あと謎のヒロインXオルタ……なんかSAOのシノンに似てるよね!!
「がはっ!」
また双剣が砕かれる。これで68本目。俺の投影はそんなに脆いのか?いいや強度ならオレと一緒だ。
「く…くそっ」
「シロウ!!」
まさか彼奴がここまで強くなってるなんて。まさかセイバーまでやられるなんて。これも内に潜む聖杯の泥とかと言う力か。正直、これほどなんて思わなかった。
「もう終わりか衛宮士郎。私を止められるのはお前だけだぞ」
「だったら、俺に倒されろよアーチャー」
今のアーチャーは左半身が黒く染まり、紅い外套は右腕だけとなった。左目も焦点があっておらず、髪の毛の一部は赤く染まっていた。つまりいつものアーチャーとは違う。それが一目でわかる姿だった。
だいたい武器もおかしい。奴が持っているのは日本刀にも洋剣にも見えない。どのカテゴリーにも入らない一本の剣。それにセイバーは負けたのだ。
「だいたいなんなんだよその姿。それも宝具なのか」
「親切丁寧に貴様が固有結界を張った後に、しかも真名解放までしてから発動してやったというのに」
「俺にはいつもの詠唱にしか聞こえなかったぞ」
「そうか、なら声が小さかったとみえる。すまなかったな。それは私の責任だ」
一々癪に触ることばかり。どうやら俺をイラつかせるのは得意中の得意らしい。今に分かったことじゃないが。
「
「リミテッド……」「ゼロ、オーバー……」
「このクラスになってから発現した新しい宝具だ。本来英霊になってから宝具を覚えることなどないが、私の場合はどうもおかしくてね。こうして発現したのだよ」
だったら俺にできない道理はない。英霊エミヤにできて、俺にできないことなんて。
「貴様では不可能だ。これは言わばセイバーとの繋がりを断ち切った後に手に入れた力だ。今現在セイバーと繋がりを持っている貴様ではこの力、固有結界の結晶化など不可能だ」
「固有結界の結晶化……そんなことが可能なのですかアーチャー!」
「現に私ができている。他にもジャンヌ・ダルクもできるだろう。狩野真琴のジャンヌではない、本当の聖女の方ならばな」
「だったらやっぱり俺にできない道理なんてないじゃないか!俺だってお前と同じように結界を張れるんだ。尚更できないなんて」
しかしアーチャーの表情は変わらない。泥で表情が読みづらくなって実は本当は怒っているのかもしれない。つまりはいつもの顔。全て分かりきって、俺に文句ばっかり言って、邪魔ばかりしてくる嫌な顔。嫌な態度。
それでも、俺はオレから全てを教わった。投影の真髄まで。そう思い出すと無性に悔しい。まあそれは向こうも同じだろうが。
「やはり夢ばかり見る青二才では不可能だ。それを思い知らせてやろう」
次の瞬間アーチャーの姿が消え、俺の目の前に現れる。アーチャーはそこから剣を振るう。俺もなんとか投影して防ぐが完全には防ぎきれなかった。投影した双剣も砕け、致命傷程ではないが痛手を負った。
吹き飛ばされた反動を生かしてアーチャーと距離を取る。そこから剣を数十本抜きアーチャーに連続で掃射する。
アーチャーはそれら全てを一振りで粉砕する。でもそれでいい。この一瞬の隙ができたなら充分なお釣りだ。
「うおおおおっ!!!」
「無駄だと言っている。お前では私は倒せない」
泥のせいとはいえ『俺を倒せ』って頼んできた奴が『それでは私は倒せない』なんて、矛盾してやがる。しかもあの余裕の表情。尚のこと俺を苛立たせる。
鍔迫り合いが続く。俺は全力だが、恐らくアーチャーはまだ全力ではないはずだ。セイバーが万全なら優勢だったが、あの蟲との戦闘で疲弊したセイバーから狙うなんて。相変わらずのリアリストだ。
「ふうっ!!」
「がっ!?」
鍔迫り合いを制したのはアーチャーだった。更に蹴りを叩き込み俺を吹っ飛ばす。こんなに吹っ飛んだのはランサーの時以来だ。あの時も命の危機だった。
「くそっ…まだだ!」
81本目と82本目を投影する。何度だって食らいついてやる。そう意気込んだ瞬間だった。
投影した双剣が砕け、目の前が真っ暗になったのは
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「シロウ!!」
「ふん、やっとくたばったか」
「アーチャー!貴様何をした!」
「これに関しては私は無関係だ。倒れたのは奴が投影をしすぎた結果だ。ただでさえ投影は精神と神経が段々とおかしくなっていく魔術だ。それを続けていたら倒れるのも当たり前だ。むしろこの状況でも固有結界が崩壊してないのは小僧の力だ。そこは褒めてやったらどうだ?」
「くっ!(すみませんシロウ。私が不甲斐ないばかりに)」
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街が燃えていた。
人が死んでいた。
空が闇に覆われていた。
俺は……死にそうになっていた。
(これは……あの時の)
やがて一人の男が俺を助けた。
男の顔は嬉しそうだった。無理もない。やっと生存者がいたのだから。やっと誰かを救えたのだから。
◆
地獄を見た。
地獄を見た。
地獄を見た。
人が死に続ける地獄を見た。
殺して、殺して、殺して、殺して。
黒い弓で全てを殺した。
俺にはそれが正しいのか分からなかった。
そのまま続ければ世界を滅ぼしかねない。だから『掃除屋』が全てを排除する。多分それは世界を救うためだろう。
だからと言って罪のない人まで殺す必要はあったのか?
お前はそれで納得するのか?
第一殺す必要なんてないんだ。
お前が、いやオレが夢見たのは『全てを救う正義の味方』のはずだ。
皆んなを、全てを救う為に戦う。そんな正義の味方を目指したはずだ。
そうだ、それこそが………俺の夢だったんだ!!
◆
『おい、その先は地獄だぞ』
焼け野原となった地に俺とオレが立っている。俺はオレに背を向けて歩み始める。
「お前のおかげだ。俺もやっと思い出した。俺の本当の夢。ずいぶん昔だから忘れてた」
『………』
「悪を倒して弱きを助ける。それが正義の味方じゃないんだよな。悪も正義も、弱い人も強い人も助ける。そんな奴を人は本当の正義の味方って言うんだよな」
歩む先に一本の剣が突き刺さっている。
『分かっているのか?それは私よりも過酷な道を選ぶということだぞ』
「俺は元々過酷な道を選ぶ予定だったんだ。それが少しずれてオレになった。だからこれは俺にとって計画通りなんだよ」
『後悔するぞ』
「お前は後悔しているのか?いや、しているから俺にそう聞くのか」
その剣を掴む。
『私でさえ弱きを助けられず後悔した。それなのに悪も正義も全て助けるだと?全てを助けるなぞ不可能だ。必ず犠牲は出る。それでも後悔しないというのか!』
「しない。だって俺は」
そしてその剣を引き抜く。
「必ず全てを助けるから!」
◇
「ぐっ!……全て、助ける」
「やっと起きたか小僧」
「全て、助けてやるよ。この世界も、セイバーも、お前も」
「まだほざくか。やれやれ、本格的に殺さなくてはな」
「俺が殺すのは、理由のない悪意だ。だからお前の泥は俺が殺してやる」
「ならばシロウ、私はそれを手伝いましょう。私は貴方のサーヴァントですから」
「ありがとうセイバー」
「泥を殺す、か。果たしてお前に出来るかな?」
「………体は、いや俺の全ては、全てを救う剣で出来ている!」
魔術回路をフルで活動させる。今までにない動き。やがて固有結界は崩れ始る。その中に立ち尽くす3人。
「アーチャー、お前言ったよな。俺には不可能だって。セイバーとの繋がりを断ち切らない限り無理だと」
「では違うとでも?」
「ああそうだ。セイバーとの繋がりがあるからこそ、俺は理想を身に纏える!」
「!?この光は……聖剣の鞘か!」
「
固有結界は完全に姿を消し元の冬木の町に戻る。
そして俺の姿はアーチャーとほぼ同じになる。左腕には紅い外套。髪の毛は一部が白くなり、肌も一部が褐色になっている。
これでやっと、同じステージに立てた。
「行くぞアーチャー。武器の研ぎ具合は充分か?」
「ほざけ、小僧!」
士郎……お前それ「俺は米しか食わん!」って言ってるようなもんだぞ!無茶すぎるぜ士郎さんよぉ!!書いたの俺だけどヨォ!
次回は決着!そしてまだまだ続く最終決戦!