Fate/Arie night   作:無限の槍製

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今回はアーチャーVSライダー!アヴェンジャーもちょこっとだけ!


壊れた幻想VS静止した世界の救世主

「あきれた・・・・今聖杯戦争中って分かってるの?」

 

「それくらい俺だって知ってる。でも学校にセイバーを連れてくるわけにはいかないだろ」

 

「だったら学校を休むとか、いろいろ方法はあったはずよ?」

 

今日の授業を終えて家に帰ろうとしたとき、遠坂が俺を呼び止めた。多分俺が学校にセイバーを連れてきていないことに怒っているみたいだ。

でもセイバーは『霊体化』が出来ないらしい。だったらセイバーが学校に来るのはムリだと判断した。でもそれがこんなことになるとは・・・・

 

「とにかく、私はそんな生半端な覚悟で聖杯戦争に参加していることが許せない」

 

「生半端ってな、俺は真剣に『聖杯戦争を止めたい』んだ。生半端な覚悟で来るわけがないだろ!」

 

「いいえ半端よ生半端よ!それこそどうするか考えておきなさいよ!」

 

遠坂は俺に指先を向ける。でもここは学校だ。しかも夕方。これじゃ人目に、

 

「周りを見てみなさい」

 

「誰も、いない!?」

 

「そりゃ新都には連続殺人鬼、通称『冬木の切り裂きジャック』がいるのよ?部活はしばらく中止。当然学校には人がいなくなる。いるのは私と衛宮君、それと一部の先生ぐらいでしょ」

 

「それでも誰かにバレたら!」

 

「少人数なら私が暗示でもかけとくわよ。少しは自分の心配をしなさい」

 

遠坂の指先から紫の魔力の塊が放たれる。それは俺の目の前に着弾する。今のは威嚇射撃だ。次はない。

 

「くそ、こんなところで!」

 

一気に階段を飛び降りる。また飛び降りる。繰り返していく度に衝撃が走るが、

 

「コラーー!!待・ち・な・さ・い・よ!!」

 

気にしていたら死んでいる。

 

(こうなったら防御に転じる!)

 

一階の教室に入り机を盾がわりにする。勿論これだけだったら俺は死ぬ。だからこその『強化』の魔術だ。

 

同調、開始(トレース・オン)ーーーー!」

 

机を強化して一時的な盾にする。これでいつまで防げるか。廊下で足音が止まる。どう考えてもこの教室の目の前だ。

 

「衛宮君、今おとなしく出てくるなら、少しだけですむわよ?」

 

いったい何が少しだけですむって言うんだ。

 

「・・・・そう出てこないなら」

 

(くる!)

 

「え、ちょ!アーチャー!!」

 

(??どうした?)

 

遠坂は教室を襲撃しなかった。いや出来なかった。突然の来訪者のせいで。

 

「ーーーーー!」

 

教室の壁を壊しながら突っ込んでくる二人の男。

一人はアーチャー。もう一人は紫のライダースーツの男。多分サーヴァントだ。

 

「凛!衛宮士郎を連れて下がっていろ!」

 

「分かったわ!衛宮君こっちよ!」

 

遠坂に連れられるまま教室の窓から外へ出る。ドスンと重い音をたてながら外へ脱出するが、

 

「ーーーーー!!」

 

「くっ!」

 

今度は教室そのものを破壊しながらアーチャーが飛ばされてくる。無論吹き飛ばしたのは紫のサーヴァント。

 

「遠坂、あれもサーヴァントなのか?」

 

「ええ、ライダーのサーヴァント。向こうから仕掛けてくるとは思わなかったわ」

 

「これは俺の独断だ。マスターはまだ戦う覚悟が出来ていないからな」

 

ライダーが瓦礫を踏み砕き(・・・・)ながら外へ出てくる。当然ながらそれはサーヴァントである証拠。

 

「ほう、お前のマスターは臆病者と見える」

 

「卑怯者よりかはマシだろう」

 

アーチャーは夫婦剣を構えながら立ち上がりライダーに剣先を向ける。あのアーチャーをここまで推しているあいつは当然ながら強敵だ。ここはセイバーを呼ぶか?

 

「衛宮君。折角だから、ここでアーチャーの実力を見せてあげるわ。アーチャー!!」

 

「まったく・・・・そこの小僧に見せるものなどないのだがね。マスターのオーダーなら仕方ない。よく見ておけ衛宮士郎。これが『お前の取り柄』だ」

 

そこから先はまさに『光速』の戦いみたいだった。アーチャーはライダーの背後に一瞬で回り込み切りつける。でもライダーもそれに反応し体を反らすことで回避する。

 

「ーー、ーー!」

 

「・・・え?」

 

その詠唱は俺は聞いたことがある。いやそれは俺の言葉(・・・・)だ。何でアーチャーが?でもその疑問はあっという間になくなる。

 

アーチャーの回りに剣が出現しライダーを襲う。ライダーはそれら全てを徒手空拳で払い除けていく。これがサーヴァント同士の一対一。セイバーとランサーの時はよく覚えていない。ごめんなセイバー。

 

「なるほどな。これがお前の『取り柄』か?」

 

「何故そうなる?」

 

「さっきお前はそこの小僧とやらに『お前の取り柄』と言った。それはアーチャー(お前)の『取り柄』だからこそ見せれるものだろう。違うか?」

 

「ふむ、確かに見事な推理だ。誘導尋問のスキルでもあるのかね?」

 

「確かに、生前は警察関係の仕事に関わっていた。が俺は『吐かせる』のではなく『倒す』のが主な仕事だったが」

 

警察関係の英霊?それこそ『警察』が出来たのはだいぶ昔だけど、警察に『近い』仕事ならそれよりもっと前から存在する。むしろそっちの方が英霊になるような人物は多いんじゃないか?

 

「警察関係か・・・・それこそ調べればいくらでも情報が出てくるぞ?」

 

「無駄だ。俺の事はこの時代では誰も知らない。俺に近い存在はいるがな」

 

「近い存在だと?それも警察か?」

 

「いいや違うな。まあ俺の真名を教えてやっても構わないが・・・・名乗る必要はないか。これから倒される相手に」

 

ライダーは『ベルト』を自分の腰に巻き付ける。それはヒーローベルトのようなオモチャみたいなもの。でも何となくわかる。あれはきっと宝具。

 

静止した世界の救世主(チェンジ・ザ・ドライブ)

 

ライダーの姿が変化していく。まさにヒーローのように『変身』している。遠坂もアーチャーも驚いている。

 

「少しヒントをやろう。俺は都市伝説の一つだ」

 

「都市伝説・・・・ライダー・・・・ベルト・・・そうか!」

 

「アーチャー!敵の真名が分かったの?」

 

「大方の予想はな。悪いが凛、この勝負負けるかもしれん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

まさかあの存在が英霊になるとは。いや彼らならライダーの英霊として呼ばれる可能性はゼロではない。

 

「ひとっ走り付き合ってもらおう」

 

ライダーが突っ込んでくる。そのスピードはさっきの比ではない。間違いなくあのベルトは宝具。全体のステータスの上昇があの宝具の力。この力に対抗するには・・・・

 

「はあっ!」

 

ライダーに莫耶を弾かれる。剣はそのまま木に突き刺さる。

 

「(なるほど、この手があるか)凛!別に、ここら一帯を吹き飛ばしても構わんのだろう?」

 

「ええいいわ。事後処理なら綺礼に任せたらいいんだから。それにもう吹き飛ばしたでしょ!」

 

確かに。だったら構わんな。ライダーの技量なら十分に可能な攻撃だ。さて、少しばかり手伝ってもらおう。

 

剣を連続で投影していく。その度に剣は弾かれ木や地面に刺さっていく。飽きることもなく、止まることもなく、魔力が限界に近づくまで、剣を振り、剣を投げ、剣を作る。この作業の間に凛は衛宮士郎を連れて退避している。これで遠慮なくできる。

 

「さてライダー、ここで問題だ。何故私はお前に剣を弾かれても諦めないと思う?」

 

「さあな。ただ単に諦めが悪い、とも思えん。この作業に意味があるんだろ?」

 

「そうだ。ここで私の切り札を特別に見せておこう。もっとも全てのサーヴァントが行える切り札。お前を倒せるとは思えんが、それなりのダメージはあるだろ」

 

弾かれた全ての剣の魔力を増幅させる。この時ライダーは気づいていたのか、それとも気づいていなかったのか分からない。それでもライダーが、

 

「弾けろ!壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

爆炎に包まれたのは事実だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

学校の雑木林が火の海となった。アーチャーが弾かれた全ての剣を爆発させたのだ。弾かれた剣の数、約50。流石にライダーも、

 

「って!なんで生きてるのよ!」

 

「当然だ凛。奴の真名は『仮面ライダー』。この日本、いや世界中で都市伝説として日々悪と戦う正義の味方。私のような贋作の攻撃が通用するはすがない。なにせ仮面ライダーなのだから!!」

 

「なんか楽しそうねアーチャー・・・・」

 

でも名前ぐらいなら聞いたことがある。仮面ライダー。全国の人間に聞いたら九割の人間が知っていると答える存在。都市伝説のクセにとんでもない知名度をほこる。まさか聖杯戦争に参加してくるとは。

 

「遠坂、俺のセイバーを呼べば」

 

「確かに、セイバーならライダーと中々対等に戦えるでしょうね。でもあのライダーの宝具が一つとは思えないの」

 

本来ライダーのサーヴァントは数多くのスキルや宝具を所持している。当然このライダーも三つぐらいはもっているはず。仮面ライダーとなれば尚更多い。そんな相手の事がよくわかってない状況で衛宮君のセイバーを呼ぶのはよくない。

 

「アーチャー!ここは撤退よ。ライダーを撒いて」

 

「了解した」

 

アーチャーは弓に矢をつがえる。引き絞り放った矢は真っ直ぐライダーに向かって、

 

「ーーーーーー」

 

「何!?」

 

行くまえに撃ち落とされた。それはアーチャーの矢と同じものに。犯人はすぐに分かった。アーチャーとライダーの間に降り立つ一人の女性。間違いなくサーヴァント。

 

「サーヴァント、アヴェンジャー」

 

「何?アヴェンジャーだと?」

 

「珍しい奴がきたな」

 

「なんだ遠坂。あのアヴェンジャーって珍しいのか?」

 

「珍しいもなにも、今までの聖杯戦争では一度しか召喚されていないエクストラクラスよ。ぶっちゃけ激レアってとこね」

 

でもそんなサーヴァントが来るなんて。今回の聖杯戦争は何だかおかしい。

二人のアーチャー

エクストラクラスのアヴェンジャー

クラスの重ねがけ

いやクラスの重ねがけはまだアインツベルンが何かしたと考えるべき。何でもやりかねないし。でも二人のアーチャーはあり得ない。どっちかが嘘をついている。

 

「ライダー・・・・いやお前ではない。奴がそんな姿をしていたとは思えない」

 

「奴?俺を誰だと思っていた」

 

「お前には関係ない。アーチャー(お前)にもな」

 

「まさか赤原猟犬(フルンディング)を撃ち落とすとはな。それがお前の宝具か?」

 

それとはアヴェンジャーの手に握られている拳銃のことだろう。確かに撃ち落としたのだから拳銃が順当だ。

 

「そうだな。それは答えておこう。確かに撃ち落としたのは私だ。まあ殺したのは(・・・・・)、お前の宝具だがな」

 

「殺したのは?」

 

「質問はここまでだ。いずれ殺す。奴を殺すために」

 

アヴェンジャーは姿を消した。霊体化したのだろう。ライダーも変身を解いて元の人間の姿に戻っている。

 

「どうやらここまでのようだ。警察も来たことだしな」

 

確かに遠くからパトカーと消防車のサイレンが聞こえる。ここにいたら私たちも不味いわね。

 

「アーチャー、帰るわよ。見つかったら面倒だわ」

 

「そうだな。さっさと帰るとしよう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アーチャーは遠坂を連れて跳んでいきながら帰っていった。ライダーもバイクで帰っていった。そして俺は思った。

 

「あれ、もしかしなくても・・・・置いていかれた?」

 

その日、今だ経験のしたことのないスピードで家に帰った。




ライダーは『仮面ライダー』の誰か。まあわかる人は分かるヨネーーー・・・・アヴェンジャーはかなりの強敵の予感?

次回は戦闘なし!今はこれしか分からん!

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