Fate/Arie night   作:無限の槍製

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今回は同盟回。真琴はどうするのか?


同盟

「・・・・ん?・・・・あれ?」

 

「あ、やっと目覚めた?どう、体動く?」

 

「っ、んああ。なんとかな」

 

現在俺のベッドの上。フランの宝具を解放してからの記憶がない。まあアーチャーが連れ帰ってくれたんだろうけど。なかなか体が痛い。特に殴られたとこ。

 

「無茶はダメよマスター。貴方が死んだら私も消えるんだから」

 

「わかってる。次は気を付ける」

 

アーチャーに怒られる。でもあれはフランの宝具の力が強すぎるのがダメだ。いやフランは悪くない。

 

(おい、なんでフルパワーで宝具やらせたんだ)

 

《あら、怒ってるの?むしろ感謝すべきでしょ》

 

(はあ?)

 

《貴方は切り札を欲した。だから私たちは貴方に宝具を貸した。そして逆転できた。ほら私たちは感謝されるべきなのよ》

 

(まあ、それもそうだな)

 

《嫌なら貴方自身力をつけるのね。きっと次は死ぬから》

 

(なんて不吉な予言だ・・・・)

 

《まあこれはジャンヌ殿の助言のようなものですから。あまり攻めないでください》

 

《ちょっと!私は助言なんてしてないわよ!勝手に言ってると燃やすわよ!!》

 

頭の中で喧嘩が始まった。でもジャンヌの言い分も一理ある。俺自身が力をつければジャンヌたちの力を借りずにすむ。となると特訓か。

 

「なあアーチャー」

 

「ええ分かってるわ。ご飯でしょ。ちょっと待っててねー」

 

「え・・・・違うんだけどな・・・・」

 

『ええ分かってるわ』の時点で少し期待した俺を笑いたい。まああとで話しゃいいか。

 

「あ、そうだ。コレ!」

 

「あ?なにこれ?日記?」

 

「タンスの裏に落ちてたわ」

 

アーチャーは俺に日記帳を渡すと部屋を出ていった。日記はかなり古びている。かなり昔の日記みたいだけど・・・・なんで俺の部屋に?しかもタンスの裏って。いや見つけたアーチャーも凄いな。

 

「えっ・・・・と、聖杯・・・戦争、聖杯戦争!?」

 

それは聖杯戦争の日記だった。書いた人は分からない。あの時みた聖杯戦争の記録と書かれたものとはまた違う。本当の日記だ。

 

 

聖杯戦争一日目

 

今日から聖杯戦争が始まった。教会も開始を合図している。私が召喚したのはランサー。第三者に見られる可能性もあるのでここでは真名は伏せておく。

警戒すべきはアインツベルン。そしてエーデルフェルト。どちらも強敵だ。特にアインツベルンは要注意。

 

 

 

聖杯戦争二日目

 

今日はバーサーカーと戦った。奴の宝具を見るに真名は『ベオウルフ』で間違いないだろう。いきなり武器を捨てて殴りにきたのは驚いた。今回は取り逃がしたが、ランサーの敵ではない。

 

 

 

聖杯戦争三日目

 

ランサーとの話し合いの結果、明日アインツベルンの城に攻め混むことになった。アインツベルンのサーヴァント、アヴェンジャーはかなりの強敵の予感がする。慎重に物事を進めよう。

 

 

 

聖杯戦争四日目

 

ランサーの宝具でアインツベルンの城を粉々にする。しかしアヴェンジャーは出てこない。でもサーヴァントがこの程度で死ぬとも思えない。警戒は怠らないようにしよう。

 

 

 

聖杯戦争五日目

 

やはりアヴェンジャーは生きていた。マスターと一緒に家に奇襲を仕掛けてくるが、『角と尻尾をもったサーヴァント』に倒される。アヴェンジャーがとてつもなく弱いのか、それとも自称『アイドルのサーヴァント』が強すぎたのか。ともかくアイドルには要注意だ。

サーヴァント残り6騎(ランサー、セイバー、アーチャー、アサシン、バーサーカー、アイドル?)

 

 

 

聖杯戦争七日目

 

聖杯戦争が始まってから一週間が経過した。アイドルのサーヴァントは『エリザベート・バートリー』ということが判明した。まさか一度の聖杯戦争で『エクストラクラス』が二体も現れるとは。しかもアイドルって・・・

 

 

 

聖杯戦争十日目

 

聖杯戦争もそろそろ正念場だ。残りサーヴァントは3騎。ランサー、アーチャー、アイドルだ。明日アーチャーとアイドルが激突するのは分かっている。決着をつけるならそこだ。

 

 

 

「アイドルのサーヴァントって・・・・そんなのありかよ」

 

「でも第三次聖杯戦争は戦いの最中、聖杯が破壊されて無効試合になったのよ」

 

「聖杯が壊された?じゃあなんで今聖杯戦争が行われているんだ?」

 

「聖杯戦争にはね、小聖杯と大聖杯があるの。壊されたのは小聖杯。でも大聖杯が存在して、小聖杯が用意できたら聖杯戦争は続行できるの」

 

「つまり『賞品が用意できてたら、イベントは行える』って感じか?」

 

「おおざっぱに言えばね」

 

アーチャーの用意してくれたご飯を食べながら日記の内容を確かめる。書かれていたのは最初の数ページ。そこからずっと書かれていない。ランサーのマスターが死んだのか。それとも聖杯戦争がその時に終わったのか。

 

「なあアーチャー。ここに載ってるサーヴァントの真名、全部わかるか?」

 

「少しはね。ランサーは『カルナ』、アサシンは『ハサン・サッバーハ』、あとはそこに書いてる。セイバーとアヴェンジャー、アーチャーは分からないわ」

 

「カルナ・・・・インドの神話の大英雄だな。たしかマハバラータ?」

 

「マハーバーラタね。マスターは神話について少しは分かるの?」

 

「少しだけな。本がいくつかあるだけだし」

 

そういえば俺の頭の中のやつらも英雄だ。やっぱりあいつらの力を借りるにあたって、少しでもあいつらのことを勉強すべきだな。

 

「ごちそうさま。美味しかったよ。弁当もな」

 

「そう?それはありがとね」

 

「まあ、話しは変わるけどさ」

 

「同盟のこと?それとも特訓のこと?」

 

「両方だ。同盟の件はアーチャーの意見も聞いとこうと思って」

 

「そうね。遠坂凛との同盟は組むべきと思った。でもそれ以上にランサー陣営が魅力的なのよね」

 

確かに、遠坂とバゼットさんなら圧倒的に格闘センスはバゼットさんの圧勝だろう。でも魔術限定の勝負なら遠坂に分があるだろう。

バゼットさんは『言葉で話すより、拳で分からせる』人だ。

対する遠坂は同学年だし顔見知りだ。それなりに上手くいくだろう。でもやっぱり、

 

「俺は魔術は全くだしな。そうなると格闘限定になるわけだが・・・・そう考えると」

 

「『遠距離と近距離(遠坂凛とマスター)』と『ダブル近距離(バゼットとマスター)』に別れるわね」

 

「それも同盟を組めればの戦法だ。遠坂は向こうから言ってきたからあり得るけど、バゼットさんの方はコッチから提案をしに行くことになる。うーーーん、困った」

 

ここはやはり向こうから言ってきた遠坂と組むべきか、そう思ってると、

 

「すいませーん!真琴君いますかー!!」

 

「「!?」」

 

この声には聞き覚えがある。今日の敵は忘れない。この声は間違いなくバゼットさんだ。

 

 

「同盟ですか?」

 

「ええ、今日の真琴君を見て確信しました。君はまだまだ成長しがいがある。だから私が鍛えます。だから同盟を組みましょう」

 

「いやいやいやいやちょっとまて!そんな理由で!?」

 

「勿論それもありますが。この同盟を提案したのはランサーです。ランサーはそこのアーチャーが気に入ったようで」

 

「あら?やっぱりお姐さんの魅力に負けたのかしら?」

 

それは違うと思う。きっとバゼットさんも考えている。

 

「こっちも同盟を組みたいのは山々なんだけど、実は先約がいて」

 

「先約?遠坂凛ですか。彼女なら衛宮士郎と同盟を組みましたよ」

 

「ええ!?結局衛宮と同盟組んだのかよ!てかなんでしってんの!」

 

「大声で話していたので外まで聞こえました。『狩野君とも同盟を組みたいけど、それは後回しよ』とか」

 

「マジかよ・・・・あとに回されたのか・・・・」

 

となるともう答えは決まってる。

 

「なら組む。バゼットさんとの同盟」

 

「本当ですか!ありがとう真琴君!」

 

バゼットさんは笑顔になる。おいおい可愛いじゃないか。バゼットさんは満足したのかそそくさに家を出ていった。とある約束をして。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・・」

 

学校でのアーチャーの言葉を思い出す。

 

『これがお前の取り柄だ』

 

そしてアーチャーはあの言葉を言った。

 

「『投影、開始(トレース・オン)』」

 

じいさんには『役に立たないから別のにしなさい』なんて言われたっけ。でもその役に立たないものを使って、アーチャーは戦った。恐らく何回も投影したのだろう。でなければ贋作であそこまでの強度を誇るのはおかしい。

 

「ーーーーっ!」

 

久しぶりにしたためか、それともイメージがあやふやなのか。投影が安定しない。これじゃあライダー、アヴェンジャー対策に折角遠坂と同盟を組んだのに足を引っ張ってしまう。

 

「シロウ、ここにいたのですか」

 

「ん?ああ、セイバーか。どうかしたのか?」

 

「いえ、ただ何処にいるのかと。なるほど、ここはシロウの鍛練の場所なのですね」

 

鍛練の場所。確かにここにいると落ち着く。だからここで魔術の特訓をしている。そういう意味では道場よりも付き合いが長いかもしれない。

 

「邪魔をしてしまいましたね。どうぞ続きを。ですがシロウは超人ではない。無理に鍛練をし続けてはいけませんよ」

 

「ああ、適当に切り上げるよ。明日も学校があるからな」

 

「はい。ではおやすみなさいシロウ」

 

「おやすみセイバー」

 

セイバーは土蔵を出ていった。セイバーが無理をしないためにも俺が力をつけなくちゃな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「士郎は?」

 

「はい、土蔵で鍛練を」

 

「そう。もう夜中なのに遅くまでご苦労だわ」

 

サクラから聞いたがシロウはよく夜遅くまで土蔵にいるらしい。恐らく、いや確実に魔術の鍛練をしているからだろう。

「夜中まで起きているのは君もだろ凛。早く寝なさい」

 

「あんたは保護者かっつーの。おやすみなさいセイバー、アーチャー」

 

「おやすみなさいリン」「おやすみ凛」

 

リンは同盟を組むにあたってこれからしばらくの間ここに泊まるらしい。反対するアーチャーを押しきったリンはすごいと思う。

そして今は私とアーチャーの二人で居間にいる。

 

「君は寝なくてもいいのかセイバー」

 

「サーヴァントに睡眠は必要ありません。マスターを守るのに、サーヴァントが寝てしまってはもとも子もない」

 

「といっても・・・・君はそれが必要じゃないのか」

 

「・・・・そういう貴方はどうなんです」

 

「なにがだ?」

 

「リンにまで嘘をついて。このまま嘘で突き通すのですか!」

 

「・・・・勘のいい彼女ならすぐに私の真名に気づくからな。出来れば終わるまでバレない方がいい」

 

それはつまり嘘を突き通す。そういう意味だ。

 

「ともあれ、私がこの聖杯戦争ですることはひとつだ。その邪魔をするならセイバー、君だろうと容赦はしない」

 

「・・・・アーチャー」

 

アーチャーは部屋を出ていった。リンをここに泊めるのを反対したアーチャーだ。次会えるのは明日以降だろう。

 

「過去の自分を殺したところで、貴方は消えない。既に『座』にいる貴方は消えはしない。でも、それを知っていてもやるのでしょうね。それがただの八つ当たりだとしても」

 

一人呟いて、私は部屋に戻った。




真琴×バゼット、士郎×凛。かなりの激戦?
この物語の聖杯戦争は『第三次聖杯戦争でアヴェンジャーが五日目に敗北』することでこの第五次聖杯戦争になります。

次回はアサシン、ライダー、ランサーの話です。

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