艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

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はい、やっとフィリピン沖海戦ことレイテ沖海戦が終わります。

やっと4章が終わったと思われた方々もいると思いますが、これからもよろしくお願いします

お気に入りが60件超えました。重ねがさねありがとうございます



4-11 追撃・撃滅!フィリピン海大海戦〜前編〜

10月14日 0500 テナガット島北西 20キロ地点

 

超兵器と戦闘が終わってから15分後、船体の修復に弾薬庫からの補給を終わらせ、ブルネイ泊地艦隊がレイテ湾に入っていくのを見届けると通信が入って来た。

 

「海兵隊より出雲へ、タクロバン市街並び飛行場を制圧完了しました、なお部隊はほぼ飛行場に集結済みです、後詰めはフィリピン陸軍6000が昼頃までに市街入りを予定し、現在それまでは海兵隊とフィリピン陸軍が共同で治安維持と警戒を維持しています」

「分かった、海兵航空旅団と少数の輸送機を残して、後はこちらに収容しても構わないかい?」

 

「大丈夫です問題ありません、帰りに拾いに来てくださいね置いていきぼりは無しですよ」

「分かった。作戦終了後に回収に来るわ」

「了解です」

 

そう通信を終えると今度はブルネイの艦隊旗艦に連絡を入れた。

 

「スリガオ海峡攻略艦隊旗艦へこちらは横須賀基地所属出雲、どうぞ」

「ブルネイ泊地艦隊旗艦の山城です。こちらの感度明瞭いかがでしょうか?」

「はい、感度明瞭共に問題無し早速ですがタクロバン市街と飛行場は奪還済み、飛行場には海兵隊が守備に当たっています。またパロ地区へ撤退した部隊は現在も揚陸艦隊への撤収作業が始まっていますが……しかし少数の護衛艦隊が残っている為、充分に注意してください」

 

「分かりました。私達は揚陸艦隊と護衛艦隊の残敵掃討に当たります」

「よろしくお願いします」

 

そして、海兵隊へ増援で投入していた航空隊を収容し、いよいよフィリピン沖海戦の終幕を締め括る為に最後の戦闘を開始した。

 

残敵する敵機動艦隊の追撃戦(・・・・・・・・・・・・・)である。

 

すぐに八雲達に通信を入れた。

「八雲こちら出雲、お前達は今どの辺りにいる?」

 

「今の現在地は…サマール島から北東450キロの位置、現在針路128°速力35ノットで航行中、んで護衛艦隊は俺たちの150キロ南を艦隊速力22ノット南南東方向へ移動中、何かあったか?」

 

「いや何も、……それならちょっと提督に変わってちょうだい」

「OK、ちょっとまってろ」

 

20秒くらいしてから提督に変わってもらった。

「出雲、無事だったのね」

「ご心配掛けてすいませんでした。ちょっと頼みたいことがあるんですが……」

 

「いいわよ」

「恐らく、サマール沖に展開していた機動艦隊は超兵器全て戦没とレイテ島占領が失敗して、すぐに自分達の勢力圏に引き返す筈です。そこで超兵器に随伴していた70隻とサマール沖に展開する機動艦隊350隻の合流を阻止してもらいたいんです。もちろん先行している大湊・横須賀艦隊には70隻の艦隊を、横須賀主力艦隊は350隻の艦隊を相手にしてもらいます。提督、すでに潜水艦娘(ゴーヤ)達は投入済み(・・・・)ですよね?」

 

「えぇ、出雲が事前に予測していた針路上に潜水艦を配置しといたわ、でもその位置(・・・・)よかったの?」

 

「あくまでですが、恐らく敵は最短コースでマリアナ諸島に引き返すはずです……が、起死回生で日本に向かうこともないでしょうし俺はブルネイ艦隊が揚陸艦隊の砲撃完了を見届けた時点で、遅くても0700までには追撃戦に参加します。」

 

「わかったわ、こちらで艦隊を足止めしてできる限り叩いとくわ」

「分かりました。……それと提督」

「何?」

「艦娘、いや彼女達に伝えてください”この海戦は君達の過去の払拭を晴らせる機会がやって来た。武運長久を祈る”……と」

 

「わかった、必ず伝えとくわ」

 

提督との通信を終わらせると、CIC脇の統合作戦室に入ってから主なメンバーに向けて話し始めた。

「よし!提督には伝えたし後は、レイテ湾砲撃の成否を見届けるとしてだ……まずはこちらて仕入れた情報を整理するか師団長と情報長の話だとこうなるか」

 

この時すでにホモンホン島沖にいた艦隊は、早々にサマール沖に展開する機動艦隊と合流する為に移動中と、超兵器を撃沈後に飛ばしていた無人偵察機からの情報だった。

超兵器に随伴していた艦隊は、後3時間程で合流するらしい……が、すでにサマール沖東に展開していた機動艦隊は彼らに先立ちマリアナ諸島へ退避し始めている。

「後は、敵がどのようにして撤退して行くかだな……まぁそれなりの対応した手札(・・・・・・・・・・・)はあるがね」

 

0540時

サマール島沖350キロ東 深海軍機動艦隊

 

空母水鬼と戦艦水鬼が率いる350隻の艦隊は超兵器の全滅とレイテ攻略が失敗したと超兵器の随伴していた戦艦棲鬼から連絡を受け、すぐに艦隊は針路060°速力25ノットに上げて自分達の勢力圏へ退避をし始めた、それと同時に超兵器に随伴する70隻の艦隊も後に続くという内容だった。

 

「フィリピンを攻略すれば、彼奴ら(艦娘達)を干上がらせることが出来たというのにあの超兵器の後ろ盾(・・・)があって私達は強くなったのに、もうなんなのよ!いったい?」

 

「まぁ落ち着きなよ、いくら私達が焦ってもどうしようもないじゃん私達が出来ることは1つ、出来る限り1隻でも多くの仲間を安全地帯にまで守りきらないとね、各艦艇は引き続き対空・対水上・対潜警戒を維持してちょうだい」

 

ここに来て、空母水鬼は思った。

いくら正規・軽空母・鬼姫級を合わせて60隻はいたとしてもすでにその戦力は8割しか残っていなく、前日のシブヤン海への防空戦力で戦闘機120機を送ったのはいいが一機(・・)も戻って来なかった。それを境に各地に航空攻撃を仕掛けだが…成果は芳しくないのが現実だった。

 

「ねぇ水鬼、ちょっと提案があるんだけど?」

「何よ」

 

「1度艦隊を離散させたいと思うんだけど……このままだとあの化物空母(出 雲)と艦隊に捕捉されるのは時間の問題だと思うのよ?」

 

戦艦水鬼は暫し考えた、そして考えた末に決断をしたのだ固まって動くよりもバラけて動いたほうがいい……と。

 

「わかったわ、では空母水鬼は170隻の艦隊を、こちらは残り180隻の艦隊を引き連れて直線コースでマリアナ諸島へ向かうわ」

つまり、機動艦隊を二手に分け追撃してくるであろう艦娘艦隊の戦力を分散化させたのだ……これが深海軍の生死の境目(・・)とも知らずに……

 

「では私達は、その南側を大回りして通ってグアム島に戻ります。」

「わかったわ気をつけてね」

 

同じ頃、大湊・横須賀艦隊は出雲からの情報を得てレイテ湾入り口から逃走を開始しようとする艦隊を追撃していた。

だが…横須賀と大湊の艦隊速力には10ノット以上の速度差がある為か急遽、大湊艦隊の速力21ノットに合わせて航行しており予測位置が間違えて(・・・・)なければ、逃走中の敵艦隊の正面つまりT字戦法による射撃が可能になる。

 

「伊勢さん、この針路で合っていますか?」

「出雲さんが提督を経由して送ってくれた情報だから間違いないと思います。もし上手く、私達の対水上レーダー(水上電探)に捕捉すれば大丈夫だけどね」

 

合同艦隊(大湊・横須賀)が予定の針路を航行してから2時間程経った0730頃に……

 

「艦長、レーダーに水上艦艇多数‼︎、方位158°距離85海里(157.42k)速力22ノットで航行中‼︎」

「副長?本当なの?」

「間違いありません水上艦艇です、今の速度ですとおよそ90分程で有効射程距離内に入ります。」

「わかったわ、艦隊に通達を出してこれより艦隊速力を25ノットまで上げてます。大湊艦隊旗艦、大和に通達を出してください」

「こちら大和、敵艦隊を発見したって本当なのですか伊勢さん?」

「間違いありません、大和さん、この艦に搭載している水上電探で捕捉しました……そう言えば大和さん私達の提督にあの事(・・・)を喋りましたか?」

「はい、後は提督どうしで話して出雲さんにも聞いてみてからだと言っておりました。」

「分かりました、私達からも出雲さんにそのことを話してお願いしてみます。」

 

そして0900には、大和達の搭載する三十二号対水上電探改が大艦隊を発見した……さらに伊勢に搭載するレーダーと大和の電探で三角測量を行った結果、艦隊に先立って先行していた駆逐隊と敵艦隊の距離が40kまでに狭まるという。

 

そこで横須賀基地所属の伊勢型、扶桑型航空戦艦と大湊基地所属の大和型、長門型、金剛型が巡洋艦と駆逐艦の後方に回り込み、航空機の着弾観測と作戦前(・・・)に出雲から支給された新型射撃レーダーで艦砲射撃を開始しようという。

 

更に今回は横須賀艦隊第5機動戦闘群が伊勢達と行動を共にしている、金剛・榛名を第1機動戦闘群に編入する替わりに()最上型6隻(・・)が編入している。

 

第5機動戦闘群

所属艦艇

艦隊型空母 翔鶴、瑞鶴

艦隊型軽空母 祥鳳、瑞鳳、龍鳳

重巡 最上、三隈、鈴谷、熊野、伊吹、鞍馬

軽巡 川内、神通、那珂

駆逐艦 夕雲、巻雲、風雲、長波、高波、沖波、朝霜、早霜、清霜

 

以上23隻の艦艇が伊勢達に合流して行動している

この場合、航空戦力と対潜哨戒機(・・・・・)不足と提督が鑑みて決定し援軍で派遣した。

 

特に最上型は、イタリア海軍で保有していたヴィットリオ・ヴェネト級航空巡洋艦をベースにしており。武装は20.3センチ連装砲3基から203ミリ80口径単装速射砲を2基に交換しているが…文面上では貧弱とも言える。毎分72発の発射速度、有効射程距離52キロ更に高い命中率を持ち合わせている同時に、127ミリ80口径単装速射砲を左右に6基配置してあり対水上・対空戦闘が両用可能である、極めつけは船体後部区画を水上機運用から上甲板丸ごと一段拡張し、ヘリ甲板(・・・・)に仕立て上げ、エレベーターを前後に1基ずつ配置し格納庫を1層設けてある。これにより6機同時離着艦が可能で、格納庫にはCH-53E(ペイブロウ)6機が最大搭載、中型ヘリなら10機搭載可能になった。

勿論、横須賀基地に所属する利根型も同じ設計だが、武装配置を変更しただけである。

 

更に夕雲型には、2014年に退役したギアリング級駆逐艦「カリナス」をベースに。127ミリ80口径単装速射砲を前後に1基ずつ、魚雷兵装を外し前部魚雷発射管跡にはASROC8連装対潜ミサイルが設置され後部発射管跡に76ミリ単装速射砲が左右に1基ずつ配置してあるし、船首側には連装式対空ミサイル発射機が1基、艦尾側には6連装対艦ミサイル発射機が2基、12連装対潜ロケット砲を2基設置してあり、機銃も最新式の25ミリ4連装機関砲(シーガード・システム)8基設置している。この為、魚雷戦は出来ないが全ての武装をモジュール・パッケージ化する事で任意かつ素早い武装交換が可能だ。

 

もし、VLS系統を搭載しようとすれば艦橋と電子兵装を全て交換しなければならないし船体の肥大化(・・・)は避けられない。

 

そして同時に深海軍艦隊も艦娘が接近していると戦艦級から搭載している水上レーダーで捕捉した。

 

「先回りされたか、いつの間に……仕方ない、艦娘共を迎え撃ち敵中突破を図る」

 

彼女達には姫級や水鬼はいなくせいぜい、戦艦凄鬼だけでル級fs改とタ級fs改が11隻いただけで後は全て巡洋艦や駆逐艦だけだった。

 

「向こうは戦艦8隻と航空戦艦4隻しかも36センチ砲搭載艦が8隻(・・)、こちらは全て40cm砲と45.7cm砲搭載艦だ。勝負はもう明らかに決まっている。」

 

そして戦艦凄鬼は戦艦を前衛に押し出し鉾矢の陣で陣形配置、火力で敵中突破を図るという大胆な作戦で来た。

だが…横須賀基地所属の伊勢型や扶桑型に搭載している主砲は、46cm砲(・・・・・)だということを彼女たちは知らない。

 

「伊勢さん、敵艦隊が戦艦を前衛に出して強行突破を図ろうとしています」

「それでは、駆逐艦と巡洋艦を敵の両翼に回り込ませて砲雷撃戦してもらい私達はT字戦法でもって、観測機とレーダー射撃による攻撃をします。空母は少数の護衛を残して交戦海域から退避をお願い致します」

 

そして、横須賀艦隊の半数は戦艦隊の左翼から回り込み敵艦隊の右翼側を攻撃、大湊艦隊は敵艦隊の左翼へ回り込み挟撃による砲雷撃戦を開始、戦艦隊は複縦陣で航行し全戦艦隊が射程距離に入り次第、一斉射撃を開始するという手筈で…

 

そして1000時には、戦艦凄鬼が自分達の左翼に回る艦隊を捉えて砲撃し、それを合図に海戦が始まったのである。

「こちら高雄、敵戦艦の射撃を受けましたが私と舞風が損傷軽微」

「こちら那智、間も無く敵リ級を射程距離に捉えます。」

「了解しました。横須賀艦隊の射撃に合わせて敵を挟撃してください」

 

1015時、おくれて横須賀艦隊は敵艦隊の右翼側に回り込み速射砲による射撃を開始した。

「こちら最上、ネ級fs改を捉えたよ、速射砲!射撃開始〜」

「最上姉に続いて鈴谷撃ちます」

「最上姉と鈴姉に続け〜!」

 

ードンドンドンドンドンドン

 

最上型6姉妹(・・・)の射撃開始を合図に青葉型・古鷹型が、そしてやや遅れて川内型、阿賀野型の装備する15.5cm75口径3連装砲と駆逐艦の装備する127ミリ80口径単装速射砲が深海凄艦に向けて射撃を開始した。

当然、幾つか砲弾は命中(・・)しないだろうと思っていだが…

 

ガァンガァンガァンガァンガァン

 

「ん?何これ?砲弾が全部命中(・・・・)しているの?」

「駆逐艦大破‼︎落伍していきます。」

「クソッ、右翼側にいる艦娘共を攻撃しろ、戦艦隊はこのまま正面の戦艦群を砲撃続けよ」

当然、戦艦の射撃がいよいよ大和達に向かってきた、だが…

 

「こちら伊勢、もう間も無く射程距離内です暫し耐えてください」

新型装甲を施した伊勢型や扶桑型はともかく、大湊艦隊の損害が目立ち始めてきた。

特に金剛と比叡の大破落伍は大きかったが、長門型は中破手前、大和型と金剛型は小破だった。

そして、待ち望んだタイミングがやって来た。

ざっと距離にして、2万2千メートルという至近距離からだ

「戦艦隊砲撃開始、撃ち方始めぇ!」

伊勢の叫びと同時に6艦(・・)の合計33門の46cm砲を斉射した。その数秒後には長門型の16門の40cm砲と榛名、霧島の16門の36cm砲が射撃を開始した。

 

放たれた65発の砲弾はまず最初に戦艦凄鬼と6隻のル級fs改とタ級fs改にそれぞれ7〜8発の砲弾を受け、40cm防御の装甲はふすま紙のように貫通し、更に伊勢型と扶桑型には、50.8cm65口径に匹敵する46cm80口径を装備しており、その砲弾6発を受けたタ級fs改はそれを(・・・)受けて耐えられるわけもなく大爆発の末に轟沈した。

 

伊勢達が従来のT字戦法を更に正確にかつ効率的にしたのは出雲がこの方法を教えてあったからだ。

あらかじめ、自分達と敵艦隊の位置を戦艦隊に情報を共有化させ、なおかつレーダーと観測機からも収集させて被害を最小限にして、最高の射撃精度を確保できるのである。

つまりこれは、文字通り究極の袋叩きにを可能とする方法だった。

 

当然、間近(・・)で目撃したル級fs改達残余艦艇はいきなり旗艦を失うという最悪の局面に陥り撃沈していく中で抵抗する艦艇も多数いだが、焼け石に水で砲撃開始から僅か3時間程で深海凄艦70隻を全て撃沈した。

 

だが艦娘達にも被害が出ていた、いずれも轟沈したものはおらず比較的に大湊艦隊が被害が大きかった。横須賀艦隊も小破艦艇が6隻と大湊艦隊とは全く損害率が低いのだ。

 

それは機関をシフト配置化と全体の装甲強化をし、更に命中率の高い速射砲や誘導魚雷を搭載していたおかげで誘爆等の高い酸素魚雷を搭載する心配は無く、更にミサイル系統の兵装が使用が可能なため遠距離からの攻撃可能、正にインチキ(装備・技術面)もいい所だが…当然深海凄艦には超兵器が付いているためかこればかりはどうしようもない、これで反論する提督がいればそれは…

出雲曰く「これを見ても聴いても、現実を受け入れる気はサラサラ無くしかも夢物語もいい所を能天気に昼間っから酒とヤクと性奴隷化した艦娘をたらふくパンパンやって馬鹿丸出し恥晒し充填120%」というやつしかない皮肉にも皮肉だが…

 

同じ頃1300時には、横須賀艦隊は戦艦水鬼率いる180隻の艦隊をフィリピンから東約800キロで捕捉し、すぐさま2波に渡る執拗にして過激な航空攻撃と潜水艦艦娘達による群狼戦術で哀れにもなすすべ無くして、180隻全て海中へ没していった。




レイテ沖海戦で戦没された方々の御冥福をお祈り申し上げます。

一部では主砲弾頭比較はPC版WSC2EKマスターブックから抜粋しました

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