HERO使いが行くGX世界   作:加藤あきら

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みなさんお待たせしました。
今回から高等部編のスタートです!


高等部編
第19話『入学試験デュエル~ファイナル・フュージョン承認!~』


  1

 

 

 ついに中等部を卒業し、これから高等部の……あの島に足を踏み入れることになる。

 俺と明日香、万丈目、委員長や藤原は成績優秀者として、推薦を貰えることが出来たから何をせずともエレベーター方式で高等部へ入学が決定している。

 だから、入学に備えて身の周りの整理をしている途中だ。

 

「はじめちゃ~ん、天上院さんたちが来たわよ~」

 

 と、そこに下からお母さんの声が聞こえてきた。

 特に約束はしてないが、どうやら明日香たちが尋ねてきたようだ。

 俺は一旦荷物の整理をやめて下へと降りていく。

 

「何だよ、みんなそろって。いま荷物の整理していて忙しいんですが」

 

 天上院さんたち、とはお母さんが言っていたけど、明日香と吹雪さんだけじゃなくて亮さんまでいるとは……。

 

「まだまだ時間があるし、荷物の整理は一旦やめて実技試験、見に行きましょ?」

 

 明日香が手を伸ばしてそう言った。

 俺たちは入学試験をパスしたから日程とか覚えてなかったけど、今日だったんだな。

 と、言うことはだ。翔君がついに今日、実技試験を受けることになるのか。

 確かに明日香の言う通り、荷物整理なんかしてる場合じゃねぇ!

 

「分かった。翔君の勇姿を見る必要もあるしな。さっそく行くか!」

 

 翔君のことだ、ド派手にかましてくれるに違いない。

 期待に胸を膨らませながら、みんなで試験会場である海馬ランドへと歩みを進める。

 

 

  2

 

 

「あぁ! もう翔君の試験始まってるじゃない!」

 

 どうやら試験が予定より早く進んでしまっているらしく、俺たちが海馬ランドに着いた頃には翔君の試験が始まっていた。

 どれどれ……デュエルの状況はどうなってる?

 

 試験官の場は守備表示の《アステカの石像》と攻撃表示の《ビッグ・ピース・ゴーレム》、《地球巨人 ガイア・プレート》そして裏守備モンスターか。

 どうやら岩石族デッキのようだな。しっかりとしたテーマデッキだが、とんでもない強さを持っているデッキでもない。だけど《番兵ゴーレム》や《守護者スフィンクス》《伝説の柔術家》といったバウンスカードがあったりと厄介ではある。

 それに合わせたプレイングをしなければあっさり負けてしまうだろうな。

 さて、翔君はどう動く?

 

「いきます、ボクのターン!」

 

 翔君は引いたカードをそのまま手札に加え、別のカードを手に取った。

 どうやら、この状況を打破するカードがすでにそろっているようだ。

 試験管のバックのカードはないし、このまま決める気か?

 

「ジャンク・シンクロンを召喚! 召喚時の効果で墓地から速攻のかかしを特殊召喚します」

 

「レベル3とレベル1のモンスターでシンクロ召喚をする気か!?」

 

「はい! ボクはレベル1の速攻のかかしに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!! いでよ、アームズ・エイド!!」

 

 

《アームズ・エイド》

シンクロ・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1800/守1200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚できる。

この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。

また、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

 

 シンクロ召喚により現れたのは右手の形をしたモンスターだった。

 ここ最近、新たな召喚方法としてシンクロ召喚とエクシーズ召喚が追加された。

 シンクロ召喚は『チューナーモンスター』と『それ以外のモンスター』のレベルを合わせて召喚する白い枠のモンスターカード。

 エクシーズ召喚は同じレベルのモンスターを指定の枚数重ね合わせることで召喚される黒い枠のモンスターカード。

 これらの新しい概念のカードの登場により、デュエルは更に加速した。

 そして、翔君はもうすでにシンクロモンスターをデッキに採用しているのか!

 

「それだけでは私のモンスターを倒せない。どうする気かね?」

 

「こうするんです。死者蘇生を発動して、墓地のエクスプレス・ロイドを特殊召喚! このカードが特殊召喚されたことにより、墓地から“ロイド”モンスターを2枚手札に加えられる。ボクはトラック・ロイドとドリル・ロイドを手札に加える」

 

 この流れは間違いない。

 出す気だな、あのモンスターを!!

 

「そして、魔法カードを発動。ビークロイド・コネクション・ゾーン!! ボクは手札のトラック・ロイド、ドリル・ロイド、ステルス・ロイドと場のエクスプレス・ロイドをこのカードによって融合する。ファイナル・フュージョン承認! 変形合体だ!!」

 

 四体のロイドモンスターが宙を舞い、まずはステルス・ユニオンを中心にトラック・ロイドが合体! そしてエクスプレス・ロイドが半分に分かれて肩の部分に変形。

 そしてドリル・ロイドだが……元の姿からは考えられない変形をして手足になっているんだが……こまけぇこたぁどーでもいいんだよ! カッコよければ!

 最後にトラック・ロイドの運転席の部分が顔になり変形合体が完了した。

 

「スーパービークロイド‐ステルス・ユニオン!!」

 

 

《スーパービークロイド‐ステルス・ユニオン》

融合・効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻3600/守3000 

「トラックロイド」+「エクスプレスロイド」+「ドリルロイド」+「ステルスロイド」

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にフィールド上に存在する機械族以外のモンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

この効果によってモンスターを装備している場合、相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。

このカードが攻撃をする場合、このカードの元々の攻撃力は半分になる。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

 その瞬間、会場の男子たちが湧いた。

 そりゃあねぇ……男の子ならあの変形合体には反応しちまうよね。

 小さい頃、夢中になって見ていたスーパーロボットアニメをソリッドビジョンシステムのおかげでリアルに再現されているんだから。

 てか、ソリッドビジョンの演出凝りすぎじゃね? 気合入りすぎってレベルじゃない。

 よくあるロボットの変形合体バンクに使われているSEのガキンッ! ガシャン!! グィィィィンン!! って音まで入ってるんだけど。

 あれだな、カッコよければそれでいいじゃん? って製作者も思って作ってるなコレは。

 

「まずはステルス・ユニオンの効果でガイア・プレートを吸収合体! 完成! スーパービークロイド‐ガイア・ユニオン!!」

 

 これによってステルス・ユニオンの腕が岩石に変化した。

 あと、ガイア・ユニオンって言ってるけどあくまでカード名はステルス・ユニオンのままなんだけど……まぁカッコいいからいいよね!

 

「そして、アームズ・エイドをステルス・ユニオンに装備合体!! これでステルス・ユニオンの攻撃力は4600!!」

 

「まさか、こんなものを見せられるとは……」

 

 あれ、試験官さんも感動してね?

 そうだよね。どっちかといえば、試験官さんの方がスーパーロボットアニメ全盛期にぶち当たってますもんね。

 

「ステルス・ユニオンは、攻撃するとき元々の攻撃力が半分になってしまうけど、相手の場のモンスター全てに1回ずつ攻撃することが出来る。さらに貫通効果を持っていて、アームズ・エイドの効果で戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらいます!」

 

 うっわ、カッコいいけど効果はえげつないな……。

 アームズ・エイドの効果で攻撃力が1000上がるから、半分になった攻撃力1800に1000を加えた2800が攻撃するときの数値になる。

 

「行きます! スーパービークロイド‐ガイア・ユニオンで試験官さんのモンスターすべてに攻撃!! ブロークンッッッ・ファントォォォム!!」

 

「ぐああああああああああああ!!」

 

 

試験官:LP0

 

 

「ありがとうございました!」

 

「うん。とっても良いデュエルだった。試験の結果は後日家に届くと思うから、待っていてくれたまえ」

 

「はい。ありがとうございました!」

 

 そうして翔君はデュエルスペースを後にした。

 手に汗握る展開を見せてくれた翔君にちょっと涙腺が崩壊しそうになる中、吹雪さんが口を開ける。

 

「いやはや、さすがは亮の弟くんだね。あんなにもド派手でカッコいいデュエルをするとは」

 

「まぁな。翔は普段は引っ込み思案な部分があるが、デュエルとなればエンターテイナーの素質を見せてくる」

 

「うん。翔くんはプロに向いていると思うよ。子供たちに大人気のデュエリストになること間違いなしだね」

 

 プロデュエリストか……たしかに翔君は向いているかも。

 まぁプロって言っても色々あるしな。ただ単に強さを求めるだけじゃプロにはなれない。やはり、プロのデュエルはエンターテイメントでなければならないからな。

 ただ単に強ければよかったら、プロリーグで見れるデッキが一種類ないし二、三種類になってしまいかねない。環境デッキというのは確かに強く、他を寄せ付けない力を持っているが、それじゃあ観客は見ていて面白くない。

 さっきの翔君みたいに、ド派手なカードを使った方が観客は楽しいに決まってる。

 

 ただ、エンターテイメント性ゼロのガチガチな大会もあるから、ド派手イコール正義とは限らない。環境デッキも使いこなすタクティクスも必要になってくるんだ。

 翔君はどっちかと言えばエンターテイメント性を重視するプロってところか。

 

「ねぇ創。男の子って、あーゆーのに興奮するの?」

 

「何を言っているんだよ明日香。男はいつまで経ってもどこかしらに少年の心を持っているんだぜ? さっきの翔君のようなデュエルを見せられたらそりゃあもう、大人なダンディな男性だって子供のように喜ぶだろうさ」

 

「ふーん……私には分からないな」

 

「ま、ロボットアニメ見てこなかった奴だとあまりピンとこないかもな。おっと、翔君のお出ましだ」

 

 メガネをかけた男子がこっちに向かって駆けてくる。

 

「お兄さん、吹雪さん、創くん、明日香さん! ボク勝ったよ!!」

 

 そんな翔君に一番に話しかけたのはやはり兄の亮さんだった。

 

「あぁ、みんなで見ていたぞ翔。創なんか、手を握り締めて楽しそうに見ていたしな」

 

「そうなの、創くん?」

 

「あ、あぁ、亮さんの言うとおりだよ。まったく、翔君はエンターテイナーだよな」

 

「えへへ、そうかなぁ?」

 

「創君の言う通りだよ。これは、将来が楽しみだね」

 

「吹雪さんまでそんな……。そんなこと言われたらボク天狗になっちゃうよ?」

 

「それはダメよ翔君。調子に乗ると痛い目に遭うんだから」

 

「あぅ、そうだよね」

 

 まったく、明日香も委員長と同じでお堅いんだからもう。

 ま、確かに調子に乗ったらダメだけどさ。

 その時だった。会場に響き渡る男の叫び声。

 

「受験番号110! 遊城十代、遅延証明書もあるしセーフだよね!?」

 

 どうやら電車の遅れで試験に間に合わなかった受験生がいたようだ。

 遊城十代……どっかで聞いたこともあったようなきがするけど、気のせいかな?

 でも気になるその男子――遊城十代のデュエルはしっかりと見ようと思った。

 そう思った理由は、よく分からない。




これ完全にガオガイガーや。

そして高等部編になったからシンクロとエクシーズ解禁です。

で、プロの考え方はオリジナル。
OCG次元で考えたら、プロのデュエルが虫だらけになったり、龍だらけになったり、魔道書だらけになったり、最近だと十二獣だらけになったプロリーグの中継とか誰が見るんだ……と思ったからこう書いてみた。
まぁ、それも需要があるんだろうけど。

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