ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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ホグワーツ

 機関車は長い時間を経て、目的地へと着いた。そこは薄暗く、駅の点々とした灯りが唯一駅を照らしている。

 機関車に乗っていた新入生らしい人達は学校が待ちきれないのか我先にと機関車を降りていく。

 

 灯葉は客室でその様子を見ている。特に額に傷がある少年の背中を。少年は灯葉が見ている事に気づかずに周りと同様に浮かれている。灯葉はじっと見て呟く。

 

「ハリー・ポッター。特別な力は感じない。けど、ハリー・ポッターに何か保護がかかっている。神の保護と比べたら全然だけど、強力そう。一体なんの保護?」

 

 灯葉は新入生の身長を1つ飛び出た大男に連れていかれるまでハリーをじっと見ていた。

 新入生が駅から居なくなった後、灯葉はやっと降りた。灯葉は駅の灯りに照らされてポツンと一人で立つ。目を瞑りながら。

 

「へぇ。あれがホグワーツ魔法学校か」

 

 灯葉は笑みを浮かべ言う。

 

「さぁ、貴方の秘密を暴こう。ハリー・ポッター」

 

 

 

 一方、ハリーは船に乗りながら、ホグワーツ魔法学校を見ていた。ホグワーツ魔法学校は中世の城を想像させる外見だ。新入生達も言葉を忘れてたかのようにただホグワーツを見ている。

 

 そんな中、ハグリットは何か気になるのか、空を見上げる。

 

「ん。あっりゃなんだ?あの鳥、ここにはいないはずなんだが?」

 

 ハグリットは手を額に乗せて、鳥を観察する。鳥はハグリットの船の速さに合わせるかのように飛んでいた。しかし、鳥は急にUターンして何処かへと行ってしまう。まるでハグリットに気付かれた事を感じ取ったかのように。

 

 ハグリットは首を傾げながらも、校長にいち早くハリーを連れていく為、船をホグワーツへと漕いでいく。

 逆に鳥は城と距離を離していき、ある少女に向かって降りていく。鳥は少女の手の甲に降りていく。その動きはロボットのように滑らかな動きだ。

 

「此処でも式神は使える。ありがとう。如月」

 

 鳥は少女の言葉に返答するかのように一鳴きし、鳥が煙に包まれ、煙から紙がゆっくりと少女の足元に落ちていく。少女は紙を拾い、懐へとしまった。

 

 その時、駅の灯りの下に髭を立派に蓄え、髪が背中まで延びている爺さんが少女に声をかける。少女はこの駅にいるのは一人だと思っていたらしく、声を掛けられた瞬間、肩が震える。

 

「ホッホッホ。ホグワーツを見た感想はどうかの?」

「……流石ですね。気づいていたんですね」

「いやいや。その若さで変身術みたいな魔法を使えるとは恐れ入った」

「では改めて、宜しくお願い致します。ダンブルドア校長」

「ようこそ。ホグワーツへ。ミス トウハ・アベ。さて、話は山程あるが、まずは急ごうかの」

 

 ダンブルドア校長と灯葉はホグワーツへと向かった。

 

 

 

 

 ホグワーツへと着いた灯葉は新入生達とは別の所にいた。なぜなら、ダンブルドア校長が言うにはサプライズで留学生が来ることを発表するらしい。登場の仕方は任せるという内容だった。

 

 それを聞いた灯葉はなんとも言えない顔をしていた。灯葉は紙を取り出してその紙を睨んでいた。

 

「式神がバレましたか。初めての海外だし、使役して探りたかったけど、ダンブルドアの所ではバレるのがオチですね」

 

 睨んでいた紙をしまい、ため息を吐く。そして、先程から拍手の音が止まない扉を見つめる。それと随分と年季が入った声が響きわたる。

 

「スリザリン!」

「レイブンクロー!」

「ハッフルパフ!」

「グリフィンドール」

 

 4つの名前が灯葉の耳に何度も入る。どうやら、この4つが寮らしい。この4つの名前を何度も聞かされたら分かるだろう。

 

 いよいよ、拍手の音が小さくなると、安部灯葉の元にマクゴガナル先生が近づく。

 

「ミス トウハ・アベ。そろそろです。準備はよろしいですか?扉の前で待機してください。出番となったら扉が開きますので」

 

 言い終わるとマクゴガナル先生は拍手が鳴る扉の方へと行ってしまった。

 

 「さて、出番は派手の方が良いよね」

 

 灯葉は紙を懐から出して、扉を見つめた。

 

 

 

 

 

 灯葉の見つめる扉の先には4つのどこまでも伸びてそうな流そうなテーブルがある。

そこには先ほど安倍が聞いていた寮の人達が座っていた。そこには新入生らしき人達も座っている。

騒がしい雰囲気に包まれそうな瞬間、ダンブルドアは立ち上がり、年を取ってるとは思えないほどの大広間に広がる声を出す。

 

「さて、騒がしくなる前に言っときたい事が2つある。1つは4階には立ち入り禁止じゃ。立ち入った者は死より恐ろしい物が待ち受けておる。さて、次は嬉しいニュースじゃ。日本、マホウトコロから留学生が来ておる。留学生は先ほどと同様に組み分け帽子で入る寮を決める」

 

 ダンブルドアの最後の一言で各寮は周りの人達と喋りだし、騒がしくなる。そんな中、ハリーとロン、ハーマイオニーは列車の中で会っている灯葉を思い出したのか、はっとした顔をしていた。

 

「さて、マホウトコロの留学生 ミス トウハ・アベじゃ」

 

 ダンブルドアの言葉が終わった後、自動的にドアが開く。

 

 ドアの向こうには青色のローブを着た灯葉がいる。青いローブの下にはホグワーツではみた事のなさそうな服を着ていて、灯葉の手には足から肩くらいまでの長い杖を持っており、杖の頭部は輪形となっており、それには鉄の輪が複数通っている。

 

 ホグワーツの男性達は灯葉の外見とローブの下に着ている服を見て、好意の目を向ける。女性達は杖の方を見て、興味の目、またはホグワーツの男性達を見て、呆れてしまっている。

 

 ドアを完全に開く。灯葉は杖を地につけ、鉄と鉄がぶつかり合う音を鳴らす。その瞬間、灯葉の左右から青い炎が現れ、ある一定の距離を保って点々と古い帽子の前まで現れる。まるで青い炎が道を作っているかのように。

 

 灯葉は再度、杖を鳴らす。すると天井の蝋燭が青い炎に包まれていく。青い炎が消えた後、蝋燭の火は消えていた。灯りは道となっている青い炎だけだ。

 

 ホグワーツの生徒はその光景に騒ごうとするが、灯葉はその騒ぎを無視するかのように古い帽子に向かって、炎の道を歩く。青い炎は灯葉を照らす。灯葉の杖は灯葉が歩く度、鉄と鉄がぶつかり合う音が大広間に響きわたる。その音は一定に鳴っている。

 

 また、灯葉の黒曜石のように輝いている髪は青い炎に照らされて、際立っている。また堂々とした歩きでホグワーツの生徒達はまるで歩きを邪魔しないようにと騒ぎは段々と収まっていく。

 

 灯葉は古い帽子の前に立つと、青い炎は消えていく。その代わり、天井の蝋燭は再び紅い火をつく。灯葉は振り返り、一礼し、挨拶を述べる。

 

「ホグワーツの皆様。これからよろしくお願い致します。灯葉 安倍です」

 

 そのお辞儀に答える者はいなかった。皆、唖然としている。ただし、その背中を半月型の眼鏡を通して、注意深く見ている者が一人いるだけだ。

 

 

 

  

 

 

 

 

 




主人公の寮は次話で

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