2017年も頑張っていきます!
「チッ!」
ライダーの背後に現れたのは蟲だった。しかしそれは蟲には見えなかった。
その姿は異形、化け物、恐らくこの世のものではない獣の姿。
「この!」
「この野郎!!」
ランサーとアヴェンジャーは蟲の頭を吹き飛ばす。それと同時にライダーの腹部から蟲の腕が引き抜かれる。ライダーは人間ではないが血が溢れる。
「霊核をやられたか…」
「大丈夫かライダー!」
「まだ問題はない。だがこれは」
「ライダー、ランサー。無駄話は後だ」
アヴェンジャーの視線の先にはさっきの蟲が大量に海から湧いていた。まるで海から生まれるように。
「こいつは」
「臓硯の蟲か…だがこれは」
「蟲というより化け物だな」
蟲は大きく成人男性を優に超えるほどの大きさ。更には恐らくセイバーの剣よりも鋭い剣。極め付きはその顔だろう。どんな化け物でも顔はある。しかしこれらには顔はあっても表情がなかった。あるのは歪な口だけ。歯をキシキシ鳴らしながら迫ってくる。
「こいつらだけで世界征服なんて出来るんじゃねえか?」
「かもしれんが、どのみち止めるしかあるまい」
「だがライダー。お前は戦闘できるのか?片腕で宝具もなく、更には霊核を傷つけられている。ハッキリ言うが足手まといだ」
「それでも俺は戦う。生きとし生けるものを守る。それが仮面ライダーの使命だ!」
「いうじゃねえかライダー!そういうのは嫌いじゃねえ!暴れてやろうやライダー、アヴェンジャー!!」
「仕方ないか。暴れるとしよう!」
蟲が陸に上がった瞬間その蟲は八つ裂きにされる。ランサーの槍、アヴェンジャーのナイフ、ライダーの斧。蟲を八つ裂きにするのは容易だった。
「この槍を恐れぬ奴から順番にかかってこい!
「害虫はここで消してやる!」
『AA____AAAAAA______AAAaaaAA!?!!』
「来るぞ!」
例えようのない叫び声を上がる蟲。それは最早死神の招きに聞こえる。
蟲が重なる。ランサーは怯まない。
蟲が融合する。アヴェンジャーは引き下がらない。
蟲が………。それでもライダーは立ちふさがる。
そして、大量の
◇
次の瞬間、ランサーが見たのは目の前で消滅するアヴェンジャーとライダーだった。
(何があった!?一瞬で目の前が真っ暗になって)
ランサーが思考する間にも蟲は陸に上がって来る。その歩みは遅いが確かに街を蹂躙していく。
(このままじゃ……)
このままでは蟲ジイの野望云々の前に蟲にこの街を壊される。そのようなことはさせまいとランサーは立ち上がる。
これはサーヴァントが団結しなければいけない案件だ。
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「うわキモっ!なんだこいつら!」
「この性質……あの時の玉藻の前に似てる!?」
「どういうことだ!?」
家を出て数分後。目の前には大量の化け物。こういうのはSF映画にでてくる平気で人を殺す、いや遊び殺すクリーチャーだ。
「まさか……ビースト」
「ビースト?確かエクストラクラスだっけ?ってそうなるとこいつら全部「ビースト、サーヴァントクラスの強さになるわ」
俺が言い切る前にアーチャーが言う。焦ってるなアーチャー。確かにサーヴァントレベルの化け物がうじゃうじゃいたら逃げたくなるし、絶望もするだろう。
でも俺たちはいつでも諦めなかっただろ?
「いけるなアーチャー」
「当たり前よ。マスターもいけるわね」
「ああ、行くぞ!」
《大将に続くぜエレナッチ!!》
《分かったわ金時!》
《主の槍となりましょうフラン!ジャック!》
《ウ……ン》
《解体、しても怒らないよね。ね?》
超マハトマ人ゴールデンに変身し『ブラステッドスラッガーランス』を構える。しかし超マハトマ人ゴールデンはすぐに解除されてしまう。
「ってアレ?お、おい!?」
《そんな………》
《主殿、落ち着いて聞いてください。ライダーとアヴェンジャーが脱落したことで金時殿とジャンヌ殿が、消えました》
その事態をすぐに飲み込めなかった。ジャンヌと金時が消えた?ライダーとアヴェンジャーが脱落した?
アーチャーが隣で叫んでる。でも聞こえない。周りの音が聞こえなくなった。まるで無音の世界だ。
「マスター!!しっかりしなさい!!」
「ブハァ!?!」
アーチャーに引っ叩かれた。それでようやく意識が戻る。化け物はすぐそこまで迫っていた。そうだ、こんなとこで挫けたらダメだ。沖田さん、金時、ジャンヌ。あいつらの分も俺がしっかりするって、あの時決めただろ。
「サンキューアーチャー。目が覚めた。エレナ頼む!」
《分かってるわ真琴。いなくなった人の分も私たちが頑張る。そう決めたものね!》
超マハトマ人で化け物の群れに突っ込む。それに続くアーチャーの狙撃。
「はあっ!!」
『AAAAAAAA____________AAaaaa!!』
「嘘、空まで飛んんでるの!?まるでゴキブリね!」
空を飛ぶ化け物をアーチャーが。陸を這う化け物を俺が仕留める。サーヴァントレベルの力があると思ったがそんなことはなかった。ただ数が多い。たったそれだけ。されどそれだけ。物量戦なんてこっちのスタミナが切れたら終わりじゃねえか!
「一気に片付ける!トライデントスラッシュ!!」
レバーを三回引き必殺の連続攻撃で化け物を蹴散らして行く。しかしこうも数が多いと嫌になるぜ。
「あっちはどうなってるのかしら」
あっち。恐らく衛宮のところだろう。心配だがまずはこっちの掃除が先だ。
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俺は走っていた。この冬木の町を。一人でも多く助けるために。
「うおおおおっ!!!」
突如海から湧いてきた化け物たち。それらは町を蹂躙していった。俺とセイバーはそいつらを止めるために深山町を走っていた。
「そこです!」
「消えろ!!」
セイバーも槍と剣を構え化け物を切り裂いていった。普通の特訓なら見惚れるであろうその剣技と槍捌き。しかしここは地獄一歩手前の深山町。そんなことをしていてはあっという間に死んでしまう。
「くっ、
無数の剣を連続で発射する。もうあの長い詠唱は必要ない。ただ一言、オレも唱え続けたあの一言で、俺は戦い続けれる。
「シロウ後ろです!」
「このぉ!!」
振り向き様に化け物の口に剣を差し込む。そして魔力を暴走させて爆発させる。オレもやってた
「セイバー!!」
「
セイバーの右腕から無数の矢が飛んで行く。確実に化け物の命を刈り取る旋律。一体、また一体と絶命していく化け物。見渡す限り化け物の死骸だらけになり、生きている個体は無かった。
「ここはこれで終わりですね。次に……」
「どうしたセイバー?早くい……こ………」
見渡す限り化け物の死骸。そしてさっきまでそこにいなかった男。見覚えがある。いや忘れるはずがない。
遠坂のサーヴァント、紅いアーチャーだ。
「流石だなセイバー。騎士王とだけはある」
「アーチャー……何故貴方がここに。貴方は消滅したのでは」
「確かに消滅した。いや
「だったらなんで遠坂のところに戻らないんだ。あいつ心配してたんだぞ!」
「凛のところに戻らなかったのは、本来の目的を果たすためだ」
「本来の目的?」
「お前だ衛宮士郎。お前をここで殺す」
こいつは何を言っているんだ。今この町が大変なこの時に。
「心配せずとも蟲は全て新都に向かってる。それに世界が言っていたはずだ。この勝負はお前たちが勝つと」
「それで何も問題ないからオレと勝負しろってか?ふざけるな!そんな事でお前と勝負出来るか!第一向こうには遠坂がいるんだぞ!」
「シロウの言う通りだアーチャー。いくら貴方でもそのような勝手は許さない。どうしてもと言うならまず私を倒しなさい」
「………そうか。そうだな。俺はそういう人間だった。だがな衛宮士郎」
アーチャーは紅い外套を外し目を閉じる。その瞬間空気が震える。そしてアーチャーの半身が黒く染まっていく。
「貴様も泥によって半分侵された身だ。聖剣の鞘でも取り除くことのできないぐらい微量の泥。その結果オレみたいに汚染される」
その姿はまるで、
「この言動もその結果だ。汚染されたこの身は私の意思など関係なく、ただ本来の目的を果たすために動き続けるだろう」
「じゃあどうしろって言うんだ」
「オレを倒せ。それが出来るのは俺だけだ。出来なければお前は死に、この町をあの蟲ごと焼き払うだろう。お前がオレを倒せ」
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そこは惨劇だった。
遠坂凛とイリヤスフィールは倒れ、
英雄王とアサシンは膝をついていた。
ジャンヌの姿は見えなかった。恐らく倒されたのだろう。
あの蟲を操る封印指定、マキリ・ゾォルケンに。
「また、虫が一匹」
「害虫は貴方でしょうマキリ。聖杯の泥を使った悪事は全て分かっているんです」
「ほほう、例えば?」
「聖杯の泥を使い、時間を無限に加速させ世界の終焉を観測することで起源に至ろうとした。万能の願望機である聖杯から溢れたそれなら可能でしょう」
「ほう、そこまで分かっておるか」
「ええ、ですから私は私の仕事を遂行し聖杯戦争を続けます。バゼット・フラガ・マクレミッツ!封印、執行します!!」
蟲はFGO七章の奴らを想像していただければ。
ライダーとアヴェンジャーが退場したじゃねえか!クソ野郎!
ご安心ください。後で救済します。出来る限り。でもあれで終わりじゃないからね!!
次回は遂にアーチャーの真名が分かるかも?分からないかも?