緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうも乃亞です!
最近忙しくて更新滞りがちです…ごめんなさい
それでは40話、どうぞ!


第40話

どうやら俺はとんでもない雰囲気の奴に求婚されたらしい。いやまぁ、異常な奴が集まりやすい武偵高の中で浮いてるんだから普通じゃねぇのは百も承知だったんだが…

はっきり言おう、これは想定外だ。

 

「なぁ、理子」

「な、何かなあっち?」

「お前、死にたくなかったらガチでバラさない方が良いぞ…いいたい事は、分かるな?」

「う、うん。これはホントにバラしちゃいけない奴だね…」

 

俺と理子は2人して冷や汗をかきながらこくこくと頷きあう。これは間違いなく龍の逆鱗のそれだ。触らぬ神に祟りなしって奴だ。触るどころかグーパンしたような気がしなくもないけど。

 

 

 

理子に口止め料兼巻き込んで申し訳なかったというお詫びを込めて追加報酬を払ってから別れを告げる。こんだけしとけばあいつも有能な武偵の端くれ、ヘタな事はしないだろう。

 

そして俺はまだ調べる気があった理子を帰して依然として情報科棟に残っているわけだが、その理由は大きく2つ。1つ目は先程の通り、これ以上理子にヘタに関わらせるわけにはいかないから。2つ目は……

 

「そう、俺は峰理子のことも調べておく必要があるんだよなぁ」

 

以前少し調べたのだが、理子は経歴の上では一般中学(パンチュー)出身らしい。だが中身を開けてみればどうだ。オタク趣味はあれど、入学試験で俺の背後をとり、オマケに普通に暮らしてちゃ身につかないような情報収集能力を持ってる??いやいや、冗談にしちゃタチが悪い。それに峰って苗字、そうそうあるもんじゃない。ん?星伽って苗字の方が珍しい?それに苗字がない奴も周りにいる?そりゃごもっともだが、だからと言って峰という苗字の珍しさが変わるわけじゃない。

 

というわけでレキのことを調べるのをいい機会と捉えた俺はついでに理子のことも調べることにしていたのだ。その理子にバッタリ出くわすのははっきり言って予想外だったが、レキのことを調べる時間が短くなったのは良いことだと割り切ることにした。

 

俺は入り口に簡易の監視器具を置いて覗かれていないことを確かめ、同時に盗聴器対策として一度身体全体を水で覆って汚れを弾く。コレで身体に盗聴器が仕込まれていないことを確かめられた。

 

「さて、さてさてさてさて。どんな情報が出ることやら」

 

ヘタに武偵高のPCにログを残すのもイヤだし、PCに何か細工されててもいやなので自前のものを2つ広げて作業に取り掛かる。ちなみにレキのことを調べる時には一個しか使ってなかった、理子がやってたしな。

何が釣れるものか?

 

「……うーん?不自然なところがなさすぎて不自然な感じがする…」

 

45分くらいたっただろうか、俺は理子の経歴を漁りながら呟く。俺の直感はあの()()()()()()()()ほどじゃないけどまぁまぁ当たってたんだがなぁ。

俺は趣向を変え、『峰』という家系の方からアタックを試みることにした。

 

「おっ、釣れてきたかな?」

 

検索ヒットに出てきたのは有名だった盗賊一味の1人の女。そういえばこんな盗賊団いたなって感じの。

おって調べて行くとどうやら盗賊団は既に解散、というか中心人物と女が既に他界してるらしい。もう10年以上は前の盗賊団だ、そんなことになるのも自明といえば自明か。そこで俺は新たな発見をする。して、しまう。

 

「……おろろ?」

 

変な声が出たが仕方がない。それだけ驚いたというわけだ。盗賊団の中心人物と女の間に1人娘が出来ていたらしい、年齢は…何事もなく育っていたら俺と同学年。

いよいよ風向きが怪しくなってきたぞ…?

と、そこで消息が途切れている。中心人物が死んだことで記録を取る必要を感じなかったのか、記録は中心人物と女が死んだところで記載が終わっている。

 

だがこんだけ状況証拠が揃ってるならほぼ間違いないだろう。理子自体が何を目的にここ(武偵高)に来てるのかわからない以上、これより先の詮索は無意味だろう。ただ、盗賊の一味の子孫ということだけ頭に入れとく。それで終わりの話だ。

 

「……リュパン家ね〜、厄介な話になりそうな気がするな」

 

 

 

家に帰るとやはりというかなんというかレキはリビングに鎮座している。置き物か。幸福になる置き物なら良かったんだけどな、そんな気配微塵もないぜチクショウ。

 

とりあえずぽけーっとされっぱなしなのもなんか癪に触る。なら、こうしようか。

 

「ただいま、レキ」

「おかえりなさい、零司さん」

「突然だがレキ、今日からお前には料理を作るのを手伝ってもらう」

「……?なぜでしょうか?」

 

当然のように形の良い眉をわずかにひそめるレキ。そんなレキに対して俺は胸を張って宣言する。

 

「一応この状況だけみたらお前は居候だ。そこまではいいな」

「はい」

「俺は居候が俺の部屋にぽけーっと居座ることは許しません。家事の1つでも手伝ってください」

「は、はぁ…」

 

うん、意図の見えない俺の発言にレキは困惑してる困惑してる。珍しい表情を見れて余は満足ぢゃ。

 

「ということで目下一番やってくれると嬉しいなっていう仕事は料理だ。俺が帰るのが遅くなった時、そこから料理を作ると9時とかに食事開始になっちまう。すると必然的に寝る時間が遅くなるから明日に響く」

「その時はカロリーメイトを食べれば」

「禁止といったのを忘れたのかなぁレキさんは?カロリーメイトを食べるのは緊急時のみにしなさい。好きなんだったら無理にとは言わないけど主食カロリーメイトは禁止だ。と、話が逸れたな。どうせお前のことだ、料理とかしたことないんだろ?俺が手伝ってやるから少しずつ料理をすることを覚えなさい。いいな?」

「は、はい…」

「そんじゃやるぞ〜、とりあえず石鹸で手を洗ってこい」

 

よし、一応うまく丸め込んだ。俺の最初の対レキ作戦の1つ、料理を覚えさせることだ。こいつは一般人の日常を知らなさすぎる。そりゃもうびっくりするくらい。というわけで一般人らしくふるまわせて次第に感情を芽生えさせる作戦だ!決してレキの手料理を食べてみたいとかそんなんじゃねぇぞ!

 

……??あれ?なんかこの言い方、俺がレキに惚れてるみたいじゃね?イヤイヤ、そんなわけなかろう。そんな感情は一切、ないだろ?

 

手を洗って戻ってきたレキをキッチンに引っ張り、料理の手伝いをさせる。今日は…そうだな、簡単だしカレーにしようか。

 

「良いか?包丁は刺すように使うんじゃないぞ。やらない人も多いけど料理初心者のお前はまず、まな板を固定させてから使おう。まな板の下に絞ったタオルを敷いてみろ。そんでまな板が動かないか確認だ」

 

言われた通りにレキはやる。どうやら人の話はしっかりと聞いてくれるようだ。

 

それから包丁の向きがどうだの、握り方だの構え方だの…そりゃもう1から100まで基本的な動作を教えていった。

ホントに1から教えた結果、結局食事開始が8時半になってしまったことを忘れてはならない。

 

「「いただきます」」

 

一口食べる。うん、普通のカレーだ。隠し味とか漢方とかそんなん一切なしの普通のカレーだ。美味しいけど。

 

「明日も料理、続けるぞ。継続は力なり、だ」

「はい」

 

ともあれ、なんとかやってくれるようでありがたやありがたや。


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