艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

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あらすじ:空母水鬼が第2群と合流し、潜水凄鬼率いている潜水艦隊に威力偵察を仕掛け、サイパン・テニアン島両飛行場姫に航空機支援の要請をし終えた所から始まります


追伸、SERIOさん誤字脱字の指摘ありがとうございます。


1-5 強襲、突撃、日本侵攻軍撃滅戦〜終盤〜

「では、爆撃機を主体にそちらの援護に行けば良いんだね」

「えぇ〜それでお願いします。それで数はどれぐらい送れますか?」

「機種はPー51Dが120機、Pー61Bが80機、Bー32が200機この内Bー32はトールボーイ1発又は4500lb反跳爆弾を2発装備しています。尚この両爆弾の威力は先の海戦で確認済みです。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「ではまた私達の物資輸送と護衛もお願いしますね。」

 

この両島から発進した航空機は一度深海軍艦隊に合流し、共同で巨大艦を撃沈するために無理を承知で頼んだのである。

 

同時刻、出雲では先の対空射撃に艦娘達は疑問を持っていたその1人の摩耶が出雲に向かって質問していた。

 

「出雲、さっきのミサイルは良いとしてもあの砲弾は何?何なの?あんなのが三式弾ですなんて誤魔化すなよな。『摩耶それに他の皆んなもこの話を広めないと約束してちょうだいね、とくに青葉』分かったよ、青葉もいいな!」

 

「分かりました…青葉この話は黙秘します。」

 

「よし、あの砲弾の中身はMPBM弾、通称多用途特殊炸裂弾頭と言うんだ。詳しいことは分からないが、元々対空対地対艦攻撃用の広域制圧用弾頭で、単純に言えば1発の威力は大和型2隻分の主砲に匹敵いやそれ以上かもしれない、実際対艦砲撃に使った時は甲板上の主砲や建造物は跡形も無かったよ、これだけ言えばわかってもらえるかな?」

 

「あぁー、理解出来たよしかし出雲、もし私や大和それに長門達にも弾頭交換できるのなら可能か?」

 

「弾頭自体は可能だが、こいつはレーダーいや君達で言えば電探と連動し、砲弾内部に近接信管を組み込まなきゃいけないんだ。かなり面倒だよ。」

 

「まあいいさ、その時は気長に待つさ。」

 

「分かった。何とかこちらで開発して見ようそれに…『艦長、敵潜水艦探知、本艦の前方150kの位置と更に北東側80キロの位置にもいます』砲雷長‼︎システムL起動してちょうだい対潜戦闘用意、ソナー班は他に潜水艦いないか探して、飛行長、対潜哨戒隊と戦闘攻撃隊に対潜装備をして潜水艦狩りを始めろ、生かして帰すな!」

 

「了解、間も無く第1次攻撃隊が戻りますので、攻撃隊は右舷側に、対潜部隊は左舷側から発進させますその後入れ替えて行います。」

 

「分かった、頼んだよ。」

 

「万が一に備え対潜仕様のヘリを上空待機させます。」

 

出雲が潜水艦を捕捉したのは、潜水凄姫率いる潜水艦隊16隻と北東側から来た26隻の潜水艦はほぼ全て、FSもしくは改FSで編成されており、全て別海域で艦娘らを撃沈していた精鋭であった。いくら、空母とはいえこれだけいればすぐあっという間に沈むだろうと皆楽観的していた。

 

だが………それは間違いだったと。

 

「何故だ、何故なんだ。奴は化物か「艦長、魚雷音接近、当たります」奴は一体?何者なんだ〜‼︎」ズズーン

 

「ポセイドン隊、ブラックバード隊、三河屋ともに敵潜水艦隊42隻ほぼ全て撃沈しました。」

 

「よし、本当はうちらがbを殺る予定が、奴らはタイミング良く合流再編成した。後は敵艦隊を迎え撃つだ…『艦長、APARに反応あり方位205距離100k、マリアナ諸島方面から来たもようです』…なんでこんな近い距離に、まさか低空飛行できたのか、爆撃機がいるならば不味いな、敵の機種は確認したか?」

 

『はい全て陸上機です。数400、うち半分はBー32です』

「チッ、そうなると反跳爆弾を投下するな、砲術長、主砲にMPBM弾装填、主砲弾炸裂後、敵残存機は各種速射砲と機関砲群で迎え撃つ」

 

「はっ、了解しました。合図があり次第、斉射で仕留めます」

 

このサイパン・テニアン島両島から発進した攻撃隊は、潜水艦隊からの情報を入手し、先手を打つため敢えて低空飛行で浸入していた、丁度位置関係は、ほぼ右舷側真横から攻めてきたのである。

 

「隊長機より全機突入隊形を取れ」

「右舷側CDC対空目標、敵爆撃機距離7万にて射撃開始、砲術長主砲射撃始め」

「了解、主砲撃ち方始め」ドドォーン

 

何しろ片舷側だけでも61cm砲3連装右舷に向けるだけで15基同時斉射が可能であり発砲遅延装置γを使えば単一目標にはかなり有効である。

 

だが今回は装置を使用し、敢えて意図的に残存機を残して、各種速射砲・機関砲群・各種防御兵器を試してみたかったのである。結果爆撃機は40機程まで減らしたが戦闘機残余は60機たらずだったその後はこの世の地獄だった。

 

「それでは、各自打ち合わせ通りに対空射撃を始めてください」

 

それを合図に各種対空砲火が火を噴き、爆撃機は反跳爆弾を投下前に撃ち落とされ、果ては投下した弾みで砲弾が爆弾に命中して爆散していった。爆装した戦闘機も高度を上げ急降下爆撃機をするが新型近接信管を装備した40ミリや57ミリ、127ミリ砲弾やRAMにより片っ端撃墜していった、それでもやはり10分程だったので問題は無かった。

 

「艦長、砲術長そして砲雷長あんたら今の状況をお分かりで?えっ御三方⁇」

 

「「「はい、すいませんでした」」」

 

先の対空戦闘でやり過ぎだと艦橋脇にある4畳程の和室で艦長は正座、妖精達はちゃぶ台の上に座布団敷いて正座していた。

これを見た艦娘達は笑っていたのである。

 

「はぁぁ、艦長補給の当てがないのに、砲弾はよしとしてもRAMをバカスカ撃っちゃいかんでしょう。」

「すまん、前の世界にいた時の癖でつい…」

「砲術長に砲雷長、そして飛行隊あんたらも控えめと言う言葉ないのかよ?」

「でも、主計科長ら皆んな殺っちまえ撃っちまえと言う感じで煽っていたけどそれどうなの?彼らのことも悪く言えないんじゃないの?」

「はい、私らも戦闘が終わった後に気づいたもので?」

「まあいいさ、次の戦闘でなるべく消費を抑えればいいだろう、それで航空機用弾薬と燃料どれぐらい使ったの?」

「まだ1割にも行ってないです。」

「分かった、今度はどの道艦隊との戦闘だ今は夕方前だからもう一回空襲が来るね、その前に空母を沈めないとな」

「では、敵空母を沈めてそのまま対艦戦闘に持ち込むと?」

「砲雷長、カリブル改は空母に照準済み?」

「はい、目標bとcに合流した空母8隻最優先で照準済みです撃っちゃっていいですか?」

「あぁ〜、いいぞ撃っちまえ空母に対し発射弾数各4発」

「了解、1番から32番、照準完了、撃っー」

 

前部中央VLSから32本対艦ミサイル発射していった。

 

「それと光学迷彩起動しといて今からならミサイル着弾は4〜50分ぐらいか、よし今の内に皆んな交代で飯食いに行っとけよ艦隊との戦闘になったらいつ行けるかわからんぞー」

 

「了解でーす、そういゃ今日の戦闘糧食何よ」「握り飯4つ、おかずが4つ、豚汁以上」「おぉー豪勢だね」「なんでも司厨長が艦娘達と、艦橋、艦長用に直々に作ったんだと」「この世界に来て久しぶりに司厨長の飯が食えるな」「そんなに美味しいですか?」

「あぁ〜、美味しいよ」「やったー萩、一緒に食べようよ」「分かったわ嵐、磯波さんに満潮さん、清霜さんも一緒に食べましょう」「分かったわよ」

 

実はこの艦に乗船している主計科司厨部の人達は皆間宮並みの腕前を持っている、一度は皆職場を失い途方に暮れていたところを拾われ、ちなみにこの艦に所属している乗員は何かしらの理由で追われているところを艦長に拾われた、だから皆んな艦長を慕い行動している。

 

「さて、それじゃ行きますか。総員対艦戦闘用意、」ビィー、ビィー

「総員対艦戦闘用意繰り返す総員対艦戦闘用意」

「艦長、各部署配置完了しました。間も無くカリブルが敵空母に命中します「弾〜着、今」あっ命中しましたね。」

 

「よーしよし、幸いもう夜になるおまけに新月だからまたとない好機よ、航海長、重力防御場γ、光学迷彩起動したまま奴らの横腹から食らいつくぞ、砲術長右舷砲撃戦に持ち込むから主砲弾に初弾は反物質弾頭を装填、両翼に打ち込み主砲の砲撃を合図に光学迷彩解除、超電磁砲は航空戦艦を最優先で攻撃、速射砲・機関砲群は射程内に入り次第護衛艦を狙えその後は各自自由射撃、本当の夜戦を見せてやるわ」

 

その頃、深海軍機動艦隊は正体不明の攻撃を受け対応に追われてた。何せ夜間攻撃に出撃させる筈だった艦載機が飛行甲板に並べられ出撃寸前のところをミサイルが命中、瞬く間に8隻の空母が轟沈していった

何しろ、いきなり旗艦が撃沈されたから大混乱だった。

 

合流した艦隊旗艦が副司令を兼任しており戦艦水鬼が艦隊の指揮を執っていた。

 

「いきなり、正体不明の飛行物体が来たと思ったら、真っ直ぐ空母水鬼達に向かって行った何なのよあれは?」

「分かりません、何しろいきなりだったので今はほぼ沈静化して現在警戒に当たっております」

「レ級に伝えて艦載機デストロイヤーによる空中警戒実施して頂戴」

 

現在の時点で残った艦載機はレ級2隻に搭載している合計100機の艦載機デストロイヤーのみである。これらを空中警戒と着弾観測を行ってもらうために配備されているだけだった。

 

そして、彼女達は気付かなかった。

化物が直ぐそこまで来ていたということに…

 

同時刻、出雲も戦艦水鬼1、戦艦凄鬼3、タ級改FS4、ル級改FS2、レ級改FS2を確実に撃沈出来る距離3万5千迄に近付いた、これ以上近づくと反物質弾頭の衝撃を受けるためである。

 

「それじゃ打ち合わせ通りにやるんですか?」

「うん、手筈通りにお願いします、どの道反物質弾頭が炸裂してから一気になだれ込むからそれで行こう。」

「了解、では始めましようか、砲術長主砲、撃ち方始め」

「主砲、撃ち〜方始め〜」ズドドドォーン

「着弾まで、3.2.1.今‼︎」

 

反物質弾頭は量子弾頭の様に周りを吸い込むのではなく、周りを吹き飛ばす性質を持つ、結果15基45門計45発の反物質弾頭が炸裂したこれにより艦隊の半数にあたる駆逐艦、巡洋艦半数が反物質弾頭の衝撃波を受けて横転そのまま沈没していった。

 

「艦長、主砲砲撃により約半数を撃破しました。」

「よし、主砲は砲塔に内蔵してあるレーダー射撃指揮装置を使って敵戦艦を最優先に撃破して弾種は任せる。速射砲群・各種機関砲群は敵艦艇を攻撃、航海長、光学迷彩解除突撃せよ」

 

そこからは、彼女たちの地獄の始まりだった。

何せ行きなり、近距離から砲撃を受け全方位から衝撃波を受けて無事なのは戦艦と少数の巡洋艦あとは6隻の駆逐艦だけだった。レーダーにも映らず、いきなり姿を現したものだからみな我先にと逃げ始めた、たが所詮逃げたところで出雲の203ミリ速射砲で袋叩きにあい、近付いて雷撃をする者は105ミリロケット砲と57ミリバルカン砲の滅多打ちにあう始末だった、超電磁砲の直撃を受けたレ級は船体構造物の半分を強制的に引き千切れるように持っていかれ、沈没した。

 

「戦艦水鬼様、此処は私達が食い止めますのでお早く逃げ『おいおい、大将自ら部下を見捨てちゃあかんやろ、アンタは最後に沈めて上げるからね〜遺言状かなんか書いとけよ〜じゃあな』お、お、男?なんで男が乗っているの?」

 

そうこうしている内に、出雲は片っ端から近付いてくる艦艇をことごとく沈めた、無理もない本来の設計思想は単独で大艦隊を相手する為に設計された艦なのだから。

 

「いや〜すごいですねみんな追っかけに砲弾という名の艦長のサインを貰うために押し寄せてるようなものですね」

「副長君芸能レポーターなの、艦隊のアイドルってやつの回し者なの?」

 

「いいえ、私は出雲の副長ですよ、ワッハハハ」

 

「副長、君があの大和の三代目艦長で、第4航空戦隊の指揮官、元日本海軍松田千秋少将とは思えないですよ、私貴方に憧れていたのにあー不幸だわ」

 

「おい出雲、今松田少将と言わなかったか?」

 

「はい、日向さん言いましたけど、あっまさか」

 

「やあ日向、久しぶりだね伊勢は元気にしているか?」

 

「松田司令お久しぶりです。伊勢も元気にしています。あの北号作戦以降私達は燃料不足で呉港外にずっと錨泊していました、終戦前の呉空襲で私達皆んな、中瀬艦長も野村艦長も力及ばず艦は着底していまい終戦を迎えました。ですが今は人の依り代を得てまた繰り返さないためにも、私達は戦っています。」

 

「まぁ〜これも何かの縁ですし、松田さん伊勢や日向の指揮官として戻りますか?」

 

「いいえ、私のいる場所はこの出雲でしょ、他に居心地良い場所は無いですもの」

 

「分かった、けれど、日向達とは話し相手になってあげてね」

 

「了解です、それなら砲雷長も、あの武蔵の最後の艦長だったじゃないですか?」

 

「そうだな、この戦闘が終わったら会わせてあげといて『了解です』」

 

ようやく戦闘が終盤を迎え最後の艦でもある戦艦水鬼に降伏勧告を促した。

 

『こちら出雲、海戦は終わった速やかに降伏せよ繰り返「断る降伏するくらいなら貴艦と刺し違えるまでよ」そうか、やむを得ないさらばだ良き敵よ』主砲発射、ズドォーン

 

「こちら艦長、各部損害の報告お願い、主計長弾薬の使用量は?」

「艦長、弾薬の使用量は許容範囲内です」

 

「各部異常無し、フィールドもダメージ比率10%です」

 

「全て問題無しか?、よし弾薬の補充だけ例の能力使うわ」

 

この特殊能力の二つ目は敵艦艇を撃破した時に深海棲艦の魂を得ることで、出雲のみにしか出来ない。この能力により弾薬や燃料補給各種軍需品、船体修理が可能だ。当然出雲自身が他の艦艇にいてもそれが可能となるが、実は前の世界で多くの艦船や超兵器を海中へ没せしめ・数多の乗組員達を殺害為に、幾つもの魂が彼自身の中に800万程あるために、いくら即死級の攻撃や自身の首が跳ね飛ばされても彼自身はまるで何事もなかった(・・・・・・・)かのように復活している。この能力が邪な連中に感付かれるのを防ぐ為、弾薬や燃料を鎮守府から貰う様にしなければならない。

 

『艦長、弾薬・燃料95%にキープしました。後は横須賀に行って貰えるかどうかです』

「出雲、その時は私達が提督と話を付けるよ、任せておけ」

「すまないな、それじゃ進路を横須賀に合わせて、出発だ」

 

後に中部太平洋海戦(南硫黄島沖海戦)と呼ばることになる、この戦闘結果が軍令部・国防総省が出雲のことをどう扱うかはまだわからない。




はい、やっと戦闘が終わりました。戦闘描写はなかなか聞くのが難しいです。

この話に出て来る松田千秋少将は実在の人物です
元標的艦「摂津」の艦長をえて、「大和」艦長になり1944年10月にはエンガノ岬沖海戦にて第4航空戦隊の指揮官、次いで東南アジアから物資輸送する為に北号作戦に参加しました対空戦では「摂津」にて培った防空戦闘経験を元に大和大学で教え、後の「伊勢」艦長中瀬大佐、「日向」艦長野村大佐が指揮取っていた船は損害なかったと言われています、レイテ沖海戦の中でこの「伊勢」航空戦艦2隻が無傷で生き残りました

ひとまず、戦闘描写は終わりにします。次は横須賀入港になります

ここまで読んで頂きありがとうございました

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