緋弾のアリア〜蕾姫と水君〜   作:乃亞

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どうも乃亞です!
あんまりここで書くとネタバレになるんじゃないかと思う今日この頃。
ゆっくりしていってね!


第10話

ーーーーガーンッ!ズガガーン!

雷雨降りしきる中俺、明智零司は走っていた。絶対に助ける。その思いだけを強く胸に秘め。やがて辿り着いたのはとあるビルの屋上。そこにいたのは1人の妖艶な雰囲気を醸し出す1人の()()と血塗れで横たわる1人の女の子。

 

「やっと見つけたぞ薔薇百合ィ!早く千花(ちか)を返しやがれッ!!」

 

「日本語名で呼ぶんじゃないわよ。そのまますぎてうっかり切り裂きそう。君は()()()()選ばれなかったし、まだまだ()()()()じゃないね。熟れたら食べに行くよ。それまではこの子は預かろう。じゃあ()()()()()

 

俺は叫んだが、怪人は変わらぬ調子で、ふざけたことを言い、いつ来たのかわからないヘリコプターに乗って飛んでいく。

このままだと千花が!させるかッ!

 

「ゼェァッ!!!」

 

そう叫び俺は水でできた剣でヘリコプターを突き刺し、そのままビルに戻した。

 

「仕方ないね。ちょっとだけ遊びましょう。壊れちゃ嫌よ?」

 

本当に仕方ない、といった調子で怪人が再び現れる。幸い今日は雨で超能力妨害(ステルスジャマー)もない。十全の力を振るえるッ!

と思った瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ふうむ、こんなものか。じゃあ今度こそ行かせてもらうよ」

 

怪人は堂々と背を向け俺から遠ざかっていく。

 

「待て…っ、千花ッ!!」

 

ーーーーズガーンッ!ンバッ!!

残ったのは雷の音と降りしきる雨、そして全身を血だらけになりながら横たわる俺だけであった。

 

 

 

「ーーーーハッ!」

 

久しぶりに朝から嫌な夢を見たな。俺は未だ震える体を無理やり起こし、シャワーを浴びに行くのであった。

明智千花。俺の一つ違いの妹。風を主に操る超能力を持った少女。彼女は俺が8つの時、怪人ローズリリィと呼ばれる犯罪者に攫われた。ローズリリィというのはヨーロッパを主な活動場所とし、霞のように現れ、子供を攫って霧のように消える奴で攫う対象が男なら薔薇を、女なら百合を残していくことからそう名付けられたらしい。

 

中3の時に海外に任務に出た理由の一つにこいつの逮捕があったのだが…未だ攫われた子供達の居場所も、ローズリリィ自身の居場所もわかっていない。攫った子供の生き血を啜って生きているだの、犯罪者に育て上げているのだのという根も葉もない噂が飛び交うくらい欧州では不気味がられていた。

 

俺はこいつを……!!!

 

昼ご飯の時間になっても未だにその夢のことを考えていた。

 

「…智君?明智君!どうしたの??」

気付いたら不知火が俺の前で手をパタパタしていた。

 

「悪ぃ、どうした?」

「いや四対四戦の種目が『毒の一撃(プワゾン)』に決まったから作戦を立てようってずっと言ってたんだけど明智君の反応が帰ってこないから心配してたんだよ?」

 

謝りつつそう聞くと不知火は困り顔でそう答えた。なるほどな、見ると心配そうな顔をしたキンジ、ボーッとしつつもこちらに視線を向けているレキの姿もあった。

 

「あーうん、毒の一撃ね。守りのフラッグに攻撃フラッグを当てたら勝ちの奴でしょ?ならレキが守備で全体の指揮と状況把握の役割を俺、強襲組が攻撃をする。これで基本的には勝てるんじゃない?」

 

と言いつつマバタキ信号で『トウチョウ フタリ オレノ ジシツデ サクセンカイギ ツヅキ』と送ると3人は頷きつつ「それでいいか」みたいなことをつぶやいてその場を退散するのであった。

 

そのまま俺の自室で作戦会議の続きを始めるのであった。

 

「基本的なところはさっきのままだが、守りのフラッグは不知火。お前が持て。ブラフを使うぞ」

「遠山君の方が良くない?Sランクだよ?」

 

説明を挟まず言うと不知火はもっともなことを聞いてきた。「ちょっと待て不知火。俺には荷が重いぞ」

 

当然キンジは突っ込んできたけど今は無視無視。でも不知火の言うことはもっともなんだよな。

キンジはHSSを使えば余裕でSランクに届くが、普段の能力だと贔屓目に見てもB行くか否かくらいなのだ。だがそれを伝える訳にもいかないのでこう説明することにした。

 

「不知火。失礼な話になるかもしれんが俺とレキとキンジはSランク、お前はAランクと評価されている。穴があるとすればお前だ、と敵は考えるだろう。逆に言えば守りのフラッグをお前に持たせるわけがないとそう考えるだろう。だけどお前は一芸特化型のAじゃなく、そつなくこなすバランス型のAランクだ。下手なSランクなら対等に戦えると俺は思ってる。だからこそ、お前に任せるべきだと判断したんだ。やってくれると嬉しいんだが、どうだ?」

 

一応聞くスタンスで言ったが、これなら人の良い不知火だ、断ることは無いだろう。

 

案の定不知火は「あはは、そんなこと言われちゃうと荷が重いな…」などと言っているが受け入れる雰囲気。よかった、キンジのことを伝えずにうまく収まった。そんな目をしながらキンジを見るとなぜかこの策士め、といった調子の目を返された。なぜだ?

 

それから作戦会議は夜遅くまで続き、晩御飯は4人で食べることになり食事を4人分作らされる破目になった。




はい、ということで今回は零司君の宿敵(予定)の怪人ローズリリィさん、妹の千花ちゃんをチラ見せさせていただきました。
一体千花ちゃんは何・ウーにいるのか(棒)
それではここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

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