艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

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※この話しだけ艦娘は出て来ません。
ご了承下さい。


4-9 もう1つの戦場、タクロバン奪回戦

スリガオ海峡レイテ湾口付近 10月14日0300時

 

出雲がスリガオ海峡を越えた、超兵器と戦闘をしている最中(さなか)彼ら(海兵隊)の動きを気にしていた。

「今頃、あいつら空港(本命)を抑えた頃だろう」

「ですね、上手くいけばいいのですが…」

 

ここで時間軸は6時間程前に遡る……()

 

10月13日 2100時

アランガラン地区サンアントニオ郊外

特設野戦飛行場 野戦指揮所

 

出雲がレイテ湾へ艦砲射撃をして、彼に気を取られている間にはほぼ海兵隊がそこへ集結しており、砲撃後、更に完全対地攻撃兵装をした3個戦闘飛行隊と1個戦闘攻撃隊、1個無人偵察飛行隊、後方支援輸送飛行隊全機が増援として投入されていた。

これは出雲からの直接火力支援が出来ないため、窮余の策として送り込んだ。

 

主に主戦力になるのが機甲大隊に海兵混成大隊(水陸両用・空中機動)と砲兵大隊であり、その他全て自走式で火力と機動力、継戦能力を主体にした奇抜な部隊である。

「隊長、各部隊の展開準備が整いました。」

 

「各部隊に告ぐ、もう一度作戦概要を説明する、最重要目標はタクロバン市街の北東部にある飛行場を奪取すること、その間に市街を占領している深海軍海兵隊の目をこちらに向けさせる、戦力配置は以下の通りだ」

 

タクロバン市街 陽動部隊

機動大隊(戦車1個小隊強襲部隊へ投入)

砲兵大隊

装甲偵察中隊

直接火力支援中隊(飛行場奪取に1個小隊投入)

 

タクロバン飛行場 強襲部隊

海兵混成大隊

戦車1個小隊

直接火力支援1個小隊(V-120(ヴァルキリー)に搭載)

908強襲機動ヘリ大隊

輸送飛行隊(V-120に戦闘車両を搭載して随伴)

 

近接航空火力支援戦力

3個戦闘飛行隊

1個戦闘攻撃飛行隊

第605海兵重攻撃ヘリコプター連隊

 

「なお、フィリピン陸軍の生き残りが、強襲部隊用に臨時燃料補給処をタクロバン市街から北20キロの地点に用意してくれた。更に深海軍海兵隊が市街を離れた隙にフィリピン陸軍残存兵、約3000が市街要所を抑える手筈になってる、最終作戦開始時刻は10月4日0200、全員の協力で作戦達成だ……いくぞ‼︎」

 

それを合図に作戦を開始し始めた。

陽動部隊には戦車70両、各種装甲車80両、自走砲40両やその他の部隊が後に続いていく。

同じ頃、強襲部隊が臨時燃料補給処に向けて移動を始め既に、水陸両用中隊が先に補給処に入り強襲部隊と共同で、飛行場を奪取する。

また特設野戦飛行場からは無人偵察機RQ-4が目的地高度12000Mから、随時情報を提供してくれる。

 

そして、10月14日0200時……

 

「こちらアーチャー1、敵部隊市街地正面に確認、規模は戦車100両、各種装甲車200両足らずなお全て1960年代(・・・・・・)の車種と認む、砲兵部隊の射撃を要請する」

「こちら砲兵隊、これより射撃開始する着弾修正を頼む」

「了解、初めてください」

 

出雲所属の海兵砲兵大隊の所有する車両は南ア製G6ライノ52口径155ミリ自走榴弾砲を装備し、最大射程は30キロで装輪式であるから機動力が高い。

「アーチャー1よりハンドアロー、これより試射する弾数は1発」

「射撃準備よし」

「発射‼︎」

この世界に来て初めて砲火が放たれた。

 

タクロバン奪還作戦の始まりである。

 

「こちらハンドアロー、弾〜着、今!」

1発の榴弾が敵部隊に命中し、数両の車両が吹き飛んだ。

「着弾修正無し、効力射を要請する」

「了解、これより効力射を開始する。」

「装填良し!」

「撃てー」

それに続いて、39両の自走砲から砲弾を放たれた。

結果、市街地前面に展開していた歩兵大隊と戦車中隊か壊滅し、市街中心部に本部がある主力に応援を要請した。

 

同時に市街へ向かう機甲部隊を捕捉したと、警戒中の部隊から急報を受け、直ちに1万5千の内8割がその部隊の迎撃に投入された同様に飛行場守備の中隊にも警戒を厳重にするようにと……無線で報せたがこの連絡が最後の通信(・・・・・)になるとは誰も知らなかった。

何故なら作戦前から飛行場近くに隠れていた。

 

海兵武装偵察猟兵隊(・・・・・・・・・)の手によって、通信施設を占拠(・・)したのである。

 

「こちらゴーストリーダー、通信施設を制圧、外部との通信を遮断成功‼︎突撃せよ‼︎」

「こちらナイトリーパー了解……者共、敵は本能寺にあり(飛行場にあり)攻めよ‼︎」

 

「おいおい、ナイトリーパーそれうちらの台詞だよ」

「こういう機会は滅多に無いんだから、いいだろう!」

「まぁいっか、俺たちに海兵隊の精強ぶり見させて貰うとするか」

「任せておけ、俺たち出雲海兵隊は精鋭最恐(・・)ということを見せてやるわ」

 

攻撃ヘリコプターを前衛に強襲機動ヘリ大隊と輸送飛行隊の順に飛行場へ向かった。

 

「目的地まで後10分」

 

「指揮官機より全機に告ぐこれより飛行場を強襲し制圧する。敵歩兵並び対空火器からの銃撃がある可能性もある為十分に注意されたし」

「対空火器搭載車両はこちらの空対地ミサイル(AMG-65マーベリック)で破壊するよ」

 

0230時

 

その数分後に飛行場の北側、つまりサマール島側から飛行場に強襲を仕掛けたのである。

「て…敵襲だ、通h…」ボキッ

大声を出そうとした兵士は背後から首をへし折られ、この世を去った

「ったく、今知られたら困るよ監視塔の敵兵士、排除完了」

 

「了解、そこから狙撃班と一緒に周辺警戒をしてくれ」

 

「了解」

 

狙撃班と合流した直後。ヘリがその上空を通過して行き、管制塔や格納庫近くへヘリがホバリングをしていた。

 

「ロープ用意、スタンバイ!……行け、行け、行けっ‼︎」

キメラハインドとMi-17V5(ヒップ)から続々と完全武装した海兵隊が降下して、同時に輸送機から戦車4両と装甲車32両が続々と降ろされ飛行場を瞬く間に制圧して行き、途中守備隊と銃撃戦になったが大した抵抗も無く午前3時には制圧完了した。

 

同時刻、3000名のフィリピン陸軍兵士が市内各要所を抑え始めたが…少し予定が早かったのか、市内を抜けるはずだった深海軍海兵隊4000がそれに気付き、市内の一部で市街戦が始まった。

 

「出雲海兵隊こちらは陸軍38大隊、敵M26重戦車12両、M46中戦車(パットン)12両と歩兵100名余りの敵に猛攻を受けている、大至急支援を頼む」

 

「了解した現在そちらから2ブロック離れたところに攻撃ヘリコプター2機、そちらに向かわせた。それまで耐え凌げよ」

 

「こちらヴァイパー2並び3、連絡を受けてやって来た。敵さんはどこだい?」

「ヴァイパー2、そちらから戦車が見えるか?」

「見えたよ、あれかい?」

「そいつらをやっつけてくれ、さすがにまずい」

「ちょっと待っていろ…ガンナー準備は?」

「敵戦車12両捕捉、ヘルファイア発射‼︎」

「ヴァイパー3、残りの戦車を破壊してくれ」

「OK、任せておけ」

 

攻撃ヘリコプターから放たれた対戦車ミサイル24発は敵戦車に全弾命中し、爆発した。

 

「敵歩兵を掃討するから建物からは出ないでね」

「OK待機する」

「機銃掃射、始め」

 

攻撃ヘリコプターが搭載する30ミリ機関砲は毎分800発の性能を持つ大抵の車両や対人戦にはうってつけのシロモノだった。

 

「掃射完了、1度燃料と弾薬を補充して来るからそれまで頑張ってね〜」

「ヴァイパー2、3、支援感謝する」

 

更に別の場所では…。

 

市街地に展開する、フィリピン軍部隊の支援をする為に。飛行場から戦車1両にAAV7改2両、重機動車4両と敵から鹵獲した2.5tトラック4両に分乗した海兵隊100名(内、戦闘工兵24名)が市街地大通りを走りながら急行していた。

 

「ハウンド1-1より、シュトルム2-1(海兵混成大隊第1中隊)へ!聞こえるか⁈」

 

通信音声の主は、海兵隊605重攻撃ヘリ連隊第2大隊第2中隊(ハウンド)所属の攻撃ヘリである。ちなみに第2大隊兼第1中隊の識別はヴァイパーだ。

 

「こちらシュトルム1!良く聞こえるぞ!何かあったか?」

 

「今いる場所から、5ブロック先の通りからそちらへ敵が移動中だ!。規模は戦車4両、装甲車10両、自走砲4両、随伴歩兵が150名程!今からだと会敵まで約20分前後だ!」

 

「了解した。こちらで何とかしよう…」

 

「非常事態になったら連絡くれ。航空支援をする」

 

「分かった。シュトルム通信アウト!」

 

シュトルム隊の隊長は、現在地の周辺状況を確認すると…。市街地の通りや建物がボロボロになったものや、放置されていた。車両を発見すると。

海兵隊と工兵隊には、瓦礫など放置車両にC4やクレイモア地雷を使った。IEDもどきやあらゆる手持ちの重火器で建物の中から攻撃を開始し、戦車とAAV7改の2両は敵の混乱を突いて、追い討ちをかけるようにした。

 

そして、準備が整った18分後に敵が戦車2両、自走砲2両を先頭に進入して、こちらに気付かずに予定のコース(・・・・・)でやってきたのだ。そして…

 

「…殺れ…」

 

隊長の合図で、真っ先にC4やクレイモア地雷が炸裂し、歩兵の半数を薙ぎ払うと、続けて建物の二階や屋上からAT-4やRPG-32が一斉に装甲車や前衛の戦車に狙いを合わせて攻撃を開始して、車両は吹き飛び、続けざまに40ミリ擲弾や各機関銃弾の雨あられを浴びせた。

 

「早く!応戦して撃ちかえせ!」

 

生き残っては反撃に出ようも、互いの建物から死角をカバーするように鉛玉を浴びせて、前衛部隊が全滅し、中央と後衛を下がらせようとしたが…まさか、背後から戦車と重機動車の攻撃で、残りの車両が全滅していった。だが、一部の敗残兵が生き残った車両に分乗して、退却していく最中で…隊長は、上空を飛行している攻撃ヘリに火力支援の要請を出し、敗残兵の殲滅を確認するとすぐさま再編成をして市街地の中心部に車両を走らせていた。

 

 

 

そして、市街地を抜けた1万1千の海兵はすぐさま引き返すことにしたが…完全に後手に回され始めた。

 

いきなり夜間空襲(・・・・)を受けたのである。

それもそのはずだ待機していた3個戦闘飛行隊に攻撃飛行隊、攻撃ヘリコプター大隊が全て対地攻撃フル装備状態から背を向けたのだ、爆弾にしろ対戦車ミサイルの袋叩きにあい、止めに海兵隊から鉛玉の洗礼を受け9割が全滅し残りが投降した。

 

こうして、海兵隊とフィリピン陸軍兵士の共同でタクロバン市街の奪還を果たした。

 

結果的には市街の南側に展開していた1万の深海軍兵士は奪回を諦めて。

パロ方面へ敗走していった。


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