やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている 作:サラリーマン
ちょうど4444文字だ~!不っ吉~!
1月8日。今日はボーダー入隊式の日だ。俺たち比企谷隊はいつも通り嵐山隊の手伝いをしている。今は嵐山さんが入隊者向けて説明を行っていて、これからアタッカー・ガンナー組とスナイパー組に分かれるが、俺たちは既に分かれている。楓子さんはスナイパーの方に、めぐりさんはオペレーターの方に、俺と謡はアタッカー・ガンナーの方に分かれている。ちなみに陽乃さんは用事があるそうなので欠席だ。
「ん?あれは三雲か?」
体育館の端の方に三雲を見つけた。あいつは既に入隊しているはずだが何でいるんだろうか
「誰かお知り合いでいたのですか」
「ああ。あ、そういうことか」
三雲の近くには特徴的な白髪頭の空閑がいることから察するに、空閑の付き添いとかそこらだろう。
そうこうしてる間に入隊者たちは二手に分かれ、まずはスナイパー組が移動を始める。アタッカー・ガンナー組は正隊員への上がり方を説明され、とある三バカが目立っている。まああいつらは仮入隊期間にそれなりの実績を残して、ポイントが上乗せされているからな。目立って当然だろう。
一通りの説明が終わり、アタッカー・ガンナー組も移動を始め、俺と謡も最後尾をついていく。
「あ、比企谷先輩!それと…」
最後尾にいると少し前を歩いていた三雲と空閑がこっちに気付いた
「初めまして三雲さんと空閑さんですね。私は比企谷隊に所属している四埜宮謡と申します。」
「これはご丁寧にどうも。空閑遊真です。背は低いけど15歳です」
「えっと僕は三雲修です。よろしくお願いします」
おい三雲よ。なぜそんなに冷や汗をかいている。あれか?謡が明らかに自分よりも年下なのに言葉遣いがしっかりとしているところにか。俺も始めて謡と会った時はビビったわ。
「三雲さんは恰好から察するにB級なのですよね。今日はなぜここに?」
「あ、僕は空閑の付き添いと転属の手続きをしに来ました」
「転属?もしかして玉狛にでも行くのか?」
「あ、はい!」
迅さんはまた何か企んでいるのか?
「なあヒキガヤ先輩。俺なるべく早くB級に上がりたいんだけど何かいい方法ある?」
ふむ。早くBに上がる方法か。
「それは――「簡単よ。訓練で全部満点を取って、ランク戦で勝ち続ければいいわ」――木虎ェ」
俺のセリフを木虎に取られてしまった。これが一番簡単なんだけどさ、脳筋すぎない?けどその脳筋に空閑は惹かれたようで
「なるほど。わかりやすくていいね」
ネイバーは脳筋が多い(錯乱)
まず初めに到着したのは訓練室。ここでは対ネイバー戦闘訓練が行われる。仮想戦闘モードの部屋の中でボーダーの蓄積データから再現したネイバーと戦うというものがこの訓練の内容である。
「私の時もこれだったわ」
「僕も」
「私もなのです」
昔から一番最初の訓練はこれのようだ。部屋の中に通常より少し大きな出現する。これは仕様で攻撃力がない分耐久力を高めに設定しているのだ。
「さあ訓練を始めてくれ!」
嵐山さんの号令で順番に訓練室に入っていく。……うーん。しばらく見てるが三バカの中の一分切ったやつが空閑を除けば最速かな。そしてとうとう空閑の番になった。空閑が訓練室に入り訓練を始める
「んー圧倒的だな」
『記録0.6秒』
開始を同時に目まで飛んで一発か。正隊員でも訓練用トリガーだとあの記録が出せるかわからんな。三バカがいちゃもんをつけたようで空閑がもう一回訓練をするが今度の記録は0.4秒。さっきよりも縮んでいる。それから三バカは空閑をチームに誘うが空閑は三雲のチームに入ると言い、これをスルーした。その時新たなアナウンスが入る
『記録0.4秒』
は?空閑以外にこんな記録出せるやつがいんのかよ。そう思ってみてみると
「フラン?」
「フランさんなのです」
え?なんで?そういえば今日静かだったのはこうやって外で何かしてたからなの?
急いでフランのところに行くが、先に三バカが近づき空閑の時みたいにいちゃもんをつけたのか、フランは訓練室に入っていき間に合わなかった
『記録0,3秒』
フランが一秒縮めて出てきたがどうでもいい。捕まえた。
「おいフラン」
「あ、ハチ君!見てみて!この記…録!?ちょ痛い痛い!」
フランの頭をアイアンクローしながら嵐山さんのところに向かう。
「嵐山さん、ちょっとこいつ連れて行きますね」
「あ、おう。ほどほどにな」
嵐山さんの許可をもらいフランを廊下まで引きずって行く。
「何でお前がここにいる」
「えっと、サプライズ?」
「ギルティ」
「あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!」
頭を強くつかむ。到底女の子が出せないような声が出てきたが無視だ。
「その訓練用トリガーはどうやって入手した」
「忍田さんだよ。この前会った時にダメもとで頼んでみたら快く貸してくれた!」
忍田さん何してんすか…
「もしかしてファルはスナイパー組の方に行ってないよな?」
「…」
「ないよな!?」
「大丈夫だよハチ君。ファル君はたぬきのおじさんのところに行ってるから」
「たぬき?…あ、鬼怒田さんか。紛らわしい事すんな!」
フランの頭に軽くチョップする。
「確認なんだが本当にその訓練用トリガーは忍田さんから許可を得ているんだよな」
「うん」
「ならいい。戻るぞ」
「はーい」
戻ると訓練生はいなくなり、訓練室では三雲と風間さんが戦っていた。…Why?
「謡これどういう状況?」
「おかえりなさいなのですハチ兄フランさん。これは風間さんが三雲さんの実力を知るためにしてる模擬戦なのです」
「もっと詳しく頼む」
「風間さんは『迅の後輩の実力を確かめたい』って言ってましたよ、比企谷先輩」
「お、とりまるか、久しぶりだな」
「お久しぶりです」
風間さんは迅さんが風刃を手放してまで空閑を入隊させたことを言っているのか?だとしても何で三雲に?
「比企谷先輩も止めてください。もう18回も負け続けてるんです。もう見るに堪えません」
「オサムだってまけることはわかってる。オサムは先のことを考えて経験を積んでんだよ。」
「『ダメで元々』『負けも経験』いかにも三流が考えそうなことね。勝つつもりでやらなきゃ勝つための経験は積めないわ」
「「おぉ~」」
「さすが木虎さんなのです」
「まあいつ終わるかは始めた二人次第だからな」
「ちょうど終わったみたいですね」
風間さんは武器をしまい、三雲に背を向けていた。最後の何本かしか見てなかったが三雲の奴手も足も出てなかったな
「あれ?まだやるみたいだぞ?」
「何で…?もう十分負けたでしょ?」
「さあ?なんか話してたみたいだけど」
「あの子、ちょっと変わったね」
フランの言葉に俺もうなずく。三雲の表情がさっきまでとは打って変わっている。
『ラスト一戦開始!』
さっきまでと同じように風間さんはカメレオンで透明になる。
「考えたな三雲は」
訓練室に漂うのは三雲の撒いた超スローの散弾。透明なままじゃ風間さんはこれに対処できない。必然的に風間さんは風間さんはカメレオンを解除し、スコーピオンを出す。
「ただカメレオンがなくても風間さんは強いぞ修」
風間さんはスコーピオンで自分に当たりそうな散弾は斬っていく。三雲は左手にレイガストを構え、右手にはアステロイドを用意する。
「散弾で壁を作りアステロイドを当てるつもりでしょうか」
「たぶんな。ただ風間さんも狙いには気づいてると思うぞ」
たぶん、いや確実に風間さんは三雲の狙いに気付いてる。そして多分三雲も気づかれてることは分かってると思う。そのうえで三雲はどうするのか。
「スラスターオン!」
「ハチ君今のは?」
「レイガストのオプショントリガースラスターだ」
三雲は近づいてきた風間さんにシールドチャージを放つ。風間さんも予想してなかったのかそのまま三雲に押され壁まで追いつめられる。壁まで押し付けられた風間さんはスコーピオンを振るうも、三雲はレイガストのシールドを広げ風間さんを閉じ込める。そしてシールドの一部に穴をあけ、分割なし、たぶん射程弾速なし威力最大のアステロイドを叩きこんだ。
「まさか…勝ったの?」
「いや見てみろ」
『伝達系切断、三雲ダウン』
三雲の首にはスコーピオンが刺さっていた。
「惜しかったわね」
「何言ってんの?相討ちだよ」
「「「は?」」」
フランの言葉にほぼ全員が疑問符を浮かべる。そしてアステロイドを叩きつけた時の煙が晴れていくと、そこには体の半分くらいを失っている風間さんがいた。
『トリオン漏出過多、風間ダウン』
「まさか風間さんと引き分けるなんて」
「勝ってないけど大金星だな」
きっと大相撲であればたくさんの座布団が舞っていることだろう。
「どうでした?うちの三雲は」
戻ってきた風間さんにとりまるが話しかける。とりまるが師匠らしいしぜひとも弟子の評価を聞いておきたいんだろう
「はっきり言って弱いな。トリオンも身体能力もギリギリのレベル。迅が押すほどの才能は感じない…だが自身の弱さを自覚しそれゆえの発想と相手を読む頭がある。知恵と工夫を使う戦い方は嫌いじゃない。」
それだけ言うと風間さんは上の方から見ていた風間隊の二人と合流して帰っていった。
俺たちも先にラウンジで休憩してるやつらと合流するために向かおうとすると嵐山さんが慌てて三雲たちと呼び止めている
「三雲君大変だ。君たちのチームメイトが」
「え?」
詳しいことは聞いてないがスナイパー組の方にいる三雲たちのチームメイトが何かあったらしい。
「謡、俺は念のため三雲たちの方に着いていくが謡はどうする?」
「私は残るのです。」
「わかった」
三雲たちと走ってスナイパー組の方へ向かう。スナイパー組の訓練場に着くとそこには
「そうかそうか千佳ちゃんというのか」
太陽のような笑顔で少女の頭をなでている鬼怒田さんがいる。その後ろにはどうしていいのかわからないような感じで頬をかいているファルもいた。
とりあえずこの一連の騒動を知っていそうな人、楓子さんのところに行く。
「楓子さん今ってどういう状況なんです?」
「あの子があそこの壁の穴をあけたんですよ。アイビスで」
「まじっすか!」
見ると壁には穴が開いており、その穴の先に外の景色が広がっていた。
「ボーダーでもトップクラスのトリオン量ですね」
「そうですね。…そういえばそっちの方はもう終わったのですか」
「もうほとんど終わりました。あとは次の訓練の日付とかを確認するだけだったと思います」
「そうなんですね」
アタッカー・ガンナー組がもう終わりかけなことを聞いた楓子さんが東さんに合図を送ると、東さんは訓練の続きを説明する。そして終わり次第そのままスナイパー組も解散となった。
少女の方のエンブレム、そして三雲たちのチームメイトという発言から少女は玉狛の人間。後で確認を取るとトリオンの測定記録もないと言ってたし、きっと迅さんや林道さんはこいつらをど派手にデビューさせたかったのだろう。そこにどんな目的があったかは知らないがあの二人、特に迅さんは意味のないことはしない。きっとこれにも何かしらの意味があり、よりよい未来がこの先にあるのであればこの前みたいに暗躍するのもやぶさかではない。そう思った。
思ったんだけどさ、次会議やる予定なんだけどレプリカ先生お仕事なくね?