インフィニット・ストラトス ~力穢れなく、道険し~   作:鳳慧罵亜

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お久しぶりです

PCが故障しまして、しばらく更新ができませんでした。申し訳ありません
新しいPCがようやく届いたので、更新を再開させていただきます。

HDD残しておいてよかったー。原稿が消えずに済んだ。


再開は新たな舞台へと

どれくらい時間がたっただろうか、徐々に意識がはっきりしてきた。体の感覚も戻ってきたことから、とりあえず五体満足なのはわかる。

 

だが、目を開けるのが億劫だった。

意識が戻ってくると同時進行で、吐き気と頭痛が襲ってきた。おそらく、あの時撃たれた弾は、麻酔弾だったのだろう。多分、吐き気と頭痛のひどさからして、手術に使われる吸入麻酔、」そrもエーテルを致死量ギリギリで撃ち込まれたようだ。ひどいことしやがる。

それ以前に、自身の背中の感触からして、倒れているのはわかる。だが、首から上、が背中の位置よりも高いのだ。

おそらく枕のようなものが頭の下に敷いてあるのだろう。だが、枕にしてはやけに暖かい。

 

はっきり言えば、嫌な予感しかしない。

 

だが、何時までも、寝たふりをすれば、何がおきるかわかったものではない。特に男としての尊厳にかかわる問題がおきるのだけは避けたい。俺だって健全な16歳男子だ。……笑って人を殺せることを除けば。

 

意を決して、目を開いた。

 

「あ、起きたのね♪」

 

「……」

 

目を開いたら、見覚えのある女性が、顔をのぞかせた。というより、顔より近い位置に、なにやら双丘が……いや、位置から見て胸だろう。そして、顔の位置と、自身の頭の位置、感触を察するに、

膝枕をされているのだろう。普通なら、喜ぶべき状態なのだろうが、どうも最近一般社会から離れてきていたようだ。

それとも、目の前のコイツがそう思わせるのか。どうにも喜べない。

そして俺の脳は、この光景を幻と判断。幻から脱出するためにまぶたを閉じる。

幻からさめますようにと、一言、心の中でつぶやいた後、もう一度目をあける。

 

「……どうしたの?」

 

「……」

 

結果は変わらず。俺は膝枕をされたままだった。

 

無言のまま俺は飛び起きた。床、どうやら畳の様だ。手を付き、足で弧を描くように廻し蹴りを入れる。だが、標的の首筋を狙ったそれは直撃することなく彼女の眼前を通過した。どうやら当たる寸前で避けた様だ

 

「わっ!危な!!」

 

「ちっ」

 

外れた廻し蹴りの反動を利用し、体をバク転の要領で後ろへ下がり、体勢を直す。目の前の女性は、頬を膨らませ、抗議するように言った。

 

「久しぶりの再会で、最初にやることがそれなの?お姉さん傷ついちゃうわ~」

 

扇子を開き、口元に当てて、およよと泣き崩れる真似をする女性。扇子には『哀愁』と非常に達筆な文字で、書かれていた。

それを見た蘇摩は、深いため息を漏らす。

 

「吸入麻酔のエーテルを致死量ギリギリで、直に撃ち込んだ奴が何を言う。正直、今も吐き気と頭痛がひどいんだぞ」

 

「あら♪。それは蘇摩が、逃げようとするから、ついうっかりお姉さん麻酔の量を間違えちゃったのよ♪御免なさい」

 

……なんだろう、昔のコイツは悪戯好きだったが、こんな人たらしみたいな奴ではなかったはずだ。人は4年の歳月でこうも変わるのか

……いや、こいつの場合は酷くなっているのか。

 

「それで、俺に何の用すか、17代目更識楯無」

 

「ひどい!昔みたいに名前で呼んでよ!」

 

楯無の言葉をスルーし、話を先に進めるように促す。彼女はスルーされたことに頬を膨らましながら、こういった。

 

「むー。昔より反応が薄いけどまあいいわ、とりあえず依頼内容を告げるわね」

 

その内容は、要約すれば世界初のIS男性操縦者、織斑一夏の護衛というものだ。だが、今ひとつ蘇摩は要領を得なかった。

ISは女性しか操れない。その織斑一夏は、例外としても、その前提にほぼ狂いはないのだ。だったら、ランク9の俺じゃなくて、ランク1のイツァムに頼んだほうがいいのでは?そうたずねたら、彼女の返答はこうだった。

 

「あら、私が知らないとでも思ってるの?蘇摩。『貴方も』ISを扱えるのは知ってるのよ?だから貴方を呼んだんだから。

ねえ、『白い閃光』」

 

『白い閃光』。それは、そっちの分野の人間なら、最低2桁は聞く単語だ。俺の仕事振りからそうなっているらしい。

なんでも、水を弾く白いエナメルの防弾コートを羽織り、刀一本で戦場を駆け巡り、敵を惨殺していく。そして、エナメルのコートが返り血を弾き、その白さを損なわないことと、機銃掃射すら、当たらない速度から、敵味方ともに、そう呼ばれているらしい。俺は、あのコートは気に入ってるからな。

 

「……よくわかったな。ARKの連中すら、知ってるのはジャックとイツァム、ロスヴァイセくらいだってのに」

 

「あら、イツァムに聞いたら簡単に話してくれたわ♪彼女、私と仲いいから♪」

 

「……くすぐり地獄か」

 

そう、俺もIS扱える。知ったのは、今年に入ってから。丁度織斑一夏が、ニュースに出た直後のことだった。

 

ある組織と殺り合っていた途中、突然身に着けている、グローブが輝き、それがISになったのだ。

それがISだとは知らなかったし、何故俺がISを扱えるのかはわからない。だが、おれはISを扱える。

その事実があっただけだ。理由など知りたくもないし、知る必要も無い。

 

ちなみに目の前の人たらし(17代目更識楯無)は、お得意のくすぐり地獄で、イツァムを拷問したらしい。

イツァムが最近げっそりした時期があったが、そういうことだったか。

なぜニュースにならなかったのは、至って単純。情報統制だ。RAVENとは、いつだって世界の裏で、世界を回す大きな歯車になってきた。昔も、これからも。

 

「はあ、任務了解。だが、方法は此方の好きにさせてもらう。その途中、其方にとって不利益なことが会っても当方は責任は負わない。だが―――」

 

「受けた任務は必ず遂行する―――。RAVENの常用文句よね♪」

 

扇子を広げた楯無が笑った。扇子には『先回り』と書かれている。

 

「ああ、そのとおり。でだ、1つ要望がある」

 

「なにかしら?」

 

「腹が減った。一昨日から軍用レーション一個しか食べてないんだ」

 

傭兵稼業は辛いぜ。ん?莫大な報酬?あんな紛争地帯にろくな食い物があったら、うちのランカーがぞろぞろやってきて今頃あのエリアは、既に紛争じゃなくて、何もかも終わってるか、思いっきし戦争状態のどちらかだな。

 




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