夏休みの過ごし方
いつも白い靄がかかっている湖に誰も姿を見たことがない小島がある。そこには小さな木製の小屋がある。
その小屋には、揺れる椅子に身を任せて、本を読んでいる一人の老人がいる。老人は年をとっている事が一目でわかるほどに顔の皺が深く刻まれており、髭を胸まで生やしており、頭は剥げている。
老人は膝の上にある本を体の揺れに合わせながら本を捲り、本の内容を口にする。爺さんの目の前にいる一人の少女に向かって喋っているようだ。
「錬金術の考えでは、万物は火、空気、水、土の4つの属性に分けられる」
「なるほど。陰陽道と何やら通じるものがありそうですね」
「人が考える事はそう大差ない。人は学ばない」
老人の目が細める。何かを思い出すかのように。
「さて、最後の弟子、トウハ。どこまで学べるか楽しみだ」
安倍灯葉は夏休み中、その小島で過ごしていた。
一方、ハリーポッターはダーズリー家で手紙を来るのをずっと待っていた。しかし、灯葉以外の人からは手紙が来ず、連絡が取れずにいた。
ハリーは窓枠の上にある鳥の形で折っている紙を手にもつ。この紙は気が付いたらいつも窓枠の上にあった。
その紙を持つと、紙は自然に開き、書かれている内容が見える。内容は他愛もないが、ハリーにとっては寂しさを紛らわすのには十分だった。
ハリーはその紙に返事を書き、窓枠の上に置く。
ハリーの手から離れた紙は窓の隙間から抜ける。窓から抜けた紙は勝手に折り始め、鳥の形となる。鳥は羽を動かし、空へと旅経つ。
ハリーはそれを窓から見守る。これがハリーの朝の日常となり、昼、夜はダーズリー家の世話の日常となっていた。
ある日、ダーズリー家がお客様が来ることとなり、ハリーはお邪魔虫のように部屋に閉じ込められる。しかし、部屋にはダーズリー達が知らないお客がいた。
そのお客は服とは呼べないボロボロな布を着ており、顔はコウモリのような長い耳、大きい緑の眼がギョロリと飛び出している。そのお客はハリーを見つめて
「ハリー・ポッター。なんていう光栄でしょう」
「誰なの?」
「ドビーでございます。屋敷しもべのドビーです」
ドビーはハリーに忠告する為に来たと言う。
忠告はホグワーツには行くな。
今年のホグワーツには恐ろしい罠が仕掛けられているという内容だった。ハリーはその忠告を拒絶する。
ハリーにとって、ダーズリー家は自分の家ではない。自分の家はホグワーツなのだから。
ハリーはドビーにそう伝えるがドビーは口を滑らす。
「僕は学校に戻らなくちゃ。ここには居場所がないんだ。僕の居場所はホグワーツなんだ、あそこには友達がいる」
「一人だけ、手紙くれる友達のためでッか?」
「待ってよ・・どうして知ってるの?」
「怒ってはダメでございます。ハリー・ポッター」
「手紙を返してよ」
「ダメです・・」
ドビーは手紙の束を持ちながら、階段を降りていく。ハリーがドビーを追うが、ドビーが逃げていった先にはダーズリー家のお客がいる。
ドビーはそのお客に向かって魔法でケーキを落とす。ダーズリー家の大切なお客に。
もちろん、その一件でハリーの伯父、バーノン・ダーズリーは激怒し、ハリーを部屋に監禁した。
しかし、それは無意味の行動となる。
ハリーの友達、ロン・ウィーズリー、ロンの家族であるフレッド、ジョージが空飛ぶ車に乗り、ダーズリー家からハリーを救出した。