鬼子   作:なんばノア

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こんにちは噂のNo.あです。
FGOソロモンの日にちが公開されましたねー僕も頑張らねば。
そして、鬼子第2章は今回で終了。次章の更新は元旦とさせていただきます(予定)
それに際して、キャラクターの人気投票を行います!
Twitterでは特定のツイートにリプを、
ハーメルンでは活動報告にて場所を設けます。
活動報告の人気投票の場に感想として好きなキャラクターを3人まで記入してください!
最初に記入されていたキャラに10pt、2番目に記入されていたキャラに5pt、最後に記入されていたキャラに1ptずつ順位を付けていき、集計の結果順位を元旦に発表します!
投票期間は本日から大晦日の正午までと致します。
たくさんのご投票お待ちしております故、何卒よろしくお願いします!


epilogue of chapter two

「―――はぁ、どういう事でしょうか。わかりやすく正確に説明してください」

「だから。俺たちはもうブラハムを狙わない約束をしたから。お前も破るなよ」

「・・・・・・」

フウヤは呆れている。それは当然の事だろう。

確かに。2人は協会の命でブラハムを滅ぼしに来たのでは無い。だが、目の前に平然として存在する吸血鬼を見逃してやるなど、気が触れているとしかフウヤには思えなかった。

「―――はぁ、事情はだいたいわかりました。テオルバス先輩。私は貴方の補佐官だ、貴方の意向に逆らう気はありません。本当に、これで良いのですね?」

確認事項。あれ程“太陽の死徒”に執着していたこの男が、本当にこうも簡単に、あっさりと赦してやれる物なのか・・・。それが、どうにも気がかりでならなかった。

「あぁ。あの子と一緒ならヤツは大丈夫だろう。―――もし再び裏切るようなことがあったら、今度こそ殺してやる」

代行者は彼を(ゆる)した訳では無い。

彼を信じる彼女を信じただけ。彼女にはそれだけの器の大きさと、芯の硬さを感じれた故。

「それに、今はアイツの話なんてしててもしょうが無い。―――倒れたカオさんが心配だ」

もうじき、日が昇り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと見慣れない光景が広がっていた。

「んん・・・・・・?」

カーテンで塞がれていて周囲の状況がわからなかった。自分が眠っていたのは、やはり見慣れない真っ白なベッド。でも、なんとなく察しは付いた。

「病院―――?」

何故だろう。私、なんか怪我したっけ?

身体は至って正常。痛い所なんて無いし、異常らしい異常は無いように思えるのだが。あれ。ほんとになんで病院のベッドで寝ていたんだ?うーん、全く思い出せないや。

昨晩はブラハムと―――

思い出した。かもしれない、

ブラハムを助けるために、私が盾になって、それから―――あれ、全然思い出せない。

ブラハムは無事なのか。彼は何処にいるのか。それが全くわからないでいた。

「・・・!」

最悪を想像した。彼を助けることは出来なかったのでは無いのか・・・。彼を助けようとした私の行動の、全てが無駄に終わったのではないのか・・・。結局、私が彼を嘘つきにしたてあげてしまったのではないか・・・。

そんな、不確定な不安要素に押し潰されそうになった。

「ブラハム―――何処にいるの・・・」

その時だ。この部屋の物であろうドアが横に開き、下手くそな歌を歌いながら入室する男が1人。

「ダァれにもしィばられたぁくナァイと、にげぇこんだァ、このォ夜にィ」

尾崎(なにがし)の名曲。

古い曲だが気に入っていて、時折家で聴いていたりもする名曲だ。ふざけている、なんだコレは。とても聴けた歌声では無い。酷いなんて言葉では表しきれない。

ホッとしたのか、それともこの歌声に愕然としたのか。正直、自分のことながらよくわからない。けど―――嬉しいのは確か。

「じゅゥうになれた気がァした、じうゥごのよォる〜〜」

カーテンが開く。手には果物を手にした、見知った吸血鬼が赤面でこちらを見つめる。

「―――起き、てたの?」

「今起きたわ」

「―――聴いてた?」

「さあねぇ」

ガラにもなく、不敵な笑みを零してた。自分でもわかるほどに、無意識ながら頬が悪いように緩みきっていた。

赤面のまま、ブラハムは良くない汗を流して丸椅子に座り込む。

「―――ゴフンゴフンっ。でもまぁ、よく歌えてたと思わない?自己評価をつけるなら95点といった所なんだけど?」

「―――どこがよ。全然ダメ。どれだけ贔屓しても3点ね。―――貴方、料理や家事は上手なのに歌は絶望的なのね・・・・・」

「えぇ・・・上手い方だと思ったのになぁ・・・」

そんな他愛もない会話をし、見つめ合っては笑い合う。

あぁ、彼は生きてる。それだけで、今はお腹いっぱいだ。

「そうだ。ねぇ、なんで私入院してるの?」

「あぁ・・・それはね―――」

話によると、私は彼を助けた後突然倒れて、病院に緊急搬送されたようだ。それから現在までずっと、眠り続けていたらしい。

そして、今日は8月3日。まる2日眠り続けていたわけか。―――ていうか、話に出てきた私。

「え?覚えてないの?」

「ええ。全く記憶にないわ」

ブラハムを助けに行った所までは覚えてるのに、その後がはっきりとしない。

なんか、断片的に映像が途切れてるような、記憶が薄れてるような・・・。

「でもまぁ、君に助けてもらった事実に変わりはない。君が来なければ僕は死んでいた」

ブラハムはそう言うが、肝心要の私は何も覚えていないと、こう言った状況だ。

彼が私を助けるなら道理が合うが、私が彼を助けたと言うのは(にわか)に信じられないのだ。確かに、あの夜私は身を呈して彼を守ったが、それが彼の命を救うに値した行為だとはとても思えない。

「全然思い出せない・・・。―――あ、そうだ。私が眠っていた間に何かあった?」

2日も眠っていたのだ。何か変わったことの一つや二つあっても不思議じゃ無いだろう。―――だが、

「あ―――」

歯切れが悪くなったかのように黙り込むブラハム。間違いない、何かあったのだ。そして、それを私に黙っている。怪しいのは明白だった。

「何かあったのね?」

「あー、いや・・・その―――」

やはりだ。何か気まずそうに辺りをキョロキョロとする。何かを誤魔化そうとしている人間の心理そのものだった。

私が更に追求しようとしたその時。その答え(、、、、)は自ずとやって来た。

ドンッ!!!!と、病室のドアが再び開かれる。ただし、今度だけは勝手が違った。

乱暴に勢いよく、横開きのドアなのに足で蹴り破ったのではないかと思えるほど大きな音を立てて。

カーテンを開き現れたのは、

「ブラハム!!!!勝負だコラァ!!!!」

全身包帯だらけの柴月麗華先輩だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった?

これまで、彼の存在がバレないように極力気をつけて、私の平静を保っていた。

―――だが、それもここまで。彼の存在が他に知れてしまったのだから。

「はぁ―――」

「どうしたの?ため息なんてカオらしいと言えばらしいけど」

それどういう意味よ。

「別に。先輩の相手はもういいの?」

「うん。傷だらけで満身創痍な人間の攻撃を躱すなんて訳ないしね」

病院の屋上。現在ここには、2人の人間と、1人の吸血鬼がいる。

1人、私。

1人、ブラハム。

そしてもう1人、ヘトヘトになって倒れ込んでいる麗華先輩だ。

「くそっ・・・!万全の状態で、手袋をあの女に破られてさせしなければ、コイツなんてイチコロなのに・・・!」

病院の服を着ていて、わかりづらいのだが、麗華先輩の身体は傷だらけだ。

先日の、私を逃がすための足止め。そこでの代行者との戦闘。そして、身体を酷使し続け、致命傷とは至らずとも相当な深手を負わされたのだと、露出している箇所に淀みなく巻かれた包帯が物語っている。

「先輩すみません・・・。私のせいでこんな・・・」

私のせいだ。私が先輩を巻き込んだ。私があの時、無理矢理にでも先輩を拒絶して、あの場から離れさせていれば、先輩はこんな怪我をせずに済んだのだから。

この傷は、私がつけたも同然。

私は、大切な人を危険に晒したのだ。だが、

「だから気にすんなって言ってんだろ?アレは私の意思でしたことだし、私の使命だったんだ。香桜が気に病むような事じゃねえ」

麗華先輩は自分の意志でアレと闘ったと言う。いつもそうだった。子供の時、もっと正確に言うと小学校2年生の時。私は、両親と死別した事により、ちょっとした“いじめ”を受けていた。毎日のように、誰も居ない家に、泣きながら帰っていた。

そしてある日、麗華先輩が私を助けてくれた。いじめっ子の男子5人を1人でやっつけ、私をいじめから救ってくれた。

その時の光景は今でもよく覚えてる。

だが、当時の私は・・・いや、おそらく今も変わりないと思うが、私は弱さを他人に悟られるのが嫌いだった。

だから、誰にも相談をしなかった。

だから、1人で泣いていた。

誰かに弱い自分を見られるのはみっともない。そんなマネだけはしたくない。

こんな固定観念を持っていた私は、先輩を拒絶し続けた。

だが、先輩は私の拒絶を意に介さなかった。私に干渉して欲しくなかった。だが、先輩は平然として私の世界に土足で踏み入ってきた。

私の気持ちなど皆無。彼女は、ただ私を助けたかっただけだと言った。

そんな彼女を拒絶し続ける私に、私はうんざりした。私は先輩と言う“強さ”を拒絶し、否定し続けていた“弱さ”そのものだったのだ。それを気づくに時間がかかりすぎた。そんな事に気づくことが出来なかった自分が、本当に恥ずかしい。

私を救った彼女の、輝かしさ。私を救った彼女の、滲むことのない純白の精神。揺るぐことのない硬い心。それら全てを彼女は私に見せつけた。

「先輩が昨日言ってた“私を守るために貰った力”って何なんですか?」

これだ。この前からずっと気になっていた、「私を守るために手に入れた力」という物だ。あの現象は、私から見てもはっきりわかる。

あれは魔術。ブラハムや、テオルバスさんが使ってたような奇跡を模した神秘の偽物だ。

ソレを、私を守るために手に入れたと言う先輩の話はおかしい。何故?何故私のために?誰に魔術を教わったのか?

「あー・・・それは、権四郎(けんしろう)さんに教えて貰ったんだよ。お前を守るためにな」

――――――え?

今なんて言った?

権四郎とは私の父。南 権四郎の事だ。

父さんに魔術を教わった?

父さんが何故魔術を教えれたのだ?

そして何故そこで私を守るためなんだ?

「権四郎って私の父さんですよね・・・?」

先輩は私の問に対して真剣な眼差しで答える。そうだ、と。そして、それはまだ続く。

「香桜は知らないだろうと思うけど、権四郎さんは魔術師だよ。それもただの魔術師じゃない、天才魔術師だ」

「天才・・・魔術師・・・?」

先輩の話はとてもじゃないが信じられない。私の記憶にある父さんはそんな人間じゃなかった。

父さんと母さんは化学者。2人はある研究施設の職員で、とある実験に失敗し、爆発事故が起きて死亡したのだと記憶している。

「そうだ。お前の父さんは天才だった。魔術なんて全く関わりのない私でも、ここまでの魔術使いになれた。それは、あの人に魔術を教わったからだ」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

おかしい。そもそも謎だ。

何故先輩は父さんに魔術を教わったのか。

何故先輩のそれが私を守る力なのか。

「先輩は何故父さんに魔術を習ったんですか!?それに、魔術を教わったのが私を守るためだとか・・・どういうことですか!?」

そう聞くと先輩は、少しだけ戸惑うように見えた。何か言いづらそうに、視線だけ地面を見つめる。そして、その視線がコチラを向くと、それは強い眼差しに変わっていた。恐らく、正直に語ってくれるつもりだろう。

「話は長くなる・・・が、聞いてくれるか?」

「もちろん」

そう応えると先輩は、深くため息をつき安堵した。そして、再び私の目を強い眼差しで見つめる。

「私は―――小さい頃、いじめられていたんだ」

「え」

声を上げたのはブラハム。

すると先輩は、彼をキッと睨みつけて黙らせた。

いや。正直ほんとに驚きだ。彼が声を上げなかったら、多分私が声を出して驚いていた。

柴月麗華とは、私の中で“強さ”と言う概念そのものだった。そんな彼女が、いじめを受けていただなんて、とてもじゃないが信じられない。

「それ、本当ですか・・・?」

恐る恐る、私も聞いてみる。

すると先輩はブラハムに向けていた視線を戻し、再び話し始める。

「あぁ、本当だ。小学校に入ったばかりの頃だ。私は毎日のようにいじめられていて、ある人物にそれを救ってもらった。それが、お前のお父さん、権四郎さんだ」

先輩がフェンスに寄りかかって座り込んだので、私も座って話を聴くことにした。

「権四郎さんは、私の弱さは私が強くならなきゃ解決しない、と教えてくれた。そして、私に極真空手と魔術を教えてくれた。空手を習い始めたのは、更に磨きをかけるためだ。

権四郎さんに教わって1年が経ち始めた頃、私が先生に言ったんだよ。

『私の力は恩人の権四郎さんのために使うよ』ってな。そしたらあの人はこう返した、

『それは君のため、君の大切な物のために振るうべき力だ。君が、本当に守りたい物のために使うんだ』

そう言われて、私は先生のこの教えを破らないように生きてきた。だから、魔術を実戦で使ったのはこの前のが初めてなんだ。

香桜は、私にとって“大切な人間”だからな。全力で守らなきゃ」

先輩は語らなかったが、自ずと察した。

先輩は、私に自身と同じ物を感じたのだろう。いじめられている人間を見て、放っておけなかったのだろう。私が、父さんの娘だと言うこともあり、先輩が私に執着したのはそういう事だと思う。

そう思うと、私は何故か唇を噛み締めていた。何故かわからなかった。噛み締めていた歯を離すと、一つ二つと、大粒の涙が。

「うわぁすまん!そんなつもりじゃなかったんだ・・・!!」

先輩が私に謝る。

この涙は何に対してか。

唇の痛みか、

父さんの話か、

先輩の過去か、

それとも、先輩に“大切な人間”と言われた事か。

答えはきっとこんな簡単な事じゃないと思う。もっと―――もっと、もっと、色んなことが混ざりあって、

嬉しさも、悲しさも、喜びも、怒りも。いろんな感情が、私の中で混ざりあって涙を流したのだ。

「いいえ。違うんです。ただちょっと、溢れてきて・・・」

以前の私とは違う。

先輩は、自身の弱さに打ち勝った。

先輩は、自身の弱さを打ち破り、現在の強さに至ったのだ。

ならば、私は私の弱さを打ち砕く。

「大丈夫ですよ」

涙は、泣いて流す物。

涙は、悲劇を嘆く物。

涙は、喜びを語る物。

涙は、決して隠す物じゃない。

涙は、―――決して恥ずべき物では無いのだ。

自身の弱さに、向き合うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオ、成長したね」

突拍子もなく偉そうな事を抜かす下僕。何故かはわからないが突然そんなことを言い出した。

「なんでよ?偉そうに・・・」

少し拗ねるとハハハと笑って誤魔化された。

先程、自身が持ってきたりんごをテーブルの上にあった果物ナイフで、皮を剥き始めた。

「なんでって、そりゃあ。以前の君はどこか、自身の弱さを他人に知られたくないふしがあったように思える。けど、さっきの彼女への態度や、昨日の夜の話も、以前のピリピリとした君とは少し違うように思える。気のせいかな?」

それは、間違いなく気のせいではない。

私は先輩や彼の話を聞いて、その都度自身について嘆いている。

私は、私の悪癖と戦う決意を決めているのだから、当然だ。

「気のせいよ」

ただコイツに喋ってもわからないだろうから、気のせいだと言うことにしておこう。

「そっかー。残念だなぁ」

「ん。残念て、何がよ?」

彼は、りんごを剥くその手を止め答える。

「最近の君は、なんか―――清々しくて、すごく可愛いから」

ぐっ、

そんな事を、恥じらいもなく満面の笑みで答える。

ふざけてる・・・こんなの、こっちが恥ずかしくなるじゃない!

「はぁ、少し眠りたいわ・・・」

「あ、そうだ。一つだけ聞きたい事があるんだけど」

次から次へと。

聞きたいこと?思い当たる節が全く無いんだけど。一体何のこと?

「何?」

「いや、あれからずっと気になっていたんだけど。テオが襲ってくる直前、カオが僕に聞こうとしてた事があったじゃない?疑問ってアレ、何?」

―――とても、恥ずかしい事を思い出した。

今更、聞くのも気が引ける。いや、すごく恥ずかしいから絶っ対やだ。

「―――。」

「何?何か言ってくれなきゃわからないよ。気になって、夜も眠れなくなるかも・・・」

そんなわけあるか。あーもう!なんでこんな事今更聞き返すのよ!忘れてくれてれば良かったのに!

恥ずかしい恥ずかしい。絶対嫌だ。

―――けど、さっき自分の弱さと戦うと誓ったばかり。その反面あって、ここで退くのもやるせない気分になる・・・。

あー!もうどうにでもなれ!

「・・・ハムは、・・・・・・・るの?」

「ん?ゴメン。聞こえなかったから、もう1度お願い」

1発叩いてやりたい。

恥ずかしいから1回で聞いて欲しい。

もう1度言うのか・・・。憂鬱だ・・・。

「ブラハムは・・・、福山に残るの・・・?」

彼は福山での死徒狩りを終えた。彼の使命であるそれを終えたのだ、どこかへ行っても不思議ではなかった。

私は、それを聞きそびれていて、あの場所でもそう。そして、その答えはとっくにわかっている。だから、こんな恥ずかしい事、絶対言いたくなかった。

「ハハハハハハハハハっ!」

大声をあげ爆笑するブラハム。

あれ、なんか今日はやけにイライラするなぁ。退院したらどうしてやろうか。

「そんな事、決まってるじゃないか。僕は、君を守り抜くと決めたんだ。生涯ずっと」

だから、

「だから、福山(ここ)に残るよ。君とずっと」

 

 

 

 

epilogue of chapter two.

 

 

 

 

加速した風景が私の世界を変える。

歩んだした物語(とき)の分だけ、この鼓動に記憶を植え付ける。

いつか初夏の奇跡が私を変えた。

でも、おかしな話だ。私の場合ソレは奇跡であって必然でもあった。

曰く、奇跡とは。有り得ない、有り難い事象の総称をそう呼ぶらしい。

そして、必然とは。あって当然の事、然るソレが必ずそうであるため、ソレは必然と呼ぶのだ。

あの出会いは必然だった。そして出会ったことは奇跡でもあった。だからこの矛盾を、私は奇跡と呼ぼう。

 

 

 

かけがえのない人と出会えた。

共に時を過ごす度、たくさん分かり合えた。

 

たくさんの知識を知った。

新しい、自分を見た。そして、新しい出会いがあった。

 

私の知らない私がいた。

それは、比喩ではなく本当にそう。

そして、ソレを受け入れた。

 

友と道を違えた。

友を救うために友を失った。

友の願いを、私は一生忘れない。

 

怪物と出会った。

姿は人なのに、姿中身人でない人外。

決意を固め、友は灰燼を払う。

 

辛かった。愛しかった。楽しかった。

今までの全てに感謝を告げ、

私にとって、全てを賭けた。

 

そして、私の物語は幕を閉じた。

これは、それに向かって進む物語の始まり。

私の運命を記したストーリー。

さぁ、始まりの喇叭を、終わりの喇叭を鳴らそう。

物語は、ここに開幕す―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




3章予告・・・

今回は新しい事に挑戦したいと思う。
学校の教師なんていいわね。

「貴女が赴任してきた新任の―――」

「はい、蒼崎橙子と申します。どうぞ、よろしくお願いします」

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