今回からアドシアード編です!まぁそんなに話数を割く予定はないですが…
なんにせよ、楽しんでいただければ幸いです!それではどうぞ!
第14話
5月にはアドシアードがある。アドシアードとは世界中の武偵高の一流の生徒が集まり、拳銃の腕や狙撃技術を競ういわば高校生武偵のオリンピックのようなものである。競技でメダルを取ろうものならその後の武偵生活は安泰とまで言われるが、そもそも出場できるのはほんの一握りでしかも精鋭揃い。メダルを取るラインに立つだけでも大変なのだ。
「にしても1年は雑用だろ?嫌になるぜ全く」
この前の決闘から一緒に飯を食うようになった武藤が愚痴る。対していつもの優男スマイルを絶やさない不知火はなぜか俺の方を見る。なんだ?
「なんだよ不知火、言いたいことあるなら言ってくれよ?」
「まぁね、明智君だったら選ばれるかもしれないって思ってただけだよ」
とりあえず聞くと不知火はそんなありえないであろうことを言ってくる。
「バカ言うな、そんなわk『教務科から生徒の呼び出しです。探偵科一年、明智零司君。狙撃科一年レキさん。繰り返します。探偵科一年明智零司君。狙撃科一年レキさん。至急
冗談じゃねぇ!これは何かの間違いだ!そういう目でキンジ、不知火、武藤を見やると全員気分が悪くなる位のきもちの良いスマイルで一言。
「「「行ってらっしゃい、明智(君)」」」
「お前ら後で覚えとけよッ!!」
10分後俺と途中で合流したレキは入学式の時と同じ教務科前に立っていた。
「んじゃまぁ、仕方ない。行きますか」
「……」
レキは相変わらずのぽけーっとした顔。ブレないな、お前。
「失礼します、探偵科一年明智と「狙撃科一年レキです」校内放送で呼ばれたので来ました。」
そう言うとくるり。探偵科の主任で俺の入学試験の時の試験官、高天原ゆとり先生が振り向き一言。
「あっ、いらっしゃい」
この人は基本的に温和で武偵高の良心などと言われているがその実、傭兵出身という噂のある人物である。
「えっとね、明智君とレキさんに来てもらったのは今度のアドシアードの代表をして欲しいからなの。明智君はガンシューティングでレキさんはスナイピングなんだけど、受けてくれないかな?もちろん、勝っても負けても単位は弾みます…でも明智君は単位は卒業分まで揃ってましたね。あとは出場というだけで賞金も出るし、優勝したらさらに貰えますね。で…どうかしら?受けてくれないかな?」
…なるほどね。ガンシューティングもスナイピングも整備不良を除けば自分の身の危険はないし雑用も免れるのか…?
「えっと先生、2点ほど質問がありますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」
ある程度聞かれることは考えていたのだろう、高天原先生はその温和そうな笑顔でそう答えた。
「まず一点。もし俺たちがこれを受けた場合は他の仕事、つまりぶっちゃけ言うと雑用ですね。それはどうなりますか?」
まずはこれだ。高天原先生はニコリ。
「それは大丈夫、1人や2人いなくてもそんなに変わらないし」
そう答えた。つまり雑用は免除、あるいはそれに準じた対応になるのだろう。というかそんなザルで良いのか東京武偵高よ。
「承知しました。それでは2つ目です。なぜ俺たちなのですか?スナイピングの方は分かりませんが、少なくとも俺が出場を打診されているガンシューティングはキン…遠山君のお兄さん、金一さんに出場してもらった方が良いのでは?」
そう、キンジには年の2つ離れた兄貴がいる。名前は金一さん。目の覚めるようなイケメンでジ○ニー○事務所にいても全く違和感のない程の人でヒスったキンジをもってしても「勝てない、俺の憧れだ。」と言わしめる男だ。
その事を聞くと高天原先生は一瞬眉を潜め、次に残念そうな顔をして答えた。
「…明智君は遠山君のお兄さんを知っていたんですね。今金一さんは海外に依頼に出ていてアドシアードまでには帰ってこれないそうなのです。明智君には言い方は悪いけどその代わりの出場ということになります。」
…まぁ、あの人ほどになると海外を飛び回るくらい忙しくなるのは容易に想像がつく。仕方ないか。
「わかりました。俺はその依頼、正直荷が重いですがお受けします。レキはどうなんだ?」
「承知しました。受けます。」
それだけいうとまたレキはぽけーっとひている。よく教務科でそんな余裕な態度取れるな…
2人の答えに高天原先生はホッとしたようだった。
「ありがとうございます。それでは本番までしっかり体調を整え練習をしておいて下さい。期待してますよ」
「はい。それでは失礼します。」
そしてそのまま俺はレキを引き連れ武偵高3大危険地帯、教務科を抜けたのであった。
ホント、どーすんだよこれ。