ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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夢 前編

 ハリー達が蜘蛛を追いかけている頃、石をされた灯葉の元にハーマイオニーはいた。

 ハーマイオニーは心配そうに灯葉を見ている。

 

 「大丈夫。もうすぐで薬が出来るから。それにしても、石になったら、夢を見るのかしら・・・」

 

 ハーマイオニーはそう言い残し、寮へと戻る。はハーマイオニーがいなくなり、静まり返った病室。そんな疑問に答えるかのように灯葉は夢を見ていた。

 灯葉がイギリスに来る前の前日の事を・・・・・

 

 

 

 

 

 

 誰もこんな道を通らないだろう。通ってもそこには何にもないと思われる細道を灯葉は通る。

 道の奥には幾重にも続く石の階段。石の階段は泡雪のように白い灰が積もっている。灯葉はまるで跡をつけるかのように灰を踏みつけ、階段を登っていく。

 

 階段を登りきった灯葉の前には、自分の背よりもはるかにも大きい門。

 門は灯葉を待っていたかのように木が軋む音を立てながら、開いていく。

 門の先には大きな武家屋敷。武家屋敷は空から降り続ける白い灰で白く染まっていた。灯葉はそれを気にしていない。まっずくと武家屋敷に入っていく。

 武家屋敷は誰もいないのか、音は鳴らない。静寂のみだ。

 灯葉は廊下の奥を目指していく。廊下の奥は大きな部屋がある。奥には上段の間がある。上段の間には2つの布団があり、2人の人物が呻き声を漏らして、寝ていた。灯葉は正座し、その2人と対面する。

「ただいま帰りました。母上。父上」

 

 しかし、返答は2人の呻き声。

 灯葉は立ち上がって、上段の間に入る。

 

「お変わりないようで安心しました」

 

 灯葉は2人の顔色を見て、安堵したかのように言う。だが、2人の顔は包帯で巻かれていて、顔色などとてもではないが見えない。それでも、2人の顔が見えていた。

 灯葉は包帯を用意して、2人の包帯を変える為、包帯を剥がしていく。剥がしていく度に鼻につく匂い、脂肪が燃えた匂いが襲いかかるが、顔色一つ変えずに包帯を変えていく。

 包帯を変えた灯葉は古い包帯を捨てるべく、部屋から出て、長い廊下を歩いていく。歩く度に木が軋む音がする。今、武家屋敷に響く音はこの音だけだ。

 しかし、その音を邪魔するように別の音が鳴り響く。その音に灯葉は立ち止まる。立ち止まった事を気付いたのか、音はさらに響く。鉄が床に引き摺られる音。

  

 

 灯葉は音が鳴る方向へ歩く。暗く、入り口か見えない地下の階段へと。

 そこに待っていたのは鉄格子の部屋。鉄には錆がなく、地下に備え付けていた蝋燭の光を反射させ、部屋を薄く照らす。

 灯葉は皿ごと蝋燭を持ち、部屋へと入る。蝋燭で、部屋が明るくなり、部屋の全容が明らかになる。

 そこにいたのは少女だった。少女は一度も切っていないのか、自分の体を覆い隠すのかのような白い髪、髪の奥からはずり落ちそうな布を着ていた。さらに少女の四肢は枷ではめられていた。それぞれの枷から長い鎖を伸びており、壁に繋がっている。

 白い髪の隙間から眼球が動き、安倍灯葉を睨みつける。その睨みは人が殺せそうな鋭さを持っていた。

 

「貴方も変わりなさそうで」

 

 灯葉は肉親と会話した時のように安堵していると、白い髪の少女は体を動かし、灯葉に襲い掛かろうとするが、鎖が床に撥ねて、音を鳴らすだけだ。白い髪の少女は喉から老婆のような枯れた声で言葉を発する。

 

「ゴロ・・・・す。おま・・・も。ぜ・・ん・・いん コロ・・ス」

「慌てないで。私は貴方を愛しています。愛しいほどに」

 

 灯葉は白い髪をどけて、頬に触れる。白い髪の少女は一瞬だが体を震えてた。

 

「だって、私達は姉妹なんだから。お姉様」

 

 蝋燭に照らされた2人の顔は瓜二つ。

 違うのは蝋燭に照らされた黒く輝く髪、対して、白く輝く髪だけだった。

 

 

 

 


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