もっぱら一次創作に力を入れていたもので、こちらは長い間手付かずになってしまいました。
短いですが、キリの良いところまで書き上げたのでぜひご覧ください。
さて、このデュエルアカデミア中等部には月に一度だけ、超激レアな商品が売り出される。
それは肉まん。
有名店の数量限定の激ウマ肉まんを、この学校の購買で数量限定で売り出される。
購入する権利は決して早い者勝ちではない。
ここはデュエルアカデミア。争うことがあるならば、それはデュエルモンスターズで解決するべきだ。と、いうことで販売の前日の放課後に購入する権利をかけて小さな大会が開かれる。
販売される個数はわずか九個。
一年生から三年生まで、平等にそれぞれ三個販売される。
いつも食堂で昼食を取っている俺はいくら限定商品であっても無関心であったのだけども、どうしようもない事態に陥ったことがこの争奪戦に参加するキッカケになった。
なぜなら、明日香がすごい食べたそうにしているのを見てしまったからだ。
購買は普段使わないが、食堂がとある事情で使えない日に、しぶしぶ購買まで足を運んでサンドイッチでも買ったとき、偶然居合わせた明日香がある張り紙を見ていた。
それが限定九個の高級料理店から発売されている高級激ウマ肉まんの張り紙。
しかし、なぜか浮かない表情をする明日香。
明日香がその購入権争奪戦の大会に出れば、きっと上位三位以内に入って肉まんをゲットできるはずなのに。
その張り紙をよく見てみると、購入権争奪デュエル大会はちょうど明日香が用事がある日に行われるみたいだ。
なるほど……こうなったらいっちょ頑張ってみますかな。
俺も食べてみたいし、明日香と半分こだな!
◆
さて、やってまいりました放課後!
限定肉まんの購入権利を得るための大会の参加者はそれなりの人数だった。
それぞれの学年ごとに大会は開かれるので、もちろん俺は一年生の部の大会に出場。
そして俺は順調に勝ち進み、次の相手は誰なのかと確認した。
それの相手はこの大会でも異彩を放っていた場違いの美人さん。
本当に同い年なのかと思っちゃうほどに、大人びた風貌をしていたし、いちいちなんかエロスを感じる言葉使い。やめろ! 思春期の俺には毒なんだよォ!
そんな彼女の名前は藤原雪乃。
ツインテールの彼女は、何かと有名人だ。
俺は俳優とかよく知らないから何とも言えないけど、彼女の両親は有名な俳優らしいし、彼女自身も俳優を目指しているとか。デュエルが出来る女優とは、この世の中には色んなデュエリストがいるもんですな。
そんでもって、彼女に愛の告白をして粉砕して玉砕した男子は沢山いるみたい。
そりゃあすげぇ美人だもん。無自覚なのか意図的なのかは知らないけど、エロいし。
思春期の俺たち男子中学生は惑わされること間違いなしだね!
ま、俺はデュエルとなったら容赦はしないけど。
デュエルじゃなかったら……そのときは知らん。
さて、最高のデュエルにしようじゃないか!
「次の相手は……アナタね」
「うん、東條創だ。言っとくけど、限定肉まんは渡さないぜ!」
「ふっ、笑わせてくれるわね。いいわ、精々お姉さんを楽しませてちょうだいボウヤ」
ぼ、ボウヤ、だと……?
それに同い年なのに自分をお姉さんと呼ぶとは……確かに見た目はお姉さんっぽいけど、同い年にバカにされているみたいで気に食わない。
こうなったら勝つしかあるまい。俺にも男のプライドがあるもんでね。
「さあ、最高のデュエルにしよう!」
「いくわよ」
『デュエル!!』
東條創:LP4000
藤原雪乃:LP4000
藤原の先攻。さて、彼女はどんなデッキなんだ?
「私のターンからね。私は魔法カード、名推理を発動するわ」
「マジかよ」
《名推理》
通常魔法
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。
違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。
《名推理》を発動したってことは、墓地へ大量にカードを送るのか、それとも純粋に大型モンスターを召喚するために発動したのか。そのどちらかだろう。
前者の場合は《マジカルエクスプロージョン》を使った1キルデッキの可能性。
後者の場合は《モンスターゲート》も用いた【推理ゲート】と呼ばれるデッキの可能性がある。
「さぁ、レベルを宣言してちょうだい。アナタが言ったレベルのモンスターがめくられれば、そのモンスターは特殊召喚されず、めくったカードが全て墓地に送られるわ」
「知ってるよ」
さて、ここが問題だ。
ここはセオリー通りレベル8を宣言するべきだろうか?
それとも奇を狙ってレベル7にするべきか、それともベーシックにレベル4にするべきか。うーん、何にするか迷うぜ。
「さあ、早くしてよ」
「なら、俺はレベル8を宣言する!」
ここはセオリー通り、強いレベル8モンスターを出させないようにするんだ。
《神獣王バルバロス》とか出てきたらマズイしな。攻撃力3000が1ターン目から立たれると、ちょっと処理するのに困っちまう。
「いくわよ。まず一枚目、おろかな埋葬。二枚目、メテオレイン。三枚目、帝王の烈旋。四枚目、カオスハンター! 残念。ボウヤの推理は大ハズレ。レベル7よ」
「ゲェ!? よりにもよってカオスハンターかよ!」
《カオスハンター》
効果モンスター
星7/闇属性/悪魔族/攻2500/守1600
(1):相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、このカード以外の手札を1枚捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はカードを除外できない。
ムチを持った赤い装備の女性が現れた。
コイツは俺のデッキとは相性がメチャクソ悪い。《フュージョン・ゲート》と《ミラクル・フュージョン》を使って展開する俺のゲートHEROは除外すること自体を封じられると、メインウェポンのこの二枚がゴミと化す。
だからそれ以外の方法で、融合するしかない!
「噂には聞いているわよ。ボウヤは除外融合でHEROを展開するって。だったら、このカードは相性最悪ね。私は更にモンスターを伏せてターンエンド」
「そんなことは言われなくても分かってんだよ。除外が封じられたなら、それ以外の方法で融合するだけだ。元々融合召喚は除外なんてする必要がないからな」
「まさか、普通に融合の魔法カードも……」
「当然入ってるぜ。このカードをデッキに入れてるしな。俺のターン! 俺はE・HERO ブレイズマンを召喚!」
《E・HERO ブレイズマン》
効果モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1200/守1800
「E・HERO ブレイズマン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「融合」1枚を手札に加える。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「E・HERO ブレイズマン」以外の「E・HERO」モンスター1体を墓地へ送る。
このカードはターン終了時まで、この効果で墓地へ送ったモンスターと同じ属性・攻撃力・守備力になる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。
激しく炎渦巻くこのHEROは、《融合》の魔法カードを手札に加えることが出来る効果を持っている。
だから俺は普通の《融合》も1枚だけ採用し、デッキに加えている。
今回のように《カオスハンター》や《王宮の鉄壁》といった除外を封じるカードが出されてもなんとかなるようにな。
「俺はデッキより融合のマジックカードを手札に加えて発動! 場のブレイズマンと手札のシャドー・ミストを融合し、現れろ! E・HERO ノヴァマスター!」
《E・HERO ノヴァマスター》
融合・効果モンスター
星8/炎属性/戦士族/攻2600/守2100
「E・HERO」モンスター+炎属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。
自分はデッキから1枚ドローする。
赤いマントと紅の鎧を身に着けた灼熱のHEROであるノヴァマスターは、モンスターを戦闘破壊すれば1枚ドローできる効果を持つ。手札消費が激しく、なおかつ欲しいキーカード多いこのデッキでのドロー効果は重宝する。
「くっ……攻撃力がカオスハンターを上回っているじゃない」
「当たり前だろ。攻撃力が劣ってたらノヴァマスターなんて出さないよ。さて、攻撃する前に墓地へといったシャドー・ミストの効果を発動。デッキからHEROを手札に加える。俺はバブルマンを手札に加えるぜ」
このカードは後々の《E・HERO アブソルートZero》召喚のための布石。
特に今回みたいな大型モンスターをバンバン出してくるような相手だと水属性モンスターを一枚は手札に加えておきたい。
「さぁーて、攻撃だ。バトルフェイズ、ノヴァマスターでカオスハンターを攻撃!
「カオスハンターが……」
藤原雪乃:LP4000→3900
ノヴァマスターによる大爆発攻撃によってカオスハンター爆殺!
藤原のライフポイントが100減る。ライフダメージは少ないが、1枚ドローできるのはダメージを求めるより大事なことだ。
「俺はリバースカードをセットし、ターン終了」
俺が伏せたカードは《次元幽閉》。
強力な攻撃反応系トラップだが、なぜだろう……発動できる気がしないのは。
東條創 LP4000 手札5枚
場 ノヴァマスター
魔法・罠 なし
セット 1枚
藤原雪乃 LP3900 手札4枚
場 セットモンスター1体
魔法・罠 なし
セット