やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている 作:サラリーマン
ルミルミに出番を与えておくれ!
放課後を迎えるとすぐに俺は学校を飛び出し、小町の学校へ向かう。昼間は三浦たちに「小町ちゃんなら大丈夫だ。」と止められたが放課後なら俺がどこに行こうと関係ない。俺は全力で小町の中学に向かう。
で、学校に着いたがいいんだが、
「何やってんのお前」
校門前ではなぜか木虎の写真撮影会をやっていた。
「比企谷先輩!?これは違うんです!これは……その……仕方なく」
「あーみなまで言うな。あれだろ?アイドルにあこがれたとかそういうあれだろ?大丈夫だ。俺は分かってるから」
「違います!そういえば比企谷先輩は何を……ああ小町さんが心配だったんですね」
「おう。そういうお前は何でここに」
「違反者の見張りです」
「違反者?なんの?」
木虎が答える前に我が愛しい妹の声がした
「あ、お兄ちゃん。」
「おう小町。怪我無いか?」
「お兄ちゃん、心配しすぎだよ!トリオン体だったんだから怪我するわけないじゃん!」
「それもそうだな。ところで小町、隣にいる虫はなんだ?今ならお兄ちゃんが駆除してやるぞ」
川崎弟には強力な護衛がいたがこいつらにはいない!勝ったな!がはは!
「もうお兄ちゃん!三雲君たちはそんなんじゃないって!ただのお友達だよ。大志君と同じ霊長類ヒト科のお友達。」
やだ小町ちゃん辛辣!これは同じ男として同情を禁じ得ない。現にメガネは冷や汗が流れている。もう片方の白髪は何のことだがわからないって顔だ。それよりなんだこいつ。髪が白い。もしかしてアルビノって言われるやつか?
『ハチ君あの白い髪の子。戦えば強いよ。常の周りの警戒を怠ってない。』
『そっちの世界の住人か?』
『わからない。けどこっちの人だったらあれほどの警戒心は身に着かないと思う。だからたぶん彼はこっちで言うネイバーだ』
俺がフランたちと脳内で会話している間に木虎がメガネに向かって言う。
「やっと来たわね。確か……三雲君だったわね。私はボーダー本部所属嵐山隊、木虎藍。本部基地まで同行するわ」
……
「小町どういう事?」
「うーんとね、三雲君ってC級なんだけど、トリガー使って避難誘導のお手伝いや小町を助けてもらったんだよね。それで処分とか決めるために呼び出されててこれから向かう予定だったんだけど…藍さんが迎えに来るなんて思わなかった」
「そうか」
小町を助けてくれたことは感謝するがこいつ相当アホだろ。C級が無断でトリガーを使ったとなればたぶんクビになる。確かそれは入隊したときに言われているはずだ。
「比企谷先輩、小町さん。私はそろそろ三雲君を本部まで連行しますが、お二人は?」
「俺は特に本部に行く用事はないが……小町は?」
「お兄ちゃん、もしよかったら稽古つけてくれない?小町強くなりたい」
今日のことで悔しいことがあったのか表情はいつになく真剣だ。本部から一つ頼まれごとをされていて、それをしながら放課後を過ごすつもりだったが小町がこんな真剣なんだ。
「もちろんいいぞ。と言うことで俺たちも一緒に行くぞ」
「わかりました。では行きましょう」
こうして木虎を先頭に俺、小町、三雲、そして最初から三雲、小町と一緒に居た白髪頭の空閑と五人で本部に向かい始めた
***
……犬猿の仲ってこういうのを言うんだろうな
「精……鋭……?」
「何よその疑いの目は!?」
さっきから木虎と空閑がけんかしまくってる。木虎が三雲に抱いてる対抗心をことを空閑が指摘し、さっきからこの調子だ。
「そういえば比企谷先輩聞きたいことがあるんですけど」
「なんだ?」
二人のけんかに関わりたくないのか三雲が俺たちの方に来る。
「今日の警戒区域のネイバー……あれは何だったんですか?なんで警戒区域の外にネイバーが出てきたんですか?」
「あーまだ確認が取れたわけじゃないんだが、なんでもボーダー基地の誘導装置に引っかからないようにゲート発生装置を取り付けた小型の改造されたトリオン兵がいるらしい」
ユイの話ではその可能性があると。まだそいつを発見できていないから絶対とは言い切れないらしいが十中八九そいつと言うことらしい。
「と言うことはこの街はいつどこにネイバーが出現してもおかしくないってことですか!?」
「そういうことだな」
「なら早く対処しないと」
「そうだな」
そうそう簡単に見つかるもんじゃないと思っていたがやっぱり全然見つかんねえな。
その小型トリオン兵を見つけるために、何人かには街を歩くときに注意して見ろ、と言われている。俺もその一人なのだが、それを頼まれてから意識していろいろ歩いたりしているがそれらしいものは全然見つかんない。一匹さえ見つければあとはそいつを解析してレーダーを映るようになるからいいんだけど、その一匹を見つけんのがつらい。
『ハチ君!』
「ああ。なんとなくわかった」
今歩いている土手から川の方を見るとそこにゲートが開いた。
『緊急警報 緊急警報 門が市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください。繰り返します。市民の皆様は直ちに避難してください。』
ゲートから出てきたのは初めて見る空中を飛ぶ魚みたいなトリオン兵。
「ユイあれは?」
電話をするふりをしてユイに聞く。
「まずいですパパ!あれはイルガー、爆撃用のトリオン兵です!」
見るとそのイルガーとやらは街の上まで行くと爆弾みたいなものを落としていく。
「小町、木虎。奴は見ての通り爆撃型のトリオン兵だ。」
それからユイから情報を受け取りつつそれを二人に伝える
「奴は周回軌道で移動しつつ、爆撃する。さらにめんどいことにダメージを与えすぎると勝手に自爆モードに移行して、付近で最も巻き込める人間が多い場所に落下して自爆するらしい」
なぜか空閑が驚いた表情でこちらを見ている。なんに対しての驚きなんだ?まあいいや。
「これを踏まえてだ……小町、木虎二人は住民の避難救助に当たれ。奴は俺が担当する。いいか?」
「比企谷先輩、あのトリオン兵は私にやらせてくれませんか?お願いします」
木虎が俺に頭を下げて頼んでくる。頭を下げる前に見た木虎の目には俺が許可するまで絶対に引かないという意思が見えた。
「だが断る」
「な……なぜですか!?」
「もし木虎が何の力も持たない一般人だった場合、あの魚が空飛んでるの見てどうだ?不安に思うだろうが。それに木虎じゃ決め手に欠ける」
木虎のトリガーセットとトリオン量では徐々に削っていかないととどめはさせないだろう。ダメージを与えすぎると自爆すると分かっていてもその自爆するラインが分かっていない以上、一撃で確実に屠ることのできる俺のメタトロンの方が絶対に良い。
木虎はしぶしぶ頷いてくれた。
「あ、あの!ぼくはどうすれば」
「……お前は避難していろ、って言いたいが状況が状況だ。責任は俺が取るからお前もトリガー使って避難を手伝え。」
「はい!」
「比企谷先輩、いいんですか?」
「今は猫の手も借りたい状況だし、それに一回も二回も変わらんだろ」
隊務規定違反を一回した時点でもう鬼怒田さんとかはクビだなんだと言い出すだろうからな。
「質問なけりゃあそろそろやるぞ。空閑はしっかりと避難しておけよ」
空閑は三雲と一言二言言葉を交わすと、黒い豆粒みたいなものを渡してその場を離れていった。
「メタトロン起動」
さて俺も行きますか
***
「ここからならよく見えるな」
さっきの場所から離れた土手に立った空閑は今川の上を飛んでいるイルガーを見ながら言った。
なぜ空閑が避難せずに土手にいるのか、その理由は三雲に言われたからだ。
~~~
『空閑は比企谷先輩についてくれないか?先輩たちの会話を聞くにたぶん先輩たちも初めて見るトリオン兵だ。比企谷先輩は何か策があるみたいだったけど手に負えないかもしれない。その時はばれないように手を貸してほしい』
『え~~~オサムは分かってないかもしれないけどヒキガヤ先輩はすごい強いよ』
『それでもだ。頼む』
『やれやれ。オサムは自分はむってぽうに突撃する癖に面倒見の鬼だな。レプリカ』
『心得た』
レプリカから小型のレプリカが分裂する。
『持っていけオサム。私の分身だ。私を介してユーマとやり取りできる』
『困ったときはすぐ呼べよ』
『ありがとう空閑、レプリカ』
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「レプリカ。ヒキガヤ先輩は自爆モードになる前に倒せると思うか?」
「玄界のトリガーはヒキガヤやキリガヤが使ったものしか見ていないが、あれだけならば難しいだろうな」
「俺もそう思う。となると、本当に俺たちの出番があるかもな」
「ユーマ。あれを」
「ヒキガヤ先輩?空……飛んでる」
八幡はイルガーと同じ高さまで飛ぶと手を振り上げ水平に手を振った。
「嘘だろ」
自爆モードほどじゃないにせよ分厚い装甲があるおかげでそこそこ硬いイルガーがいとも簡単に一瞬で消えていなくなった。
その光景に空閑もレプリカも驚きを隠せない。
「レプリカ、あれがどんな攻撃だったか分かるか?」
「すまないユーマ。レーザーみたいな攻撃だとは思うがそれ以上は分からない」
「いや、気にするな。それより俺たちも街の方に行こう。ヒキガヤ先輩に見つかるとめんどくさそうだからな」
「そうだな」
そうして空閑とレプリカは街の方へと向かった。
***
「ハチ君!ビルを曲がったところに閉じ込められている人がいるよ!」
「ハチこっちにも!」
イルガーを倒した俺はすぐに住民の救助に向かった。
一般人の前だと三雲がやったようにボーダーの服の方がいいので、メタトロンを解除してボーダーのトリガーを起動すると、それと同時にフランとファルが実体化し、救助を手伝ってもらうことになった。
「わかったすぐに行く!すいません。敵は倒しましたが念のため避難所に避難をお願いします」
いま助けた人にそう言うと急いでファルの方に向かう。ここら辺の人はもうほぼ助けたし、フランとファルのところで最後のはずだ。
先に近いファルのところにたどり着くと状況を確認。
「ファル、そっち持ってくれ。一気に行くぞ!せーの!」
ファルに協力してもらいながら脱出するのに邪魔ながれきなどをどかす。
「敵は倒しましたが一応避難所に避難をお願いします。」
さっきと同じく助けた人にそう言うと、今度はファルと一緒にビルの角を曲がった先にいるフランの下を目指す。
「フラン!こっちの状況は?」
角を曲がりながらフランに尋ねる。
「あ、ハチ君。こっちはもう大丈夫だよ。小町ちゃんたちが来てくれたからね」
フランの場所までたどり着くと、すでに小町に三雲、木虎に避難しているはずの空閑も到着していて救助が終わっていた。
「お兄ちゃん!フランさんたちがいるなんて聞いてないよ!」
「俺も救助してる時に知ったんだよ。なんかちょうどここら辺にいたらしいな」
「うん驚いたよ。フランとここらへんで買い物してたら急にゲートが開いたからね。」
なんか最近こうやって平然と嘘つくことが増えてきたな。……今俺に嘘に空閑がなんか反応した?そんな気がする。
「あの比企谷先輩、この人たちは?」
「ああ、俺のちょっとした知り合いだよ。それより救助終わったし本部行こうぜ。この件に関しての報告書書かないとだし」
「……そうですね。行きましょうか」
たくさん嘘ついてそのどこからぼろが出るのかわからないし、あまりフランとファルについて詮索されないように話を変える。
「フラン、ファル気を付けて帰れよ」
「じゃねハチ君、小町ちゃん」
「また今度ハチ、小町ちゃん」
「おう」
「サヨナラです!フランさんファルさん!」
一回フランとファルとは別れるが誰もいなくなったところで二人は実体化を解き、メタトロンの中に帰ってくることになっている。
そういえば空閑はいつまでついてくる気なんだ?
結局。一般人がギリギリ行ける本部に行くための連絡通路までついてきましたとさ。