ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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2年生の始まり

 眠りについていた安倍灯葉がネビルに起こされたのは汽車がホグワーツに止まった頃だった。

灯葉は眼を擦りながら起きる。

 

 

「・・・いつの間にか寝てしまいましたか。ネビル、ありがとうございます」

「ううん。そろそろ降りよう。トウハ」

 

 灯葉は膝に載せていた本を閉じて、ネビルと共に機関車から降り、ホグワーツ魔法学校へと行く。途中でハーマイオニーに会ったが、ハリーとロンには会えず仕舞いだった。

 ネビルは心配そうにしていたが、ハーマイオニーは二人の事を気にする所か、ご機嫌だった。満足顔で表紙にサインが書かれたロックハート著の本を大事そうに抱えるのを見て、灯葉とネビルはハリー達の事を話題には出来ずに苦笑いするのみだった。

 

 ハーマイオニーがやっとハリー達の話題を切り出すのは新入生の組み分けの途中だった。

 

「そういえば、ハリー達は?」

「ハリー達はいませんね」

「そうだったんだ。どうしたんだろう」

 そんな会話していたら、組み分けが終わり、ダンブルドア校長が去年と同じく禁止事項を述べていく。

 最後にロックハートを闇の魔術の防衛術の先生になった事を紹介する。生徒達が座っている席からは拍手が鳴り響く。

 主に女子生徒達が拍手をロックハート先生に送っている。その中にはハーマイオニーも当然いた。ロックハート先生は拍手を応えるかのようにウィンクして、歯を光らせて、笑顔を見せる。

 

「やぁ、ホグワーツの生徒達。皆さんのご存知の通り、ギルデロイ・ロックハートです。今年、闇の魔術に対する防衛術を教えることになりました。不安があるかもしれませんが、何度も危険を乗り越えている私が教える限り、皆さんには不安なんて与えません」

 

 その笑顔と言葉でさらに拍手の音が大広間に鳴り響く。

 拍手をする女子生徒達に対し、男子生徒はロックハートを冷ややかな目で見ていた。

 ネビルはロックハートを見ずに灯葉を見ていた。灯葉は拍手を送らずに頬杖をついていた。その灯葉の様子から何やら安堵したのか、嬉しそうだ。

 

 

 ロックハート先生の紹介後、宴会が始まる。

しかし、宴会にはロンや、ハリーの姿を現す事はなかった。結局、灯葉達がハリー達と会えたのは宴会後の寮だった。

 二人のいう事だとキングズ・クロス駅の9と4分の3番線に入れず、ホグワーツに行く為に空飛ぶフォード・アングリアに乗ってロンドンからホグワーツまでの距離を飛び、到着の際には校庭の暴れ柳に突っ込んだとか。

 

 結果、ホグワーツが始まる前ということで減点こそなかったものの、この件をマグルが知り、大騒ぎになりそうになり、魔法省が動くことになった。またハリー達は罰則を受けなければならないことになってしまう。

 しかし、ハリー達はその事よりもハーマイオニーの様子が気になっている。

 

「なんて、無謀な!!もう知らない」

 

 ハーマイオニーはそう言い残し、自分の寝室へ行く。ハリーは登るハーマイオニーをただ見るだけで、2年生の初日が終わる。

 

 

 

 二日目の朝

 

 ハリー達はハーマイオニーと灯葉に挨拶がするが、ハーマイオニーは若干遅れながらも返答する。

 

「おはよう、ハーマイオニー」

「・・・・おはよう」

「おはようございます」

 

 それだけで会話が終わり、ハリー達は朝食を食べる。その時、フクロウ便が来て、ロンの前に赤い手紙が届く。ロンはその赤い手紙を見ると、体を震わせている。灯葉はロンの姿を見て、尋ねる。

 

「それは何ですか?」

「吠えメールだよ!それはもう・・・」

 

 言いかけた時、赤い手紙が浮き、口のようになる。口はロンに向かって、唾を吐くかのように吠えまくる。近くにいる人はあまりの吠えに耳を防ぐ。

 

「車を盗み出すなんて、退校処分になっても当たり前です!!車がなくなっているのを見て私とアーサーがどんな思いだったか!お前はちょっとでも考えたんですか!!」

 

「昨夜もダンブルドアからの手紙が来て、アーサーは恥ずかしさのあまり死んでしまうのかと心配しました!! お前もハリーも間違えば死ぬ所だったのですよ!!」

 

 ウィーズリーは浮いている手紙に頭が上がらず、視線を下に向ける。吠えメールから名前が出た事で、ポッターも申し訳なさそうにしている。

 

「全く愛想が尽きました!さらにはお父様は役所で尋問を受けたのですよ!!今度ちょっとでも規則を破ってご覧なさい!!私たちがお前をすぐ家に引っ張って帰りますからね!!それとジニー。グリフィンドール入寮おめでとう。ママもパパも鼻が高いわ」

 

 

 そして、吠えるのが終わった手紙は燃え上がって灰になる。安倍灯葉は灰になった手紙をじっと見て

 

「ほー。私の手紙と似てますね」

「今いう事じゃないよね」

 

 ネビルは灯葉の感想に突っ込み、吠えメールが届いたロンは泣きそうな目でハリーを見つめる。

 

「ハリー・・・・」

 

 吠えメールが届いたロンは一日震え、授業を受ける事になる。

 

 


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