艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

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5-3 祖国の地を踏む者と残留する者と欧州から来た人達と

19日 0800 出雲艦内大食堂

 

艦娘達には昨日の夕飯時に話してある為か、みんな静かに発表を待っていた……本来なら多少は五月蝿かったが……不思議だ。

そして、出雲が食堂内に備え付けられた大型テレビで編成案を発表した。

 

「はい、これより戦力編成案の発表をします……これを見て俺に文句を言わない、他の艦娘達に奴あたりと腹いせ無し!いいですね?恨みっこなしですよ、分かったかい?」

 

「「「は〜い、判りました」」」

 

「それじゃ最初にトラック諸島向けから発表するぞ〜、それっ‼︎」ピッ

艦娘達の正面にある大型テレビ画面に艦娘達の名前が映し出された。

 

トラック諸島向け護衛艦隊

 

艦隊旗艦

出雲

 

戦艦

大和、武蔵、金剛、比叡、榛名、霧島

 

空母

魁鳳、雄鳳、天城、飛龍、蒼龍、雲龍、天城(雲)、葛城、千歳、千代田、飛鷹、隼鷹

(内3隻はトラック諸島向けの航空機を甲板上に搭載予定)

 

重巡洋艦

高雄、愛宕、摩耶、鳥海、利根、筑摩、妙高、那智、足柄、羽黒

 

軽巡洋艦

神通、長良、五十鈴、能代、矢矧、大淀、仁淀

 

駆逐艦

白露、時雨、村雨、夕立、春雨、海風、江風、五月雨、涼風、陽炎、不知火、黒潮、親潮、初風、雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、浜風、谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲、長波、高波、秋月、照月、初月、島風、朝潮、大潮、満潮、荒潮

 

潜水艦

8、19、26、58、168、401

以上 78名

 

「最後に日本向けの艦隊です。」ピッ

 

日本行き輸送護衛艦隊

 

艦隊旗艦

八雲

 

戦艦・航空戦艦

長門、陸奥、扶桑、山城、伊勢、日向

 

空母

信濃、赤城、加賀、土佐、翔鶴、瑞鶴、大鳳、鳳翔、龍驤、龍鳳、祥鳳、瑞鳳

 

重巡洋艦

青葉、衣笠、古鷹、加古、最上、三隈、鈴谷、熊野、伊吹、鞍馬、インディアナポリス

 

軽巡洋艦

球磨、多摩、北上、大井、木曽、川内、那珂、名取、由良、鬼怒、阿武隈、阿賀野、酒匂、夕張

 

駆逐艦

吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、磯波、浦波、綾波、敷波、朧、漣、曙、潮、暁、響、雷、電、朝雲、山雲、霰、霞、夕雲、巻雲、風雲、沖波、朝霜、早霜、清霜

以上 72名

 

このようにテレビ画面に発表されていった。

 

「(まぁ〜よう上手く戦力を配置出来たのが、不思議だわな)」

 

ちなみにこれらの人員は先の戦闘(第4章)に投入されていた艦娘達である。

当然、この決定に喜ぶ者もいれば不満足な娘達もいた。

 

「以上が、2方面の戦力編成決定案だが…何か質問は…バッチリ(・・・・)あるか」チラッ

 

手を挙げたのは、なんと日本向け(・・・・)の艦娘全員(・・)である。

 

「質問を聞こうか、はい…加賀さん?」

 

「出雲さん、この戦力配置かなり空母と巡洋艦が偏っていますし、いったいどう言う訳でこの編成になった理由を……教えてください」

 

「判りました……まず1つは航空兵力、これは輸送・護衛艦隊の上空直掩と前方索敵そして対潜警戒、2つ目が敵部隊との突発戦闘になった場合に備えてアウトレンジ戦法が取れることだ。そして3つ目はかなり重要になる内容だ……では加賀さん?前回の作戦時、大湊の艦隊に空母(・・)随伴(・・)していましたか?」

「いいえ、随伴は……ハッ、まさか?」

 

加賀がすぐにその答えに気付いた時は、出雲の顔はニヤリとしていた。

あらかじめこの編成に持ち込ませたのは、輸送艦隊と前回の作戦に共同参加(・・・・)した大湊艦隊、2つ(・・)の艦隊を護衛する必要があった為にこのような編成にした。

 

「加賀さん、気づきましたか?」

「輸送艦隊と大湊艦隊、2つの艦隊を護衛(・・)する為ですね」

「さすが、お見事です。」

「加賀さん、流石です。」

「……やりました。」ドヤ顔

「出雲さんと一緒に行けなくて、悔しかったんじゃないんですか?一航戦の青い片割れさん?」

 

たまたま席が隣だったのか加賀と瑞鶴が何時(いつ)ものように言い合っていた。

 

「なんですか?貴女も彼と一緒に行けなくて悔しいんですか?これだから五航戦は…」

 

放って置くとまた口論になり兼ねないのでそれぞれの姉妹が慌てて止めに入った。

 

「こ、こら瑞鶴!すいません加賀さん」

「いえいえ、翔鶴さんこちらこそお姉ちゃんの事でごめんなさい」

 

さすがに惨めになったのか、大人しく引いてくれると出雲は思ったがそうはいかなかった。

 

「いい土佐、くれぐれも銀髪じゃない片割れの五航戦(瑞鶴)、みたいな子の性格にはならないでね。お姉ちゃん悲しいから」

 

この加賀が言った言葉に、瑞鶴がとうとう怒ってしまったのだ。

 

「なんですって!もう一度言ってみなさいよこの堅物女‼︎」激怒MAX

「すぐ怒りに身を任せるのは愚か者です。これだから五航戦は」

「五航戦五航戦って言わないでよっ、私には瑞鶴っていう名前があるのよ‼︎この減らず口がーっ」

 

さすがに出雲も止めに入った。何故なら瑞鶴が加賀に手を挙げようとしたのだ。

「(仕方ない)……止めろっ瑞鶴!」

 

パァーン

 

ギリギリのところで止めに入ったが、見事なまでに瑞鶴の右張り手攻撃を出雲の左頬にくらい、少し腫れ上がった。

 

「……あっ…出…出雲…さん…ご、ごめんなさい」涙目

「それは構わんよ、瑞鶴、君もすぐカッとなって怒りに身を任しちゃいかんよ〜下手すれば取り返しのつかない事だってあるんだよ?いいね!」

 

そして、振り向きざまに加賀の目を向けた。彼女も涙目になりながら…

 

「加賀、君の言っている事は売り言葉に買い言葉だぞ!それに今は大湊の子達だっているんだよ?妹である土佐に、自分の惨めな姿を見せたかったのか?そうじゃないだろう後で瑞鶴に謝っておけよ!瑞鶴、君もだよ」

 

どうにか解決したどころか……なんと(・・・)2人共グズりだしちゃったのだ!

しかも、同席していた檜垣に八雲、果ては実体化した妖精達が無言の圧力をかけてきたのだ。

「(おいコラ‼︎正行(出雲)?何女の子を泣かせてんだよ、何とかしろ‼︎)」←檜垣

「(川嶋いや出雲よ……もし飛龍達を泣かせたら我ら(二航戦)一同、即座にブチ殺しに逝くからな)」←山口・妖精達一同

 

というふうに男共から睨まれ、艦娘達と提督からは…

 

「(出雲さん女の子を泣かせるなんて、最低だよ〜)」←鈴谷

「(君……女の子を泣かせるなんて、最低だね)」←時雨

「(出雲……女の子を泣かせちゃったの?悲しいわ)」←飛鷹

「(あのクールビューティな加賀さんを泣かせるなんて、出雲恐ろしい人)」←飛龍

「(何馬鹿な事、言っているの飛龍‼︎)」←蒼龍

「(出雲……何とかこの場を抑えてちょうだい)」←提督

周りは出雲に向けて、あらぬ疑いと殺害予告紛いを掛けられて困惑していた。

「(おいおいおい、なんで俺にあらぬ疑いをかけるの〜えっ?俺の所為にすれば全て丸く収まると?)」

 

仕方ないので艦娘達に聞いてみた。

 

「……もしかして?俺の所為にすれば全て良し‼︎と……」

それに答えるように、全員が首が縦に振った。

 

「(コクコク)」

(マジかよ!……仕方ないな)

 

これ以上、埒があかないので出雲はハンドタオルを2枚用意し、2人の頭にかけ優しく撫でた。

 

「加賀、瑞鶴何時までも涙流しちゃいけないよ、それじゃあ〜綺麗な顔が台無しだよいいね!」ポンポン、クシャクシャ

 

「出雲…さん…ヒグッ、加賀さん…ごめんなさい」ブワッ

 

「出雲……瑞鶴……ごめんなさい」ブワッ

 

「はい!何時までもこうじゃ話が進まないから…ねっ」

 

取り敢えず2人を落ち着かせてから本題の続きに入った。

 

「それから、新しく横須賀基地に配属されることになった。艦娘達を連れて行ってほしいと要請が昨晩に提督と檜垣中将そして俺と八雲に電子メールで連絡が来た。話もなんなので直接本人達(・・)から挨拶をしてもらおうかな…ちょっとだけ待ってね」

 

そう言って、食堂の入り口に着くと通路側に誰がいたのか出雲は何か話していたと思ったら、すぐに戻って来た。

 

「向こうは準備が出来たので、それではお入りください‼︎どうぞ!」

 

それを合図にやって来たのは……

ドイツ連邦共和国海軍から戦艦5名(・・)、空母1名、重巡洋艦1名、駆逐艦2名、潜水艦3名(・・)の艦娘達だった。

 

艦娘達の前に一列横隊で並び、合計12名のドイツ艦娘が横須賀基地に配属される事になる。

 

「では、まずドイツ海軍から挨拶お願い致します。」

「ビスマルク級戦艦1番艦ビスマルクよ、天城(・・)よろしくね♪」

「同じく2番艦のティルピッツです!姉様共々よろしくお願いします。」

「シャルンホルスト級巡洋戦艦1番艦シャルンホルストだ、よろしくな」

「同じく2番艦のグゼイナウだよ〜、よろしくね」

「H44級戦艦1番艦フードリッヒ・デア・グロッセです〜よろしくお願いしま〜す。」

「guten Morgen、私はドイツ海軍航空母艦のグラーフ・ツェッペリンだ。天城(・・)久しぶり、また一緒に戦えるなんてな」

艦娘達全員が驚く中で、その言葉に天城級空母の天城は嬉しそうに手を振って喜んだ。

 

「guten Morgen、アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦3番艦プリンツ・オイゲンです。幸運艦に恥じない様に頑張ります。」

 

「Z1級駆逐艦1番艦レーベレヒト・マースだよ、レーベって呼んでもらえたら嬉しいなぁ」

「同じく3番艦のマックス・シュルツ……よろしく」

 

「UボートⅦBのU47です…よろしくです。」

「UボートⅦBのU99です…よろしくお願いします。」

「UボートのU511……です。」

 

「以上が横須賀基地に配属される艦娘達です……ありゃ?檜垣、マイク変われってか?」

「総長から横須賀基地全員に嬉しい報せだ。」

「あいよ、変わろう」

「軍令部総長から今回の作戦で参加した提督達は、2階級昇進が決定しました。同時に萩沼提督は上級中将に、出雲こと川嶋少将(・・・・)も中将へ昇格致します。」

これを聞いた、艦娘達は大喜びになった。

「「「わぁ〜‼︎」」」

 

そして、檜垣からマイクを変わってもらい最後にこう伝えた。

 

「以上を持ちまして、戦力編成と新人艦娘達の紹介を終わりにします、特に日本向けの艦隊は出発が1週間後になりますのでお間違えのない様に、それでは各々方よろしくお願いします。」

 

 

 

なお、一部のドイツ艦娘は出雲達と行動したいと直接本人から申し出があった。

 

日本向けの艦隊出発が1週間後に……

トラック諸島向けの艦隊出発が10日後の予定に正式決定された。

 

 

 

 




オリジナル艦娘として出しました。U99とU47はU511と服装は一緒ですが髪型と性格が若干違います。
なお、U99とU47は実在にして有名な艦長達が乗艦していました。

H44級はZ計画で予定されていた、51cm砲搭載戦艦です。服装はビスマルクの長袖、ロングスカート版を着用し性格はビスマルクより大人しい人です。

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