緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうも乃亞です!
今回から新章、ついに物語が動き出す…?かも
それではどうぞ!


第3章〜全ての始まりは新月の夜に〜
第33話


華龍組征伐を終え早くもひと月と何日かが経った。その間、変わったことも変わってないことも沢山あった。

 

まず変わったことから。まずは公式に二つ名(ダブ)を付けられた後、俺が強襲科(アサルト)の自由履修で銃撃とか格闘戦を練習してる時に見学をする奴が増えた。これはアドシアードの時から若干傾向があったが練習後に技術を教えてくれっていう人が出てきた。流石に一人一人に教える事は出来ないのでキンジや不知火、あるいは理子たちといった以前から面識がある奴だけに限らせてもらった。

 

それに本業の探偵科(インケスタ)でも変わったことがある。以前はSランクとは言え所詮1年、現場に赴いて調査をするというのは2年の先輩たちがメインで俺たちに回ってくることなんてあんまりなかったのだ。しかし、それが二つ名がついて変わった。なんと2年の先輩たちに混ざることもあった。2年の先輩たちも俺の実力を認めてくれたのかはわからないが好意的に接してくれ、現場監督をやるか?などと聞かれたこともあるが流石にそれは先輩たちに失礼だと思い、遠慮させてもらった。

 

あとは…そうだな、キンジとか理子、あるいは武藤あたりから冗談で

 

水君(オーロワ)様!!」

 

そうおちょくられることも増えたな。慣れってのは怖いもので自分でも水君(オーロワ)の明智だ、と名乗ることが恥ずかしくなくなっちまった。とはいえ恥ずかしいしそんな実力なんてないんだけどな。

 

ここまでは変わったことを言ってきたから、次は変わらなかったこと。まずは周りのみんな。周りから引かれたりするのかなと思っていたんだが、全然そんなことなく今までと同じように接してくれる。出る杭は打たれる形式にならずにすんだのは本当にありがたい。

 

その次は平賀さん。二つ名割引とかしてくれるかな…?って聞いてみたけど平賀さんはにっこり一言。

 

「有名になったらお金沢山もらえるのだ!明智君は大口顧客様なのだー!」

 

なんかほっこりした。割引もあるとなお良かったけどな。

 

 

俺が二つ名がつくことで(密かに)恐れていた日常生活の崩壊というものはほぼなく、有り体にいうとやっぱり

「やっぱり俺って日常が好きなんだなぁ」

「いきなりどうした明智?心のそこからの微笑みを浮かべながら」

「なんか物思いにふけってたのかな?明智君らしくないや」

「あー、いやごめん」

 

武偵高自体の異常性はともかく、俺はこうやってキンジや不知火たちと駄弁ったりするのが好きなんだと再確認できた。

 

 

 

「はい、今日は指紋の検出の仕方を学びますよー!」

 

今日は探偵科の授業を受ける。指紋の検出について学ぶようだ。

 

「ではーはい、明智君。指紋検出に用いられる主だった方法を4つ答えてください」

「はい。液体法、気体法、粉末法、光法です」

「正解です、ではその用途の違いを答えられますか?」

「液体法は紙から指紋を検出したい時、気体はプラスチックなどから検出したい時、粉末はガラス製品、光法はビニル製品ですよね」

「素晴らしい!明智君の言う通りです、皆さんも不安がないようしっかり覚えてくださいね」

 

あー怖え、ミスったらめちゃ笑われるでしょこんなの。今はしっかり答えたから良かったけどさ。

その後実際にペットボトルとか拳銃、時計などから指紋を検出して今日の授業は終わりとなった。

 

 

授業も終わり、部屋に帰ろうとしているとたたたっ!とこちらに理子が駆け寄ってきた。

 

「あっち〜!一緒に帰ろっ!」

「ん、理子か。別にいいけど俺は車だぞ」

「むふ〜!つまりりこりん、車で攫われちゃう?きゃー!!」

「その言い方は危ないしなぜ嬉しそうに身をよじる。女子寮まで送ってやるからさっさと乗るなら乗れ」

「なんだかんだ乗っけてくれるあっちかっこいいー!きゃはっ☆」

 

なーにがきゃはっ☆だ。はなっからそれ(乗車)目当てだろうに。俺は仕方なしに理子を乗せて車を出す。

流す曲は…クイーンでいっか、CD入ったまんまだし。そのままボヘミアン・ラプソディが流れ始める。Is this the real life? Is this just fantasy? Caught in a landslide No escape from reality Open your eyes Look up to the skies and see……

 

俺はこの曲結構気に入ってる。入りのピアノのテンポとか聞いてて安らぐ。

 

「あっちってこんなのも聞いてたんだね、ちょっと意外かも」

 

理子が本当に意外そうに言ったので俺もそれに乗っかる。

 

「洋楽も好きだよ俺は。というか理子の中で俺の聞いてる曲のイメージって何さ?」

「そうだねー……嵐とか?AKBとかは興味なさそうかなぁ。後はゲームとかしてるんじゃない?」

「おっ、いいセンいってるぞ。嵐は部屋に一応全部のアルバムと少しのシングルがあるぜ。ゲームも正解だ、とはいえお前みたいなギャルゲーは範囲外だけどな」

「えーなんでよ!面白いじゃんギャルゲー!」

「興味ないなぁ。FFとかドラクエ、あってFate系だ」

「おっ!あっちFate/EXTRA持ってる?」

「おう、一応あるがなんでだ」

「やりたいから貸して!」

「別に構わんが……CCCもつけるか?」

「おうおう!やりたいでござる!」

 

なんだその返事は。ござる口調とかキンジの戦妹の風魔以来だな。

 

「しゃーないな…明日な」

「りょーかい!りこりんうれしー!!」

 

そんなにゲームを借りれるのが嬉しかったのか、ハイテンションになった理子を女子寮前で降ろして俺は自室に向け車を走らせるのであった。

 

 

食事や風呂、日課の黙想を終え、理子に貸すゲームもしっかりカバンに詰めた俺はそろそろ寝ようとしていると、ぴろぴろりんっとメールがなった。

送り主は…レキか。珍しいな、あいつがメールなんて。見るか。

 

『今夜23時に第2女子寮屋上まで来てください』

 

……はい?なんでまたそんなとこに用があるんだってばよ?まー仕方ない、バレたらマズイけど行きますか。

 

 

来いと言われた10分前に第2女子寮屋上に着くとなぜかドラグノフを持ってきているレキは既に来ており、俺が来るとこちらに目を向けた。

 

「おいレキ。こんな時間に呼び出すなんて、どうしたんだよ」

「単刀直入に言います」

 

そう切り出したレキは鳶色の瞳をいつも通りに開きとんでもないことを宣言してきた。

 

「私と結婚してください」

 

………はい?

理解が追いつかない俺に、帰りに聞いてきたボヘミアン・ラプソディが聞こえてきた気がした。

 

Oh baby - can't do this to me baby

……ああ 君がそんな仕打ちをするなんて

Just gotta get out - just gotta get right outta here

……すぐに逃げ出さなくては、今すぐ ここから逃げ出さなくては!


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