やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている 作:サラリーマン
テニス部1
厚木 「お前ら二人組作れ」
俺のクラスの体育の担当教師である厚木が言う。学校ではプロぼっちをしている俺はもちろんクラスに二人組を作れるようなやつはいない。だがしかし長年のボッチ生活のおかげでこういう時の対処法はもちろん心得ている。
八幡 「先生、体調悪くてペアの人に迷惑かけてもアレなんで壁打ちしてもてもいいですか」
厚木 「わかった。ダメそうなら無理せずに保健室に行けよ」
八幡 「わかりました」
体調悪いとペアの人に迷惑かけるの相乗効果で簡単に許可がもらえる。そして俺は壁打ちを始める。壁打ちをし始めてから数分、俺は一度も休むことなく壁にボールを打ち付けている。時々、ラケットのフレームに当てイレギュラーなバウンドをさせそれを拾う。それをひたすら繰り返す。なぜ俺がずっと続けていられるかというと、昔俺がB級に上がってすぐのころ陽乃さんがスナイパーの狙撃に反応できるようにと言って訓練室を少しいじってスカッシュゲームを作ったのだ。そのゲームは一定回数以上続くと徐々にボールのスピードが上がってくる。さらに一定のスピードを越えるとボールの数が増えるといった仕様で一時期はランク戦よりこっちのスカッシュゲームばかりをしていたので、ただの壁打ちぐらいなら永遠に続けていられる自信がある。
そんなこんなでいつのまにか授業が終わる時間になっていたようなので切り上げラケットとボールを片す。
昼休みになり、俺はベストプレイスで飯を食っている。すると
由比ヶ浜 「あれヒッキーじゃん!またここで食べてんの?」
八幡 「俺はいつもここで飯食ってんだよ」
由比ヶ浜 「何で教室でご飯食べないの?」
八幡 「教室だとお前らみたいなリア充がうるさいからな。それよりおまえは何してんの?」
由比ヶ浜 「ゆきのんとのゲームに負けて、罰ゲーム中で飲み物を買いに行ってるの!」
八幡 「ふーん。ってかゆきのんって誰。」
由比ヶ浜 「J組の雪ノ下雪乃。この前のクッキー作るの手伝ってもらってそのままその人の部活に入部したの!そういえばクッキーおいしかった?」
八幡 「おまえ逮捕されたくなかったら二度と料理するな。死者が出るぞ。」
由比ヶ浜 「ちょっとそれどういう意味だし!」
??? 「由比ヶ浜さんと比企谷君?」
名前を呼ばれその方向を向くとそこにはジャージ姿のかわいい生徒がいた。
由比ヶ浜 「さいちゃんじゃん!よっす!」
??? 「由比ヶ浜さんよっす」
由比ヶ浜 「昼練?いつも大変だね」
??? 「そんなことないよ。うちのテニス部あんまり人数いないから僕が頑張らないと。そういえば比企谷君もテニス上手だよね。」
八幡 「そうなの?あんまり人とテニスしないからよくわかんねーわ。で、誰?」
由比ヶ浜 「信じらんない!あたしの時もそうだけどクラスの人の名前くらい覚えようよ!」
??? 「同じクラスの戸塚彩加です。よろしくね」
八幡 「悪いな。クラスの女子とかかわらんから名前わかんなかったわ。」
戸塚 「あの…」
なぜか戸塚がもじもじしている。トイレか?それなら俺なんか気にせずにさっさと行けばいいのに
戸塚 「僕、男なんだけど…」
八幡 「…よく聞き取れんかった。もう一回言ってもらっていいか」
戸塚 「僕男なんだけど」
八幡 「は!?」
戸塚が男…だと…。そこらにいる女子より普通にかわいいぞ。そこで予鈴が鳴る。
戸塚 「片付けとかしないとだから先行くね。」
戸塚が走って先に行く。
八幡 「由比ヶ浜、雪ノ下に飲み物買っていくんじゃないのか」
由比ヶ浜 「そうだった!」
そうして俺はひとりで教室に戻った。
次の日。今日も体育があり内容も前回と同じでテニスだった。壁打ちの許可をもらうために先生のところへ行こうとすると、肩をたたかれた。振り返ると頬に指を押し付けられた。
戸塚 「あはは。引っかかった。今日いつもペア組んでる人が休みで僕一人だからも比企谷君さえよかったら一緒にしない?」
八幡 「いいぞ。俺も一人だし」
戸塚 「よろしくね!」
しばらくラリーをしていると
戸塚 「ちょっと休憩しない?」
俺たちはコートの端に行き腰を下ろす。
戸塚 「やっぱり比企谷君テニス上手だね。経験者?」
八幡 「いやテニスは授業でやってるくらいだな。けど、前に知り合いにスカッシュやらされてたから、少し感じは違うがその経験が生きてるんじゃないか?」
戸塚 「そうなんだ!あの相談があるんだけど、昨日も言った通りうちのテニス部弱いからさ、もしよかったらテニス部に入ってくれないかな。」
八幡 「すまない戸塚。バイトやってて放課後は無理なんだ。その代わりと言ってはアレだが昼休みの練習の手伝いならできるがそれでもいいか?」
戸塚 「もちろん!テニス部以外の人が授業以外でテニスコート使うには生徒会に申請しないとなんだけど僕やっておこうか?」
八幡 「生徒会に知り合いいるし俺がやるからいいぞ。けど、専門的なこととか全然わからないからラリーの相手とかしかできないと思うから頭に入れといてくれ」
戸塚 「わかったよ!じゃあ明日からお願いします!」
八幡 「おう。」
それから休憩をやめ、またラリーを続けるのだった。
翌日の昼休みになり昼食を軽く食べ、テニスコートに向かう。昨日のうちに生徒会長であるめぐりさんに申請しておいたのですぐにテニスコートに向かう。テニスコートに着くとすでに戸塚がいて準備運動をしていた。
八幡 「悪い戸塚遅かったか?」
戸塚 「大丈夫だよ比企谷君。比企谷君のほかに練習手伝ってくれる人がいるんだけどいいよね」
八幡 「ああ。」
俺はコミュ障だが今回のメインは戸塚。俺がほかのお手伝いの人と話すことはないだろうと思い、俺は二つ返事で返事する。
戸塚 「今申請しに行ってるから先にラリーしてようか」
八幡 「そうだな」
ラリーをしているといきなり戸塚がボールと止め手を振る。他をお手伝いの人が来たのか。一応あいさつしといたほうがいいだろ。そう思って振り向くと、
由比ヶ浜 「あー!!何でヒッキーがいるし!」
由比ヶ浜と雪ノ下がいた。
雪ノ下 「なぜあなたがここにいるのかしらひき…ひき…ゾンビ君」
八幡 「お前は人の名前も覚えられないのか学力2位さん。」
雪ノ下 「無駄なことを覚える趣味はないもの」
八幡 「お前は人一人の名前を追加で覚えられないほど脳のキャパ少ねーのかよ。こりゃ次のテストで2位もいられなくなるかもな」
雪ノ下が俺をにらむ。
由比ヶ浜 「二人とも落ち着いて!ヒッキーもさいちゃんの練習のお手伝いってことでいいんだよね」
八幡 「ああ。練習メニューは考えたのか」
雪ノ下 「もちろんよ。まずは体力づくりね。技術だけあってもそれを続けるだけの体力がなくちゃ意味ないもの」
八幡 「まあ現状じゃそれがベストか。」
それから体力づくりのトレーニングが始まった。
雪ノ下 「今日はこれくらいにしましょうか。明日は実践的な練習をしましょう」
八幡 「そうだな。戸塚わかってると思うが体力は今日一日だけでつくもんじゃなくて継続することで鍛えられるから日々の鍛錬は怠らないようにな」
戸塚 「うん!」
それから片づけをしその日は解散となった。
翌日。今日も俺たちは集まり、戸塚の特訓をする。今は戸塚に難しいコースの返球をさせている。雪ノ下がコースを指示し、由比ヶ浜がそこにボールを投げ、戸塚が返球する。そして俺は球拾い。口で言えば簡単そうに聞こえるが、実際は雪ノ下の指示する場所がエグイ。右に指示したと思えば次は左にそして前や足元にとひたすら戸塚を動かしている。そんな中、戸塚はよくくらいついている。たまに拾えない時もあるがほとんどラケットに当てるなりしている。他のテニス部員もこの戸塚のがんばっている姿を見ればもっとやる気になるだろう。そんなことを考えていると戸塚が転んだ。みんなが戸塚に駆け寄る
由比ヶ浜 「さいちゃん大丈夫?」
戸塚 「大丈夫だから続けよう。」
戸塚の足を見ると膝をすりむいていて、それなりに血が出ていた。戸塚は続けると言っているが、これは消毒とかしたほうがいいだろうな。そう思っていると
雪ノ下 「まだ続けるの?」
戸塚 「うん。みんな付き合ってくれてるから」
雪ノ下 「そう。由比ヶ浜さんあと頼んだわ。」
そう言うなり雪ノ下はテニスコートから出て行ってしまった。
戸塚 「ぼく呆れられたのかな」
由比ヶ浜 「違うと思うよ。ゆきのんあれで意外と優しいから」
八幡 「救急箱でも取りに行ったんだろ。ちょうどいいし少し休憩するか」
戸塚 「うん。でもぼくもう少し練習したいんだ」
八幡 「それで悪化したら元も子もないぞ」
戸塚 「それでも練習したい。」
ここで無茶させるのはトレーナーとしてはだめだと思うんだが戸塚の練習が始まってから初めて見せたここまで強い意志に折れた
八幡 「わかった。ただし無理しないようにしろよ」
戸塚 「うん!」
それから練習を再開させようとするとテニスコートの外から俺の嫌いなリア充の声がした。
??? 「あ~テニスしてんじゃん!戸塚私たちも遊んでいい?」
急な侵略者の登場でめんどくさい展開になってきたことに俺は落胆を隠せなかった。