緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうも乃亞です!
なんだかんだで30話、でも進行ペースはすごいゆっくり(笑)
いつになったらくっつくんですかね?(オイ

それではどうぞ!


第30話

下見を終えた俺は車に戻り、本当に昼寝をすることにした。疲れを残すのはよくないよ、うん。状況判断鈍るし。

 

 

………。

うー…ん?ここはどこだ?夢の中…なのか?

確かに超能力(ステルス)を持ってる奴はこういう明晰夢なのか予知夢なのかパッと分からないほど鮮明な夢を見ることはあるし、事実俺も何回か予知夢を見たことはある。だけどこのタイミングか…

こういうタイプの夢を見た後は脳が全然休まってないから疲れを取るって目的にはそぐわないんだよな。

 

とりあえず俺は辺り周辺を見回してみる。うーん、どこまで見ても草原しかねぇな。見渡すばかりの草原、絶対に日本ではなさそうだ。木が少ないところからもなんとなく分かる。

俺はとりあえず世界のどこにいるかの大体の判断としてケッペンの気候区分で分類してみる。地理とかで習う、あれだ。日本はCfaだったかの。

 

…温度が分からないからはっきりとは言えないが土の色味や草原が広がっていることから考えてみるとBS(ステップ気候)と考えるのが一番妥当だと判断。異世界とか無しだぜ?マジで。俺の努力を返せってなるからな?

 

にしてもステップ気候か…とすると俺が来たことがほぼない場所となる。ほらヨーロッパって違うじゃん?Cなんちゃらとか北行ったらDなんちゃらとかそんな感じだから、あの辺。

 

例えばアメリカ中部。US(ステイツ)はワシントンとロス、ラスベガス辺りしか行ってないから十分可能性はある。

あるいはモンゴル。ウランバートルくらいしか名前知らん。相撲強いよね、あの国。

はたまたセネガルとかといった中央アフリカ?そうなったらお手上げだ。全く意味が分からない、なんで夢でそんなものが出てくる?

 

下手に落ち着いた分析をしたせいで余計わからなくなってきたぞ…??焦りは判断を鈍らせる。こういう時こそ探偵科(インケスタ)の本領発揮する場面だぞ、明智。しっかりやるんだ!!

 

少しでも情報を得るため、俺は適当に歩みを進める。どうせ夢の中だ、誰も見つからないだろうし見られることもないだろう。そんな考えの俺に転機が訪れる。第一村人の民族衣装を着た女性発見だ。案の定こちらを見向きもしない。そしてその目鼻顔立ちを見て先ほどの候補が一気に絞られていく。

 

第一村人はモンゴロイド、つまり俺たち日本人と近い黄色人種だ。となると先ほどの候補の中で出てくる答えは1つ。モンゴル、これが答えだ。

…答えなのはいいけど何故モンゴルの夢を見る?因果関係が分からない。

 

第一村人のいた場所から500mほど先に集落のような建物が見える。定住する形でなく、移民系なのか簡素な作りだ。近づいてみよう。

 

集落まで100mも無いくらいまで近づいた時、俺は2つの違和感に気付く。というのも()()()()()()()()()()()()()()1()()()()()()のだ。つまり全員女性。狩りの時間だとしても最低限の自衛として1人は残すもんだろうに子供まで女子しかいないなんてのは異常だ。何かがおかしい。

そしてもう1つはその場にはそぐわない恰好、つまりトレンチコートを着た男とその付き添いなのか普通の洋服を着た女子がいて、何やら部族の族長みたいなお婆さん(また女性だ、ホントに男性がいないのか?)ともう1人、こちらは顔が男の影に見えないが、その人となにやら話をしている。

 

何が問題かというと男の方ーー白人痩せ型で、座っているからはっきりとは言えないがスラッとしたというよりはひょろ長いという感じの背、鷲鼻で少し顎が角ばっている。そして何より好奇心旺盛ですよ、といった感じの眼差し。おそらくイギリス系統の人だろうーーあの人からは何か得体の知れない強さを感じる。()()を使っても対等に立てるかどうかって感じな圧倒的な威圧感というかカリスマ性というべきかがあるのだ。

 

夢でよかったと思いつつ、こっそりと聞き耳を立ててみる。

 

 

「……申し訳ないですがお引き取りください。私たち△▽▼はあなたたちを信用することができません。この★○♤はそういった人には渡せません」

「ふむ、まぁそうなるだろうね。致し方ない話ではある。こちらこそ無理を言ってしまったことをお詫びしたい。いやね、性分というものは中々変わるものじゃなくてね。貴方たちが★○♤を持っていると聞いてつい欲しくなってしまったんだ。いや、気にしないでくれ。老いぼれの戯言さ」

 

所々分からない言葉が混ざってくるが基本的にはロシア語と日本語の混ざったような不思議な言語だ。

何かの交渉に男が来て、頓挫したって所だろうか?なにやら大切なものらしいがはっきりしたことは分からないな。

そうしていると帰り支度を終えたのか男と女は立ち上がり出口のあるこちらに歩み寄り始めた。

 

「それでは、また機会があれば会いましょう。ーーーの族長と次代の姫」

男はそこまで言うと一旦言葉を切り、視線をこちらに向けた。……ってはっ?

 

「それに、君もね」

 

そう告げると男は今度こそやることを終えたと言わんばかりに歩き出した。周りの反応からするに男以外は俺を認識していないハズ。逆に夢で見ているに過ぎない俺になぜ気づいた……??

 

俺はそこまで考え、族長と呼ばれた人と次代の姫と呼ばれた人のいる方を向く。……!?どういうことだ?髪の色は今とは少し違うが鳶色の目は……あぁックソッ、夢が終わる。目が、覚めるぞ……!!

 

 

 

ハッとなって目が覚めた。なんだったんだ、あの夢は。女しかいない部族、俺の存在に気づいたかのように話す鷲鼻のひょろ長い男、それに……次代の姫と呼ばれていた…

(あれ、レキだよな…??)

我ながら意味のわからない夢を見た。やっぱり変な予知夢は見ないに限るな。

 

 

結局健やかな眠りを取れなかった俺はとりあえず監視体制に入る19時半まで(なんとあと2時間半、びっくり)食事をとったり、それとなく辺りに気を配りつつ過ごした。夢の内容は気になるけど今はお仕事。分けなきゃさすがにマサトとレキに呆れられる。

 

そして19時半、俺は取り引き現場のすぐ近くに潜伏し華龍組が動き出すのを待ち始めた。

 

「こちら明智、配置に着いたぞ」

『レキです。今確認しました、こちらも配置についています』

『一石だ。明智、レキ2人とも無線聞こえてるな?俺はまだ配置についてはいないが監視体制には入っているぞ』

 

無線もしっかり繋がってるし問題はない。こちらから見えない部分をレキに補ってもらいその情報を元に俺は最適な行動を起こす。うむ、シンプルだ。実にシンプル。

ここはとりあえずご先祖様が言った(とされる)言葉をリスペクトして呟いとくか。

 

「敵は波止場にあり、なんてな」


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