ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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決闘クラブ

 コリン・クリービーが石となり、生徒達は更に不安が高まる。それを感じったのか、数日後、ロックハートが決闘クラブを開く。決闘クラブには多くの生徒達が集まる。その中には勿論、安倍灯葉、ハリーもいる。

 

 ロックハートは集まる生徒達に声をかける。

 

「皆さん。私の声が聞こえますか?最近物騒な事件が続いているので、校長からお許しを得て、決闘クラブを開くことにしました。万が一の為に自分で守れるようにね。ご紹介致しましょう!私の助手、スネイプ先生です!」

 

 ロックハートに呼ばれてスネイプは生徒達の前に立つ。顔は不機嫌そうに見える。

 

「模範演技のために、勇敢にもお手伝いしてくれます。ご心配めさるな!魔法薬の先生は消しませんから!」

 

 スネイプは眉をしかめ、目を更に細くし、怒りを露わにする。

 それを感じ取れないロックハートは模擬演技を始める。

 模擬演技とは杖を構え、後ろへ下がりながら3つ数え、術をかけるという内容で、ロックハートとスネイプは生徒達の前でやることになる。

 

「一、ニ、三」

 

 そのかけ声の後、スネイプとロックハートは杖を相手の方に素早く向けるが、スネイプの方が早く、呪文を唱える。

 

―エクスペリアームズ 武器よ去れ!―

 

 その呪文でロックハートは後方へと飛ばされる。飛ばされた勢いでロックハートは嗚咽を吐いてしまう。しかし、ロックハートは復活が早く、生徒達に笑いながら、立ち上がり、訳を並べて、わざと負けたという事を伝える。その言い訳にスネイプだけは鼻で笑っていた。

 

「では、皆さん ペアを組んでください」

 

 生徒達はそれぞれペアを組む。

 ハリーはロンと組もうとするが、それよりも早くスネイプがハリーの所へと来る。

 

「ウィーズリーは今回見学だ。その杖では惨事を起こしてしまうではないのか」

「けど、それではロンが」

「なんだ?ケガしたいのか?ロックハート教授はどう思いますかね?」

「ああ、そうだね。申し訳ないが、ウィーズリーは見学でお願いしますよ。余計なケガはさせたくありませんから」

 

 ロンはスネイプの言葉に反論出来ずにいたが、ハリーは反論しようとしたが、ロックハートがスネイプの言葉に乗っかり、ロンは見学となる。

 

「マルフォイはいるか」

 

 マルフォイはスネイプの言葉を待っていたかのように素早くスネイプの隣に立つ。

 

「ポッター。始めようか」

 

 マルフォイはハリーを連れて、他のペアの所へと行く。スネイプはハリーを見届けた後、安倍灯葉を見る。

 

 

「さて、アベはペアを組めたのかね?」

「いいえ、私はまだです」

「どうやら、貴様が最後の一人のようだな。しょうがない。吾輩が相手してしよう」

 

 スネイプの言葉にロックハートは食いつく。

 

「スネイプ先生。生徒と先生では実力が違いすぎる」

「心配するではない。生徒を消しやしない。それよりも戦闘準備してない生徒を襲ったアベの方が危険ではないのか。吾輩が進んで罰を与えようではないか」

 

 スネイプの言葉の言う通り、先日、灯葉はマルフォイに呪文を唱え、マルフォイをビジョ濡れにしてしまった。

 その件もあり、スリザリンの生徒達は喧嘩を売られた事になっており、安倍を目の敵にしている。隙あればちょっかいをかけていたが、無視され、糠に釘の状態だった。

 しかし、今回はスネイプが罰を与えるという事となり、ちょっかいをかけていたスリザリンの生徒達は顔をにやけ、スネイプによって無残な姿になる灯葉を想像している。

 

「いいですよ。確かにあの件は私が悪いですし。それに先生と戦える機会なんて滅多にないですし」

「・・・なら、いいのですが。では皆さん。先ほどの通り、杖を構えて、行きますよ!」

 

 ロックハートは本人が同意しているので強く言い出せず、模擬決闘を始めようとする。

 

「1・・・・2・・・・3」

 

 

 ロックハートの言葉の後、一斉に生徒達は呪文を唱える。

 

―エクスペリアームズ 武器よ去れ!―

 

 しかし、ある組、ハリーとドラコだけは違った呪文を唱え、ハリーは体を回転しながら、吹っ飛ばされてしまう。

 それを見ていた灯葉は

 

「何をやっているんでしょうかね」

 

―エクスペリアームズ 武器よ去れ!―

 

 スネイプはハリー達を見ていた灯葉に向けて呪文を唱える。その呪文の速度は生徒の呪文よりさらに速く、横を見ていた灯葉には対応出来ない。

 スネイプはそう思っていた。

 

 ふん。他愛もない。目の前にいる敵に無視して、他に意識を向けるとは。

 

 スネイプは目の前の光景を見ながら、ダンブルドア校長との会話を思い出していた。

 

 

 

 

「吾輩がアベを見極めるのですか?」

「ああ。そうじゃ。まだアベは実力を出しておらん。セブルス。実力を見極めてくれんか」

「だがどうやって?」

「ああ。そこでだ。この決闘クラブを許可するとしよう。そこでやってくれないか」

「御意・・・」

 

 

 

 スネイプはダンブルドアの思惑通りに安倍灯葉と対決した。しかし、結果はあっけない。

 

 ただの興味本位がある子供か・・・・・。

 

 興味本位がある子供、灯葉に武装解除呪文が襲い掛かる。武装解除呪文は灯葉から錫杖を吹き飛ばそうとする。

 しかし、呪文と灯葉の間に何かが飛び出し、灯葉を護ろうとする。その何かは一枚の紙だった。紙は呪文を自分の身で受けて、塵となり、灯葉には当たらない。

 

「そんなに慌てなくても、勝負しますよ」

 

 灯葉は錫杖を鳴らす。

 鳴らすと灯葉の袖から複数の紙が飛び出す。紙は一瞬にて鶴の形となり、紙の羽を動かしながら一直線にスネイプに襲い掛かる。

 

―急急如律令―

 

「甘い」

 

―インセンディオ―

 

 襲い掛かる紙にスネイプは炎上呪文で対応する。呪文が当たった鳥の紙は燃えあがり、一生懸命に羽を動かしているが、燃えるのが早く、スネイプにたどり着く前に塵となる。

 灯葉は続いて、錫杖を鳴らす。

 

―杖を引け 袖引き小僧 驚かせろ―

 

 スネイプの先生の杖が灯葉の方向へと引っ張られる。しかし、スネイプは対抗して、呪文を唱える。

 

ーステューピファイ 麻痺せよー

 

 呪文は灯葉の意識を刈り取るべく、先ほどの呪文よりも早い速度で襲い掛かる。

 しかし、またもや、灯葉を護るように紙が呪文の前に現れ、塵となる。

 

「この紙は私の身が危ない時に護るようにしてるのですが、私を消すつもりですか?」

「消してないのだから、問題なかろう」

「この紙決して安くないんですよ」

 

 灯葉は笑い、小言で「あと数枚しかありませんか」と呟き、錫杖を構える。

 スネイプは杖を構え、お互い呪文を唱えようとする。この戦闘を見ていた生徒達はこれで決まると予想し、目の前の光景に釘付けとなる。

 

 しかし、どこからか生徒の悲鳴でスネイプと灯葉は悲鳴の方向を見る。悲鳴の先には蛇がいる。蛇は怯えて逃げようとしない生徒を睨み、噛みつこうとしている。

 

―???????―

 

 ハリーから出た人間が理解できない言葉を発していた。しかし、言葉は蛇だけが理解できたようで蛇はハリーを見つめる。

 周りの人はハリーと蛇を見て、怯えや恐怖の表情を浮かんでいた。

 スネイプも驚きの表情を浮かべていたが、一瞬にして、真面目な顔をし、蛇に向かって呪文を唱える。呪文は蛇を消す。

 

 蛇を消した後の決闘クラブは、和やかな雰囲気を消えて、ただ灯葉を除く全員がハリーを恐怖、困惑の目でみていた。

 

 

 

 


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