ハイスクールD×D 黄金騎士を受け継ぐもの   作:相感

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初投稿。


一章 忘却のゴールデンナイト
兵藤一誠の弟


 最初に言う、俺の兄は変態だ。

 兵藤一誠、略してイッセーと呼ばれている兄……俺はイチ兄は学校で悪い意味で有名人だ。

 よく言えばスケベ、悪く言えば性欲を持て余す猿。

 ここまで言ってるが別にイチ兄を嫌ってはいない。むしろ兄弟仲はいいほうだと思っている。

 エロ本を隠すために、俺に内緒で部屋に隠されたときは庭でバーベキューを開催したが……ゴホン。まぁ、なんやかんや普通の生活を送っている。

 そして高校を入学し、慣れ始めたとき事件が起きた。

 

「あのさ……彼女出来たんだ」

 

 最初に聞いたときは「あっ、ついに二次元に逃避したのか」と思ったが、校門前で待っている彼女さんを見た瞬間、これが現実だと理解した。

 イチ兄には勿体ないほど綺麗な少女で、正直見惚れたのは秘密だ。

 名前は天野夕麻さん、なんでも別の高校の生徒らしく兄に一目ぼれしたらしい……嘘臭いがまぁいい。

 そっからの数日、イチ兄の機嫌は見たことないほど上機嫌だった。というかウザかった。

 

「お前も彼女持てばわかる。勝った! ってな」

 

 キメ顔でいうもんでイチ俺の拳が兄に飛んでも文句はないだろう。

 そんなこんなでイチ兄の初デート。泣きついてきたイチ兄と一緒にデートプランをあーでもないこーでもないと考えた。

 最終的に無難な選択になったが失敗して愚痴られるよりはいいと思った。

 心配だったのとイチ兄から泣きつかれたため、変装してデートを見守ることになった。

 デートは順調だった。

 お決まりの「待ったー?」からの「いや、今来たところだから」から始まり、洋服、部屋に飾る小物などを見て、昼はファミレス……うん、もうちょいこじゃれた喫茶店がよかったと思うが、学生ならこれでもいいでしょ。まぁ、俺はラーメン屋に入ってガッツリ食べてたが。

 そして夕暮れ時、デートクライマックス。中々いい雰囲気の二人は人気のない公園へ……キスくらいするんだろうな、とこのときは思ってた。

 最後くらいは見ずに帰ろう、それが間違いだった。

 ヒュッ、という風切り音の後に何かが倒れる音がした。

 嫌な予感がして後ろを向くと――血を流し倒れているイチ兄がいた。

 

「えっ?」

「あら、まだ帰ってなかったのね」

 

 ごく普通に、何気なく話しかけてくる彼女のせいでさらに頭が混乱する。

 

「残念、帰ってれば見逃してあげたのに」

「な、に……何をした」

 

 カラカラになった喉のせいでかすれた声しか出なかったが、彼女には届いたらしい。

 いつの間にか背中から生えていた黒い羽を弄りながら答える。

 

「見てのとおりよ。あなたのお兄さんを殺したわ」

「……」

 

 呆然と地面に横たわっているイチ兄を見る。

 致命傷と一目でわかるほど腹部にぽっかりと穴が開いていた。

 

「可哀想にね、何も知らない子だったのに死んでしまうなんて」

「お前がしたんだろうが……」

「あら、意外と取り乱さないのね。兄弟仲は悪かったのかしら」

 

 頭の血管が切れたかと思うほど熱くなる。

 けれど飛びかからない。

 相手は普通じゃない。それは背中の羽を見りゃわかる。無策で立ち向かったら犬死するのは目に見えている。

 

「立ち向かうの? 人間風情が?」

「……」

 

 正直、逃げ出したい。

 叫んで、泣いて、誰かに助けを求めたい。

 だけど……

 

「一発殴らなきゃ気がすまねえんだよ、鳥野郎」

「ッ!! ……気が変わったわ。あなたはじわじわと嬲り殺してあげる!!」

「そこまでにしなさい、堕天使」

 

 いつの間にか、イチ兄の近くに人がいた。

 

「くっ、何故、何故なの!? 何故あなたがここに」

「ここは引きなさい堕天使。私の領土でこれ以上狼藉を働くなら争うことになるわ」

「……わかったわ。ここは引くわ……人間、あなたの名前は」

 

 ……いっぺんに色々起きすぎて、頭がオーバーヒートしそう。

 真紅の髪色した女の人は誰だ、てかなんでイチ兄の体が治ってる、そもそも堕天使ってなに?

 そんな混乱した頭のなか、天野さん……いや堕天使の言葉だけは返した。

 

「俺は……兵藤双葉」

「覚えたわ、兵藤双葉ッ!!」

 

 捨て台詞を残し、風の様に消えた堕天使を見て俺は地面にへたり込む。

 さすがに現役高校生にはキツイ出来事だったよ。

 いや、それよりも……この人だ。

 

「あの、多分助ける気は無かったと思うんですけどありがとうございます」

「運が良かったわね、あなたも」

「えぇ……あなたが兄を助けてくれたんですかね」

 

 そっと兄の方を見ると胸が上下しているので生きていることだけはわかる。

 あとさっきまでは頭が冷静じゃなかったから、見てなかったが……凄い美少女が目の前にいた。

 鮮やかな紅色の髪、プロポーションが取れた体、そして雪のように白い肌。

 

「兄……そう、あなたは偶然巻き込まれてしまったのね」

「えぇ、兄があの……えぇっと堕天使? でしたっけ。さっきの彼女とデートするんで着いて来てくれと」

「最後にいい思いさせて、ってところかしらね。卑劣な行為だわ」

 

 嫌悪の感情を隠しもせず出す彼女に少し安心する。

 にしてもどうなってるんだよ、全く。

 

「さて、とりあえず自己紹介をしましょう」

 

 この日から、俺は否応無しにも世界の裏側というのに巻き込まれていく。

 その過程で色々なことがあるのだがそれはこれから語ることになる。

 

「私の名前はリアス、リアス・グレモリー、悪魔よ」

 

 




●兵藤双葉
 イッセーの弟にして、若干のブラコン。
 イッセーとは違い性には人並みの興味があるだけのムッツリスケベ、ちなみに胸か尻か言われたら尻派。
 幼少期の記憶が事故により無いが問題なく生活している。
 趣味は体を鍛えることと兄のストッパー役。ちなみに双葉のおかげで原作ほどイッセーの地位は下がっていないが上がりもしない。是非もないね!

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