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これから先寒くなりますので、皆さんも風邪やインフルエンザにならないように。
10月23日 1820 南シナ海ナトゥーナ諸島海域北部
すでに夕日は沈ずみ。夜の星空を背景に出雲は南沙諸島へ航海中だった。艦内では目標海域を衛星による監視と高度1万5千を飛行中の
「飛鷹。私たちの為に、出雲に
飛鷹も涙を拭いながら、武蔵に向けて言い放った。
「いいのよ、出雲は私たちを危険な目に合わせたくないと、あんなことを言っていたのは、解っていたから」
「…飛鷹…」
同じ頃、航海艦橋では出雲と檜垣、そして副長と海兵隊隊長が今回の作戦の話していた。
「では、こちらから海兵隊2個中隊を6隻の潜水艦に分乗させて、目標海域600キロ手前で投入します。しかし艦長、宜しかったのですか?」
副長と海兵隊隊長は出雲の顔を見て、酷く心配していた。
「あまり良くないよ。まぁ、飛鷹からの
「了解しました。」
「では、此方も
そして、副長が砲雷長と、海兵隊が艦内電話で部下とが、それぞれ打ち合わせをしていると、檜垣が出雲に話しかけてきた。
「
「そうだなぁ、彼女たちの気持ちは充分に有り難いよ。」
航海中なので艦橋の中は暗いが、明るい所に出れば出雲の右頰にはくっきりと赤い
何故?このような事になったかは、1時間程に時間が巻き戻る。
10月23日 1700 南シナ海 アナンバス諸島北 100キロ地点
シンガポールを出港してから1時間程たった頃、作戦海域に向けて航行している中、出雲は主なメンバーを統合作戦室に集めていた。加えて、艦娘達にも当然オブザーバーで参加してもらったが…艦娘達から提案してきた内容に、出雲側のメンバーはみんな険しい表情を浮かべていた。
ダァン‼︎
出雲は、思い切りに拳をテーブルに打ち付けては、艦娘達にこう言い放った。
「その言っている意味を理解しているのか?俺はお前たちを、犬死にさせる為に連れてきたんじゃないんだぞ⁈」
艦娘達の代表として、武蔵が提案して出雲に向けて言った内容は、
しかしそれでも、武蔵はなんとかこの提案を承諾してもらえないだろうかと必死に頼み込んでみた。武蔵達は以前とは比べ物にならない程に改装してくれた事に感謝していた。そして、自分達も出雲と一緒にあらゆる世界と戦場を駆け巡りたいと願っていた事も。
だがそれでも、出雲は彼女たちの前でこう言い放った。
「今、お前達が持つ装備なら鬼や姫級でも優に立ち回れる。だが、これで戦に勝てると慢心して、仮に極超音速の対艦ミサイルを
「それでも私達は、出雲1人で戦闘に赴かせていながら⁈静観を見ていられる訳はないぞ‼︎」
出雲自身も内心では、有難がったが…これで、いざ戦闘になった時に即轟沈、よくても大破が出始めて狼狽え始めたらそれこそ思う壺だと。これ以上埒があかないと出雲は判断し、
「本来ならお前達を、連れて行きたくはなかった。
パァーン
「みんなの気持ちを・・・・理解しないで、何が
いきなり飛鷹が出雲の目の前に現れたと思ったらなんと⁈あろう事か、いきなりビンタをして怒りながら彼に向かって言い放った。しかも涙を流しながら…出雲自身も座ったまま目を閉じ、その後立ち上がると飛鷹達に向けてこう言った。
「仕方がない2000にもう一度、此処に再度集まってくれないか?それで決めようか」
そして、改めて出雲は周りに座っている艦娘達に目を向けて、こう言い放った。
「みんなには悪いが、俺はその時に、参加してもらう艦娘を
「「「はい‼︎」」」
そして話は、現在に至る。
出雲は艦長執務室に戻っては、誰を投入するのかを考えていた。だが…出雲自身も内心では戦力発表後に、飛鷹や武蔵の所へ謝りに行こうと考えていた。
トン、トン
「ん?誰だろう、どうぞ⁈」
そう言って、執務室の自動ドアを開けて入って来たのは。なんと驚いた事か飛鷹に隼鷹、古鷹に加古そして大和と武蔵の6人がやって来た。
そして執務席から立ち上がると、武蔵や飛鷹達に向けて謝罪をする事にした。
「武蔵、飛鷹それにみんな、俺はお前達にあの様な事を言ってすまなかった。」
そう言って、出雲は武蔵達に深く頭を下げた。そして武蔵は出雲にこう言い放った。
「いやいや、あれは出雲があのようなことを言いたくなかった事は、飛鷹から聞いているよ。私達を危険な目に合わせたくないのもな」
「なんだ。気付かれてたか」ポリポリ
出雲は彼女達が、自分に何か用があるのと聞いてみた。
「それと話は変わるが、一体どうした?なんかあったのか⁈」
その質問には武蔵が、答えてくれた。彼女自身もここまで来て出撃は取り消しと言われては、艦娘としての矜持を失うに等しかった。
「いや何もないさ、出来れば出雲の手伝いが出来ればいいと思ってな」
「なるほどね、あっ⁈そうだ武蔵さん、前に話していた砲弾ようやく完成しましたよ。」
出雲から放ったその言葉に、武蔵と大和は驚きを隠せなかった。
「本当ですか?出雲さん」
「はい大和さん本当ですよ、砲弾のベースになったのは三式弾と零式弾です。それを元に、弾頭を焼夷弾や榴弾から燃料気化弾頭か成形炸薬弾頭へ交換が可能で、信管を対空目標なら500〜700m圏内で自動起爆するVT信管と対艦・対地砲撃なら着発か遅発信管を併用して使えるように交換してありますので、これなら対艦・対地砲撃や対空戦闘にも発揮出来ます。更に、91式徹甲弾頭の部分を成形炸薬弾頭に交換してあります。これは俺の艦で使用している91式改2と同じ威力を持ちます。成形炸薬弾頭はご存じ、対戦車攻撃にも有効な弾頭なので十二分に発揮出来ます。名称としては三式弾は
「どういうことなの出雲?」
「まぁ、とりあえずこれを見てくれ」
そう言って、飛鷹達にある画像を見せた。そして、それを見た2人は大層喜んでいた。
この空母の特徴は、VLSの装備が可能でX形のアングルド・デッキを備える独特なスタイルだが、船体のベースとなったのは千鶴型という空母で、外見は
「あぁ、これは俺たちでいう
「うんうん、全然ないよ、ありがとう出雲」
「そうだよ、これで私達も出雲と同じ、ジェット機を扱えるんだからさ〜、ありがとね」
「そりゃよかった。それと、砲弾は三式弾並び零式通常弾を使う艦艇に全て使えるよう、施しをしてあるからすぐ使えるし人員振り分け前全員に引き渡したのがそれよ」
「わかった。有り難く使わせてもらうよ」
そんな中、加古が出雲に話しかけてこう言い放った。
「出雲さん、
「加古⁈なんてこと言うの‼︎」
出雲は溜め息を吐いた後、2人にこんな質問をした。
「古鷹、加古お前達2人と青葉、衣笠を合わせた4人にも
2人は悩んだが、古鷹は一度その改装案の画像を見せてもらえないかと頼んでみたところ、出雲はすぐ承諾して2人に画像を見せた。
この船体の元になったのは、かつて日本海軍には改⑤計画でB65こと超甲巡の建造が計画されていたのを知っていたので、出雲は
まぁ。武装や全体的な性能面では、超高速巡洋戦艦に匹敵するが…。
この魚雷は、スーパーキャビテーション技術を応用した魚雷で、時速5400キロ(震電の7.2倍)の速さであっと言う間に命中する。当然、威力は桁違いにすごい。
「元々この2種類の他に計画予定の特殊駆逐艦や特殊戦艦を加えた。4種類を合計20隻前後建造して、出雲の
古鷹達2人はこれを見て興奮と驚きを感じていた。重巡の中でも、妙高型や高雄型とで性能は下回りし、かといって多数の艦載機を搭載出来る、最上型や利根型とも差があった。
「こりゃすごいよ、これならあたしや古鷹、青葉達も十分に戦えるしね、ありがとな♪出雲」
「私も加古と同じ気持ちです。出雲さんありがとうございます」
そんなこんなで話しを進めている内に、約束の時間15分前になったので移動することにした。
集合場所に着くと、自分達以外全員が先に着いており、どうやら出雲からの結果が出るのを待っていたみたいだ。
「全員揃っているので少し時間が早いが結果を話そうか、参加してもらうメンバーはイクやゴーヤ達を外して36名を動員したい、何か異論はあるか?」
そう言って、室内にいる全員に聞いてみたが全員揃って「異論なし」と答えてくれた。
「異論なし…か、わかった。お前達には現在衛星画像で港湾施設と飛行場が確認されてある西側の砲撃を頼みたい、イクとゴーヤ達は同じく二ヶ所に分散している洋上プラントとレーダー施設の制圧を、俺は南側から港湾施設と飛行場を砲撃する予定だ。ただしミサイルが何処から飛来してくるかわからない為、こちらから航空機を飛ばして上空から監視と電子戦の支援に当たる。」
出雲はあらかじめ用意しておいた衛星画像を艦娘達に見せながら、今回の目的と最重要破壊目標を説明していた。
「この対艦ミサイル基地を破壊すれば、東南アジアから日本への物資輸送が円滑になりやすくなる。それに本音を言わせてもらえば、奴らはフィリピン攻略を
そして、出雲から呼ばれた艦娘は以下の通りだった。
戦艦 大和、武蔵、長門、陸奥、金剛、比叡、榛名、霧島
空母 天城、土佐
重巡 古鷹、加古、利根、筑摩
軽巡 長良、五十鈴、名取、由良、鬼怒、阿武隈
駆逐艦 吹雪型7名、白露型9名
合計 36名
「以上が、決定事項だ。指定した空母には双発艦攻 鴻星が搭載されていると思うが、この機体に搭載出来るイ号16型噴式誘導爆弾の
この話しを聞いた。艦娘達は一瞬、首を傾げたが数秒後にそれを理解した時には仰天した。
「えっ‼︎真夜中にやるんでスカ⁈出雲さん」
これに対して金剛が声を上げて言ったが。
「そうだよ、仮に明け方に出撃したとしても今度は飛行場から敵機がワンサカとやって来るんだよ。両方相手にして、勝てる自信あるのかい?」ニコニコ
「イイエ、アリマセン」
「ならば良し、後40分程で一度、艦を停船させます。作戦に参加するメンバーは洋上艤装を展開をお願いします。天城さん土佐さん、誘導弾と
「わかりました」
「ありがとうございます」
2040に作戦海域600キロ手前にて、洋上艤装を展開させ出雲はあらかじめ用意した誘導弾とチャフをヘリで空輸し、同時に潜水艦娘にはそれぞれ前部側に大型ドライデッキ・シェルター、後部に
全ての準備を終えると出雲は艦内に戻る前に夜空の星を見上げた。
「星空が綺麗に見えるわな〜」
艦内に戻り作戦の最終確認をしていく中で、時刻は間も無く23日から24日に変わろうとしていた。
「艦長、作戦開始時刻になりました。」
「よし始めようか、作戦開始‼︎」
まず、作戦の第1段階は天城、土佐の両艦から発進した。湟星24機に諸島の南部と西部にチャフをばら撒いてもらい、敵レーダーの撹乱を行い同時に、出雲から発進した。
第2段階は、艦娘達は南沙諸島の西部から諸島へ進入してもらい敵施設等の砲撃を行いながら北側より撤収、同時に出雲は南側から進入し攻撃を開始しながら東側へ撤収を図る。またこの砲撃に乗じて、潜水艦に分乗した海兵隊が目標の2箇所を襲撃してもらい洋上プラントの制圧と通信レーダー施設を抑え、最後はプラントにあるミサイル発射機を破壊し、施設等はレーザー照準によるイ号誘導弾で爆破する。
当然、深海軍の抵抗があり特に超音速対艦ミサイルを使っての反撃が予想される。この場合車載型や施設のレーダーを使って艦娘達を捕捉し攻撃するのは確実だが、敵を捕捉する為にはレーダーを起動しそこから電波を発信して跳ね返ってきた反射波を捉えて
だが、電子戦闘機には対レーダーミサイルが装備している。
何故ならこいつは敵のレーダー波を辿り、
第3段階は第1段階と若干一緒だが、諸島内の施設等の艦砲射撃に関してだが、これはあらかじめ出雲が戦艦と巡洋艦に引き渡した。
作戦開始後に当然、対艦ミサイルの応酬がやって来たが…事前に出雲からの情報と
出雲もこれより3倍以上の迎撃を受けたが、せいぜい蚊に刺された程度でケロリとした顔付きで合流した。
こうして、24日0800を持って南沙諸島のミサイル基地破壊を完了したとシンガポールにいる提督達に報告した。
とんだ寄り道をするハメになるとも知らずに…