東方読心録   作:Suiren3272

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どうも、こんばんは。
今回は少し文字数が少なめです。
ということで第七話、どうぞ。


第七話 ~幻想郷の日常……?~

「うーむ」

 俺の前にはスマホが一つ。 電池残量80%。バッテリー状態は良好となっている。

 元を辿ると俺って学校の教室からここまでワープした訳だから、ほとんど何も持って来てないんだよな。今あるのはポケットに入れてたスマホと財布くらい。何かもっと便利なものを持って来れてたらなあ、とも思ったり。

 

「お兄ちゃん、それってなに?」

「スマートフォンって言う機械だよ。えーっと……遠くの人と会話したり、写真を撮ったりできるんだ」

「そういえば霊夢達が前に似たような事をしてましたね」

 幻想郷って結構発展途上だと思ってたけど、そんなのもあったのか。魔法とか普通にあるみたいだし、発展途上というよりは、独自の文化を築いてるのかもな。

 それにしても、このスマホも電池が切れたら使えなくなるんだよな。

「地上には河童が居ますから、行ってみると良いかもしれませんね」

「河童?」

 

 さとりが言うには幻想郷の河童はかなり光学的みたいだ。正直よく分からないけど、機会があったら行くとしよう。

 まあ幻想郷って電波とか無いし、カメラくらいしか使い道ないんだけどね。でも最近のスマホのカメラは凄いよ、ホントに。俺の機種は古めだからそんなでもないけど。

「そうだ、写真でも撮らない?」

「それで撮れるの?」

「ああ、他にも色んな機能があるよ」

 

 スマートフォンなんて機械、幻想郷からするとかなりオーバースペックかもな。普通に使ってていいんだろうかと思いつつも、カメラを起動する。

「あ、じゃあ三人でいっしょに撮ろうよ!」

 こいしの提案で、三人一緒に撮るために内カメラに。位置を調整する。

「二人とも、もう少し寄ってくれる?」

「こうですか?」

 三人一緒って結構難しいな。かなり近寄らないと。チラッと横に目をやると、さとりの横顔が見えた。ずっと思ってたけど、幻想郷の人達って皆綺麗だよな。幻想郷ってどうも外の世界とかけ離れた感じがするけど、これが原因の一つかも。

 どうにか画面内に収めると、シャッターのボタンをタップする。

 

 シャッター音とともに撮った画像が画面に映った。まあそれなりに上手く撮れたんじゃないかな?

「へー、すごいね、すまーとふぉんって」

「他にこんなのも出来たりするよ」

 そう言って電波の必要無いゲームを起動してみる。簡単だし、こいしも出来るんじゃないかな?

 一通りやり方を教えてみるとすぐに覚えたらしく、はしゃぎながらソファーの上で遊んでいた。

 

 さとりは自分の椅子へ座り、俺もこいしの隣に座ろうとした時、さとりが小さく声を出した。

「痛っ……」

「どうしたの?」

 見ると、木製の椅子にささくれができていて、それに引っかけたみたいだ。大した怪我じゃないけど、血が出ている。

「大丈夫?」

「少し切っただけですから、心配ないですよ」

 

「……そういえば」

 俺はポケットの財布を取り出した。中にはお金やカードの他に、絆創膏も入っている。非常用に入れておいて良かった。たまに使うんだよね。

「絆創膏ですか?」

「そう、いつも財布に入れてるんだ。結構使えるんだよ」

 一つ取り出してさとりに渡す。彼女はお礼を言って微笑んだ。

 

 

* * *

 

 

「……こういうの、暇っていうのかな」

 ベッドに寝転がってそう呟いた。あ、Twitt○rじゃないよ。

 あれから部屋に戻ってきたけど、やる事がない。うーん、現代じゃ勉強したりたまにゲームやったりで時間を潰してたんだけど、幻想郷って娯楽が少ないのかな。ずっとごろごろしてるのもあれだし、お燐あたりに手伝える事がないか聞いてみるか。

 そう思って立ち上がろうとした瞬間、物凄い轟音とともに部屋に巨大な何かが突っ込んできた。

 

「な、なんだ!?」

 よく見ると、黒くて大きい岩のようなものが見事に壁を突き破っている。……いや、なにこれ。

 辺りにはコンクリートの破片が飛び散り、砂埃もすごい。辛うじて無事だった窓から外を見ると、勇儀と萃香が弾幕? らしきものを飛ばし合っているようだった。

 

 状況に着いていけず棒立ちしていると、勢いよくドアを開けてお燐が入って来る。

「ど、どうしたんだい、これ」

「いや、俺もよく分からないけど、あれ……」

 窓の外を指差すと、お燐は呆れたような顔をして言った。

「あいつらか……全く、勘弁して欲しいね」

「何あれ?」

「どうせまた喧嘩でもしてるんだと思うよ。最近は少なかったんだけどね」

 

 危な過ぎだろあいつら。一歩間違えたら死ぬところだったぞ今。注意した方がいいんじゃないか? まあ、それで止めるとも思えないけど……。

 それにしても、どうするんだ、これ。岩みたいなこれは二人に片付けさせるとして、壁の損壊は酷いし……業者的な人に頼まないといけないんじゃないか?

「とりあえず片付けはあたい達の方でしておくから、碧翔はさとり様に報告してくれるかい?」

「ああ、分かった」

 俺は少し早足でさとりの部屋へ向かった。

 

 

* * *

 

 

「なるほど、さっきの音はそれだったんですね……怪我とかありませんか?」

「あ、うん、俺は大丈夫だけど……」

 さとりもお燐と似たような反応をしていた。やっぱ幻想郷やばいな。

 部屋の修理はやはり頼みに行くそうだ。俺が行こうかと思ったけど、よくよく考えたら道とかまだ全然覚えてなかった。仕方ないし、それはお燐達に任せる事にしよう。

 俺の代わりの部屋は地霊殿の内側にして貰った。庭は見れないけど、命は大事だよ、ホント。

 

 しばらく待っていると、旧都の方に行っていたお空とお燐が帰ってきた。二人が連れてきたのは……って、ヤマメ?

「ヤマメ? どうしたの?」

「もちろん碧翔の部屋の壁を修理しに。というかよく生きてたね?」

 頼むって言ってたけど、それってヤマメにだったのか。本人曰く、土蜘蛛は建築が得意らしい。修理と建築って微妙に違う気もするけど。

 

 とりあえず部屋の修理は任せるとしよう。色々な道具を持って、ヤマメ達は部屋の方へ向かった。

「それにしても、碧翔が無事で良かったです。幻想郷(ここ)に来て三日目で大怪我なんてしたら大変ですから」

「あはは、そうだね。ありがとう、心配してくれて」

「勇儀達にはしっかり注意しないといけませんね……」

 と、なんだか少しぞわっとした。注意って……?

 

 そんな事を話していると、玄関の扉がノックされ、開かれた。いや、ノックしたらこっちが開けるまで待とうよ。入ってきたのは、俺の部屋の壁を壊した張本人の二人。何故来た。

「いやー、何か悪かったね」

「いや悪かったじゃないでしょ、俺死ぬところだったんだけど」

「ところで今から飲みに行くんだけど、碧翔達も行かないか?」

 二人がそう言った瞬間、俺の隣から唯ならぬ殺気が……。

 

「二人とも……少しこっちの部屋に来て下さい」

 あれあれ、なんだかさとりさん、笑顔なのに目が全く笑ってないぞ。

「碧翔は少し待っていて貰えますか?」

「あ、ああ……いいけど」

 こうして二人は連れて行かれ……数分後、隣の部屋から鬼二人の悲鳴が聞こえてきた。ちょっとした覚妖怪の闇を垣間見た気がします。

 でもまあ、こういうのこそが幻想郷の日常……って、そんな訳あるか!




いかがでしたか?
短いとかって言ってましたが、加筆修正してたら他の話とあんまり変わらなくなりました。全部で2800文字くらいなので……400字詰め原稿用紙7枚分ですね。
まあそんなわけで、次回もよろしくお願いします。

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