艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

59 / 60
お気に入り数が100件を超えていました。
ありがとうございます。

評価や感想をお待ちしています。


5-10 二つの運河が消えて…掟破りの奴等がやって来る。

萩沼提督は千鳥から何故?この世界からスエズ運河とパナマ運河が消失(・・)し代わりに共に海峡化になった理由を知りたかった。

 

そこで千鳥はある1枚のディスク(・・・・)を用意して、正面にある大型スクリーンから後方にあるプレーヤーに、その1枚のディスクを挿入し映像を再生させた。

 

「……これは…千鳥さんこれは一体(・・)?」

 

映像が再生始まったと思いきや突如、紅海側から出雲以上の巨大な船体を持つ戦艦(・・)が出現し、先端部分の砲身から眩い青白い閃光を撃ち放った…と思えば、なんとその砲身の向け先はスエズ運河であり陸地そのものだった!。

 

そしてその青白い閃光を受ける前にあったであろうはずのスエズ運河は消滅(・・)し瞬く間に、一つの海峡が出来上がった。

 

同様にパナマ運河も同じような運命を受けたが、これはその映像を見た全員がそう思ったのは、その地にいた人間や建物が一瞬にして全てが蒸発(・・)し…影も形も跡形無く全てが消えていった。

 

同様に同席していた提督や艦娘はそれを見て落胆しざるを得ない状態だった。

 

「今のご覧になられて映像に映るあの艦が二つの運河を破壊し、そして二つの海峡(・・)を瞬時にして作り上げ。いとも容易く1つの国家(パナマ)と3つの都市(・・)を破壊した……艦です。」

 

千鳥は向かいに座っていた出雲に、あえてこんな(・・・)質問を言ってみた。

 

「出雲さん…この艦に見覚え(・・・)が…ありますね。」

 

それもその筈、何故なら自分達と会敵した時よりも数倍以上の船体と火力(・・・・・)が明らかに違う。

 

「…あぁ…間違いない。俺があの海域(北極海)で撃破して…そしてたち四人を。この世界(・・・・)へと引きずり込ませた張本人…超巨大究極戦艦…超ヴォルケンクラッツァー(超蜃気楼Ⅲ)と…もう1隻はその二番艦。

超ルフトシュピーゲルング(超蜃気楼Ⅱ)…見間違える訳が無いさ…。だが合点行かないのが俺たちが知っている姿()じゃないなぁ…千鳥、あの姿だと奴はこの世界に来て姿形が既に変貌(・・)したというのが妥当な線かな?」

 

超摩天楼には本来、単装砲(・・・)として運用していた、量子波動砲と超レールガン(旧レールガンα)、そしてデカデカと80口径と推測する100cm砲がこの世界では既に2連装化(・・・・)されており、その100cm砲が4基の他に4連装(・・・)型の80口径80cmが前後に6基ずつの計12基備え付けられている、同様に新型(・・)光子榴弾砲と反物質ビーム砲(・・・・・・・)が8基ずつ装備し、57ミリバルカン砲と新型(・・)パルスレーザーにδレーザーⅢ、そして超レールガン周辺と船体の前後にはVLSが推定でも数は600を超えている。

 

同じく蜃気楼もそうだが…、こいつも超摩天楼と同様(・・)の装備をし更に超レールガンとは入れ替わって、超重力砲が左右に1基ずつある。

 

まぁ救いなのは、反物質ビーム砲の代わりにその超重力砲が載せられているだけだが…この反物質ビーム砲もそうだし、超重力砲にしろ超レールガンにしろ量子波動砲がある。

 

両艦艇の全長は共に1500m級、幅は出雲を上回る巨大な500m級に達している。

 

この2隻をどう比べて見ても超一級品かつ最凶最悪の兵器群を持つ巨大戦艦が2隻を嫌でも見たから(・・・・)仕方ないとしか言いようがない!オマケに、明らかにどう見ても現在の出雲の装備では勝つことすらほぼ確実に無い!という状態だ。

 

出雲の答えに、千鳥がこう付け加える。()

 

「はい出雲さんの仰る通りです…が、少しどころか大問題が…」

 

その言葉に、檜垣が千鳥に問いかけた。

 

「千鳥さん、まさかあの超摩天楼と超蜃気楼(・・・)の後に何かこの世界に紛れ込ん(・・・・)で誰かやって来たのかい?」

 

「その通りです。今から次のディスクを流しますので、ご覧になって下さい」

 

そう千鳥から言われて、全員の視点がスクリーンに向けられると今度は6つのスクリーンに別れ始めていき…そこにはなんとあのとき北極で目撃した。時空のゆがみこと光のゲート(・・・・)がそれも複数同時(・・・・)に出現したのだ。

 

「おい…これはいったいどういうことだ?それぞれ(・・・・)のゲートから。次々と超兵器が艦隊を伴って(・・・)来るんじゃないか?」

 

「実はあの2隻(・・)超兵器がもつ、時空間転移と量子波動砲による影響で次元の裂け目(・・・・・・)言わいるゲートが開きそれぞれの並行世界(・・・・)から今の世界へ次々と超兵器がやって来ました」

 

千鳥に言われ映像を見続けていると…その6つのゲート(・・・)巨大な航空戦艦に潜水艦、高速巡洋戦艦や巨大戦艦がそれぞれ艦隊を伴っており。

更に最後までそれを見続けているとなんとあろう事か!超摩天楼と超蜃気楼の傘下へと加わってしまったのだ。

 

「出雲さん」スッ

 

そこで千鳥は、これまで分かった超兵器の船型と艦名が記載された資料を出雲に差し出した。

 

「ありがとう」ニコッ

 

そう言って出雲は更めて、千鳥から渡されたそれらの艦型と艦名が記載され添付した資料を見ることにした。当然この資料は、同席している全員(・・)にも配布されていた。

 

そして6ヶ所のゲートから出現した超兵器は、以下の通りだった。

 

超巨大高速潜水艦「ドゥールム・レムレース」

超巨大潜水戦艦「シュヴェルド・ヴァール」

超巨大潜水艦「べレロフォン」

超巨大潜水艦「シュパーブ」

超巨大潜水艦「テメレーア」

超巨大潜水戦艦「ヴァンガード」

超巨大航空戦艦「テュランヌス」

超巨大双胴爆撃機「ランフォリンクス」

超巨大空中空母「バンシー」

超巨大空母「アポロノーム」

超巨大空母「プロメテウス」

超巨大三胴戦艦「三笠」

超巨大三胴戦艦「摂津」

超巨大多砲塔航空戦艦「スサノオ」

超巨大高速重巡洋艦「ヴィントシュートス」

超巨大要塞艦「ベルグランデ・デルタ」

超巨大光学迷彩戦艦「アダマーズ・ブラッタ」

超巨大双胴強襲揚陸艦「テオドリクス」

超巨大戦艦「ナハト・シュトラール」

超巨大氷山空母「ニブルヘイム」

超巨大氷山空母「アイスインゼル」

超巨大突撃ドリル戦艦「リーズィヒ・ケーゲル」

超巨大究極戦艦「超グロース・シュタットⅡ」

 

全員がそれぞれ手元に持つ、参考資料とスクリーン上(・・・・・・)の未確認超兵器とそれらに随伴する。量産型超兵器(播磨型・シュトルム級)準 超 兵 器(超大和型・H44級)出雲と敵対した艦艇(日・米・英・独・仏・露)を拝見し終わるのを確認すると…。

 

出雲にしては珍しく、弱気(・・)な事を口ずさんでいた。()

 

「………うーん…どうしましょうかねぇ……この場でいうけどさ!これよ、すっげー洒落にならんわ!これだとよ~。今までに潰したよりも頭数(・・)が倍近く増えちゃったよ!これ?」

 

出雲にしては珍しく弱気な事を話すんだと、同席していた全員が思った。

 

「まぁ出雲よ、お前の他に(八雲)や相模がいるのだから。大船に乗ったつもりで安心しろよ!」

 

「…はぁー…八雲よぉ、それ気休め程度にしか並んよー、その言葉……でもまぁ、ありがとよ」

 

そしてこの人も…

 

「出雲さん、私達もいますから大丈夫ですよ。」

 

「私も赤城さんと同じです。」

 

そう赤城や加賀は言うが出雲は一瞬、心の中でこう思った。

 

(アイツらが極悪最凶の兵器持つなら、この2人の胃袋はまさに…ブラックホールの胃袋を持つ艦娘か…土地ならぬ食料があっという間に消えていくのが目に浮かぶわ)

 

たまたま出雲の右隣に座っている飛鷹が、チラッと出雲を顔付きを見たら心の底から「頭に来ちゃった」とばかりに出雲の足を躊躇わず踏みつけた。

 

「エイッ」グシャ

 

「痛てぇ、何すんだよ!飛鷹?」

 

「ごめんね出雲」テヘペロ

 

そう出雲は飛鷹の顔を見たがどうやら目は笑っちゃいなかった。

 

「………」オレ、ナニカヘンナコトイッタノカナ

 

そこで左側に座っていた隼鷹が、出雲にこう耳打ちしながら話した。

 

「出雲、自分ではそう思わなかったと思っても。顔には(・・・)ハッキリと表していたよ、こちらにはブラックホールの胃袋を持つ大食らい(・・・・)一航戦(赤城と加賀)がいるって…」

 

出雲は脇目で赤城達に視点を向けると、そこにはどう見ても悲しげな顔付きをしていた二人が出雲のことをジッと睨みつけていた。

当然、加賀の顔付きはどう見ても「頭にきました」とばかりの顔付きである。

 

「赤城に加賀、俺が至らない限りに」

 

その後どうにか二人から許してもらい、出雲は相模と千鳥に向けてこう話し始めた。

 

「相模は俺が改装工事を終え次第、俺と一緒にある作戦に参加してもらい。千鳥はこちらの萩沼提督と一緒に、日本へ向かってもらいます。」

 

そう言って二人は、すぐさまその案に承諾してくれた。

 

相模はこの世界に来て久方ぶりの戦が出来ると胸を踊らせていては。

 

千鳥は直接戦闘は出来ないが、自身も肩書きは工作艦なのか横須賀基地にいる明石や三原という、工作艦に会えるという楽しみをしていた。

 

「それで千鳥、この改修工事案(出雲改装案)の詳細な資料を見て日数的にどれくらいかかる?」

 

千鳥は出雲からその書類を受け取り、その中身を拝見してすぐさま答えを出してくれた。

 

「出雲さん、改修工事の日数的には概ね96日(約2日)はかかりますね」

 

「それだけあれば問題ないな、それから…」ポリポリ

 

「分かっています。そちらにいる飛鷹と隼鷹さんの新型船体の建造ですね」ニコッ

 

「すまんな、助かる。」

 

出雲は飛鷹と隼鷹のことを見ながら。

 

「二人共、それでいいかい?」

 

「うん、ありがとう出雲」

 

「これで出雲と一緒に戦えるぜ!」

 

と言って飛鷹型(飛鷹と隼鷹)は大喜びをしていた。

 

「提督、元の世界の時間軸なら約2日で改装が終わります。その後、試験運用を兼ねながらパラオ諸島へ補給品の輸送任務をしたいと思います。よろしいでしょうか?」

 

「うん、急なお願いだけどよろしくね。」

 

こうして、先に提督達を元の世界に帰還させてから出雲は、すぐさま指定された1400m(・・・・・)級の第2ドックに入渠し全体的な大規模改装工事を実行した。

 

同時に飛鷹と隼鷹は1度、艦娘と船体の身体リンク(・・・・・)を切り離してもらい、新型空母が竣工され次第また元の状態に戻ってもらうことにした。

 

 

そして出雲は一人、艦橋ウィングからある艦艇を目視していた。

 

そのドックに建造され、半ば建造中の超大型艦の艦種と艦名は出雲が持っていた設計図にはこう記載されている。

 

 

 

 

超ヴォルケンクラッツァー級巨大究極戦艦3番艦(・・・)、「グロース・シュタット」こと、またの名を「大都市」という。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。