ホグワーツの日常が段々と過ぎていき、ロックハートの授業はただ本の自慢するだけになってしまう。段々と生徒達の間では、信頼度ががた落ちになっていく。
生徒達はロックハートの授業はお昼寝タイムとなっていき、ある生徒は他の授業の宿題をやっていた。
灯葉もまた、ロックハートの授業はただ目を瞑って、時を待つようになっていた。
そんな中、ホグワーツはハロウィーンの時期になる。
今年もまた生徒達はハロウィーンを楽しみにしていた。特にハリーは去年のトロールの騒ぎでそんな所ではなかったので他の生徒達よりも楽しみにしていた。
そのハリーに「ほとんど首無しニック」は自分の絶命日に地下牢で開かれるパーティーに参加しないかと話しかける。
ハリーは灯葉達にそのパーティーの事を話しかける。
ロンとハーマイオニーは参加する事にした。しかし、灯葉だけは不参加だった。なんでも他の人と約束をしていたらしい。ハリーは残念そうにしていた。
そして、ハロウィーン当日。
ハリー達は後悔し始めていた。
ニックの絶命日パーティーより大広間のパーティーの方が断然楽しそうだったからだ。それは当然だ。地下牢で開催される死んでいる人とパーティー、大広間で大勢の生きている人とパーティーなら比べるまでもない。
ハリーとロンは重い足取りでニックのパーティーの元へと行く。そんなハリーとロンにハーマイオニーは命令口調で話す。
「約束は約束でしょ」
ハリー達はハーマイオニーの説教を聞きながら、ニックの絶命日パーティーを向かっていた。
一方、灯葉は誰とも会わず、トイレに向かっていた。向かおうとするトイレはここに住んでいる幽霊のおかげで誰も来ようとはしない場所で、いつもうす暗い雰囲気に包まれている。灯葉はトイレの奥の小部屋に入り、目を瞑る。
「水玄。そちらの様子はどうですか?」
―やっている事と言えば手紙を書いてるだけ―
灯葉の目の奥にはカンテラの火を頼りに羽ペンを動かしている老人が映っている。
「そうですか。そのまま、よろしくお願い致します」
灯葉は目を開け、息を吐く。その様子はトイレの雰囲気に飲まれたかのように落ち込んでいた。
「そう簡単には見せてくれませんか・・・・」
灯葉はドアを手に掛け、開けようとする。
しかし、灯葉はドアを開けれなかった。
灯葉は顔が強張り、眼は焦点を合わせる事が出来ず、額からは汗の玉が浮かび上がっている。
何か、いる・・・ここから出たら死ぬ。
灯葉は本能的に感じ取り、灯葉の頭には死のイメージが浮かんでいた。
その時、ドアの向こうからは管から空気が漏れたような音が聞こえる。その音はこのトイレの雰囲気を更に不気味にする。音を出している張本人は灯葉に気づいていないようで、何かを引きずる音を出しながら、安倍灯葉から離れていく。
灯葉は音がするまで何も出来ずにいた。
灯葉は慎重にドアを開き、周りを確かめる。灯葉の額にはまだ汗の玉が浮かんでいる。灯葉は手で汗を拭い、トイレを後にする。口元は笑いながら。まるで先ほどの恐怖を楽しむかのように。
「あれほどの恐怖をあったとは、まだまだ知らない事がありそうですね」
その頃、ハリー達の目の前に水浸しになっている廊下、壁に書かれた文字と遭遇していた。
秘密の部屋は開かれたり 継承者の敵は気をつけよ
その文字は生徒達を不安にさせる。その生徒達の中でマルフォイが声高らかにそう叫ぶ。
「継承者の敵よ、気を付けろ!次はお前たちの番だぞ、穢れた血め!お前たちもこの猫のように死ぬんだぞ」
マルフォイは自分が高みの見物にいるかのようにハリー、特にハーマイオニーを見下す。ハーマイオニーはマルフォイが言った事に衝撃を受けて、唇を噛みしめている。
マルフォイはハーマイオニーの様子が面白いのか、声を高々に笑っている。
―
マルフォイの後ろから呪文が聞こえる。マルフォイが後ろを振り向く瞬間、マルフォイがいる足元の水が波立ち、蛇の形を模す。水の蛇はマルフォイに対し、水の牙を剥いて、襲い掛かろうとする。
マルフォイは恐怖で顔を歪ませて、逃げようとするが、足を滑らせてその場にへたり込んでしまいう。しかし、マルフォイに襲い掛かる瞬間、水は蛇の形を崩し、勢いだけの水がマルフォイに襲い掛かる。マルフォイはすっかり水浸しとなってしまう。
呪文を唱えたのは勿論、灯葉だ。
「何の騒ぎかは知りませんが、少し黙りましょうね」
「ななな、何するんだ!?東洋の魔女!」
「黙らないとまたやりますよ」
マルフォイは灯葉の雰囲気に圧されて、黙る。マルフォイのお付きの仲間、ゴイル&クラップがマルフォイを抱えて、後ろへ下がろうとする。
しかし、下がるマルフォイに声をかける。
「穢れた血、マグル生まれが継承者の敵なんですね?」
「そうだ。覚えてろよ!お前もその連中といると痛い目に合うからな」
マルフォイ達は負け犬の遠吠えのように吠えて、生徒達の中に消えていく。
灯葉はマルフォイの背中を見ながら呟く。
「もう、痛い目には合いませんよ」
呟いた灯葉は消えたマルフォイから壁に書かれた文字を視線を移し、ハリーが声を掛けるまで、見ていた。
イザナミから生まれた神様。水神