緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうもお久しぶりです、乃亞です。お待たせしました!
久しぶり過ぎて書き方おかしかったり口調変だったりしたら申し訳ないです。


第61話

「はぁ…やれやれ。『武偵殺し』か、まーた嫌な話だよまったく」

 

俺は残った紅茶を啜りつつ、そう1人で愚痴る。注いだ時は温かかった紅茶は時間が経ってぬるくなっていた。

シャーロックの話を信じるのであれば『武偵殺し』は俺の知っている人物らしい。

中学の時に協力した武偵局の武偵や神奈川県警の誰か、あるいは警視庁の誰かという可能性もあるがなんとなく犯人はここ、東京武偵高にいるような気がする。

 

根拠は……そうだな。シャーロックの最後のセリフ、『遠山キンジ君は元気にしているかな?』ってところか。

シャーロックは知らないのか、はたまた推理して知った上で言ったのかは知らないがさっきの茶飲み話でなんの脈絡も無くキンジを出す理由があそこの会話の途中『まで』にはほぼない。ならば逆だ。『これから』キンジがシャーロックにとってパズルのピースを埋める上で必要になるからあの様な一見無意味な質問を繰り出して来たと考えるのが妥当。

そろそろアイツも潜入捜査から帰って来る頃だったか。

 

そして俺とキンジの共通事項なのだが、先ほどと同様に『これから』という視点を置くのならば中学時代コンビを組んでいたことはほぼ関係ない。あとはアイツの交流の狭さだな。自分から他者に歩み寄るタイプじゃないキンジは俺ほど交流が広いわけじゃない。どちらかというとアイツは他人に歩み寄られて(特にヒスキンに魅了(チャーム)された女子)アワアワするタイプだ。

普段ネクラだのなんだの言われてるところを改善すれば大袈裟でもなんでもなくいいチームリーダーになれそうなんだが、本人にその気がないんだから仕方ない。

……話が逸れたか。とにかく交流の狭くて中学時代事件の後の処理をほぼ俺に任せていたキンジにも関わりがあるとすれば最小限でも関わりを持たざるを得ない場所、つまり学校の教師および生徒になるってワケだ。

 

……そして俺はもう1手突き詰めることができるのだが、今はまだ確定された情報じゃない。これについての議論は後回しにしようか。

 

さて、紅茶も無くなったことだし立て札を元に戻して置こう。そう思い、部屋の外に出ようとすると何やら外でガタッという音がした。

俺は小走りで扉を開け、そして見てしまった。

 

「……あのさ、そういうの俺の部屋の前でやらないでくれない?」

「いや誤解だ!誤解だからそんな顔で扉を閉めないでくれ!」

「おぉ〜、あっちナイスタイミングだ!というか流石にこれはりこりんも恥ずかしいかもなのです!くふふっ」

 

何故か仰向けに倒れているキンジとそれにまたがっている何故かミニスカポリス姿の理子を。

追記するとキンジは目を覆うのに失敗して理子の身長と反比例なお胸を掴んでらっしゃる。

ToL○VEるか。

 

 

 

「それで、なんであんなことしてたんだよ?事と次第によってはキンジに武偵三倍刑が適用されてしまうワケなんだが」

「おい」

「分かってるって。大方捜査の報告書を出した帰りに理子と会って俺の部屋に行かないかと誘われて来ただけだろ?」

「……分かってるならあの反応はナシだろ」

「いやぁ、キンジの反応はいつでも面白いからついな」

 

ま、キンジは人がよすぎるから知人から頼みごとをされればグチグチ言いつつも結局断りきれないんだよな。そういう積み重ねで周りから密かに一目置かれるようになってカリスマに繋がるってわけだ、流石正義の味方の一族。本人が無自覚なのもここまでくれば美点だろうか。それなら俺も口を閉ざしておくべきか。

 

「んでそこのミニスカポリス。どうせ事件の追加の資料渡すついでにゲームしに来たんだろ?キンジはその数合わせ。俺はその資料の他にもやることあるからゲームするなら静かにな」

「おっおおー!流石あっち、りこりんが何も言わずともここに来た目的全部分かってるぅ〜!あっちとりこりん、カラダの相性もバツグンかも?」

「お前が来るときは大体ゲームしかしてないだろ。ほら、さっさと寄越す」

 

相変わらずアホなこと言う奴め。これでも必要な情報は粗方持ってこれるんだからまぁ文句は言わんが。あとキンジ、顔真っ赤だなおい。理子は気づいてないっぽいがそんなに過剰な反応してるといつかバレるぞ?俺がいなかった中3の時みたいに。

 

そんな理子は俺に資料を渡したかと思うと俊敏に俺のゲーム庫の中からWiiを取り出してごそごそ。Wiiスポーツを取り出してキンジとやる準備を始めている。よく見れば脇にスマブラまで置いてやがる。いつまでいる気なんだあいつは。ご丁寧にゲームキューブのコントローラまで準備しやがって。

 

とりあえず資料を確認するか。基本的には昼前に受け取った資料と変わりがないなぁ…。被害者の沢村氏の聴取で『武偵殺し』がジャックした車に対して具体的な場所へ行けという指示を出さなかったことも判明してる。暴走オープンカーを操作していたであろう電波の発信源……へぇ、割れたのか。東京メトロ丸ノ内線の赤坂見附駅付近……?永田町の付近で堂々とよくやるもんだ。これだと巧妙に隠されてて監視カメラで映っていてもそれが爆弾のスイッチとはわからんだろうな。

 

それで、暴走オープンカーに鎮座してあったUZIは全部銃検を通してないもの……これはまぁ想定の範囲内かな。

ここまで見て俺はふとキンジ達の方を見る。どうやらボーリングをしているらしい。キンジは7レーン目までで133、理子は……!?5フレームまでで150!?それで6.7フレームにストライクを示すマークが並んでるとかマジかよ…

 

「キーくん弱いのう弱いのう!くふふっ!」

「お前が異常なんだよ!投げてるの全部ストライクじゃねーか!」

「りこりんはプロWiiボウラーなのであります!ぴしっ!はいストライク〜!!」

 

プロWiiボウラーってなんだろうな?宣言通りストライクをとった理子を尻目に見つつ俺は自分のパソコンを起動させる。

 

調べるものは……アンベリール。いつだったかシャーロックが覚えておけと言った言葉。

アンベリールアンベリールっと…出てきた。

なになに、豪華そうな客船が出てきたわけだが……?embellirってロゴが付いているところからもアンベリールってのは客船のことなのか。航行スケジュールとかあるんかな……おお、あるやん。12月24日にイベント会社主催のクリスマス航行があるらしいな。

 

……。

…………。

はっきり言おう。これは明らかにシャーロックが俺に左手の手袋投げ(ちょうはつ)してきている。これを俺が受けるメリットはぶっちゃけほとんどない。何せ奴らの本拠地は俺の推理によれば潜水艦だ。客船1つ沈めるくらい容易くこなすハズ。

 

それにその潜水艦で来るってことはシャーロック単身で来るわけではないということと同義。たのしいたのしいシャーロックとゆかいななかまたちがわんさか出てくると見てまず間違いない。シャーロック自身がそいつらを止めたとしても万が一、いや億が一俺がシャーロックを打倒した時にはそいつらとの交戦の可能性を考慮に入れる必要がある。

 

そのシャーロックを打倒する手段も問題だ。『仮想の未来視』を使って勝ったとしてもそのあとどうやって海から退却するかが問題になってくる。俺は水を操れても水の温度を操ることは出来ない。未来視の弊害で起こるであろうダウン時に無意識下で水流を操作して岸にたどり着こうとしても12月の海だ。岸に着く前に低体温症で死ぬ可能性が高いだろう。

 

だけど。

 

俺はローズリリィの一件の時に夢で出てきたヤツに喧嘩を売ったんだ。ヤツはフィールドを用意して盤上で待ってやがる。なら俺のやることは1つ。

ヤツ(シャーロック)の盤の上に乗って叩き潰してやる。だけど忘れちゃいけないのは俺には護るべき人(レキ)がいる。だから命は担保にしてはならない。

 

さぁて、どうしたものかね。俺はそれとなくWiiボウラーズ(キンジたち)を見つつ問題の多さに1人頭を抱えることとなった。

 

あっ、理子のヤツ最後の最後でミスって(ガターして)やんの。


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