ホグワーツへ出発する列車のコンパートメントに膝に本を載せて寝ている一人の少女がいる。少女は本の退屈さと窓から入ってくる光のおかげで眠りについたようだ。
そのコンパートメントに入ってくる人がいる。その人物はネビル・ロングボトムだ。
ネビル・ロングボトムは列車のコンパートメントが空いていなく、彷徨っていた。ネビルは小声で言いながら、扉を開ける。
「トウハ・・・・失礼します」
ネビルは安倍灯葉の向かいに座る。灯葉はネビルが来た事に気づかずにまだ寝ている。窓から入ってくる光で黒曜石のように髪が輝いている。
ネビルは灯葉の寝顔を見つめている。その時、灯葉が寝苦しいのか姿勢を変える。ネビルは慌てて、窓の景色を見る。
しかし、まだ灯葉は眠いのか、夢の中だ。
ネビルは安心したように息を吐く。その時、ネビルは灯葉の膝にある本を見る。その本がロックハート著の本と知ると項垂れがら、一言を吐く。
「トウハもロックハートが好きなのかな・・」
ホグワーツの生徒が学校に向かう為、列車に乗っている時、イギリスの魔法省にはマホウトコロの校長、比丘尼校長がいる。比丘尼校長は尼の恰好をしており、手には錫杖を持っている。比丘尼の隣にはオールバックの髪型をした男性がいる。男性もまた片手で錫杖を持ち、片手は痒いのか首筋を掻いている。
その向かいにはダンブルドア校長、イギリスの魔法省、国際魔法協力部。いわゆる外交を管轄している部署の部長、バーテミウス・クラウチがいる。
ダンブルドア校長は比丘尼と挨拶として抱き合う。その姿はまるで爺さんと孫が久々の再会をしているようだ。
その隣ではクラウチとオールバックの男性が握手をしている。
「ミズ・ビクニ。ようこそ。イギリスへ」
「ミスター・ダンブルドア。お招きありがとうございます」
「ようこそ。ミスター・キイチ」
「どうも。ミスター・クラウチ」
4人は椅子に座り、話し合いを始める。切り出したのはクラウチだ。
「日本からわざわざ来てもらったのは他でもない。再来年、ホグワーツで三大魔法学校対抗試合をやる予定だ。ホグワーツ魔法魔術学校、ダームストラング専門学校、ボーバトン魔法アカデミーの3校だ。そこにマホウトコロも参加してもらい、四大魔法学校対抗試合を開く予定だ。どうだ?」
その提案に口を開いたのはキイチと呼ばれた男性だ。キイチはテーブルに足を乗せて、退屈そうに口を開く。
「どうって言われてもな、その試合の事はまーーーったく知らない。それにクラウチさんよ。あんたの目、どう見てもギラギラしている。成功させて、出世でもしたいのか?」
クラウチはキイチの言った事が当たったのか、苦虫をかみつぶしたような顔をする。しかし、その顔は一瞬に変えて、笑顔で話す。
「そんな事は無い。ミスター・キイチ」
「どうだかな」
「止めなさい。鬼一」
「・・・・はいよ」
鬼一は比丘尼の仲裁で足をテーブルから乗せるのを止めて、これ以上言うのをやめる。しかし、やる気の無さは表に出すのを止めない。
比丘尼はため息を吐き、クラウチに謝罪する。クラウチはまったく気にしていない様子だ。
「申し訳ありません。ミスター・クラウチ」
「問題ない。ミズ・ビクニ。それより試合は参加する気はあるか?」
「キイチの言う通り、私達はその試合を知りません。つい最近まで鎖国に近い状態でしたから、日本の魔法界以外の知識はほとんどありません」
「ミズ・ビクニ。気にする事は無い。その代わり、日本はマグルと折り合いがついておるじゃろう」
「その代わり、マホウトコロは他の魔法界と比べて、閉鎖的です。何とかしたいと思っていますがなかなか思うように出来なくて」
比丘尼は肩を竦める。それをあくびをしながら、鬼一はフォローする。
「ふぁーー。しょうがないだろう。マグルが勝手に鎖国してしまったし。それにヴォルデモートという奴がいたしな」
「ミスター・キイチ。あんまりその名前は出せないでくれ」
ヴォルデモートという名前が出るとクラウチは顔を青くし、震えながら鬼一を責める。その様子に鬼一は笑っている。比丘尼は咳払いし、空気を変える。
「さて、ミスター・ダンブルドア、クラウチ。その対抗試合、マホウトコロは参加します」
「ミズ・ビクニ。感謝する」
「さて、詳しい内容を詰めようじゃないか」
ダンブルドア校長とクラウチはビクニの発言に喜ぶ。特にクラウチは喜んでいた。ダンブルドア校長も顔には出せないが、顔が微笑んでいた。3人は2年後の四大魔法学校対抗試合について話し合いを進め始める。
鬼一は話し合いには参加せずに3人を見ていた。
3人とも対抗試合とは別にそれぞれの思惑があるな。まるで狐と狸の化かし合いだな。鬼一は思わず、3人の化かし合いに吹き出しそうになる。
吹き出しそうになるが、何とかこらえて、鬼一はダンブルドア校長を見つめる。
ヴォルデモートと言ったら、僅かながら、眉を動かした。つまり、ヴォルデモートはまだ死んでいない。つまり、戦える。そう思うと鬼一は錫杖を持っている手に思わず力が入る。
イギリスの友好関係は正直どうでも良かったが、ヴォルデモートには正直興味がある。
鬼一は外交官に任命された以前、対テロ組織部隊にいた時の戦いの高揚を思い出すかのように錫杖を鳴らした。
日本の魔法界とマグル界の関係性を以下のように設定しました。
・魔女狩りという魔法使いの迫害は他の魔法界と比べて少ない。
歴史的大きな事件は豊臣秀吉による声聞師狩り。いわゆる陰陽師狩り。
陰陽師は追放され、貴重な文献を滅却された。しかしながら、マホウトコロが滅却された文献を持っており、日本の魔法は廃れず、被害者も片手で数える程しかいなかったおかげで確執が生まれる事はなかった。さらに江戸時代になるときっかけさえあれば、魔法界に入れるような距離を保っていた。
他の魔法界の状況が違っている原因の一つ
・日本の鎖国。
鎖国により、日本の魔法界もまた海外との交流を絶ってしまう。その数百年後、開国により、日本は海外の交流が始まり、日本の魔法界でも少しずつだが海外の交流を始める。その際、国際魔法使い連盟に加入し、連盟が定めた国際魔法機密保持法により、日本でも魔法界を隔離する事になったが、数百年続いたマグルの交流はそう簡単には切れる事はない。しかし、ヴォルデモートの登場により、交流は絶たれてしまい、鎖国状態に戻ってしまう。
本当は本文に書きたかったですが、文才がない為、ここに書きました。申し訳ないです
設定を見ると日本は国際魔法使い連盟に加入している上で国際魔法機密保持法が制定されたと捉える事も出来ると思いますが、本小説では日本は制定された後で連盟に加入したという事にさせて頂きました。
あと、魔女狩りのような大きな迫害は一様ないと設定させていただきました。
キリシタン弾圧に関しては、陰陽師とは関係なさそうなので、陰陽師の迫害は上記の事件を例に挙げました。