**???の記憶(三人称)**
「あんたがたどこさ。ひごさ、ひごどこさ」
「――ちゃーん!」
「あっ、――くん!」
小さな家の庭で、まりつきをしていた少女はニコニコ笑顔を浮かべながら、走り寄ってくる少年の名前を呼び、抱き合う。
じゃれつく彼らは猫のようだったが、片方の少女は小さな黒い翼を出す。
「――くん、今日は何して遊ぶ?」
「んーとね、ちゃんばらごっこ! って言いたいけど――ちゃんがしたいのでいいよ?」
しかし少年は少女の翼を気にかけることもなく、普通に話しかけた。
少女は顔を赤くしていやんいやんと体を震わせる。
「じゃあふうふごっこ! 私が愛人で――くんが日頃の疲れを癒やすために関係をもつことになったサラリーマン」
大人が聞けば顔を引きつらせて苦笑するが、この場でツッコむものはいない。
少年に至っては愛人の意味すらわからず、普通に夫婦ごっこをするものだと無垢な目で信じている。
「おかえりなさい、今日もあの女じゃなくて私の元に帰ってきてくれてありがとう」
子供が言うには業が深すぎませんかねと思うが、ツッコむものはもちろんいない。
学校に通わず、友達もあまりいない少女の知識は母親からの情報とテレビだけ、最近は昼ドラを見るのが日課だが、その内容は言わずもがな不倫もの。放送コードとはなんなのか。
「ただいま、――は可愛いなぁ」
「――くんはかっこいいよ!」
まぁ、そこは子供、微笑ましい限りである。
そんな感じでおままごとをしていると次第に辺りは暗くなっていく。
すると、林の中から誰かが歩いてきた。
黒髪をポニーテールでまとめ、柔和な表情でいるのは恐らく少女の母親だろうか。
母親は娘を見ると駆け寄りながら抱き上げる。
「ただいま、――! ――くん遊んでくれてありがとね」
「おばさんこんにちはー、うん、でも俺も楽しかったし」
おばさんという言葉に、黒髪の母親は表情を凍らせる。
け、化粧し忘れたのかしら? それとも小じわ? いやいやそれともと思考がドツボにはまっていく。
子供というのは純粋であり、特には刃物よりも強烈な言葉を残すものだ。
なんとか戻ってこれた母親は娘の頭を撫でながら、申し訳無さそうに少年に言う。
「もうそろそろ晩ごはんのじかんだし、――くん。帰ったほうがいいわ」
「えっ? やだ、やだやだやだ!! ――くんはまだ遊ぶの!」
瞳に涙をためて、少女は母親の胸の中で暴れる。
少年はおろおろしながら意を決したような顔をして、泣いている少女に向かって指を出した。
「約束! また明日も遊ぼっ! ――ちゃん!」
「……ほんと?」
「ほんとのほんと! ほら、ゆびきりしよ!」
まだ泣いている少女は目に涙をため、鼻をすすりながら少年の小指と自分の小指を重ねる。
「はい、ゆーびきりー」
「げーんまーん」
そんな二人の様子を母親は穏やかな目で見る。
苦労ばかり娘にかけてきたが、こんな素晴らしい友達に会えた。
あの時、追い返さなくてよかったと心底思っていた。
そんな母親の心情を知らず、二人は元気よく声を出して指を離す。
「「嘘ついーたらかみなーりおーとす! ゆびきった」」
まだ少女と少年が何も知らずにただ遊んでいた時の頃の記憶。
**双葉視点**
「無茶しないでって言ったじゃないですかぁ……」
「えっと、いやその、勝つために頑張ったんだしそこら辺は」
「双葉」
「アッハイ、リアス先輩マジすいませんです」
現在、俺は臨時的に病室になったオカルト研究部の部室で説教されていた。
ちなみにあの戦いから一週間近く経っている……らしい。
らしいというのは俺が起きたのは今からざっと一時間前だからだ。
目が覚めたら、アーシアがワンワン泣いてるわ。様子を見に来たリアス先輩が泣くわ、師匠もうっすらと涙ためて抱きしめてくるわ、朱乃先輩なんか泣き崩れて腰を抜かしちゃったし、イチ兄と小猫は抱き合いながら良かったいうだけの機械になるわいろいろ大変でした。
まぁ、落ち着いた皆から事情を聞いてみてざっくりと言うとリアス先輩の婚約は解消されたらしい。
よかったよかっためでたしめでたしで終わればよかったのだが。
『あなたとんでもない重症だったのよ!? アーシアやグレイフィアがいなかったらどうなっていたことか』
と泣きながら言われたが実感はない。
体はすこぶる元気だが、なんでも体の奥底までダメージが蓄積し、骨は砕け筋肉という筋肉が破砕されていたらしい、なにそれ怖い。
「心臓はザルバさんが必死に自分の魔力を使って保護してくれてたんです」
『おかげでからっけつだ』
カラカラと音を立てながら笑うザルバを指で撫でる。
こいつもこいつで心配してくれたらしい。あとで魔力をうんとあげよう、なんだかんだこいつの補助がなかったら火球を受け止められなかった。
正直に言う、実感が沸かないのとライザーの火球を切り裂いてからの記憶が全くと言っていいほどない、なんか金色に輝いたのは覚えてるけどな。
「双葉、どうしてあそこまでしたの? あなたは眷属じゃない、確かにイッセーの命を救ったけれどあそこまでする義理はないはずよ」
「言ったじゃないですか、リアス先輩。俺はオカルト研究部って場所が気に入ってるんです」
言うなればまた俺のワガママだ。
ライザーと結婚すればリアス先輩は二度とこっちに戻ってこないだろう。
それが嫌だったから戦った。
俺はある意味で狂ってるんだと思う、けれどあの時あぁしなければきっといつか後悔することになる。
それを正直に言うと、リアス先輩が涙をためながら俺を抱きしめた。
い、イカンですよ!? てかいい匂いとおっぱいの感触ガガガッが!?
「ありがとう、ありがとう双葉……」
「り、リアス先輩、痛いです」
嬉しいけど痛い、痛いです。
悪魔だからか、それとも完全にダメージから回復しきっていないのか、全身の骨が悲鳴をあげている。
「ほら、リアス、双葉くんも疲れてるから今日はね? あなたも事後処理がまだ残っているでしょう?」
「そうね、『義弟』と話すのはまた今度ってことで」
「えっ? リアス先輩?」
なんかとんでもねえ発言しなかったか!? 俺の聞き間違いか!?
リアス先輩にもう一度聞こうとするが魔法陣でささっと行ってしまった……弟? 俺が? あぁ、アレか女子校でやるっていう姉妹協定みたいな?
リアス先輩の弟か……学校行きたくねえなぁ、また睨まれるよ。
「じゃあ僕もそろそろ帰ろうか、双葉くん。元気になったら修行つけてあげるからね」
「師匠、ホント勘弁して下さい」
にこやかに笑う師匠はそう言って部室から出て行った。
残ったのはイチ兄と未だに泣いているアーシア、朱乃先輩に小猫。
少々、気まずいというかみんなからジーっと見られると落ち着かない。……何か話題は……あっ、そうだ、イチ兄の腕!
「そうだ、イチ兄! 左腕は!?」
「あぁ、部長がドラゴンの力を抜いてくれる方法を見つけてくれてな。今はそれよりもお前のことだよ、双葉」
あっ、ヤバイ、本気でキレてる。
『相棒の怒りも最もだぞ。魔戒騎士は馬鹿げた耐久度を持っていたがお前は未だに未熟な上に人間だ、あんな戦い方をしていたらいずれは死ぬぞ』
「でも……」
「でももかかしもあるか!! 少しは反省をしろ、この一週間アーシアは付きっきりでお前を看病してたんだぞ! 気絶するまで神器使って必死にお前の命をつなごうとしてたんだ」
アーシア、お前ってやつは。
ふとアーシアの顔を見ると綺麗な顔に隈がくっきりと残っていた。
体を起こすと鉛のように重い感覚が俺を襲う。くそっ、一週間寝込んだだけでこうなるのかよ。
たまらず、咳をすると赤い血が喉の奥から吐き出される。
「双葉さん!」
「心配すんな、ただ吐いただけだ……ごめんな、アーシア、心配ばっかりかけて」
アーシアが俺の体を支えてくれる。
俺はなんとか右手を動かして、アーシアの頭を撫でる。
金髪がさらさらと手の間をすり抜けていく感覚が心地よかった。
「約束するよ、アーシア。何があっても俺は生きてやる。生きて、俺の命が尽きるまでずっと一緒にいるよ」
最低だと俺は思っている。
生きれても八十年、それだけの時間があればアーシアはきっと俺のことを覚えていてしまう。その後、アーシアは思い出して泣き続けると分かっているのに。
でも泣いているアーシアを慰めるにはこういうしかないと思った。
アーシアはそれを聞いて、涙を拭う。
「じゃあもう一つ約束してください。無茶をしないで、双葉さんの傷は私がしっかり治します。だから、もうこんな無茶はしないで」
「……あぁ、わかったよ」
頭を撫でつつ、俺は心のなかでアーシアに謝る。
すまん、多分それは無理だ。これからも無茶をすると思う。
ボロボロになって、今以上にひどい怪我をするかもしれない……でも、俺はもう決めたんだ。
誰かが泣いているなら、俺はその人の味方になるって。
牙狼の力は戦うためじゃない、誰かを守るためにあるって俺はライザーとの戦いで知った。怒りではなく、誰かを守りたいって想いこそが最大の力になる。
だからこそ、あの時牙狼は金色を取り戻してくれたんだと思う。
黄金騎士、俺には似合わない名前だ。でも、この力が使えるうちはこの力に恥じないようにしていきたいと思う。
「コホン、双葉くん、いつまで撫でているの?」
「ふえ?」
何故か朱乃先輩と小猫に睨まれる。
……いや、撫でるのが心地よすぎてずっと撫でてたいくらいです、はい。
まぁ、止めるか、そろそろアーシアも嫌だろうしな。
「あっ……」
いや、そんな名残惜しそうに言わないでくれよ、もっと撫でたくなっちまう。
こうふわふわというかさらさらというか、とにかく気持ちよかったなぁ。撫でてるとクロ思い出すわ。
「でも、さっきのは告白みたいだったな、双葉」
唐突に、イチ兄から核ミサイルが打ち込まれた。
こく、はく? ……んーと、さっきの発言ってのはなんだろうか。
ふと周りを見ると朱乃先輩や小猫が固まってるし、アーシアなんて顔を真赤にしてあわわわわとか言ってる。
『あれだろ、命が尽きるまでずっと一緒にいるってくだりだろ』
「……いや違うからな!? アレは家族として一緒にいるとかそういうので、決して告白とかじゃない!!」
うーーーーーーわぁああああああああ、俺の軽くちぃいいいいいい!! よーく考えれば「月が綺麗ですね」並みにこっ恥ずかしい告白じゃねえか!!
うわっ、さっきまでシリアスな雰囲気だったのが霧散したわ。
「俺としちゃ、お前とアーシアくっついてくれると嬉しいんだけど」
「く、くくくっつく!?」
「アーシア、ステイ! そして小猫!? なんで指鳴らしてるの!? 朱乃先輩、ちょっとマズイですよ! この状態で電撃食らったら死にます!」
どたんばたんとベッドの上から逃げ出そうとするが、そのたびに激痛が走りのたうち回る。畜生、イチ兄のやつ覚えとけよ!!
「大丈夫、これマッサージ」
「グーパンチするマッサージがあるか!?」
「そうそう、これも電撃マッサージというやつですわ」
「バッチンバッチン言ってますが!? ザルバ助けてくれ!!」
『小僧、魔戒騎士になるなら苦難の日々が待ってる。精々頑張れ』
味方誰もいねえええええええええ!! というかイチ兄逃げやがった!!
あっ、まって、小猫振りかぶらないで――――。
「あんぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
この日、旧校舎に新しい七不思議が出来たとか出来なかったとか。
****
日常が戻ったはずだった。
あの後小猫と姫島先輩の手厚いマッサージによって体がすこぶる健康になった。
最初は死ぬかと思うほど痛かったが、終わってみれば体の調子が全快に近い状態になっていた。
なんでも小猫は気を整えられるらしく、俺が寝込んでいる時も気の調子を見てくれたそうな。
あぁ、朱乃先輩の電撃マッサージはホント天に登るほど気持ちよかった。ピリピリした感覚がたまらなかったです、はい。
そしてようやく家に帰ると両親から泣かれた。
運転手の疲れからか、不幸にも俺は黒塗りの車に追突されたということにしてたのがリアス先輩が立てたシナリオ。
軽い暗示と医療器具のレプリカで騙していたらしい。さすがに一週間も寝込んでたらさすがに両親に隠し通せないのと、リアス先輩の良心が痛んだらしい。
ボロボロになった俺を見て、傍目も気にせず泣き崩れた父さんと母さんはリアス先輩の使い魔が化けた運転手に胸ぐらを掴みかかったってアーシアから聞いた。
……愛されているの感じると共に、騙していることに痛みを感じる。いつかは言うべきだとは思うが、普通のサラリーマンと主婦には荷が重すぎる。赤龍帝に黄金騎士とかライトノベルも真っ青な設定だ。
でも言うしか無いんだろうなぁ、いつかは俺達の敵が両親を攫うなんて真似をするかもしれない。リアス先輩たちが見張ってくれてるとはいえ、ライザー並みの敵がまたやってきたら守り切れるわけがない。
親孝行ってわけじゃないし、巻き込むのは俺たちの責任だ。その時、怖がられて縁を切られたってしょうがない。でも、今まで育ててくれた親を守るのは子の当然の役割だろ。
でもまぁ、今考えても仕方ないことだよなぁ。俺が出来るのは次の戦いまでに出来るだけ強くなること。
ザルバに言われちゃったが、ライザーに勝てたのは相手が鎧の特性を理解してなかったのと冷静さをかいたせい。ですよね、ぶっちゃけ力でねじ伏せられたからな。
はぁ、人間ってほんと不利だな。強化するにしても、爆発の余波で瀕死になるしな、スペランカ◯先生ですよ、ホント。
まぁ、なんにせよ一日たっぷりと寝て、完全に回復した。
ザルバによると『お前の馬鹿げた魔力の恩恵で傷が治るのが早い』んだとさ。ちなみにライザーとの戦いで負った傷はアーシアの力を持ってしても完全に回復させることが出来なかったそうで、完全に回復できたのは俺個人の力だそうだ。
傷つけることもあるが魔力ってのは便利なもんだ。あっ、そうそう、ばかみたいな魔力運用したおかげかしらないけど扱える魔力がかなり増えたのは嬉しい。だけどそれを聞いた師匠がにこやかに笑っているのを見て俺は天を仰いだ。
そして体の体調を見ながら久々の学校に通って数日の休日。
俺は学校もないため遅れてた勉強をしようと思っていた時、インターホンが鳴った。
宅配かなぁと思ったためイチ兄と一緒に見に行って……叫び声が聞こえた。
「どうし……うぇええええええ!?」
「えぇっと、来ちゃった?」
そこにいたのはリアス・グレモリーと……なんか滅茶苦茶多いダンボール。
嫌な予感がしたのだが玄関に客人を立たせておくわけには行かない。
とりあえずリビングに案内すると驚く両親。ここまでは序の口だった。
「今日からお世話になります。リアス・グレモリーです。アーシア共々よろしくお願いします」
超特大級の爆弾を起爆させたな、先輩。
父さんなんか飲んでたお茶を噴いてるし、母さんはお気に入りのマグカップ落としてるしさ。まぁ、俺もイチ兄も驚きのあまりお互いの頬引っ張ってるんだけどさ。アーシアはいつも通りあわあわわしてるけどさ。
正直、母さんたちは難色を示すと思ったんだがな。
「あらいいじゃない。アーシアちゃんとリアスちゃん、二人も娘増えちゃったわ!」
「そんな簡単でいいんですかねお母さま!?」
まぁ、この通りソッコーで了承したというかリアス先輩の笑顔にやられたというか……あと、父さん頼むから泣かないでくれよ。なに? 女の子に囲まれる生活が羨ましい? 俺の夢? ……あぁ、なるほど、確かに俺達の両親だわ。
「ご両親の了解も得たし、イッセー、双葉、荷物を運んで頂戴」
「「えっ!?」」
いやいやいや、あの量を!? なんかまだトラック来てるんですが入るんですか!?
そんな俺たちを無視して、母さんとリアス先輩は部屋に行ってしまう。
はぁ、まったくあの人は……それでも着いて行くんだけどさ。
「やりますか」
「おう、部長に頼まれたからな!」
そしてせっせと運ぶが、量の割に軽かったのだが荷物を運んできた人から信じられないものを見たような顔とぜひ、ウチでアルバイトを! と念を押された。
あぁ、特訓とかで感覚おかしくなってたがそりゃ引っ越しの荷物をひょいひょい持ち上げる奴らはほしいよな……やろうかな、バイト、筋トレにもなるだろうし。えーとなになに? シトリー引っ越し屋? 変わった名前だな。
荷物を運び終えると次は掃除と飾り付け、うん後半がおかしいがそういうしかないんだもの。なんか高そうなツボやら大きな鏡やら化粧台やら……出るわ出るわ高そうなものが、アーシア落とさないでくれよ、担保で悪魔になるとか笑えないからな。
あっ、そうだ忘れてたがザルバはいつも嵌めることになったんだが、まぁ見た目ドクロの指輪とかつけてられないから、幻覚の魔法で両親には見えないようにしている。まぁ、ザルバも普段寝てるしな、ばれないばれない。
「イッセー、これが終わったら背中流してあげましょうか?」
「ぶ、部長!?」
荷物を運ぶイチ兄にリアス先輩が突然抱きつきながら囁く。
おー、激しい。でもアーシアの前ではやめて欲しいかなーと顔真っ赤にしてるしさ。
「ふ、ふふ双葉さん! 一緒に」
「入らないからな?」
釘を刺しておく。アーシアは純粋だからなぁ、リアス先輩との生活で染まっちゃうのは勘弁。
ただでさえイチ兄の友人からあれやこれや吹きこまれてると聞くしなぁ。先輩だから強く言えないけど、万が一変なことを教えこませたら……。
「ふぃ、双葉!? 目が怖い! というかちょっと魔力出てんぞ!?」
「大丈夫大丈夫、イチ兄のあるクラスメートをどう黙らすかとか考えてないから」
「……アーシア、一緒にこの朴念仁をどうにかしましょう。朱乃も苦労するわけだわ」
「部長さん」
「部長なんて堅苦しい、リアスでいいわ。お姉さまもつけてくれると嬉しいかもね」
「はい! リアスお姉さま!」
おー、なんか知らないけどアーシアとリアス先輩ががっしり握手してるよ。こういうのを百合? っていうのかな、違うだろうけど。
でもリアス先輩との触れ合いでアーシアが淑女としての振る舞いを……あっ、ダメです駄目です、リアス先輩恥じらいないもん! アーシアがあぁなったら……泡吹いて倒れるわ。
お父さん許しません!! 心の底からアーシアを託すことが出来る人がくるまで……とりあえずイチ兄に協力してもらって俺達を倒せるぐらいに、いややっぱ牙狼剣をへし折れるくらい強いやつを。
『お前さん、何サラッととんでもないこと思ってんだ』
「寝てたんじゃないのか? ザルバ?」
『お前さんの考えはだいたい分かる……にしてもそこまで大事なら、あのシスターお前が娶ればいいものを』
「出来るわけ無いだろ」
アーシアは確かに可愛いが、それ以上に尊いんだ。
堕天使から救ったせいか知らないけど、娘ができたらこんな感じなんだろうなって思うくらい新愛の心が強い。
『はぁ、お前さん……先代以上の女泣かせだな』
「あぁ、そうだいい機会だからお前知ってることを全部話せよ、先代とか昔のこととか!!」
色々ありすぎて忘れてたが聞きたいことが山ほどあったわ! 先代とか俺の過去とか!!
『知らん、そもそも俺が覚えてるのは断片だ。あとお前さんは自分の心配をしたほうがいい』
「へっ?」
「双葉! アーシアとイッセーと話し合ったんだけど、ここはいずれは家族になる四人でお風呂ってのはどう?」
「状況悪化してるぅうううううううううう!?」
なぁにキラキラ目を輝かせながら言ってるんですか先輩!
あとイチ兄! アーシアをいやらしい目で見るなぁ!! アーシアも目を輝かせないで!!
ん? てか家族って?
「あの、先輩? 家族って?」
「いずれはイッセーと……そうなったらあなたは義弟になるんだし」
先輩らしからぬもじもじした態度と小声。
俺は一つの結論に辿り着いた。……あの目、そしてイチ兄へのスキンシップ、そして俺を義弟にするという言動。
つまりは、そういうことだ、イチ兄に本当の春が来たんだ!
おれはたまらず叫びながら部屋を飛び出す。
「父さん、母さん赤飯!! 赤飯買ってきて、イチ兄に春がきたぞぉおおおおおおお!!」
「ちょ!? 双葉!? 親父とおふくろまでノリノリ。あ、あぁっ、部長おっぱいが! おっぱいがあああ!!」
賑やかになるウチはその日、夜までどんちゃん騒ぎだった。
リアス先輩はその間ずっと笑顔で、そして時折涙を浮かべていた。
……その顔を見れるだけ、今回は頑張ったかいがあるもんだ。
いやはや、早いもので二巻目が終わりました。
こんな二次創作ですが早いものでお気に入りが百突破して二百いきそうです。
ちょっと用事があるので次回は少し時間がかかりますが必ず書き上げますのでよろしくおねがいします! あっ、でもその前に使い魔編です、ザトゥージ書きたいからね、仕方ないね♂
でもエクスカリバー編を早く書きたい。