東方読心録   作:Suiren3272

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どうも、こんばんは⋯じゃなくて、こんにちは、ですね。
昼に投稿できるのは、GWのおかげですね。私の友人はSW(スタディー・ウィーク)なんて言ってましたけど。学生としては、大変だったりもするようです。
ということで、どうぞ。


第二十四話 ~捜索開始~ Side:S

 

「碧翔?私は見てないけど、どうかしたんですか?」

私の顔を不思議そうに見るお燐。どうやら⋯いや、やっぱり見ていないらしい。お空や他のペット達にも聞いてみたけれど、同じく何も知らない様子。やはりおかしい。家のペットは色々な所にいるし、普通に移動したんじゃ誰にも見つからずに外に出るのは不可能に近い。碧翔が自分の足で出ていったというのはないと考えていいはず。

となると、転移系の魔法か何か⋯?誰が何のために?

 

「さとり様、難しい顔してどうしたんですか。碧翔と話をしていたはずじゃ⋯。さては碧翔、さとり様に何か⋯」

「あ、いえいえ、碧翔は何も悪くない⋯はずです。なんと言うか、突然いなくなってしまって」

この感じだと地霊殿内にはいなさそうだ。この地底にいればいいけれど⋯。

とりあえずの今の状況を軽くお燐に説明した。

「さとり様を前にいなくなるなんて、全く。⋯探してるんですよね。なら、あたいも手伝いますよ」

「お燐⋯ ありがとうございます」

 

色々言っているけれど、お燐も彼のことを気に入っていたらしい。二人で話している姿もよく見かけたし、羨ま⋯じゃないじゃない、微笑ましい感じだった。

「それじゃ、お空にもこのこと伝えてくるんで」

「あ、はい。よろしくお願いします」

そう言うと、お燐は駆け足で去っていった。

 

* * *

 

「じゃ、碧翔捜索にあたっての計画を立てようか」

そう言うと、お燐は壁に大きな紙を貼り付けた。

お空を呼びに行っただけのはずが、いつの間にか勇儀に萃香、パルスィにヤマメやキスメ⋯結構な人数が集まっている。

「あの、皆さんはどうしたんですか?」

「最近は暇でね。面白そうだったから、そこの火車について来たってわけよ」

「相変わらず妬ましいんだから。さっさと見つけるわよ」

いくらお燐が呼んだからって、これだけの人数が集まるなんて。これも、人に優しく、周りから好かれる碧翔の性格故なんだろうか。

 

「さて、それじゃあまずは、最後に碧翔と一緒にいたさとり様。状況の説明をお願いします」

「はい。最後に碧翔の姿を確認したのは、部屋で一緒に話をしていた時でした」

皆に状況を説明する。不可思議なところや不明な点が多く、あまり捜索の手がかりにはならなさそうだけれど⋯。

「それじゃ、誰かに連れ去られたってことかい?」

「確証はありませんけど⋯ 碧翔から自主的に、ということはありえないですから」

「ま、ただの人間だしな。というか、これじゃ探しようがなくないか?」

確かに、このままだと手がかりが何も無い。地霊殿内での目撃情報はゼロで、部屋の近くの廊下も色々調べてみたが、得られたものは無かった。このままでは行き詰まる。旧都の人達に聞いてみるのもいいけれど、そのまま何もなかったらそれこそ終わりだ。

 

「とりあえず、手当り次第探してみるしかないね。じゃあ、まずは役割を分担しようか。勇儀とパルスィ、ヤマメは地底の人達に聞き込み。あたいとキスメとさとり様はここで作戦を考えたり、指揮を執る本部係。お空は仕事柄、いつも通りの方がいいね。萃香は⋯ 地上に行って聞き込みしようか」

「えー、私一人でかい?」

全員の役割分担をお燐が決めると、萃香が少し面倒そうな顔をして言った。確かに、彼女一人で広い地上を探すのは大変かもしれない。

「萃香は一番顔が広いでしょ?最近は博麗神社にもよく居るみたいだし、霊夢あたりに聞いてきてよ」

「全く⋯ 分かったよ。その代わり、碧翔を見つけたら神社で宴会を開いて貰うからね」

ということで、話は大体ついたみたいだ。宴会については私達が迷惑をかけているし、地霊殿から出費することにしよう。

 

と、ここであることに気が付いた。

「そういえば、さっきからこいしが見当たりませんけど⋯何か知っている人はいませんか?」

問いかけてみたが、反応なし。誰も知らないらしい。まぁ、こいしの場合はよくある事だし大丈夫だと思うけれど⋯碧翔が来てからは少なくなっていたから、珍しいと言えば珍しいような。とりあえず、今は置いておくとしよう。

 

「じゃ、それぞれの役割に動くとしようか」

勇儀はそう言うと、膝に手をついて立ち上がる。

色々と不安なことばかりだけれど、今は皆を信じて待つとしよう。私ものんびりしていられない。皆の手助けになるような方法を少しでも考えないと。

「よし、それじゃあ⋯碧翔捜索作戦、開始!」

 

* * *

 

さっきの部屋から少し場所を移動して、私の自室。分担通り、私とお燐とキスメで作戦を練っている。とは言っても、作戦と言えるような内容か分からないけれど。

「今はとりあえず皆に捜索して貰ってるから、それの成果が出なかった時の対処を考えようか」

「やはり⋯あの地上の神社にいる巫女さんの話を聞くのが⋯いいと、思います⋯」

と、キスメが答えた。確かに、手がかりがほとんど無い今の状況だと、今行っている捜索で見つからなかったら私達だけじゃ対処できない。その点、幻想郷のことをよく知っているであろう霊夢に聞くのが、一番懸命な判断かもしれない。

 

「まぁ、その辺りは萃香に期待するとして⋯ さとり様は何かいい案でも浮かびましたか?」

「いえ、あまり⋯」

私の返事以降、二人ともあまり口を開かなくなった。何か出来ることがあればいいけれど⋯。

 

「さとり様⋯ 碧翔がいなくなった事、不安ですか?」

「⋯ええ」

「やっぱり珍しいな、さとり様がそこまで人間を気にかけるなんて⋯。まぁ、人の事言えないけど」

あまり表に出してはいないが、お燐も碧翔を心配しているようだった。お燐の仕事を手伝ったりもしているし、二人で話している姿もよく見かけた。読心能力が無くても、仲が良いのはよく分かる。

 

碧翔⋯本当にどこに行ってしまったんだろう。もし地底で成果が得られなかったら、今度は地上を探すことになる。それでも見つからなかったら?と、そのことを考えると不安でしょうがない。

人間に避けられてきた私に、いつも優しく接してくれた碧翔。何故彼をそんなに探しているんだろう。何故彼の、私に笑いかけるあの表情が忘れられないんだろう。

 

碧翔といる時はいつも楽しかった。本の話をすれば、二人で登場人物について考察し合ったり。料理の話をすれば、彼の得意なメニューや、私でも作れるようなものを一緒に考えたり。いつもただ仕事をこなし、本を読んで生活していた今までとは違う、誰かと共有し合える楽しさ。あまり他人と雑談することのない私は、彼との何気ない会話が本当に楽しかった。

だからだろうか、彼を失いたくないのは。いつしか、これからもずっと一緒にいたいと願うようになり⋯ やはり、自分が分からない。

 

「よし、じゃあ一旦休憩にしようか。キスメ、紅茶飲める?」

「あんまり飲んだことないけど⋯お願いします」

「さとり様も飲みます?」

お燐に聞かれてはっとする。駄目駄目、しっかりしないと。

「あ⋯お願いします」

お燐は頷くと、部屋から出ていった。部屋にいるのは二人だけになり、静寂が訪れる。思えば、今までキスメとちゃんと話したことはほとんど無かったような気がする。彼女の性格からか発言することは少ないけれど、結構色々考えているようだ。

 

「碧翔⋯大丈夫、ですよね。きっと」

私がそう言うと、キスメがゆっくりと口を開いた。

「私⋯あのお兄さんとはそんなに接点が無かったけど⋯でも、とても優しくて大きい感じがしました⋯。きっと、大丈夫だと思います」

強い表情でそう言った。

そうだ、碧翔なら大丈夫。きっと、いや、必ず無事でいる。私も頑張ろう。また碧翔と、一緒に夢を共有するために。

そう、強く決心した。

 




いかがでしたか?
超今更ですけど、物語を作るのって難しいですね。
他の方々の作品を見ていると、「うわぁ自分の作品すげぇ内容薄い⋯」ってよく思います。
ちゃんと『考えた物語』を作っていきたいなぁ、とつくづく感じました。
次回もよろしくお願いします。

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