今回は短いけど、結構重要な部分なのかも……?
それではどうぞ!
……まず落ち着け。焦っていては見えてる情報も見落としかねない。
まず状況の整理。部屋にレキがいない。そして書き置き等、所在を示す情報がない。
「なら荷物はどうだ……?」
失礼だとは思いつつ、レキが使っていた部屋を開ける。
……ない。ドラグノフも整備道具も。学生カバンすら残っていない。残っていたのは…いつだったか、レキに俺が買ってやった私服のみ。
俺にはそれがなんとなく、過去のレキ自身との別れのように感じられた。
待てよ、やっとこの間自分の気持ちを整理できたのに。勝手にどっかに行くなんてことはさせない。
俺は急いで自分の装備を整えて、レキの部屋のカードキーを持って自室を出る。今回はG43も持っていくほぼ完全なフル装備だ。理由?……直感だ。
走っている途中、俺は時間が遅いことを自覚しつつも
幸運なことに2コール目で電話が繋がった。
『はい、教務科です』
「その声は高天原先生ですね。……いきなりすいません、探偵科1年明智です。」
『あら明智くん、こんな時間にどうしたの?』
このトーンということは教務科もまだ察知していないな。俺は少し言いたいことをまとめ、伝えるべきことを絞って告げた。
「
一旦止めて本当にそうなのかを考える。この手法はほぼ間違いないハズだ。
「怪人ローズリリィかと」
高天原先生の雰囲気が変わったのを電話越しに感じ取り、俺は続ける。
「今はまだ可能性という話なので女子寮のレキの部屋にとりあえず行ってます。緑松校長に俺ーーいえ、私の捜査参加の許可を取り付けていただけませんか?」
そこまで言うと不意に電話の向こうで人が変わる気配。緑松校長がスタンバイしてたようだ。
「はい、はい。緑松です。これも因果なんでしょうかね、明智君の捜査参加を認めましょう。この事件、まだ可能性止まりなので追加で事件性がはっきりと認められるまで
「はい、ありがとうございます。とりあえずレキの部屋に捜査に入ります。通信は切らずに置いていただけると事件性の有無を判断する一助になるかと」
俺が謝辞を述べ、続けると緑松校長はくっくっ。喉を鳴らしてさも楽しげに笑っている。さすがに今はそんな状況じゃねえってのに。
「見せたまえ、
……うわっ、今すごく背筋がゾワッとした。やっぱりこの人怖えよ。
カードキーを使って中に入る。当然靴はない。でもあいつのことだ、何も意味もなくカードキーを意味深な配置にはしないだろう。
そのまま奥へ侵入していく。一応水分感知を利用しているがこの部屋には俺以外はおそらくいない。
……にしてもよくこんな監獄みたいな部屋で過ごしてたもんだ。ホントにモノがない。
「ま、ないからこうしてモノがあると目立つんだよな」
そう言い、机の上にある包みをひっくり返す。出てきたのは、
ーー曰く、怪人ローズリリィは攫う対象が男なら薔薇を、女なら百合を残していくらしい。
これは、もう確定的なんじゃないだろうか。
俺は写真をとり、
元々武偵高のあるこの場所は2つある
そこから考えると逃げるルートならもう片方の人工浮島、通称空き地島に船や潜水艦を待機させるのが筋道って奴だ。
それに…今なら使えそうな気がする。なんとなく理解できた。なんで今まで使えなかったのか、そして今は使えるのか。
ーー
思えば、先祖の光秀公は『平和な世界』を作るためにこの力を使ったんだったな、これも大切な人を悲しませないためといった所か。その結果が200年を超える戦乱の殆どない時代っていうならすごく誇らしい気がする。
俺は過去の自分との決別という意味も込め、誰もいない部屋で叫んだ。
「俺は……俺はッ!