ふと、今のペースで投稿していったら、完結まであとどれくらいかかるんだろうか、と思いました。
今のところ、予定だと大体八十話くらいで完結かなぁ、と考えています。
約一年で二十五話と考えると、全部で三年ちょっとという事に⋯。
まぁ何にせよ、早めに投稿したいですね。
ということで、どうぞ。
全く⋯さとりと碧翔は何をしているのかしら。こっちは迷惑でしょうがないんだけど。
私の住居である、この博麗神社。最近はここを遊び場だったり、暇潰しの為の場所だと勘違いしている奴らが多すぎる。魔理沙はもちろん、どっかの青い氷精だったり、酒飲みの鬼だったり⋯今日なんて、こんな奴まで。
「霊夢ー、久しぶりに弾幕ごっこでもしない?」
「嫌よ。碧翔に遊んでもらいなさい」
「えー、だってお兄ちゃん戦えないよ?」
黒い帽子に緑がかった銀髪。この特徴をおさえている奴は、私の知っている限りこいししかいない。
全く、皆して面倒ばかりだ。お賽銭を入れていくならともかく⋯碧翔が前に千円を入れてから、賽銭箱には未だに一銭も入っていないし。
大体、妖怪退治を生業とする私の所にこれだけの妖怪が集まるということ自体、普通じゃないと思う。というかうちに参拝客が来ないのって、もしかしなくてもこの状況のせいよね⋯。
「ねー霊夢、喉かわいたからお茶ちょーだい?」
「はぁ⋯地霊殿に帰ればいいじゃない。さとりか碧翔にも遊んでもらえるんだし」
私がそう言うと、こいしは少し困ったような顔をした。首を傾げる動作はかわいらしく見える気もするが、やはり迷惑には変わりない。
「それがね、なんか二人とも忙しそうだったの」
「⋯さとりと碧翔が?」
「うん、なんかお兄ちゃんと二人で話があるから、って。それで待ってようと思って散歩してたら、いつの間にかここに来てて」
話って⋯とうとう告白?
なんて、人の色恋沙汰が一番に出てくるくらいに最近は暇だった。でも暇だからって面倒事を受けようとは思わない。よく分からないけれど、こいしには帰ってもらうことにしよう。
もう一度こいしにそう伝えようとしたところで、外から声が聞こえてきた。
「霊夢ー、いるかー?」
言葉一つ一つを伸ばして私を呼ぶのは、間違いなく萃香だ。全く、どうしてこうも妖怪ばかり集まってくるんだか。
萃香はいつも通り無遠慮に部屋に入ってきた。
「おー、いたいた。っと、あんたは⋯さとりの妹じゃないか。ここいたんだね」
こいしの方を見てそう言った。ここにいた、というのはどういう事だろうか。
「さっさと要件を言ってくれる?暇潰しに来た、なんて言ったら追い出すわよ」
「暇潰しだったら良かったんだけどねぇ。⋯霊夢、碧翔がどこにいるか分かるかい?」
「⋯碧翔?」
あまり萃香の口から聞かない人物が出てきたため、思わず聞き返してしまった。しかもどこにいるかって⋯地霊殿じゃないんだろうか。
「その表情は知らないって顔だね」
「そりゃ、碧翔といったら地霊殿じゃないの?」
さとりも碧翔もはっきりしていないと言うか、あまり積極的じゃないから組み合わせ的に本当は微妙なのかもしれないけど⋯前回来た時は結構仲睦まじい感じだったし。⋯本人達、特にさとりに言ったら全力で否定されそうだ。
なんてことを考えていたら、萃香が簡単に状況を説明し始めた。
碧翔がいなくなったこと。さとりが必死に探していること。地底の妖怪達も協力しているということ。そこから、萃香は地上担当になったということ。
「ふーん⋯あんたが人間の為にここまで何かするって珍しいわね」
「いやぁ、私は宴会がやりたいだけなんだけど」
どうやら碧翔が見つかったら宴会を開くことになっているらしい。⋯準備片付け、その他諸々のことを全部任されるのは勘弁してほしいのだが。
「それを私に協力しろってこと?博麗の巫女は便利屋じゃないんだけど」
「まぁそうだけどさ。どうにか頼むよ、宴会がかかってるんだ」
いや、私としてはそれが一番面倒なんだけども。
と、その時、ぐっと服の裾が引っ張られる。下を向くと、こいしがこちらを見ていることに気が付いた。
「お願い、一緒に探そうよ」
そう訴えかけてくる。こいしも今の話を真剣に聞いているようだった。確かに、前に来たときも碧翔とは仲良さそうにしていたけれど⋯。
「はぁ⋯まったく、二人で探せばいいじゃない」
「むぅ⋯!」
こいしが私をぽこぽこと叩いた。あ、これ背中にやってもらったらいいマッサージになるかも。
なんて、そんなことを考えていると、襖が突然ざっと開いた。そこいたのは、銀色の髪に白いカチューシャを付け、青を基調とした少し変わった服を着ている――咲夜。
「ああもう、何でこんなに妖怪ばっかり」
「⋯私は人間なのだけれど」
「あんたも人外みたいなもんでしょ」
私の言葉に特に反応することもなく、咲夜は部屋の中を見回した。襖こそ勝手に開けたものの、萃香のように中に入ることもせず、再び私に目を向ける。
「それで、要件なのだけれど」
「⋯レミリアが遊んでほしいって?」
「まぁ、間違ってはいないわね。貴女も読心の能力が目覚めたの?」
咲夜の要件というのはこうだ。紅魔館の主が、最近はすごく暇をしているらしい。それでパーティー的な何かをしようという訳で、私を呼ぼうという話になった、と。なんでそんな考えに至ったんだあの吸血鬼め。
⋯まぁ、タダで料理を食べられるんだったら行ってもいいかもしれないけど。
「それともう一つ、お嬢様が『あの覚妖怪のところの人間も連れてこい』とおっしゃられていたわ」
「碧翔のこと?だったら、今は無理じゃない?行方不明中だそうよ」
咲夜にも萃香が簡単に経緯を伝える。彼女にしては珍しく、興味深そうに聞いていた。
「真剣様が行方不明⋯」
「⋯あんた、その呼び方いい加減変えたら?本人も話しにくいって困ってたわよ」
私の言葉に返事することなく、彼女は外の方を見ながら言った。
「じゃあ、私は一旦お嬢様に報告しに戻るわ。霊夢は来ると伝えておくわね」
そう言うと、能力を使ったのか一瞬で消えてしまった。
勝手に決められると困るんだけど⋯まぁ何かしら料理は
「⋯お兄ちゃん、探さないの⋯?」
こいしがもう一度私に問う。地底の妖怪達も探しているんだし、別に私が行かなくてもいいのでは?なんて、言っても意味ないか。
「そこの鬼は探しに行くみたいよ。一緒に行ってくれば?」
「もう⋯!」
こいしは一向に諦めようとしない。なんとなく立ち上がって襖を開け、外を見た。空には雲が多く広がっているが、その隙間から太陽が顔を覗かせている。今は⋯大体三時頃だろうか。息を一つ吐いた。
⋯真剣碧翔。幻想郷じゃあまり聞かないような名前だし、本当にさとりと同居したって言うんだから、印象は強かった。まぁ本人の性格ははっきりしないけど。
何故さとりは碧翔の捜索に必死になっているのか。何故こいしはこれだけ一緒に探すよう私に訴えるのか。分からなくはない。確かに彼は、優しい⋯俗に言う『思いやりのある人間』なんだと思う。
「はぁ⋯」
また一つ、息を吐いた。
しばらくぼーっとしてから、部屋の中に戻ろうと、襖を閉めようとした時。
「あら、霊夢」
目の前に再び咲夜が現れた。さっきいなくなってからまだ五分くらいしか経っていないはずなんだけど⋯能力のせいね。
「さっきの件をお嬢様にお伝えしたのだけれど――私達も捜索を手伝う事になったわ」
「は?」
「紅魔館総動員で探すことにしたのよ。流石に門番である美鈴は置いておくけれど。ちなみにこれはお嬢様のお考えよ」
なんともまあ⋯吸血鬼の考えることは分からない。というか、何でレミリアまで碧翔を?
「それで、霊夢も探すんでしょう?」
「はぁ?いや、私は」
「霊夢⋯お兄ちゃん探そうよ⋯」
問いかけてくる二人から目を逸らす。碧翔、か⋯。ああもう、全く。
「⋯分かった、私も探すわよ。でも、この後の宴会の準備、あんたらも手伝いなさいよ」
「霊夢!ありがとう!」
こいしが元気よく言う。⋯こうなりゃ、さっさと碧翔見つけてまたのんびりするとしようか。
さて、やるとなったら迅速に。萃香が言うには、碧翔がいなくなった手がかりは何も無いらしい。となると、虱潰しで探すしかない。まぁ、幻想郷はそんなに広くない。紅魔館の奴らもいるらしいし、手分けして探せば何かしら収穫はあるはず。
「じゃ、適当に担当を決めるわ。まず、こいしと萃香は人里方面。紅魔館組は幻想郷の紅魔館側半分ね。あんたの所はメイドが大量にいるんだし、できるでしょ。あとは⋯太陽の畑周りね。それじゃあ、ここは私と――」
「よう霊夢!のんびりするついでに煎餅貰いに来たぜ!」
「――そこのバカにしましょうか」
突然、
「なんだなんだ、どうしたんだよお前ら」
まぁ、魔理沙はとりあえず無視するとして。これで担当が大体決まったはずだ。あとは、人里の方は適当に聞き込み、他は近くの妖怪にでも訊けばいい。
「という訳で、探しに行くとしましょうか。さっさと見つけるわよ」
「おー!お兄ちゃんを助けにいこう!」
「おい霊夢、どういう状況なんだよ今。説明してくれ霊夢!」
幻想郷最東端の博麗神社。いつもは参拝客もおらず静かな場所だが、今は人間や妖怪が集まっている。碧翔――これだけの人を巻き込んでるんだから、早く見つかりなさいよ。
それぞれの思いを胸に、私達は碧翔捜索へと足を踏み出した。
いかがでしたか?
色々課題はありますが、投稿頑張っていきたいです。
次回もよろしくお願いします。