Fate/Arie night   作:無限の槍製

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今回は短いです。久しぶりだよこんなに短いの。


最終決戦 途中休憩

「………腹減ったな……」

 

もう夜の10時か……あの後の記憶がないとなると、まあぶっ倒れたんだろうな。それにしてもこんな包帯グルグル巻きの半ミイラ状態になるとは。

隣には布団が2つ。1つはバゼットさんが寝ている。もう1つに人はいない。多分衛宮のだろうな。

 

「起きてるのかあいつ」

 

起きて居間に向かう。案の定衛宮は起きていた。包帯姿が痛々しい。てかさっきのバゼットさんシャツはだけてエロいかった。

 

「おはよう真琴」

 

「早起きだなお前。いや俺がずっと寝てただけか」

 

「そんなことはないぞ。俺もさっき起きたばっかりだし」

 

「あれサーヴァントたちは?」

 

「なんでも別室で作戦会議だって」

 

アーサー王にナーサリー・ライム(アルジュナ)、ギルガメッシュ……なんともカオスな作戦会議だ。

 

「ほれ、今はそんなに食べれないだろ」

 

「鮭茶漬けか……悪いな衛宮、いただきます」

 

「どうぞ召し上がれ」

 

鮭茶漬け。誰でも作れそうな料理だが意外と奥が深い料理、ってアーチャー言ってたかな。バゼットさんの館にいた頃はアーチャーがよく特訓終わりに作ってくれたよな。

 

「……ごちそうさん。うん、美味かったよ。家庭の味っていうのか?」

 

「それはどうも。よく自分でも夜食で作るからさ」

 

「そうか…いやー美味かった。美味かったんだが……机にこれがなかったらもっと良かったんだがな」

 

机の上にはアサシンの拳銃。いやまあ俺が取ったんだけど、それでも飯時に机にある物じゃないよな。

 

「ああ、悪い。って言っても誰に返せばいいんだろうな」

 

「……あの性悪女には渡せないだろ」

 

「そうだよな。でもこれはアサシンの物だし」

 

「だったらあの野郎を倒すしかないだろ。勝算は低いけどな」

 

遠坂とフェイカー、イリヤは俺たちを逃がすために残ってくれた。あいつらがいつまで戦えるか分からない。最悪なことを考えると俺と衛宮、セイバーにアーチャーとギルガメッシュの五人で戦わなくちゃならない。

そしてこの中で戦力にならないのは俺と衛宮……いや俺のほうが戦力外か……衛宮は自分の力をあそこまで解放出来たってのに。俺は皆んなの力を借りないと戦えない。

 

「勝算は低くてもやるしかない。だろ?」

 

「お前ならそういうと思ってたよ衛宮」

 

せめて……俺自身の魔術が使えれば………

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「結界、張り終わったわ」

 

「ご苦労だったな弓兵」

 

帰ってきたアーチャーを労うギルガメッシュ。本当に十年で何があったんでしょうか。

 

「して貴様の結界とやらは奴が攻めてきて何分稼げる」

 

「うーん、まああいつが自分の名前を思い出すまでは時間が稼げる。でも今の私じゃそれが限界。本当の『名無しの森』なら次第に記憶がなくなって存在が消えるけど……今の状態じゃせいぜい名前を忘れる程度」

 

結界を張る前にアーチャーが言っていたが、名無しの森は入った瞬間にまず自分の名前を忘れる。

次に全ステータスが3ランクダウン。この時点でユスティーツァを袋叩きに……出来れば良いのだが。

因みに私たちはアーチャーに少し結界を弄ってもらい名前を忘れること、全ステータスの3ランクダウンは免れている。それはシロウとマコトもだ。

 

「まあこの名無しの森は固有結界とは似て異なるものだから、暴れたら速攻で壊れるわ」

 

「では名を思い出さずとも結界からは出られると」

 

「そういうことね。だからハッキリ言ってこれは逃げる用の結界よ。ただの時間稼ぎ。一応なかなか壊れないように補強はしてるけど」

 

「構わん。第一奴がここを攻めるとも限らん。もしかすると大聖杯のところに行くかもな」

 

大聖杯。ユスティーツァはそこから来たとギルガメッシュが言っていましたね。となると家に帰って休憩をすると。我々と戦うことは楽なことかもしれぬが、それでも疲弊しているのは確実だろう。

 

「……ねえ英雄王さん?」

 

「なんだ弓兵」

 

「なんでセイバーは……さっきから寝転がって黙りこくってるのかしら?」

 

「英気を養うため……らしい」

 

なんだか二人の視線が痛い。『あれ?なんでお前そんなに偉そうに寝転がってるの?』という顔だ。よく私もマーリンに対してそんな顔をしましたね。

しかし、これは必要なことなのです。宝具を全解放するためには少しでも英気を養うしかないのですから。

 

「これが騎士王とは……他の円卓の騎士に見せてやりたいものよな」

 

「案外皆んな知ってるかもよ?」

 

「なるほど」

 

何故二人とも意気投合したような顔をしているのですか!私がこうして黙っていることしかできない状況を遊んでいるようにしか見えません!

 

「………!奴め動き出したか」

 

「しかもこの方向……」

 

「大聖杯か…奴も英気を養うつもりらしいぞセイバー」

 

「そのようですね。ではこちらも動きますか」

 

武装を展開し外へ出る。外は既に暗闇に包まれている。街灯と月の光、黒い流星が見える。リンにアーチャー、イリヤスフィールは無事でしょうか。

 

「ふむ、あの三人は死んではいないようだが……戦線には復帰できんぞ」

 

「それじゃあ私たち五人だけ?」

 

「いいえ、この際マスター二人は置いていきます。向こうが寝床に帰っているならこちらにも出来ることがあります。それもマスターがいないことで出来ることが」

 

「まさかセイバー、特攻でもしようっての?」

 

「それは最後の手段です。これから全額勝負なんですから、マスターを気にしては戦えないでしょう?ただそれだけです」

 

「……貴様がそう言うなら、そう言うことにしておこう」

 

「素直じゃないんだからセイバーは」

 

お見通しですか。そう、これ以降は彼らに戦わせるわけにはいかない。二人の未来をここで終わらせるわけにはいかない。

 

「では行くか……準備はよいなセイバー、アーチャー」

 

「勿論です英雄王」

 

「こっちもいけるわよ英雄王さん。そっちこそ運動不足で屋根の上で滑らないでよ?」

 

「戯け、我がそのようなことあるわけなかろおおおおお??!?!」

 

「言っているそばから……」

 

「こんな調子で大丈夫でしょうか……」

 

さあ、最後の戦いの始まりです。




マスターを置いてサーヴァントだけで決戦に向かう。今までこんなことあっただろうか?いやない筈だ。多分!いやあったのかな?分かんねえや。

次回から最終決戦・最終局面です。いや前から最終決戦とか言ってますけどぶっちゃけここからが本当の最終決戦です!

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