HERO使いが行くGX世界   作:加藤あきら

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第28話『仕切り直しにしようぜ』

  6

 

 

「明日香さん、明日香さん!」

 

 そういってジュンコが右側を。

 

「さっきのって、そういうことですわよね~!」

 

 次はももえが私の左側に立ち、私の手を握って動きを封じてくる。

 きっとさっきの、創が言った、こ、告白まがいの言葉に興奮しているのでしょうね。

 正直に言うと、ちょっと困惑してる。でも、昔を思い出してとても嬉しく感じた。幸せの感情が溢れ出た。

 

「コラ東條! 明日香さんにあれだけのことを言ったんだから、負けんじゃないわよー!」

 

「そうですわ~! 明日香様を守ってくださいましー!」

 

 ジュンコ、ももえ……好き勝手に何を言って……。

 でも、今のこの状況はとてもマズイ。創の手札は光雄君の連続手札破壊によって全て失ってしまった。

 正直ここから逆転するのはとても困難でしょうね。

 

「俺のターンだな。ドロー!」

 

 創がカードを引く。

 その顔は……安堵の表情だった。でも、すぐに険しい顔に戻った。

 ということはあのカードは――。

 

「光雄、運命の女神様には見捨てられてなかったようだぜ。俺も強欲な壺を引いた。これにより2枚カードをドローする」

 

 手札0枚のこの状況において一番欲しいカードを引き入れた!

 この2ドローで創と、私の運命が決まってしまう。お願いデュエルモンスターズの神様、創に力を貸してあげて!

 

「おい東條、逆転のカードは引けたのかな?」

 

「…………光雄。さっきのザルーグの手札破壊効果、使わなかった方が賢かったかもな。お前の伏せカードは奈落の落とし穴で、俺の手の内はピーピングによって把握できていた。なのにサイコ・ショッカーをわざわざ墓地に送ることのリスクを考えていなかった。甘い、甘すぎるぜ光雄!!」

 

「まさか、引いたのか、早すぎた埋葬をッ!?」

 

「その通りだぜ光雄! ライフを800ポイント支払い発動!」

 

「ボーイと呼べ!!」

 

 

 東條創:LP2400→1800

 

 

「墓地の人造人間-サイコ・ショッカーを復活させる!」

 

 

《人造人間-サイコ・ショッカー》

効果モンスター

星6/闇属性/機械族/攻2400/守1500

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにフィールドの罠カードの効果を発動できず、フィールドの罠カードの効果は無効化される。

 

 

 同じデッキを使っているこのルールにおいて、ゲームエンドまで持っていける切り札の1枚。

 すべての罠カードを封じるこのモンスターは凄まじい制圧能力を持っている。

 これで手札と場のカード総数が負けていても十分逆転できるパワーがあるわ。

 

「さあ、バトルフェイズだ! サイコ・ショッカーで首領(ドン)・ザルーグを攻撃。電脳(サイバー)エナジーショック!!」

 

 紫色の球体がザルーグに向かって飛んでいき、ザルーグを撃破した。

 

 

 光雄:LP3000→2000

 

 

 これで創がフィールドを制することができるわ。

 勝って、創!

 

「メインフェイズ2に移行。モンスターをセットして、ターン終了だ」

 

 

東條創 LP1800 手札0枚

場 《人造人間-サイコ・ショッカー》《セットモンスター1体》

魔法・罠 《セットカード1枚》

 

光雄 LP2000 手札3枚

場 なし

魔法・罠 なし

 

 

  7

 

 

 クソッ……先にサイコ・ショッカーを召喚された……!!

 俺の手札にもサイコ・ショッカーがあったのに、ザルーグが破壊されたことにより召喚することが出来なくなってしまった。

 《大嵐》と《ライトニング・ボルテックス》を使っても場のカードを一掃するだけ。モンスターの展開が出来ないだけじゃなく、俺の手札も0枚になっちまう。

 お互いに場と手札のカードが0枚になった状態で東條のターンになるのはマズイ。もし次のターンで東條に四つ星以下のモンスターを引かれたら、テンポ勝負に負けて一気に俺が不利になる。それだけは避けたい……!

 

「どうした光雄? お前のターンだぜ?」

 

「分かっている! ボーイと呼べと言っているだろう!! ドロー!!」

 

 引いたカードは……やった……この勝負、俺の勝利に一歩近づいたぞ。

 

「ふはははは!! これで俺は勝利に一歩、いや何十歩も近づいたぞ!! このドローで引いたのは強奪のカードだッ!!」

 

「なにっ!?」

 

 

《強奪》

装備魔法

このカードを装備した相手モンスター1体のコントロールを得る。

相手のスタンバイフェイズ毎に相手は1000ライフポイント回復する。

 

 

「装備魔法、強奪発動!! お前のサイコ・ショッカーを奪い、バトルフェイズだ! セットモンスターに攻撃、電脳エナジーショック!!」

 

 ん?

 なぜ東條はニヤついている? まさか、そのセットモンスターは……!!

 

「なぁ光雄……。ちょっとさぁ、いったん仕切り直しにしようぜこの勝負をさ」

 

 サイコ・ショッカーから放たれた攻撃がセットモンスターに着弾する。

 開かれたモンスター、それは緑色の大樹のような姿をしている最高にイカれたリセットカード。

 

「リバース効果モンスター、ファイバーポッドの効果が発動される。さて光雄、この効果はもちろん知っているよな?」

 

 ファイバーポッド……お互いの手札と場と墓地の、すべてのカードをデッキに戻してシャッフル。そしてお互いに5枚ドローする効果だ。

 

 クソ……! 一気に俺が有利になったと思ったのに仕切り直しとはな。あの強欲な壺で引いた2枚のカードがこんなにアイツに都合の良いものとは予測してなかった。

 

 いや、落ち着け俺。

 

 あの状況でモンスターをセットした時点で予測するべきだったんだ。サイコ・ショッカーで俺の場を開けることができたのに、攻撃に参加せずにセットした。聖なる魔術師(セイント・マジシャン)はすべて除外されているんだから、必然的にアレは唯一デッキに残っていたリバース効果モンスターのファイバーポッドだ。

 

 だがまぁ、どうせ残しておくわけにもいかない。

 東條のターンで反転召喚されるよりかは、俺のターンで開いておいて5枚ドローをさせてもらった方が都合がいいからな。

 

「お互いの手札、場、墓地のカードをすべてデッキに戻してシャッフル! そしてお互いにカードを5枚ドローする。さぁプレゼント・フォー・ユーだ。5枚引きな」

 

「相変わらずむかつく野郎だ。だが、5枚のカードは有難く頂戴するよ」

 

 引いたカードは……。


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