緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうも乃亞です!
もう9月ですって、早いですね…
今回で2章は終わりです!そしてそろそろ…ははは()
それではどうぞ


第32話

…チュンチュン、チュンチュン

……ん、もう朝か。今日はものすごくよく寝たな、目覚めが良すぎて二度寝しそうになる。

 

朝ごはんを作ろうと冷蔵庫を見た俺は次の瞬間、しまったっ!と頭を抱える。

というのもどのくらいの期間任務に就いているか分からなかったので任務の前日までに傷みそうな食材を使い切ってしまい、残念なことに冷蔵庫の中はほっとんどすっからかん。これはいけませんねぇ。

 

仕方なく俺は寮の近くにあるコンビニへと足を向ける。すると男子寮に行こうとする1人の巫女服が。というか白雪だな。

 

「おーい、白雪!こんな朝早くからどうしたんだ?」

「あ、明智君。任務終わったんだね、おかえりなさい」

 

白雪はこちらを振り向きニコッと大和撫子スマイル。良妻賢母のタマゴだよな、こいつは。振り向いて分かったけど重箱持ってるし、大方キンジに朝飯渡しに行くとこだろうな。

 

「おう、ただいま。……じゃなくて、キンジか?」

「えっ、あっその…うん。明智君はなんでもお見通しだね」

 

いや誰が見てもバレバレ…って言うのを喉元で飲み込み、俺はキンジがもう帰ってきていることを知る。

 

「なんだ、キンジももう帰ってきてたんだな。心配して損したぜ」

で、と一旦話を切り俺は話を続ける。

 

「どうだ?キンジは振り向いてくれそうか?」

 

そういうと白雪はピクッと背筋を震わせる。あーこりゃダメなやつだ。

 

「あ、いやそのえっと「まだダメか…」…うぅ、はい」

「なんでだと思う?正直俺はなんで気付かんのか分からん、あの朴念仁にはお手上げなんだが…」

「私に魅力が無いからだと思うの…ほらなんというか私って地味、でしょ?キンちゃんは悪くないの、私のアピールが足りないと思うの」

 

いやぁそりゃねぇよ、顔良し気立てよしで性格もよし。身体的特徴…ほらアレよアレ、も高校生のそれじゃないしこうやって朝飯を作ってくれるんだぞ?キンジに問題があるって考えるのが妥当だろ、どう考えても。

 

とはいえ、それを素直に言うのも憚られる。キンジは持病(HSS)のせいで女子の感情とか身体の性質とかそういうの避けてきてたからなぁ。中学の時の保健体育の授業の時とかあいつやばかった。顔真っ赤っかにして……おっと話が逸れた。にしても鈍感の域を超えてる。

 

「そうだなぁ、ぶっちゃけ白雪はどう思う?これをこのまま続けてお前の恋は実ると思うか?」

「わ、私はキンちゃんが楽しいのならそれでいいの。もちろん好きだけどキンちゃんと私のこの世界が続くならこのままでいいの」

 

どんな世界だよそれ。キンジは認知してんのかね、その世界。

 

「ま、とりあえずほどほどにしとけよ。キンジはあんまり甲斐甲斐しく世話されると鬱陶しいって感じるタイプだからな。相談あるならいつでも乗るから。んじゃな」

「ありがとう明智君。明智君は、優しいね」

 

そう言い白雪は微笑みを見せながらもどこか暗い顔をしているのであった。

 

 

 

コンビニに着いた俺は何食べようか考える。妥当なところはパンかおにぎりか。

そう言いパンコーナーを見るとメロンパンの限定品があるのを見つけた。なになに、りんごクリームを入れ、生地にもりんごを混ぜたメロンパン……??哲学か何かだろうか?

気になったのでこれと普通のあんぱん、ついでにブラックコーヒーを購入して食べてみる。

ついでに報告書も仕上げるか。俺は部屋に戻り、パソコンと学生カバンを持って車に乗り込み行儀は悪いがパソコンを打ちながら朝食を摂ることにした。

 

メロンパンの味はこれでもかというほどりんごりんごしていて、りんごパンと言った方が正しいんじゃないかと思った。

 

 

 

報告書をさっさと纏め、久しぶりの教室に着くと周りは一瞬静まりかえり次の瞬間、

 

「明智が帰ってきたぞー!!」

「Sランクの良心が戻ってきた!!」

「「零司様ぁ〜〜!!!」」

 

ドワッと騒ぎ始めた。最後のは聞こえてない。聞こえてないったら聞こえてないからな!!

ちなみにSランクの良心とは俺のことだ。なんでかって?そう以前聞いたら他のやつを見てくれよ、ネクラで昼行灯(キンジ)無口で意思疎通不可能(レキ)、そんでもって任務でほとんど学校いない(マサト)だろ?意思疎通ができるSランクはお前しかいねぇよ。とのこと。納得してしまった俺も俺だがひどくね?

 

「おう、帰ってきたぜ。まだ疲れが取れてないからちょっと静かにな」

 

それだけ言うと俺はしーっと指を当て頼み込む。すると一部の女子が倒れた。意味わからん。

そのまま周りの奴らと軽く雑談をしているといつの間にやらHRが始まる時間に。気づいたらレキも来てるし。

 

「オハヨウ、ワタシノカワイイ生徒タチ。明智クントレキサンハ今日任務カラ帰ッテキタノネ、オカエリナサイ。明智クンハ放課後、ワタシノトコロニキナサイネ」

「あ、ハイ。わかりました」

 

げえっ、また武偵高三大危険地帯、教務科(マスターズ)に行かなきゃならんのか。心労でぶっ倒れてやる。

 

 

「……快進撃を続けていた織田信長ですが1582年6月21日に悲劇が襲いかかります。そう、本能寺の変ですね。……」

 

今は3限の日本史の時間、丁度俺のご先祖様の1人のお話をしているが正直聞き飽きたってのが感想。本家で耳に穴ができるほど本能寺の変の表も()()聞いた。光秀公が信長を裏切った本当の理由ってのもあるが今は関係ないな。表の歴史に出せない理由だし。いずれその時が来たら言うかもな。

 

そう思ってると周りの連中がチラチラこっちを見るので頷き、ご先祖様であることを認める。あー、教務科また行くのか…鬱だ。

 

 

はい、一般科目終わり!日本史の後根掘り葉掘り聞かれたから(差し障りのない範囲で)答えてやった。あいつら教師に聞けよマジで。

というわけで今年もう何度目かわからない教務科棟に俺は来ていた。

 

「1年B組明智零司です。チャン・ウー先生に呼ばれたので来ました」

「ハイ、明智クンイラッシャイ。コッチヨコッチ」

 

声のある方向を見やると高天原先生と(声しかないが恐らくいる)チャン・ウー先生が待っていた。

とりあえず俺はそこに用意された席に座り話を待つ。

 

「明智君、任務お疲れ様でした。教務科(マスターズ)の想定をはるかに上回るスピード解決でした、素晴らしいです」

「ありがとうございます」

 

代表して高天原先生から話を始めたのでそちらに向き合う。何の用だ…?話が見えてこない。

 

「今日はすごーく大切なお話があって明智君を呼びました。明智君になんと、国際武偵連盟(IADO)から二つ名(ダブ)付けを打診されました。非公式(アンオフィシャル)に呼ばれているものから一つ公式(オフィシャル)二つ名を取ることになります。今日はその名前についてです」

 

うっわー、、、そういうことか。中3の時からフランスとかイタリアで打診はあったんだ。そのときは三頭剣(ケルベロス)が嫌すぎて辞退してたんだけどどうやら今回は免れることができないらしい。アドシアードで金メダル取ったのが致命的か。恐らく今回任務に就かせたのもそのため。事件解決という箔をもたせて辞退できない状況に持って行こうという狙い。一杯食わされたな。

 

「はぁ…分かりました、んでその候補は?」

「そうね、三頭剣とかとか青龍剣とか…色々あるんだけど…」

 

そう言い渡したのは一枚の紙切れ。見ると古今東西あらゆる言語で出てくる出てくる。こんなかから選べってか。

 

……うーん、仕方ない。これが無難なのだろうか。

 

「この水君っていうのは?」

「あーそれはフランスからの推薦で水君(オーロワ)って読むらしいですね」

 

オーロワ。大方フランス語で水を意味するeau(オー)と王様を意味するroi(ロワ)の足し算といったところか。もうこれが一番マシに見えてきた。

 

「じゃあそれでお願いします」

「分かりました、国際武偵連盟にはそう伝えておきますね。それにしても15歳で二つ名持ちとかすごいすごい」

「ソウネ、ワタシノカワイイ生徒カラ二ツ名ガ出ルノハスゴク嬉シイワ。明智クン、オメデトウ」

 

表情が嬉しそうな高天原先生と声が嬉しそうなチャン・ウー先生に対し俺はどんより雨模様。本当になんということをしてしまったんだ、俺は…。

帰って引きこもりたいぜ。

 

「あーはい。それで今日はこれで終わりでしょうか?」

「うん、そうね。今日はわざわざごめんね」

「いえ、では失礼しました」

 

そう言い、俺は教務科を出る。何人も俺のこと隠れて見てるが気にしない。一つ言わせて欲しい、今日は厄日か?

 




ということでタイトル回収。水君でオーロワと読ませます。
それではまた次回!

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