緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうも乃亞です!
前回は零司君の探偵科Sランクとしての技能を全面に出してみたんですが…伝わったかなぁ…
零司君は与えられた情報が間違ってなければそこから推理論断で正しい結論を導けます。仮に間違っていても感情の機微をその行動から相手の嘘を見抜くこともできます。ウワーなにこのチート?
それではどうぞ!


第17話

不知火とキンジが帰った後、俺は色々考えに耽っていた。

金一さんに歯が立たなかったこと。以前見た金一さんとの変化。金一さんが言っていた巨悪。そして「キンジを頼む」の重み。

 

……色々あるけど一つだけ言わせて欲しい。

 

「なんで金一さんまだ帰ってないの?」

 

そう、当然のように病室に金一さんが残っており、なにやら作業をしているのだ。

 

「なんでって、一応治療したの俺だし。そんで病院の個室って静かだから作業の邪魔が入りづらいしな」

 

こともなげに返すけど金一さん、2つ目がメインだろあんた。

 

「そ、れ、に、明智君一つ勘違いしてるから意味があるかは置いて、その勘違いを解消しとかないといけないからな」

 

ん?俺が勘違いだと?

 

「は、はぁなんですか?その勘違いって」当然気になるから聞くけどさ。

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

……はっ?金一さんって18って聞いてた…あっ

 

「言い換えるか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……」

 

あんまりな事実に俺は思考を停止せざるを得ない。

あろうことか俺は金一さんを学年的に言うと2()()()と勘違いしていたようだ。んでホントは3()()()だった。それだけの話。

いや、でもそれじゃ疑問が残るぞ?

 

「高天原先生は金一さんが帰ってこないから代理って…」

 

そう呟いた俺に金一さんは厳然たる事実を述べる。

 

「そうでもしないとお前が参加を辞退しそうだったから、と高天原さんからは聞いてるよ。んでもしも会うことがあったら話を合わせるように、との追加注文つきでな」

 

……!クッソ、高天原先生にハメられた!!

 

「そういうわけだから俺はアドシアードの参加資格はないし明智君は代理なんかじゃない。もっと自分の力に自信を持ってくれ」

 

……そうは言われてもなぁ…探偵科が推理をミス、しかも自分の勘違いが原因なんて恥ずかしくてなんも言えねえ。良いとこねぇなぁ、俺…

というか武偵高の生徒なら制服着るだろ!そこで気づけ!!

 

「あー、はい。完全に俺の勘違いですね…探偵科がこれじゃあなぁ…」

 

なんか今日良いとこ無しだなぁ、俺。

そんなしょぼくれてる俺を金一さんは完全に大人の目で見守っているのであった。

 

 

「…そんで、明日にはもう東京(ここ)出るんですよね?キンジと積もる話は良いんですか?」

「伝えたいことは話したからもう平気だ」

 

 

ショックが未だ抜けきれない俺は少し赤い金一さんにそう聞くと、金一さんは珍しく照れたような顔をして答えた。今の金一さんは、揺らいでいる。これならもう一押しでキンジのとこ行くな。俺なんかの所より、兄弟で話すことがなくても一緒に居られる時はいるべきだ。

 

「弟と時間の限り一緒にいるのは兄の役目ですよ!…そう。兄の、ね?」

 

ここまで言えば俺の事情を知ってる金一さんだ、折れるに違いない。

…正直、怪人ローズリリィに千花が攫われたも俺がその時たまたまとはいえあいつのそばにいてやれなかったからだ。その事は俺の一番の後悔だし、忘れた事はない。だから俺はできる限り自分の友人や知人を大切にし、人の機微を観察することを覚えた。何か異変があったらすぐ対応できるようにと。もう1つ理由はあるが、それは今関係ない話。

 

「わかったよ、俺の負けだ。今日はキンジと色々喋ってくる。思い残しのないようにな。」

 

案の定金一さんは以前赤い顔のまま言って病院の個室を出て行った。

うん、それが兄弟としてのあるべき姿だ。全く、年上に言うことじゃないけど兄弟揃って手が焼ける。

 

 

金一さんが病室から出て行った後、俺は改めて体のチェックをしていた。

すごい勢いでぶっ飛ばされのにほぼ痛みが抜けているのが逆に怖い。これなら明日の昼にでも病室からおさらば可能だろう。というか元々過剰な気もするけどな。

つーわけで今日はもう寝ますか!そう決めた俺は携帯を充電器に刺そうとすると…?ん?メールが来てるな、しかも3通。

 

1通目は…何々、理子からか。

 

『あっちキーくんのお兄さんに負けたってホント!?Σ(・□・;;しかも入院とかどんだけ強いのその人!!( ̄◇ ̄;)明日お見舞い行くから待ってて♫ りこりん』

 

武偵高では噂が広まるのが早いとはいえここまでとは…!やっぱり情報科(インフォルマ)の奴らは敵に回したくないなぁ。

とりあえず『明日はもう退院だからお見舞いはいらんぞ!心配ありがとな!』と返しときゃ問題ないだろ。

 

2通目は…武藤か。無視でいいや。その方が弄りがいがありそう。

 

3通目は…ゲッ、高天原先生だ…さっき判明した事実とか諸々あるから今は顔合わせたくないなぁ…とりあえず開けよう

 

『明智君が金一さんと顔を合わせたと聞きました。恐らく金一さんからも話をしてもらっているでしょうが、明智君はアドシアードのガンシューティングは代理ではなく代表として選出されました。騙したような形になってごめんなさい。

…あと情報はより正確に捉えましょう。そのようなミスを依頼でされてしまうとこちらも貴方も困ったことになりますよ?

それではアドシアード、期待しています。 高天原』

 

ひ…ヒェエッ、怖えよ。『…』そこ入れんなよマジで!!

とりあえず差し障りのないように返さなければ…

 

『返信、遅い時間になり申し訳ありません。探偵科Sランクの評価に恥ない仕事を改めて心がけさせていただきます。ありがとうございます。 明智』

 

よし、こんなもんかな。肝が冷えたぜ。今度こそ寝るか。

そうして俺は救護科(アンビュラス)の意外と快適なベッドでぐっすりと寝いることにした。

 

次の日の12時に救護科棟を出た俺はとりあえず飯確保に動くことにした。武偵病院のメシはマズくてとてもじゃないが食えん。

コンビニに入ると見覚えのある金髪の改造制服が見えた。あれ、理子だよな?

 

「おい、理子。メールありがとな」とゴスロリ制服の背中に声をかけると理子は案の定驚いた。

 

「おぉ〜あっち!ホントに退院してたんだ〜。にしてもりこりんの背後を取るなんてさすがあっち!やるぅ〜!」

 

いつも思うけどお前っていつもハイテンションだよな。時々無理してんじゃねぇのかってくらいこいつのシリアス顔を見たことがない。

 

「つーかお前何買って…いちごミルク買い占めかよ…」

 

かごの中身みてドン引きしたわ。びっしりいちごミルク詰まってやがるぜ?

 

「いちごミルクはりこりんのエンジンなのです!ぶーん!同じようにカロリーメイトはレキュのエンジンなんだって〜、ほらあそこ!カロリーメイトごっそり無いでしょ!多分レキュが買い占めたんだ!」

 

ピシッ!と指差した先にはなるほど確かにカロリーメイトの空き箱だけが残ってる。武偵高は偏食家の倉庫かなんかか?つーかなんでレキのことそんな調べてんだこいつ。

 

「…まぁ、いざという時に行動に支障が出なければいいんじゃないか?俺個人としてはバランスよく食べた方が良いと思うがな」

 

そういう面で見ると理子のいちごミルクは論外だ。レキのカロリーメイトも論外、とバッサリ切るのも可能だがあれってレーションとかにも代用できるんだよな。そこまで考えての事なら長期戦になりやすい狙撃手の考えとしてはアリだと思う。納得はしてないけどな。

 

「りこりんはそこら辺意外としっかりしてるから大丈夫なのです!隊長!」ふーん、見えないところで体調管理はしてんのね。

 

「隊長ってなんだよ。てか理子昼ご飯まだか?なんなら一緒に食うか?」ここで会ったのも何かの縁だし、そう持ちかけると理子はなんか知らんが大はしゃぎ。

 

「あっちと一緒にご飯♫ご飯♫!」

「はいはい、さっさと飯確保するぞ」

 

うわ、めんどくさっ!そう思いつつ、ざるそばを手に取りレジに並ぶとなんかハイテンションな理子はその後ろに並んだ。

そして空き教室で俺と理子は雑談混じりに昼飯を食べたのであった。

 

尚、理子のいちごミルクを一面に並べたカゴを見た店員が顔面蒼白になったことと、俺がざるそばを食ってる横で理子はいちごミルクを5箱空にしその飲みっぷりを見た俺が若干の吐き気を催したことを追記しておこう。


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