ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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いつも通りの風景

 壁に書かれた文字で起きた騒ぎはダンブルドア校長によって一旦静まり、生徒達はそれぞれの寮へと帰っていた。

ただ、被害者である猫、ミセス・ノリスの飼い主であるフィルチはハリーがこの騒ぎを起こしたのではないかと思い込んでいる。

そのせいか、フィルチは寮へと帰っていくハリーの背中を睨んでいた。

 ハリーはその睨みに気づいていたが、今はそれ所ではない。

 

 ハリーは気になってしょうがなかった。

 壁に書かれた文字をじっと見ていた灯葉の顔を。

 壁の文字を興味深そうに見ている茶色の瞳。そして、少しだけだが口角を上げて、嬉しそうな表情をしていた事を。

 

 「何か恐ろしい事が起きるはず。けどなんでトウハは嬉しそうにするんだ・・」

 

 ハリーは壁の文字よりも灯葉の様子が気になり、眠れなかった。

 

 

 

 

 あれから、数日の大広間。

 生徒達はハロウィーンの事で話している。ある者は不安で仕方ない様子。また、ある者は不安がっている人を優越に浸りながら見ていた。

 グリフィンドールも然り。特にネビルは目の下にクマが出来ている。

 ハリーはネビルを心配に

 

「ネビル 大丈夫?」

「うん。大丈夫だけど、ハリーもすごいクマだよ」

「ああ、大丈夫」

 

 ハリーはこの数日間眠らず、ネビルと同様にクマが出来ている。

 ハリーはゴシゴシと目を擦り、目を覚まそうとする。しかし、まだ眠たいのか、瞼が開こうとしない。

その時、ハーマイオニーがイラついて、叫ぶ。その叫びでハリーは目を覚ます。

 

 

「ああ、もう!ホグワーツの歴史が二週間も返って来ないわ!それなら家から持ってくるんだったわ」

「ホグワーツの歴史?」

「そうよ。もしかして、本に秘密の部屋が書いてあるかもしれないのに。ああ、もう思い出せない」

 

ハーマイオニーはそのイラつきを机にぶつける。その衝撃で皿が浮き、鈍い金属音が響き渡る。ハーマイオニーの近くにいた灯葉は予期していたのか、皿を持って食事をしていた。

 

「まぁ、焦らなくてもじきに返ってきますよ」

「それじゃ遅いのよ!」

「そうですか」

 

 灯葉はハーマイオニーを宥めようとするが、失敗に終わる。失敗に終わった灯葉は食事を再開する。ハーマイオニーは食事を早めに終わらし、大広間から出る。方角からして、図書館の方に向かっているようだ。

 

 灯葉がいつものんびりとした言葉を吐く。それをハーマイオニーは突っ込む。いつも通りの光景。何も変わらないじゃないか。

 きっと笑っていたのは気のせいに違いない。

 

 ハリーは目覚めのコーヒーと一緒にその考えを一緒に飲んでいた。

 

 

 

 それから数日、ハーマイオニーは先生から秘密の部屋の事を聞いて、秘密の部屋を知ろうとしたが、何も結果は得られず、またもや大広間でイラついている。

 

「ああ、もう。先生も秘密の部屋知らないなんて、どういう事よ!」

「誰も知らないからこそ秘密なんですよ。知っている人と言えば、この騒ぎを起こした張本人でしょうね。どうです?ハリー何か知りませんか?」

「僕じゃないし!知らないよ」

「君もハリーを疑っているのか!?」

 

 ハリーは否定する。ロンは灯葉の言葉に怒りを露わにする。

 そんなロンを見ながら、灯葉は笑いながら、言う。

 

「冗談です。知っている人はサラザール・スリザリンですかね。知っていればいいんですけどね」

「もうその人亡くなってるし、こんな時まで冗談言わないでよ。・・・・スリザリン。スリザリンね。ありがとう!トウハ」

 

 ハーマイオニーは大広間から大急ぎで出る。去っていくハーマイオニーを見て、ハリー達は首を傾けていた。

 

「どうしたんだろう?」

「さぁ。そんなことよりもクィディッチの練習行かなくていいのか」

「ああ!忘れてた」

「さて、私もおいとまします」

 

 ハリー達は急いで食事をとる。灯葉は既に食事を取っていたのか、ハリー達に退席を伝え、大広間から出る。

 大広間から出た灯葉もある所へと向かう。そこは大きな石のガーゴイル像の前だ。

 その石の前で言葉を発する。

 

「ショートブレット」

 

 その言葉が廊下に響き渡る。それ以外、音は出ない。

 

「レモンキャンディー」

 

 その言葉でガーゴイルが本物となり、ガーゴイルの後ろの壁が大きな音を立てて、左右に我始める。その壁の奥から階段が現れる。

 灯葉が後ろを振り向くと髭を撫でるダンブルドア校長がいる。

 

「ほほほ。アメはどうかね?」

「頂きます。さて私に何の用かね?」

「申し訳ないですが、校長にではなく、組み分け帽子です」

「振られてしまったか」

 

 灯葉とダンブルドア校長は一緒に階段を昇る。振り分け帽子は校長室の机の上に置いてあった。

 組み分け帽子が灯葉に気づき、威圧的な口調で話しかける。

 

「なんの用だ?東洋の魔女?」

「秘密の部屋を知りませんか?」

 

 組み分け帽子はしかめっ面の表情をするかのように帽子の皺を動かす。

 

「秘密の部屋?なんだそれは?」

「いえ。なんでもありません。ではマグル生まれの魔法使い、穢れた血については?」

 

 組み分け帽子は暫く、沈黙する。

 

「・・・・教育には差別するつもりはない」

「長い沈黙ですね」

「東洋の魔女はどう考えてる?」

「日本はマグルと付き合いが長いですから、そういった差別はないです。マグルと良い関係で付き合ってきましたから」

「本当に良い関係だったのか聞きたいけどな」

「良い関係でしたよ。歴史の表舞台はマグル。その裏に魔法界は生きていましたから」

 

 組み分け帽子は意趣返ししたいのか、灯葉の言葉に突っかかっていく。

 

「裏でマグルを操っていたのではないのか?」

「さてどうでしょう」

 

 最後に、灯葉は組み分け帽子に笑いかけて、校長室を去っていった。

 

 

 

 

 

 


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