「何だったんだろうあの夢」
帰り道にふとそんなことを考えてみる。第一『Fate』は日本語で『運命』って意味だ。『GO』は『行く』とかそんな感じだったかな?
「しかも歴史上の人物ばっかりだったな。てかオルタってなんだ?」
残り枠が『アーチャー』と夢の中の俺?は言っていた。アーチャー・・・・・日本語で『弓兵』かな?取り合えず弓を使えばアーチャーになるんだろう。俺の知る限りアーチャーになれそうなのは・・・ロビン・フット、アタランテ、美綴綾子、いや美綴は弓道部の部長だ。
「そういや衛宮も弓道部だったな。あと間桐も」
そうこう考えるうちに家に着く。今日から暫くお婆ちゃんは旅行でいない。まったく元気だね~
居間に寝転がるが・・・・・暇だな。せっかくの機会だ。アーチャーとやらを考えてみるか。
「アーチャー、アーチャー、アーチャー。うーんよくわからん」
絵に書いてみたがまったく書けない。想像は出来ている。それを絵にできないのだ。
「・・・・・・・・・・」
取り合えず想像してみた『僕の考えた最強アーチャー』を文字に現してみた。
弓がデカイ。
矢を何発も同時に放てる。
矢じゃないものも放てる。
弓で近接格闘。
最早弓を使わず徒手空拳で戦う。
必殺技がライダーキック。
水色の髪でショートの貧乳。あと赤目
最早最後のは俺の趣味だ。てか全て俺の願望だな。こうあってほしいという。中々カオスだ。
「・・・・・何やってんだか」
我にかえり書くのをやめる。これこそ究極の時間の無駄だ。さっさと飯食って寝るか。
◇
「おいおい。今度は右手かよ」
朝起きると俺の右手にはまた妙なタトゥーが描かれていた。今度も1枚の羽の模様。本当に誰がやったんだ?まさかオバケ!?
「まさかな・・・・・でも左肩のも消えてねぇんだよな」
左肩の模様も消えていない。むしろ色が濃くなっているか?
「本当にどうすればいいんだ・・・・・」
◇
今日の学校は特に何もなかった。いつも通りの学校。少なくともいつも通りに衛宮が間桐にコキ使われる程度には普通だった。
そう家に帰るまでは、
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・ねぇ」
「え?俺?」
「令呪もあるのに、早く召喚しないと死んじゃうよ?」
それは家への帰り道。横を通りすぎた銀髪の少女から言われた一言。それが何を意味するのか分からなかった。
「令呪?この右手のか?」
「そう。分かってるなら早く召喚して。ああ。もしかしてまだ自分がどんな状況にあるのか分かってないのね」
「・・・・・?」
「分からないなら、分からせるだけよ」
明確な殺意。それは一般人の俺でもわかるものだった。その瞬間左肩が熱くなる。
「・・・・・っ!なんだ!?」
《ほら、早くしないと死ぬわよ?貴方》
「はあ?誰だよ!」
「もう遅いよ」
背後に気配。振り向いた俺の首目掛けてナイフが飛んでくる。ギリギリかわすが少しかすったのか、首から血が流れる。
「なんなんだよ!おい!」
「ほう。今のを交わすか」
暗闇から現れたのは赤いフードを被った男。顔は包帯が巻かれていてわからない。手にはナイフと・・・マシンガンか!?
「一撃で仕留めろと言った筈よ『アサシン』」
「すまないマスター。僕としては『殺った』と思ったんだけどね」
「まあいいわ。今度は外さないでよ」
アサシンと呼ばれた男はマシンガンをこちらに向ける。あ、これ死んだ?
《早く逃げなさい。貴方、今度こそ死ぬわよ?》
(そんなこと言ったって動けねぇんだよ!)
《はあ。いっつもイケメン発言をしているわりには、案外チキンなのね》
謎の声にバカにされる。アサシンは俺にジリジリ詰め寄ってくる。
《そうね・・・・・逃げれないなら戦いなさい。力ぐらいは貸してあげる》
その声を聞き終える前にマシンガンの銃口が火を吹いた。でもその弾丸は俺には届かなかった。
「何!?」「嘘・・・」
「なんだ・・・・・この剣は!?」
《この私、『竜の魔女 ジャンヌ・ダルク』がね!》
剣から放たれた炎がアサシンと少女を怯ませる。逃げるなら今しかない!
そこから陸上部もビックリなスピードで家に戻った。
◇
「はあ・・・はあ・・・なんなんだよ・・・あれ」
《結局逃げたのね。チキン》
「うるさい!!誰なんだお前は!!」
《さっきも言ったじゃない。ジャンヌ・ダルクとね》
訳がわからない。ジャンヌ・ダルクだって?ジャンヌ・ダルクは聖女のはず。竜の魔女なんて二つ名聞いたことがない。歴史とは難しいものだ。
《まあ次に攻めてきても私は『戦うときだけ』力を貸してあげるわ。それ以外はさっさとサーヴァントを召喚してどうにかしなさい。じゃ》
それ以降ジャンヌ・ダルクの声は聞こえなくなった。俺の耳には時計の動く音しか聞こえない。
「何が力を貸してあげるだ。上から目線で言いやがって」
でも戦うときだけにしかジャンヌ・ダルクは力を貸してくれない。もし次襲われたら自分の力で何とかしなくてはいけない。
「いや・・・・・サーヴァントか。そういうのはお婆ちゃんの本棚にある筈」
ジャンヌ・ダルクはサーヴァントが云々と言っていた。どうにかしてそのサーヴァントを召喚するしかないか。
お婆ちゃんの本棚でサーヴァントの本について探す。その中で見つけたのが、
「ん?聖杯戦争?」
聖杯戦争の記録と書かれた本。ご丁寧に日付まで書いている。丁度60年前。中を見ると『サーヴァント』や『聖杯』についてかかれていた。
「『サーヴァントには7つのクラスが存在する。セイバー、アーチャー、ランサー』ってこれ!夢のゲームと同じ!」
夢のゲームも7つのクラスが存在した。その中にはさっきの『アサシン』もある。間違いない。あれはサーヴァントだ。
「『サーヴァントの召喚には触媒が必要』ってそんなのねえぞ」
触媒なしでも召喚は出来るらしいが、目当てのサーヴァントを引き当てるためには触媒があったほうがいいみたいだな。
「まあいいか。とっとと召喚するか。えーと呪文みたいなのは」
「『素に銀と鉄』だろ。最初は」
「そうそうそれそれ!・・・・・え?」
「見届けたい気持ちもあるが、マスター命令だ。ここで死んでもらう」
どうやらここでゲームオーバーみたいだ。ご丁寧にコンテンダーの銃口を俺の額に当ててやがる。
「殺すのか?」
「神秘は秘匿する。それも聖杯戦争のルールだ」
おいおい。こんなところで死ねるかよ。
「ふざけんな。テメェに殺されて!たまるかよぉ!!」
その時右手の令呪が光る。この時アサシンは驚かずにさっさと俺を殺せば良かったんだ。
何処からともなく矢が飛んでくる。それはコンテンダーを貫くとコンテンダーこと消滅した。
「はーーい。そこまでだよアサシン」
「お前は・・・・・サーヴァントか」
今度は声のする方、いやそこにいる『少女』にマシンガンを向ける。その少女の手には『矢だけ』が握られている。
「ふふ。お姉さんと殺る?殺らない?」
「・・・・・生憎、こちらも昨日から戦って、この後も戦うんだ。今日は退いておくよ」
アサシンはマシンガンをおろすと『煙』のように消え失せた。
「大丈夫マスター?」
「え!?あ、ああ大丈夫だけど・・・お前は?」
「おっと、名乗るのが遅れましたね。
サーヴァント、アーチャー。召喚に応じ貴方の『空いたアーチャー枠』として馳せ参じました。貴方が私のマスターですね?」
それが俺とアーチャーとの出会いで、戦いの始まりだった。
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今俺は土蔵にいる。それは魔術の鍛練のためじゃない。槍をもった男の一撃で、ここまで吹っ飛ばされたからだ。そして俺の目の前には、『鎧を纏った少女』が立っていた。
「問おう。貴方が、私のマスターか?」
少女は静かに、凛とした声で俺に聞いた。
セイバー、アーチャー召喚!ん?アーチャー?じゃあ凛のサーヴァントは誰?となりますが、それはまた後の話で。
これで全てのサーヴァントが揃いました。なので次回はマスターとサーヴァント紹介になります!