艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

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はい、ここから第5章が始まります。

私もなるべくこの物語を完結目指していきたいと思います。


第5章 負の遺産と謀略策謀が渦巻く、混迷の南シナ海
5-1 戦を終えた者達へのささやかな邂逅


17日0630 リンガ諸島セライア島沖

出雲航海艦橋 左舷側ウィング

 

「ふぅ、間に合って良かったわ…やる事やったらサッサと寝てるか」

「おはよう出雲、昨日はお疲れ様♪」

 

出雲はリンガ諸島にあるリンガ島とシンケブ島の中間にあるセライア島の東側に投錨し、待機していた。

そして昨日から今朝まで不眠不休の元凶(萩沼提督)に対し、苦虫噛んだ顔しながら溜め息を吹くと提督に話した。

 

「何がおはよう(・・・・)ですか?提督、レイテ湾で海兵隊を収容してそこから目的地(リンガ諸島)まで120ノット(時速222.24km)でかっ飛ばして、更に真夜中に複数の海峡と諸島を突破するのに冷や冷やものでしたよ、1つ針路変更遅ればどっかの島で座礁ですよ。」

 

因みにレイテ湾からからリンガ諸島まで直線距離3830キロ(2068海里)あるそれを、なんとここまで約17時間(・・・・・)で来てしまったのだ。

 

幾ら出雲と航海科の技術が高くても、闇夜の中で無灯火の島々を通過しながらほぼ全速(・・)に近い速度で航行するのは、危険が伴うと提督に話したが…いきなり提督が出雲の右腕に抱きついてきた。

 

「あの〜、提督?あんた何してるの?」

「そこは出雲の腕がいいから大丈夫よ〜」ダキュ

「ならば私は反対側だな。」ダキュ

「ここ、こら武蔵!何してるの?出雲さんに失礼でしょ〜」

「あら?大和は抱きつかないの?せっかく変わってあげようとしたのに?」

「そうだよ大和姉ちゃん、チャンスだよ‼︎」

 

何処からかいきなり大和と武蔵、信濃が現れて武蔵がいきなり(・・・・)出雲に抱きついてきたのだ。

 

「(武蔵あなたが羨ましいよ、私だって出雲さんに抱きつきたいのに。)」

 

大和は膨れっ面しながら提督と武蔵達を睨みつけたが…それを察したのか、出雲が…

「大和さん、おいで」両手広げて

大和の顔付きは一瞬にして大喜び

「大和、押して参ります。」パァーッ

タックルするかのように出雲へ飛び込んだ。

 

ドスン、ドサァァー

 

「グへッ‼︎(痛い)」

痛いだが…それがいい飛鷹(・・)には無い物があるからさ…特に正面(双丘)がな。

 

だが意外な所から出雲達を見ている人達がいた。

「…なんか、大和さん達羨ましいです。」

「先越されましたね。」

「私達より早く来る人いるなんて計算違いです。」

「早く来た方が良かったぽい。」

「夕立、だから早く行こうって言ったのに。」

そこにいたのは雲龍型に高雄型、白露型の面々だった。

 

彼女達も出雲に好意を持っていたのだが…会って話せる機会がちょっと出遅れたのだ。

 

そして提督達と朝飯を食べ終えてから、先に出発した横須賀・大湊艦隊に連絡を入れた。

 

「伊勢、飛鷹みんな遅れてゴメンね〜」

「遅いですよ提督!」

「そうですよ提督。」

「今、出雲の艦から通信しているのよ〜今何処に待機しているの?」

「私達は大湊の艦隊と一緒にリンガ島の北側とスバンガ島の沖合いにいます。…提督、出雲に通信…変わってもらえますか?」

「わかったわ、今側にいるから変わるわね。」

 

提督からいきなり通信を交代しろと言われ、渋々交代した。

 

「…おはよう出雲、そしてお疲れ様ね私や隼鷹、それにみんな出雲のこと心配してたんだよ。」

「あ、あぁ…みんなに…お前達2人に心配かけて、すまなかった。」

「出雲、直接それは私達の前で言ってね。」

「分かったよ。」ガチャ

 

飛鷹達の艦隊がいる場所は既に衛星で捉えているので後は直接合流するだけである。

 

0900に予定通りの位置に艦隊が待機しており、横須賀基地の艦娘達は目の前の光景(・・・・・・)を見て、驚愕してしまったのだ。

何故なら、大湊艦隊が予想以上の損害(・・)が出てしまっていたのだ、そして横須賀基地の艦娘達は皆改めて実感した。

 

自分達の装備と彼女達の装備では生存率(・・・)が大きく違うのだと…特に損害が酷い戦艦やその手前にある巡洋艦に駆逐艦に出雲が直接赴き、()の如く出雲の特殊能力で順次直していった。

 

「出雲さん、ありがとうございますデース!」

「お姉さまを助けて頂き、ありがとうございます。」

「いやいや、出来る限りのことをしただけよ。」

 

大湊の艦娘達と話しをしてから、飛鷹と隼鷹の居場所を聞き出してみたら近くの島の海岸にいるよと教えてもらい彼女達に礼を言うと、改めて逢いに行った。

彼女達に教えてもらった場所に着くと、2人は巨大な流木に腰を下ろしておりまるで絵になるような感じだったし、誰かを待っていたかのようだ。

 

「こんな所居たのかい?2人共?」

 

巨大な流木に腰を下ろして2人は手前から飛鷹、隼鷹の順に座っていた。その声に気付いて2人は出雲に顔向けた。

 

「…出雲、心配してたんだよ、また1人で死地に赴くような事があったら言ってね。」ダキュ

「そうだよ出雲、辛い事あったら教えてよ晩酌でもなんでも相手にするからさ〜。」ダキュ

「とりあえず、今はこの海域を離れるとしますかね。」

「出雲?何処に向かうの?」

「シンガポール、そこのチャンギ海軍基地に来てくれっていう話さ、今から飛鷹達横須賀の艦隊と大湊艦隊を全員こちらに乗船させて本艦のみ(・・)で行く事になったんだよ、今から行けば夕方前には着くだろうけどさ。」

「出雲、シンガポールに着いたら今晩、私達の夜戦(意味深)をしてね。」ジト〜

「心配かけた分のた〜っぷりとね。」ニヤニヤ

「あ、あぁ分かったよ。」ガクッ

 

こうして、1200頃には90名近い艦娘達を出雲に乗船させて、リンガ諸島を離れ、一路17日1700には目的地のシンガポール海軍チャンギ基地に接岸をはたした。


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