずはいい……のか?」

 

首をかしげる沢木先輩。

そして、服部先輩は「しかしだな…」と眉をひそめた。

 

「これだと足止めにしかならないだろう?それなら普通に敵を撃退したほうが良いだろ?」

 

「今考えるべきは「敵をどう殲滅するか」ではなく、「いかに早く・安全に避難者をシェルターに誘導するか」です。敵の数も不明な状況で戦い、避難者を通路の途中で待たせ続けるのは良くないです。僕らが入ってきた入り口から敵が来ないとも絶対とは言い切れないですよね?」

 

「まあ、それは……」

 

「ならば、今すべきは、森崎君を避難者たちを護衛している十三束くんたちの元に行かせ、とりあえずの安全は確保できたことを伝え誘導を再開させる。…そして先輩方二人は再び先行して、シェルター前などで待ち伏せしている敵がいないか、安全を確認することだと思います」

 

 

僕がそう言って提案したのだが……それを森崎君の言葉が止めた。

 

「待て!それだと月島が一人でここに残ることになるじゃないか!!いくらお前でもそれは…!」

 

「「危ない」かい?…そんなことは無いさ。むしろそれが最善だと思うよ?だって、率先して護衛を引き受けようとはしてたけど……実際のところ、僕は護衛には向いていないからね」

 

その言葉に、森崎君以外の…先輩二人も「どういうことだ?」と首をかしげた。

そんな先輩方を含めた3人へと説明を始める。

 

「僕の出場した『アイス・ピラーズ・ブレイク』の決勝戦……あの時、自分の氷柱もろとも壊してしまったところからもわかるかもしれませんけど、力が強いが故に周りにも少なからず影響を与えてしまいます。……大人数の相手は可能ですが、その代わり、下手をすれば護衛対象や共闘者まで巻き込みかねないというリスクがつきまとっているんです」

 

「…だから、向かってくる敵たちを倒すのであれば、一人のほうが勝手が良く……むしろ、避難者の護衛にまわると危険にさらすかもしれない…というわけか」

 

実際のところは、「闇に飲まれたのに、壊れているものと壊れていないものがあったら……何か不自然だよね?」ということでとりあえず自分の氷柱も壊していたのだが……。

 

 

 

しかしまあ、一応理解はしてくれたようで、服部先輩は難しい顔をしながらも頷いてはくれた。

そして、その目は僕を正面から見据え……真剣な眼差しをして問いかけてきた。

 

「月島。お前の力を信じて、この通路を任せても大丈夫か…?」

 

「もちろんですよ。大事なものを護るための能力(チカラ)、今使わずにいつ使うというんですか」

 

 

僕の言葉に「わかった」と短く返した服部先輩は、他の二人に目配せをした。

 

「わかった、僕らは先に行こうか。…月島、全部終わったら追ってくるなり、避難しに来た他の人たちに合流するなりするんだぞ」

 

そう言って服部先輩と共に通路の合流地点…僕が『闇』で満たしていない方へと駆け出していった。

 

そんな先輩たちと僕とを交互に見た森崎君は、少し遅れて先輩たちの後を追い出し……少し、行ってから振り返って来て……

 

「月島ぁ!お前が頼まれてた七草先輩の妹二人の護衛、俺が代わりにしっかりこなしてやるから心配するなよー!」

 

……と、なんとも森崎君らしい言葉を残した後、再び先輩たちを追いかけだした。

 

 

 

 

 

……ふぅ。何とか一人になることが出来た。

まだ時間がかかりそうなら『ブック・オブ・ジ・エンド』を使うのも……と思っていただけに、使わずになんとかなったのはありがたかった。

 

避難を始める時に、もの凄く説得をして泉美くんと香澄くんを何とか中条先輩に押し付けたところから……いや、今朝二人に会って七草先輩に半強制的に任されてからというもの、ずっと思う通りに行動に移せなかったのがやっと解放される。

 

 

「さて、まずは『闇』と()()を消して……()()をしないとね」

 

 

さっそく行動に移し、まず『闇』を消す。

 

『闇』に隠されていたその先にあったのは『三天結盾』。もし仮に、通路を進む敵が銃を乱射してきてもいいように発動しておいたものだ。

そして、見えるものがもうひとつ……いや、「ひとつ」という表現は正しくないだろう。「沢山」だ。

 

 

それは『大亜連』の兵士……何人も倒れている。

『闇』を「ただの幻影」だと言っておいたが、「それ以外には何もしていない」とは言っていない……にしても、一見すると死んでいるか生きているか分からない人間が無造作に転がっているのは気味が悪いものだ。

 

 

『闇』に紛れさせておいた「音」を遮断する魔法を解除する。これが無ければ、森崎君たちに何か勘付かれかねなかっただろう。

 

「こいつらを()()()するかどうかは置いといて……これでやっと本命に行ける」

 

 

そう薄く笑みを浮かべる僕の肩に、六花の一人、舜桜(しゅんおう)がとまった。

 

『頑張るのはいいけど……気を付けてね?いくらキミの霊子(プシオン)の濃度と保有量が常人以上とは言っても有限なんだ。放出し過ぎれば、普通の人と同じで意識を失っちゃうんだよ?』

 

「わかってる。…そのギリギリのライン、僕の限界を見定めるのも今回の目的なんだから」

 

『戦闘中に倒れたりしないでよねー?』

 

心配している…というよりも、呆れ気味にため息を吐く舜桜に、僕は苦笑いをこぼす……。

 

 

 

……さて、始めるとしようか…。





いったい、月島さん(モドキ)は何をしたんだ(棒)

あと、七草の双子はどうなっているのか等は、後々回収するお話がありますので、少々お待ちください。

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