私は丸焼きのチキンを食べましたが、真っ二つにしたら思った以上にグロテスクでした。あ、味は美味しかったですよ。
という訳で、本編と時系列は違いますがクリスマス特別編です。内容的にはいつもとそんなに変わりませんが。
どうにか今日までに書き終えたので良かったです。
それでは、どうぞ。
「さむいー」
「いや、俺にそんな事言われても...」
今日はクリスマス。イエス・キリストの降誕を祝う祭りなんだけど、実際の誕生日は実は分からないらしい。
と言うかそもそも『クリスマス=キリストの祝い』みたいなイメージって、一般人にはそんなに無くない?
キリスト教徒じゃないし、俺もあんまり意識しないんだけど... イエスさん、ごめんなさい。
とまぁ、それは置いておいて、こいしが今言った通り、寒い。旧地獄が近いから暖かいのかと思ったらそうでもないぞ。
地上はもっと寒いんだろうか。霊夢とかあの服どうしてるんだろう... にとりも湖が凍ってたりして。
「地上では今頃、雪が降っていると思いますよ」
「ああ、やっぱり?あれだけ自然が多いと気温も下がるよね」
雪か。少し見てみたかった気もするけど... まあ、俺はさとりやこいしと一緒にいる方が良いかな。地上は超寒そうだし。
ところで、さっきからこいしが寒い寒いって背中にくっついてるけど、こいしの方が温かいような...
こいしが正面になるように向きなおして、少し抱きしめてみる。
「やっぱりこいしの方が温かいね。代謝が良いのかな」
「お兄ちゃんの手つめたーい」
なんとなくさとりの方を見ると、こちらを見て少し顔を赤くしていた。
「あ、お姉ちゃんも、お兄ちゃんとぎゅってする?」
「っ!?だ、大丈夫です!」
そう言うと、さとりはそっぽを向いてしまった。
それにしても、クリスマスか。日本にいた時は、折り紙とかを使って色々飾りを作ったな。こっちでもやってみようか。
「クリスマスなんだし、折角だから何か作ろうよ。飾り付けとかするのも面白いと思うよ」
「そうかな?じゃあつくろう!」
さとりとかかなり器用そうだよな。後で手伝ってもらおうか。
という訳で、飾り付けのはじまりはじまり... って、そんな大事じゃないんだけどね。
* * *
「何をつくるの?」
「そうだな... やっぱり飾り付けと言えばあのわっかを繋げたあれじゃない?」
細く切った折り紙を輪にして鎖みたいに繋げた『あれ』。正式名称は知らないけど、誕生日とかクリスマスには欠かせないイメージ。
簡単に作れてしかも綺麗だし、やっぱりまずはこれだよな。
「まずはこの折り紙を縦に三回折って」
「はーい」
ついた折り目に沿ってハサミで切ればあっという間に八等分。後はこれを量産してから繋げるだけ。
ものによっては四等分で作る時もあるけど、基本はこっちかな。
壁に付ける時に同じ間隔にするのが実は結構技術がいるんだけど、まぁ多分大丈夫だろう。
「私も何か手伝えることはありますか?」
「あ、じゃあさとりは星を作ってくれる?」
これも折り紙で作れる、立体的な星。一言だと説明しにくいんだけど、折り紙を折ってから一回ハサミを入れるだけで作れるから、こっちも割りと簡単。
というかさとりだったら難しいものでもテキパキと作れそう。いや、あくまでもイメージだけど。
「ねぇ、これどのくらいまで作ればいいの?」
「お、かなり長くなったし、もう良いんじゃない?一回付けてみようか」
輪の方はとりあえず完成したみたいだから、一旦壁に付けてみる。こういうのって変に計算するよりも大体で付けた方が結構良くなったりするんだよね。
「よし、こんなもんかな」
どうにか良い感じになったから良かった。ついでにティッシュを使って花でも作っておくか。
本当は花紙みたいのがあると良いんだけど、ここには無さそうだし。
「星って、こんな感じで良いんですか?」
さとりの方を見ると、とても丁寧に作られた折り紙の星がいくつか出来ていた。
「おお、すごいな。これって結構ずれたりするんだけど」
「はい、気を付けて作りましたから」
やっぱり器用だなぁ。よし、これだったら綺麗になりそうだ。作った星や花を壁に付けていく。
こういうデザインをするのって何か好き。良い感じになったら嬉しいし。...よし、これで完成かな。
「出来たー!」
大したものは飾ってないけど、こういう手作り感も良いよね。人の手で作ったっていうのも大事だと思う。
「今まではほとんど市販品を使っていましたけど、自分達で作るのも面白いですね」
「でしょ?色々工夫ができるし、俺は良いと思うよ」
丁度飾り付けが終わったところで、お燐が縦長のダンボール箱を持って部屋に入ってくる。
さとりくらいだったら入れそうな大きさの箱だけど、何が入ってるんだ?
「よいしょっと。はぁ~、疲れた。さとり様、運び終わりましたよ」
「何かやたら大きい箱だけど、何これ?」
お燐が箱を開けると、中から出てきたのは緑色の円錐。細いプラスチックが付けられているこれは...
「クリスマスツリーです。クリスマスには必ず必要ですよね」
「そうだね。これも飾り付けしようか」
俺の家にあったものと比べるとかなり大きい。組み立てたら俺の身長くらいあるんじゃない?
ツリーをしっかりと組み立ててから、セットで入っていた球状の飾りや、雪を模した綿などをバランスに気を付けながら乗せていく。
この飾りも、よく見ると結構種類があって面白い。プレゼント箱を再現したものとか、超ミニサイズの靴下なんかもあるし。
「あははっ、お兄ちゃん、頭に綿がのってるよー」
「あ、ほんとだ。本物の雪だったら冷たいだろうね」
さとりもこいしも楽しそうだし、俺も楽しい。クリスマスとか、こういうイベントって良いな。
よし、ツリーは出来たけど、位置が悪いから向こうに移動させるか。...とは言っても、俺一人じゃ運べないんだけど。
大きいから当然重いし、バランスを保つのも大変そう。これを一人で運ぶなんて、お燐すごいな。
「ちょっとお燐、手伝って」
「もう、情けないね。男なんだからこれくらい一人で頑張んなよ」
「いや、男である以前に人間なんで...」
「せーの、よいしょっと」
よーし、これで大丈夫かな。あとはペット陣が料理を運んでくれば... ちょうどその時、空をはじめとしたペット達が部屋に入ってくる。
サラダやスープなどの前菜系から、チキンにケーキなどといったクリスマスらしいものも色々あった。
大体揃ってきたし、そろそろ座るかな。
全員が席に座ったところで、俺の隣のこいしとアイコンタクトをとってから、同時に言った。
「「メリークリスマス!」」
本当はクリスマスって静かに楽しむものらしいけど、ここは幻想郷だし、いいよね。
皆、それぞれの料理を口へ運ぶ。俺もいくつか食べてみたけど、いつも通り美味しかった。
「あ、あの、碧翔」
「ん?」
さとりに呼ばれたので前方に顔を向けると、顔をうっすらと赤く染めたさとりが、一口サイズに切ったチキンを俺の方に向けているのが見えた。
「あ、あーん...」
「!? ど、どうしたの?」
これってあの『あーん』だよね。こいしがする事はよくあったけど、さとりが俺に...?
俺が混乱していると、さとりは手を引っ込めてしまった。
「あ... め、迷惑でしたか...?」
「いや、そんな事はないけど、珍しいから驚いてさ。ごめん、もう一回どうぞ」
どうぞって言ってやる事じゃない気もするけど、まあいいか。改めてさとりは箸でチキンを取り、俺に向ける。
なんか手が震えてる気がするけど、それは置いておこう。
「あーん...」
「.......うん、やっぱり美味しいね。ありがとう」
「は、はいっ」
恥ずかしさを紛らわそうとしたのか、さとりは少し下を向きながら、箸を使って手元にあるサラダを食べた。
.....ん?その箸って、今俺にチキンを食べさせたやつじゃないか?
俺の心を読んで気がついたのか、さとりの顔がみるみる赤くなっていく。
「あ、えと、その...」
「あー、まぁ別に気にしないし、大丈夫だよ」
わざとじゃないだろうし、まぁしょうがない...よな?
似たような事は今まであった気がするけど、何だかいつもに増して恥ずかしかった。
* * *
「はぁー、お腹いっぱいー」
「あはは、こいし結構食べてたからね。俺も少し食べ過ぎたかな」
「ふふ、今日は楽しかったですね」
なんか色々あったけど、楽しめたから良かった。来年もまた、こういうのをやりたいな。次はもっとクオリティの高い飾りも作りたいし。
それにしても、やっぱり寒い。今日はもう部屋に戻るかな。
「あ、私も一緒に行く!お姉ちゃんも来ない?」
そう言って、またもやこいしがくっついてきた。まぁ温かいから良いんだけど。
「そうですね、行きましょうか」
もうすぐ今年も終わり。来年もいい年になりますように。
いかがでしたか?
最近はノロウイルスやインフルエンザなど、感染症が流行っているらしいので、皆さんもお体にはお気をつけ下さい。
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